「
ゲーテのファウストの中のノストラダムスが現代の我々に問いかける意味」は、
金谷利勝が発表した論文。
 『石川工業高等専門学校紀要』第16号(1983年)に収録された。
 日本では、大学やそれに準ずる高等教育機関の紀要で
ノストラダムスを主題とした論文が発表されることは稀だが、その中でも最も早い段階に属する論文である。
概要
 ゲーテの『ファウスト』とノストラダムスの Les Siècles(原文ママ)を題材にとり、その現代的意味を検証するという形式になっている。
 一般的には、『ファウスト』の中でのノストラダムスは、あくまでも占星術師の例として、もしくはスウェデンボルグの代わりとして言及されているに過ぎないとされるが、金谷は
五島勉が紹介している「
ゲーテのパスツール・ショック」を根拠として、ゲーテは確かにノストラダムスその人の予言を信じていたと推測している。
 しめくくりとして、Les Siècles に含まれた予言は人類の破局回避に役立つものであり、人類の未来のためにゲーテの『ファウスト』、ノストラダムスの Les Siècles、五島勉の解釈書は有益であると説いている。
コメント
 ノストラダムスに関する情報のほとんどを五島勉に依拠しているため、事実関係の面で非常に誤りが多い。この論文に原題として頻出する Les Siècles 自体が五島勉の創作した題であり、ノストラダムスは用いていなかった(→
諸世紀参照)。
 金谷はドイツ文学者なだけあって、『ファウスト』についての通説的理解にも通じているが、五島勉の「パスツールショック」を根拠にそれを否定してしまうあたり、論証の仕方にも問題がある。
書誌
- 論文名
- ゲーテのファウストの中のノストラダムスが現代の我々に問いかける意味
- 著者
- 金谷利勝
- 掲載誌
- 『石川工業高等専門学校紀要』第16号
- 出版日
- 1983年3月
- 注記
- pp.135-141
外国人研究者向けの暫定的な仏語訳書誌
- Article
- Goethe no Faust no naka no Nostradamus ga gendai no wareware ni toikakeru imi (trad./ Quelle signification a ce que Nostradamus nous demande dans Faust par Goethe, aujourd'hui? )
- Auteur
- KANAYA Toshikatsu
- Publication
- Bulletin du Collège technique d'Ishikawa, no16 (pp.135-141)
- Lieu
- Tsubata, Kahoku-gun, Ishikawa-ken, Japon
- Date
- mars 1983
- Note
- L'auteur est le Professeur du Collège technique d'Ishikawa.
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最終更新:2009年11月26日 22:47