陰陽師

陰陽師

陰陽師(おんみょうじ)は、古代から近世の日本において、陰陽道を基盤とした占いや呪術、暦の作成などを行った専門職であり、特に平安時代にその役割が大きく発展しました。


概要

起源
  • 陰陽師は、中国から伝わった陰陽五行説や天文学、占星術などを基盤として発展した「陰陽道」の実践者です
  • 推古天皇の時代(7世紀)には百済から陰陽五行説が伝えられ、日本の律令制度下で「陰陽寮」という官庁が設立されました
平安時代
  • 平安京の成立後、陰陽師は天体観測や暦作成を通じて国家運営に関わり、政治的・社会的に重要な役割を果たしました
  • 特に有名な陰陽師として安倍晴明が挙げられます。彼は天皇や貴族に仕え、呪術や占いでその信頼を得ました
中世以降
  • 鎌倉時代以降、陰陽師は武士階級にも広がり、戦国時代には軍事的な助言者としても活躍しました
  • また、民間にも「法師陰陽師」などが登場し、庶民の生活にも影響を与えました
近世から近代
  • 江戸時代には暦作成や占いが主な業務となり、「土御門家」が陰陽道宗家として全国を統括しました
  • しかし明治時代の近代化政策により、西洋式の太陽暦が採用されるとともに「陰陽師禁止令」が発令され、公的な存在としての陰陽師は消滅しました

陰陽師の役割

1. 暦作成と天体観測
  • 陰陽師は天文博士や暦博士とともに暦を作成し、それを国家や庶民に提供しました
  • 月の満ち欠けを基準とした太陰太陽暦は、日本社会で長らく使用されました
2. 占いと呪術
  • 方位や日取りの吉凶を占い、災厄を祓う儀式(祭祓)を行いました
  • また、貴族武士階級では敵対者への呪殺依頼もあったと言われています
3. 政治的助言
  • 天皇や将軍、大名など権力者に仕え、政治的な意思決定にも影響を与えました
  • 安倍晴明などはその代表例です

衰退と現代への影響

  • 明治時代以降、陰陽道は迷信とみなされ禁止されましたが、その思想や技術は占いや風水、建築設計など現代文化にも影響を与えています
  • 現在ではフィクション作品(映画、小説、アニメなど)の題材としても人気があり、「式神」や「五芒星」などの象徴が広く知られています

代表的な人物

安倍晴明
  • 平安時代中期の著名な陰陽師で、多くの伝説が残されています
  • 彼の活動は貴族社会だけでなく現代でも語り継がれています
賀茂忠行・賀茂保憲
  • 安倍晴明以前に活躍した賀茂一族もまた重要な陰陽師でした

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最終更新:2025年01月19日 02:00