オシリス
エジプト神話におけるオシリス(Osiris)は、
冥界の王であり、死と復活、豊穣を象徴する重要な神です。
その神話は古代エジプトの宗教や文化に深く根付いており、後世にも大きな影響を与えました。
概要
オシリスは
エジプト神話において重要な位置を占める神であり、その物語は愛、犠牲、復活という普遍的な
テーマを含んでいます。
彼への信仰は古代エジプト人の日常生活や宗教観だけでなく、その後の宗教や思想にも深い影響を及ぼしました。
基本情報と特徴
- 名前と起源
- ギリシャ語では「オシリス」、エジプト語では「アサル(Asar)」や「アウサル(Ausar)」などと呼ばれます
- 大地の神ゲブと天空の女神ヌートの間に生まれた四兄弟姉妹の長男で、妹であり妻のイシス、弟[]セト]]、妹ネフティスがいます
- 象徴
- 冥界の王として、死者の裁きを司ります
- 豊穣神としても信仰され、植物や穀物の再生を象徴します
- 1. 冥界の王として
- オシリスは死後の世界を支配し、魂を裁く存在です
- 「オシリスの裁判」では、死者が生前に正しい行いをしたかどうかを天秤で計量し、その結果に応じて来世が決定されます
- 彼の裁きは公平であり、生前の倫理的行動が重要視されました
- 2. 豊穣と再生の神
- オシリスはもともと植物や穀物を神格化した存在であり、ナイル川の氾濫や土地の肥沃さと結びついています
- その死と復活は自然界の生命サイクル(枯死と再生)を象徴し、農耕社会における重要な信仰対象でした
- 3. 王権の象徴
- オシリスはエジプト最初のファラオ(王)とされ、善政によって人々から敬愛されました
- 彼は農業や法律を広め、人々に文化的な生活をもたらしたと伝えられています
主な神話とエピソード
- 1. セトによる殺害
- オシリスは弟セトに妬まれ、宴席で棺に閉じ込められて殺害されます
- その棺はナイル川に流されました
- 妻イシスが棺を見つけ出しますが、セトはさらにオシリスの遺体を14個に切り分けて散らしました
- 2. 復活と冥界への転身
- イシスは散らばった遺体を集めて復元し、魔術によって一時的に夫を蘇らせました
- この際、二人の間に息子ホルスが誕生します
- 完全復活は叶わず、オシリスは冥界へ移り、その地を支配する王となりました
- 3. ホルスによる復讐
- オシリスの息子ホルスは成長後、父の仇であるセトと戦い勝利します
- この戦いによって父子間で王権が継承されるという信仰が形成されました
外見と象徴物
- 外見
- ミイラ状に包帯で巻かれた姿で描かれることが多く、肌は新緑(生命)や大地(茶褐色)を象徴する緑色です
- 頭にはアテフ冠(上エジプト王冠)を戴きます
- 持ち物
- ヘカ杖(牧杖): 王権や統治力を象徴
- ネケク笏: 農業や豊穣との結びつきを表します
信仰と影響
:1. 古代エジプトでの信仰:
- オシリス信仰はエジプト全土で広まり、とりわけアビュドス(上エジプト)が信仰の中心地となりました
- ミイラ化の起源もオシリス神話から来ていると言われ、生者が死後も永遠に生きるためにはオシリスへの信仰が不可欠でした
- 2. 来世思想との結びつき
- オシリス信仰は「死者が正しい裁きを受ければ永遠の命を得られる」という来世思想を形成し、多くの人々に希望を与えました
- 初期には王のみがオシリスになる資格があるとされましたが、第1中間期以降、この特権は一般人にも広まりました
- 3. 他文化への影響
- ギリシャ・ローマ時代にはセラピスとして習合され、その信仰は地中海全域にも広まりました
- また、「死と復活」のモチーフはキリスト教にも影響を与えたと言われています
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最終更新:2025年01月12日 14:25