恋人達ことフェイ・ゼフィランサスは記憶をなくしながらも生きている。
記憶喪失とは名ばかりで思い出したとしてもいいことはない。
メリットがあるとしたら“自分”を思い出せるということだけだ。

愚者ことリスナ・シルフェスは愚者たる資格を失いながらも生きている。
彼は既に彼ではなくなっており、厳密に言えば愚者そのものではない。
ただ、彼がやったことは誇り高き愚行であると記しておこう。

他のものも生き延びた箱庭の同胞がいるらしいが、あの混乱において有耶無耶になってしまった。
観察者である“運命の環”は生きているが、同胞の確認は済んでいなかった。
空間に長けていようと、広漠な世界はとらえきれない。
上記すべてのことをレオは知る由も、知る術もなかった。
ただし、数日前フライハイト領ルトリス港にその手がかりを盛る環が着いた。
何故、彼は着たのか、との疑問は現在、彼は“隠者”がここにいるということをしり連絡を取ってみると死神もいるということがわかりフライハイトに向うことにした。
これは彼の意思であり、彼は残存している箱庭の同胞に会うことと計画した。
レオに会うことはこの最初の一歩であった。




―邂逅―



夜中なのに目を覚ましてしまったレオ。
何故か昔の記憶が夢の中に出てきたからだ。

「どうしているんだ…………ノエシス」

昔、一緒に閉じた箱庭から逃げたレオの親友の名前を呟く。
どれだけ、あの出来事で死んでいったのかレオは知らないが、自業自得だろうと思っている。


  • 月夜
改訂の意も込めて一からやり直し、色々変更もあるし、です
最終更新:2009年03月05日 17:23