The Elixirs of Nostradamus

 『ノストラダムスの万能薬』(The Elixirs of Nostradamus)は、1995年に英米で刊行された。前年にドイツで刊行されたクヌート・ベーザーDie Elixiere des Nostradamusの英訳だが、原書に比べて大幅な改編がなされている。


【画像】The Elixirs of Nostradamus

内容

 『化粧品とジャム論』の英語版である。底本はクヌート・ベーザーが1994年に編集したドイツ語版だが、問題が多い。
 まずはドイツ語版で保たれていた章立てが廃止されている。さらに、本来の『化粧品とジャム論』が第1部全34章(ドイツ語版の底本になった1572年アウクスブルク版の時点で第18章が省かれていたので、全33章)、第2部全31章なのに対し、この英語版は、第1部が23章分、第2部が25章分しか訳出されていない。

 訳語についても、1572年ドイツ語版から1994年ドイツ語版を経ての英語訳であるため、信頼性の点で疑問がある。
 ピーター・ラメジャラーは「小便」が「飲み水用の井戸」に化けてしまっている例などを引き合いに出しつつ、「驚くまでもなく、伝言ゲームのようなものである。(略) もしあなたがこれらを容認するなら、自分で責めを負うしかない」*1と突き放している。

日本語訳

 この英語版からの翻訳として『ノストラダムスの万能薬』(八坂書房、1999年)が刊行された。


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最終更新:2012年07月24日 22:14

*1 ラメジャラー [1998a] p.272