イシス
概要
イシスは古代
エジプト神話において最も重要な
女神の一人であり、その役割は愛する者への献身、母性、魔法、そして再生という普遍的な
テーマに基づいています。
彼女への信仰はエジプト国内だけでなく地中海全域へ広がり、その影響力は現代にも続いています。イシスは「強き母」であると同時に、「知恵深き魔術師」として人々に希望と救済を与える存在でした。
基本情報と特徴
- 名前の由来
- 「イシス」という名前はギリシャ語読みで、エジプト語では「アセット(Aset)」と呼ばれます
- 血縁関係
- 父: 地の神ゲブ
- 母: 天の女神ヌート
- 兄弟: オシリス(夫)、セト、ネフティス
- 子供: ホルス(天空の神)
- 1. 母性と家庭の守護者
- イシスは「良き母」として知られ、息子ホルスを守り育てたことから、家庭や子供たちの守護神として崇拝されました
- 頭部に王座を象徴する冠を戴いた姿が特徴的で、王権の正当性を象徴する存在でもあります
- 2. 魔法と知恵の女神
- イシスは強力な魔術師としても知られ、死者を復活させたり、呪文や変身術に長けていました
- 特に夫オシリスを復活させたエピソードが有名です
- 3. 治癒と再生の象徴
- 病気や怪我を治す力を持ち、人々に癒しを与える存在として信仰されました
- 再生や復活を司る力は、農耕や豊穣とも結びついています
主な神話とエピソード
- 1. オシリスの復活
- イシスの夫であるオシリスは弟セトによって殺され、その遺体はバラバラにされました
- イシスは遺体を探し集め、一時的に蘇らせて息子ホルスを宿しました
- この物語は愛と献身、再生の象徴とされています。
- 2. ホルスの育成と復讐
- セトから逃れながらホルスを育てたイシスは、彼が成長して父オシリスの仇討ちを果たすよう助けました
- この過程でイシスは策略や魔術を駆使し、セトとの戦いにおいて重要な役割を果たしました
- 3. ラーから真名を得る物語
- 太陽神ラーからその「真名」を聞き出すために毒蛇を用い、その力を得たというエピソードがあります
- この話はイシスの知恵深さと魔術の強大さを示しています
信仰と影響
- 1. 古代エジプトでの崇拝
- イシスはエジプト全土で広く信仰され、とりわけナイル川沿いのフィラエ島にあるイシス神殿が有名です
- 農耕社会では彼女が豊穣や生命力の象徴として重要視されました
- 2. ギリシャ・ローマ時代への影響
- ヘレニズム時代以降、イシス信仰は地中海全域に広がり、「航海の守護者」や「天上の聖母」として崇拝されました
- ローマ帝国時代にはイシス教が隆盛し、その影響はキリスト教初期にも見られます
- 特に「ホルスに乳を与えるイシス」の像は聖母マリア像の原型とも言われます
- 3. 現代への影響
- 19世紀以降、西洋オカルトやニューエイジ思想で「女性性」や「母性」の象徴として再解釈されています
外見と象徴物
- 外見
- 美しい女性として描かれ、頭上には玉座または牛の角と太陽円盤が載っています
- 持ち物
- アンク(生命の象徴)
- パピルスの杖(魔法や知恵)
- シストルム(楽器であり儀式用具)
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最終更新:2024年12月31日 21:32