「あ……あ……」
『
となりのトトロ』等で知られるスタジオジブリの映画『千と千尋の神隠し』に登場するキャラクター。
無機質な仮面を付けた黒い影のような姿をしており、
カオナシだけど本作の顔とも言える存在。担当声優は中村彰男氏。
常にか細い声を搾り出すのみでほとんど喋る事が出来ないが、
相手の言葉にはある程度反応したり、簡単なボディランゲージが出来るなど、一応のコミュニケーションは可能である。
また、
自分(=顔)を持たないが故に
取り込んだ物を模倣する特性があり、拾った金粒を元に土くれから幾らでも偽の金粒を作ったり、
声を奪うためだけに偽の金粒を欲した人物を丸呑みにするというような恐ろしい一面もある。
不思議な温泉街に迷い込み奇妙な温泉宿「油屋(あぶらや)」で働くことになる主人公・荻野千尋(千)を見かけて以降、度々彼女の前に現れるようになる。
しかし次第に千に対して執着を持つようになっていた所で、オクサレ様が浄化された礼に残していった大量の砂金に色めき立つ従業員を見て、
「これさえあれば相手が何者であろうと歓迎される」と最悪の学習をしてしまう。
そして、油屋の従業員である青蛙を偽の金粒で釣って丸呑みにして異形の姿に変貌(この時取り込んだ青蛙の声で喋るようになった)。
その後は客として再び油屋を訪れ、大量に偽の金粒を生成して「お大尽様」と呼ばれるようになり、
欲に溺れた従業員にも大量のご馳走でもてなされてさらに肥大化。そして油屋の異変に気付いた千に同様に金粒の山を渡そうとするが……。
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「千はどこだ!千を出せ!」 |
「千ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛!!
小娘がぁ...何を食わせたあぁぁぁぁぁ!!?」
油屋での日々を通して成長した千は、カオナシの誘惑に乗らず、それを拒否する。
この様を冗談と愛想笑いでとりなそうとした従業員に「バカにされた」と思ったのか逆上したカオナシは暴走し、
油屋の従業員を飲み込んで大暴れを始めるが、再び千から「私が欲しいものはあなたには絶対出せない」と伝えられ、
今度は「寂しい...寂しい...」と泣き出してしまう。
そして逆に千がかつて川の神から贈られた苦団子を与えられた事であまりの苦さに悶絶。
油屋中にゲロを吐き散らかしながら逆上して千を追いかけ回すが、これまで取り込んだ余計な物を全て吐き出してしまった事で、
最終的に落ち着きを取り戻し、元の大人しい状態に戻った。後始末に追われるだろう油屋の従業員御一同様、お疲れ様です…
とはいえその後も千に付き纏うのは変わらず、結局千と共に銭婆の元へ向かうことになるが、
そこで編み物が得意という意外な特技を見せた事で彼女に認められる。
初めて自分を受け入れてもらえる場所を見つけたカオナシは、そのまま銭婆のもとにとどまったのだった。
なお、彼については「顔無し」の意(各国言語版でも一人だけその意味で名前が訳されている)を持つモブに過ぎなかったのだが、
宮崎駿監督がその存在感に目を留め、急遽物語のキーパーソンの一人として取り上げられた、という経緯がある。
実際作中でも、雨の中で橋の上に立ち尽くしていた所を千に見つけられて油屋に招いてもらった事がきっかけとなり、
さらに千が薬湯を出すための札を欲しがっていたのを見て、番台からそれを盗んで渡して喜ばれたことからエスカレートし、
その薬湯で身を清めてもらった川の神が油屋にお礼として砂金を振る舞い、従業員達が大喜びする様を見たため、
砂金を出せば皆が喜ぶ、自分も受け入れてもらえる……と思い込んでしまったのが、騒動の原因であった。
そのためカオナシが出した砂金はただの偽物で、事件解決後は全て泥になってしまった。
モデルとなったのはスタジオジブリのアニメーター米林宏昌氏。
ただしこれは後付けで、カオナシのモチーフとなったのは誰の心の中にもある闇……もっと直接的に言ってしまえば、
「自分がなく、他人の借り物の言葉でしか喋れず、物を贈る事でしか他人と繋がれない、どこにも居場所が無い、否定されるとすぐキレる」
という、現代社会で必死に生きている危うい若者達の姿である。ちょっと耳が痛い
問題児ではあったものの、カオナシによって千が救われた場面も多々あり、暴走したとはいえ確かな力を持った存在でもある。
最終的に自分の居場所を見つける事ができた彼は、今度こそちゃんと「正しい人との繋がり方」を見出せたのだろう。
本作のテーマの一つが「心を改めれば人はやり直せる」という事を踏まえると、カオナシもまた主役の一人だったと言える。
「お家はどこなの? お父さんやお母さんいるんでしょう?」と問われても泣くことしかできなかった彼の今後に、幸あらん事を願う。
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MUGENにおけるカオナシ
トトロも手掛けたgoogoo64による、アニメの画像を取り込んで作られたキャラが存在。
試合開始時はお馴染みの姿で登場し、腕を伸ばしたり金を差し出して攻撃するが、
突然体を伸ばして相手を吹き飛ばしたり、仮面繋がりで『
NARUTO』のトビに変身して相手を吸い込んだり、
ジェイソンになってチェーンソーで相手を切り裂く等、とにかくカオス。
さらに、首から下がマッチョな人型に変身して軽快に動き回ったり、
アポカリプス並みの
巨大キャラに変身したりと、
氏のキャラらしくぶっ飛んだ性能に仕上がっている。
出場大会
最終更新:2024年09月08日 08:40