無害な相手を恐れる
この
イベントは主人公にとって「怖いもの」「怖い人」が登場して、苦労させられる物語です。
この構造は、主人公の内面的成長と
人間関係の発展を軸に展開され、恐怖の克服という
テーマを通じて、読者に共感と感動を与える効果的な物語の枠組みとなっています。
向いているジャンル
- コメディ:怖がるキャラクターをコメディタッチで描くことができます
物語の構造
第一幕: 主人公が、相手(怖いもの)を克服すると決意する
この幕では、主人公と「怖いもの」または「怖い人」との出会いが描かれます。
- 主人公の初期状態と恐怖の対象が紹介される
- 主人公が恐怖を克服する必要性に直面する
- 物語の終わりに、主人公が恐怖を克服すると決意するプロットポイントが置かれる
第二幕前半:共同生活によって、相手との絆を深めていく
- 主人公と恐怖の対象との共同生活が始まる
- 徐々に相互理解が深まり、絆が形成されていく
第二幕後半:主人公が恐怖を克服し、互いに深い絆を結ぶ
- 主人公が恐怖を克服するための試練に直面する
- 困難を乗り越え、主人公と相手との間に深い絆が形成される
第三幕:主人公が相手のために、自己犠牲をして報いる
- 主人公が相手のために自己犠牲を払う場面が描かれる
- この行動によって、主人公の成長が証明される
- 物語のテーマである「自分の弱さ」「無害な相手を恐れる」ことの克服が完結する
このイベントの作り方
主人公が何を恐れるのかを決める
主人公は「普段は恐れ知らずの人」「感情を表に出さない人」にすると普段との
ギャップが生まれて良いです。
No |
キャラクター |
→ |
恐れるもの |
説明 |
1 |
無敵のヒーロー |
→ |
小さな虫 |
宇宙の悪を倒す無敵のヒーローが、小さな虫 (毛虫や蜘蛛など) を見て悲鳴を上げる |
2 |
冷酷な殺し屋 |
→ |
かわいい動物 |
冷血な殺し屋が子猫を見ると、膝がガクガクして任務を遂行できない |
3 |
怖がりな幽霊 |
→ |
生きている人間 |
人間を怖がる幽霊が、突然現れた人間に怯えて逃げ回る |
4 |
凶悪な刑事 |
→ |
注射 |
凶悪犯を追い詰める刑事が、健康診断の採血で気絶しそうになる |
5 |
クールな美人秘書 |
→ |
暗闇 |
完璧なキャリアウーマンが、停電時に真っ暗なオフィスで泣き叫ぶ |
6 |
勇敢な探検家 |
→ |
高所 |
未知の地を探検する冒険家が、高いところに登るとパニックになる |
7 |
厳格な学校の校長 |
→ |
カラオケ |
生徒を厳しく指導する校長が、カラオケで歌うことを極度に恐れる |
8 |
強面のヤクザ |
→ |
犬 |
恐れを知らないヤクザが、小型犬を見ただけで震え上がる |
9 |
天才科学者 |
→ |
人間関係 |
複雑な理論を解く科学者が、人との会話や交流に極度の恐怖を感じる |
10 |
無表情なアンドロイド |
→ |
感情 |
感情を持たないはずのアンドロイドが、突然の感情の芽生えに戸惑い恐れる |
ただ、相手が人間以外の場合には
共同生活は成立しない一過性のイベントとなります。
今回の構造に適合させるには、怖がる対象が人間であるとストーリーが組み立てやすいです。
恐れる対象は主人公と正反対な性格である
対照的キャラクターであると、受け入れられやすいです。
No |
キャラクター |
→ |
恐れるもの |
説明 |
1 |
厳格な軍人 |
→ |
優しすぎる新人兵士 |
鬼軍曹として知られる軍人が、極端に優しい新人兵士の純粋さに戸惑い、怯える |
2 |
クールな女性CEO |
→ |
熱血営業マン |
冷静沈着なCEOが、情熱的すぎる営業マンの熱意に圧倒され、恐れを抱く |
3 |
不良少年 |
→ |
真面目な学級委員長 |
学校一の不良が、真面目すぎる学級委員長の正義感に恐れをなす |
4 |
孤高の天才芸術家 |
→ |
熱狂的なファン |
人付き合いを嫌う芸術家が、自分の作品に熱狂する一般人ファンを極度に恐れる |
5 |
冷血な弁護士 |
→ |
感情豊かな依頼人 |
感情を表に出さない弁護士が、感情表現の激しい依頼人に戸惑い、恐れる |
6 |
無愛想な料理人 |
→ |
明るすぎる見習い |
無口で厳しい料理人が、常に笑顔で前向きな見習いの態度に恐怖を感じる |
7 |
クレーム対応のベテラン |
→ |
過度に親切な顧客 |
どんな苦情にも動じないベテラン社員が、極端に親切で礼儀正しい顧客に戸惑う |
