けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

気にしすぎ

最終更新:

mioritsu

- view
だれでも歓迎! 編集

七夕から、数日過ぎたある日の放課後。
‥の、帰宅途中。
澪は、少し元気が無かった。
ある日、と言うか。七夕から、だった。



七月七日。放課後の、部室にて。
「さーさーのーはーさーらさらー♪」
ギー太で弾き語る、唯。
「‥唯先輩、そういうのはすぐ覚えますよね」
呆れ気味の梓。
「ありがとう!あずにゃん!!」
「誉めてませんよ‥」
「えぇー!?」
「うふふ♪」
いつもの二人の、いつもの二人のやりとりを、いつものようにムギがニコニコ顔で眺めていた。
「よーし!じゃ、短冊でも書くか!!」
私は隠し持っていた短冊をバッ!!と、テーブルに広げた。
「おい、律」
練習はどうした?と突っ込む澪を
「まぁまぁ…せっかくの七夕だろ?」
私は宥めた。と、同時に
「ナイスアイディアだね!りっちゃん!!」
唯がノリノリで着席した。
「短冊って‥願い事を書くのよね?」
ムギが短冊を手にして眺めつつ、言った。
「そうですよ」
梓も短冊を手に取った。
練習は、完全に後回しになった。
「そういえば‥」
梓は発言を続け
「彦星と織姫って、いつも一緒に居て‥それで仕事が疎かになって。一年に一度しか逢えなくなったんですよね」
七夕豆知識を披露した。
「そうなの!?」
驚くムギ。お嬢様だし、知らないのも当たり前…か。
「そうだぞー?」
私が両手を頭の後ろで組み
「一日中イチャイチャしてーって、そりゃー周りも黙ってないよなー」
はははー、と笑うと
「そうなんだ!!」
唯が感心した。
「知らなかったのかよ‥」
私が呆れると
「りっちゃんと澪ちゃんみたいだね!!」
全く他意の無い笑顔で、唯が言った。
『‥‥なっ!!』
私と澪は、同時に声を上げ、顔を紅潮させた。
「その通りね♪」
ムギが屈託の無い‥であろう笑顔で同意した。
「ねー?りっちゃんと澪ちゃん、いつも仲良しだもん!!」
ふんす!!と謎の自信を見せて唯が断言した。
「‥な、何言ってんだよ!!」
私は何とか反撃しようとした。
澪は顔を真っ赤にして絶句していて、文字通りお話にならない状態だった。
「‥そうですね」
梓が、静かに口を開いた。
「なんだかんだで。仕事っていうか‥練習、してませんしね!」
明らかに他意のある笑顔を投げ掛け
「お二人、ホント仲良しですし‥」
短冊に目を落とし、顔を赤くした。
「なんで梓が赤くなるんだよ!」
耳まで真っ赤な私が突っ込むと
「彦星様と織姫様みたい、だし。りっちゃんと、澪ちゃん♪」
ムギが頬に手を当てて、追い打ちを掛けてきた。
部長の私が言うのもなんだが、ウチのメンバーは憎たらしい程にチームワークが良い。
「あー、もう!!」
私は席を立ち
「練習練習!!」
短冊を撤収しようとした。
「えー!?まだなにも書いてないよー!!」
唯が必死に抵抗した。
「何言ってんだ!部活だ部活!!」
私は言いだしっぺの自分をボンボン棚に上げて、短冊を取り上げようとした。


