原文
Vents1 chaut, conseil, pleurs & timidité2,
De nuict au lict assailly sans les armes3,
D'oppression grande4 calamité,
L'epithalame5 conuerty pleurs & larmes.
異文
(1) Vents 1588Rf 1589Rg : Vent T.A.Eds.
(2) & timidité 1588Rf 1589Rg : timidité T.A.Eds.
(3) armes : Armes 1672
(4) grande : grand 1672
(5) L'epithalame : L'epithalme 1660 1668P, L'Epithalame 1672
(注記)底本は1588Rf で、比較に用いたのは 1589Rg, 1589Me, 1605, 1611A, 1628, 1649Ca, 1649Xa, 1650Le, 1660, 1668, 1672 である。リヨンで出された版などには原則として掲載されていない。
日本語訳
熱風、議会、悲しみと恐れ。
夜の寝台にて、丸腰で襲われた者。
抑圧による大惨禍。
祝婚歌は悲しみと涙に換えられる。
訳について
大乗訳4行目「エピタラムは涙で放心するだろう」は、元になったはずの
ヘンリー・C・ロバーツの英訳 The Epithalamium shall be converted into tears. と見比べても、根拠がよく分からない訳。
信奉者側の見解
池田邦吉は金日成の死去(1994年7月)の予言とした。彼は4行目の「祝婚歌」を単に「歌」と訳し、反語的表現で「葬送歌」を意味している可能性があるとしている。詩番号は、金日成が「7」月に「83」歳(数え年)で死ぬことを言い当てているという。
同時代的な視点
この詩は本来
1561年12月向けの予兆として発表されたものだった。その前半と後半を入れ替えて、百詩篇第7巻83番と位置づけたのは
バルブ・ルニョーによる非正規版が最初であり、その詩番号にはなんら正統性がない。そこから何らかの予言を読み取る行為は、それが単なるこじ付けに過ぎないことを示している。
婚礼が一転して大惨事になったという意味では、たとえばサン=バルテルミーの虐殺を的中させたと見えないこともないが、詩の他の部分は非常に曖昧であり、むしろ当時の宗教戦争の状況を漠然と示しているようにも見える。
なお、4行目 converti を
ベルナール・シュヴィニャールは convertit と校訂していることも付け加えておく(
予兆詩第75番参照)。その場合、婚礼が惨事に変わるのではなく、婚礼が惨事を払拭するといった意味になるだろう。
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最終更新:2009年09月21日 12:38