8 |
孤独を愛する作家 |
→ |
社交的な隣人 |
一人の時間を大切にする作家が、フレンドリーすぎる隣人の存在に怯える |
9 |
冷静な宇宙飛行士 |
→ |
情熱的な地球外生命体 |
危機的状況でも冷静な宇宙飛行士が、感情表現の激しい宇宙人との遭遇に戸惑う |
10 |
無表情なプロ囲碁棋士 |
→ |
感情的なアマチュア対戦相手 |
感情を表に出さない棋士が、喜怒哀楽を激しく表現するアマチュア相手に恐れを抱く |
作例:おとなしい中学生 × 心優しい強面ヤクザ
おとなしい中学生が、心優しい強面ヤクザと関係を持ってしまい、見た目との
ギャップに戸惑いつつも偏見を克服し、またヤクザから強い心を学び、弱気だった自分を変えていく。
この設定は、
コメディ要素と感動的な展開の両方を含むことができます。
- 特徴
- 視覚的なコントラストが強く、読者の興味を引きやすい
- 主人公の成長と偏見の克服というテーマを扱える
- ヤクザの優しさが徐々に明らかになる展開が可能
- 展開例
- 1. 中学生が偶然ヤクザと出会い、恐怖のあまり逃げ出す
- 2. ある事情でヤクザと接する機会が増える(例:近所に引っ越してきた、など)
- 3. ヤクザの意外な一面(動物好き、料理上手など)を知り、少しずつ打ち解けていく
- 4. 最終的に中学生がヤクザを守るために立ち上がる場面で物語がクライマックスを迎える
作例:お転婆な女子高生 × 不良クラスメート
誰とでも打ち解けられるお転婆な女子高生(A)だったが、不良(B)のクラスメートを嫌っていた。
Aはクラスメートが
いじめられているのを止めようとして、窮地に追い込まれるがBがそれを助けてくれる。
Bと仲良しようとしてもそっぽを向かれるが、それはBの家庭が貧乏のため、余計な付き合いを避けていたためだった。
Aはお弁当を作ったり、Bの家に行って家事の手伝いをしたりして、その過程で二人の共通の趣味、音楽と楽器演奏があることを知り、次第に二人の仲を深めていく。
そういった活動を続けながらもAは学校内での評判を上げていくのに対して、Bは悪いレッテルから依然として学校に居場所がない。
Aは
学園祭の実行委員を頼まれてしまい、徐々にBと
すれ違いが増えていく。
偶然、公園でBが弾き語りをしているのを見つけ、Aは「後夜祭で一緒にステージに立とう」とBを誘い、Bはそれを了承する。
学園祭最終日、Bの母親が倒れたとの連絡がありBは後夜祭には出れないと言う。
Aは後夜祭のステージに一人で立つが、今ひとつ盛り上がらない。そこに病院から急いで戻ってきたBが飛び入り参加して、ギターと歌を熱唱。二人でステージを盛り上げる。
ステージでの演奏を終えたAは、Bが本当は心優しく家族思いであることをマイクで観衆に伝える。
評価カテゴリ |
項目 |
評価 |
モチーフとの適合性 |
1. 主人公の変化 |
Aは最初Bを嫌っていましたが、徐々にBの本当の姿を理解していきます。これは「無害な相手を恐れる」モチーフの核心部分です |
2. 恐れの対象の無害さ |
Bは不良として見られていますが、実際は心優しく家族思いであることが明らかになります。これはモチーフの重要な要素です |
3. 関係性の発展 |
AとBの関係が徐々に深まっていく過程が丁寧に描かれており、モチーフの展開に沿っています |
物語構造の評価 |
1. 設定(第一幕) |
AがBを嫌う設定から始まり、Bの意外な一面(Aを助ける)が示されます |
2. 展開(第二幕) |
共通の趣味を通じて二人の関係が深まる一方で、学校での評価の差や学園祭の準備によるすれ違いなど、葛藤も描かれています |
3. 結末(第三幕) |
後夜祭でのステージパフォーマンスと、AがBの本当の姿を公に伝えるクライマックスは、モチーフの結実を示しています |
- 特筆すべき点
- 音楽という共通の趣味を通じて二人の絆が深まる展開は、読者の共感を得やすい
- 学校内での評価の差や、Bの家庭事情など、現実的な問題が織り込まれている
- 最後のステージでの協力と、Aの公の場での発言は、モチーフの完結を象徴的に表現している
- 改善の余地
- Bの母親が倒れるエピソードは、やや唐突な印象を与える可能性があります。この点をもう少し伏線として織り込むと、より自然な展開になるかもしれません
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最終更新:2025年03月19日 07:46