ベリアル
ベリアル(Belial)は、
ユダヤ教や
キリスト教の伝承に登場する
悪魔または
堕天使で、その名はヘブライ語で「無価値なもの」や「邪悪なもの」を意味します。
ベリアルの概要
ベリアルは元々「無価値」や「邪悪」を象徴する抽象的な概念でしたが、後世には具体的な人格を持つ
悪魔として描かれるようになりました。
その姿や役割は作品や時代によって異なるものの、人間社会への堕落や破滅を誘う存在として共通しています。
- 起源と名前の由来
- ベリアルの名前は、ヘブライ語の「ベリ・ヤアル(Beli ya‘al)」に由来し、「無価値」や「邪悪な者」を意味します
- 旧約聖書では、特定の個人を指すのではなく、「邪悪な者」や「堕落した者」という形容詞的な意味で使用されています
- 例えば、『申命記』13:13では偶像崇拝者、『士師記』19:22ではギベアの堕落した男たちを指して用いられています
- ユダヤ教におけるベリアル
- 死海文書では、ベリアルは「闇の子たち」の指導者として登場し、光と闇の戦いを描いた「光の子たちと闇の子たちの戦い」において、神が創造した敵意の天使として記されています
- 彼は邪悪と罪を広める存在であり、闇の軍勢を率いるリーダーとされています
- キリスト教におけるベリアル
- 新約聖書では、『コリントの信徒への手紙二』6章15節において、「キリストとベリアルに何の調和があるか」と記されており、ここで初めて固有名詞として登場します
- この文脈から、後世にはベリアルがサタンと同一視されたり、独立した悪魔として描かれるようになりました
- 外典『バルトロマイ福音書』では、ベリアルはかつて第一の天使であったとされ、堕天後は地獄を管理する存在となったことが語られています
- 悪魔学におけるベリアル
- ベリアルは多くのグリモワール(魔術書)に登場します。『ゴエティア』ではソロモン72柱の一柱として記され、68番目に位置する強力な王で、80軍団を率いるとされています
- 召喚者には地位や富を与える力を持つ一方、生贄なしでは真実を語らないとも言われています
- 彼はしばしば火の戦車に乗った美しい天使として描かれ、その外見とは裏腹に嘘つきで狡猾な性質を持つとされています
- 象徴と役割
- ベリアルはしばしば「傲慢」の罪を象徴する悪魔としても扱われます
- 一説には、ソドムとゴモラの堕落を引き起こした張本人ともされ、人間を破滅へ導く存在として描かれています
- また、「ベリアルの子」という表現は、邪悪な考えや行動を持つ人々を指す比喩的な言葉としても使用されました[8]。
- 文学や文化への影響
- ジョン・ミルトンの『失楽園』では、堕天使として登場し、その美貌とは裏腹に臆病で悪徳そのものと描写されています
- 現代では、多くの創作作品(ゲームやアニメなど)でキャラクター化されており、その名前や設定がしばしば引用されています
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最終更新:2025年01月11日 18:52