「‥短冊」
絶句していた澪が、口を開いた。
「書こう、かな…」
澪は、いつの間にか陥落していた。


…。

「‥しょーがないな…」
私は、仕方無しに席に戻った。
「じゃ、願い事。書きましょ♪」
ムギが場を戻した。
「なににしようかなぁ」
「‥ケーキをたくさん食べたい、とか。書かないでくださいね?」
「おぉ!あずにゃん、エスパーだったのかい!?」
「誰だってわかりますよ…」
「唯ちゃんと梓ちゃんも、仲良しよね♪」
「そっ‥そんな事ないですっ‥」
「またまたぁ~照れちゃってぇ~あーずにゃん♪」
「そんな事ないですっ!!」
「あずにゃん!がまんは良くないよ?」
「なんで私が我慢するんですか」
「良くないわよ~?」
「そんな事無いですってば!!」
‥と、いつものやり取りを繰り返す三人を、私はやれやれ、と眺めた。
澪に目をやると

『ベースが上手くなりますように』

月並みな願い事を、短冊にしたためていた。

…まぁ「律と一緒に~」なんて、ココじゃ書けないか。

私は私で

『目指せ武道館!!!』

月並みな願い事を、短冊にしたためた。



…で、その七夕から数日過ぎたある日。
澪は、少し元気が無かった。
原因は…分かってんだけど。
その原因ってのは

「彦星様と織姫様みたい、だし。りっちゃんと、澪ちゃん♪」

ムギの発言だった。

普通ならロマンチックで、澪しゃんキュンキュンしちゃうんだろうなー、とか。
思うかもしんないけど。

澪は、違う。

彦星と織姫は、一年に一度しか逢えない。

ココだ。

おそらく「私と律が会えなくなったら‥」とか考え込んでるに違いなかった。
普通なら、悩みとか恋人の前じゃ隠すモンだけど。
その恋人の前で悩んでる姿晒しちゃってんだから。
…隠してるつもりでも、だ。

私は、澪を家に招いた。



いつものように。部屋の中で一緒にジュース飲んで、一緒にダラダラする私と澪。
私はベッドでゴロゴロして。澪は、ベッドに寄りかかって。
‥‥澪の表情だけ「いつものように」じゃなかったけど。
「‥みおー?」
「‥ん?」
「おいでー?」
私はゴロン、と寝転んでスペースを開けて。パンパン、とシーツを叩いた。
「‥なに?」
澪は読んでいた雑誌を置き、ベッドに上がった。

今だ。


がばっ

私は、澪を押し倒した。

澪は、反射的にいつもの「情事を先ず断る表情」になった。
澪が最初断って、私が無理矢理‥ってのがいつもの流れだった。

…が、今日は違った。

私はいつものように無理矢理身体を抑えた。

「‥りつっ!」
澪は小さな声を上げた。

「‥んー?」
私は、器用に澪の身体を抑え、制服のタイを解いた。

「‥」
澪は少し待ち構えたような表情で、私を見上げた。

「‥みーお」
私は、澪に制服越しの鎖骨の辺りを差し出した。

「‥?」
いつものように、身体をまさぐられると思っていた澪は、キョトン、と顔に書いた。

「‥とって?」
私はタイを解くように促し、抑えていた手を退けた。

「‥」
澪は、少し顔を赤くして。私のタイを解いた。

私は解いた澪のタイと、澪の左手が握っていた私のタイを取り替えた。

「‥?」
澪はまたキョトン、と顔に書いた。

「‥これでいつも一緒、だな!」
私は、笑ってやった。

いつも締める、タイ。
いつも見る、タイ。

コレとっかえときゃ、いつでも一緒の気分になる。
やってみたいなーとか、思ってたし。

…我ながら、浅はかだなぁと思ったけど。

澪の眼は、見る見る間に濡れていった。

「…バカ律っ!」
小さく呟くと、私を思いっ切り抱き締めてきた。

「…」
私は無言で。優しく。顔の横に居る黒髪を撫でてやった。

「…」
黒髪は無言で。もっともっと、抱き締めてきた。


‥少し、泣いてる。かな。


まぁ、彦星様でも織姫様でもねーしな、と思いながら。

「いつもいっしょ、だぞ?」

ポンポン、と澪の頭を叩いた。

「…」

澪は、私を三度抱き締め。


静かに。頷いた。


名前:
コメント:

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー