セト

セト

セト(Set)はエジプト神話に登場する複雑な性格を持つ神で、嵐、砂漠、混沌、戦争、破壊を象徴します。
一方で、太陽神ラーを守る役割も担うなど、善悪両面を持つ神として描かれています。


概要

セトの基本情報
血縁関係
  • 父: ゲブ(大地の神)
  • 母: ヌト(天空の女神)
  • 兄弟: オシリス(兄)、イシス(姉)、ネフティス(妹)
  • 妻: ネフティス
象徴
  • セト獣(正体不明の動物)、砂漠、嵐、暴風
別名
  • セテク、セウテフ、スティなど

セトの特徴と役割
1. 混沌と破壊の神
  • セトは砂漠や暴風、不毛な土地など「荒廃」を象徴し、不安定さや混乱を具現化した存在です
  • 彼はしばしば争いや破壊を引き起こす神として描かれます
:2. 太陽神ラーの守護者
  • セトは夜間に太陽神ラーの船を守り、大蛇アポピス(アペプ)と戦う役割を果たします
  • この点では強力な防衛者であり、英雄的な一面も持っています
3. 王位簒奪者としての側面

セトとオシリス神話
  • セトは兄オシリスへの嫉妬から彼を殺害します
  • 策略として、オシリスの体にぴったり合う棺を作り、それに閉じ込めてナイル川に流しました
  • その後、オシリスの遺体を14個に切り分けて散らしましたが、イシスが遺体を集めて復活させました
  • この事件はエジプト神話における善と悪、秩序と混沌の象徴的な物語です
セトの信仰と変遷
初期
  • 砂漠や異邦人の守護神として崇拝されました。キャラバンや軍隊を守る存在でもありました
新王国時代
  • ラムセス家によって再評価され、「戦争の神」として崇められました。セティ1世やラムセス2世などがセト信仰を強化しました
後期
  • エジプトが衰退するにつれて、「悪」の象徴として扱われるようになりました
  • 特に外国勢力との結びつきが強調され、「悪魔的」なイメージが定着しました

セトの象徴と外見
外見
  • セト獣(長い鼻と四角い耳を持つ正体不明の動物)の頭部を持つ姿で描かれることが多い
好物
  • レタス(古代エジプトでは精力剤や豊穣の象徴とされました)
性格と評価
  • セトは暴力的で野心的ですが、一方で勇敢で防衛的な側面もあります
  • そのため、時代や状況によって善悪どちらにも解釈される存在でした。彼は「秩序に従わない自由な存在」として、人間社会における混沌や破壊衝動そのものを象徴しています
現代文化への影響
  • セトは映画やゲームなど多くのフィクション作品で登場します
  • その複雑な性格から「反英雄」的なキャラクターとして描かれることが多く、その物語は現代でも魅力的なテーマとなっています

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最終更新:2025年01月12日 13:56