天狗
天狗(てんぐ)は、山伏姿で、鼻が高く、顔が赤く、翼があり、神通力を持って自由に飛行できる
妖怪です。
手には羽団扇や太刀、金剛杖を持ち、山中で起こる不思議な現象は天狗のしわざとされています。
天狗の由来には諸説ありますが、中国で犬の姿の妖怪として生まれ、日本に伝わってからさまざまなイメージが変化していったと考えられています。
概要
天狗は日本文化において畏怖と尊敬が入り混じった存在です。その姿や役割は地域や時代によって異なりますが、山岳信仰や修験道との結びつきが強く、日本人の自然観や宗教観を反映しています。
また、江戸時代以降には娯楽的要素も加わり、多面的なキャラクターとして親しまれるようになりました。
- 外見
- 天狗の姿は一般的に以下のように描かれます:
- 赤ら顔で高い鼻(特に「鼻高天狗」)
- 山伏のような服装をしており、背中には翼を持つ
- 手には羽団扇(はうちわ)を持ち、空を飛ぶ能力がある
- 烏天狗の場合は、カラスのような嘴を持つ
- 能力と性格
- 天狗は神通力や呪術を持ち、人間に古武術や知識を教えることもあります
- 一方で、人間を惑わせたり、さらったりする「天狗隠し」などの危険な一面もあります
- 山の神として尊ばれる一方で、慢心や驕慢の象徴ともされます
- 起源
- 天狗という名称は中国から伝わったものであり、中国では「天狗」は流星や隕石落下を指す言葉でした
- 日本では飛鳥時代にこの概念が伝わり、『日本書紀』には「天狗」が流星として記述されています
- 平安時代以降、日本独自の解釈が加わり、山岳信仰や修験道と結びついて現在のような妖怪としてのイメージが形成されました
種類
天狗にはいくつかの種類があります:
- 鼻高天狗
- 高い鼻と赤ら顔が特徴で、山伏の姿をしています。最も一般的な天狗像です
- 烏天狗(からすてんぐ)
- カラスに似た嘴を持ち、より動物的な姿をしています
- 小型で群れを成して行動することもあります
- 地方ごとの異なる天狗像
- 地域によって白髪の老人や山伏に似た姿など、多様な形態が伝えられています
- 伝承と文化的役割
- 天狗は山岳地帯に住み、人々が山を畏怖する気持ちから生まれた妖怪です。山中で起きる奇妙な音や現象は「天狗の仕業」とされました
- 一方で、修験道との関係から、人間に武術や知識を授ける存在として描かれることもあります
- 江戸時代以降、妖怪文化が娯楽化すると共に、天狗は親しみやすい存在として描かれるようになり、人々との交流譚も多く残されています
有名な伝説
- 高尾山の天狗伝説
- 高尾山では、大天狗と烏天狗が飯縄大権現(いづなだいごんげん)の眷属として崇められています
- 参道整備や人々への恩恵など、多くの伝説が残っています
- 天狗隠し
- 天狗が人間をさらうという話は各地に伝わります。特に『遠野物語』では、子供や老人が姿を消す現象として語られています
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最終更新:2024年12月08日 11:03