概要
戦闘に至るまでの背景
両軍の戦力
戦闘経緯
同時刻、
シーザルス国軍は
ゾルド部隊を大きく後退させると、続いて
バロム部隊と交戦状態となっていた。
中央の戦いでは
ゼノスが疲弊して後退、
バルディゴスを守る様に何重にも布陣していた
ルディック国の部隊も、徐々に押し込まれれていく。更に前半の戦いで戦力を温存していた
シャリアル国軍も戦場に本格的に参加、戦は混沌の様相を示し始める。
一度は
アゾル国主
ゴル自身すら戦死を覚悟した戦いではあったが、
ロードレア国が軍師
ソフィスと共に4000の部隊で救援に駆けつける。
だが、
ロードレア国軍が動き出したこのときこそが、
カルディスの待っていた「瞬間」であった。
カルディスは、援軍要請を口実に本陣まで単身駆け戻ると、突如その牙を剥いて
バルディゴスをその場で殺害する。
この突然の出来事に本陣にいた将軍たちは狼狽するが、既に
カルディスの息のかかっていた将がその中には存在していたことから、彼等はその場で
カルディスに斬りかかる事ができず、しばらくの沈黙が流れた。
バルディゴスこそが真の皇帝と敬っていた
ガリィを代表とする少数派が、その沈黙を破るが、彼等が
カルディスにその所業を問いただすより早く、
カルディスの息のかかった将軍達によって
ガリィ達は討ち取られた。
ルディック帝国軍に一斉に撤退命令が下される。
この突然の幕引きに、連合軍は罠を警戒して、追撃をためらった為、
ルディック軍は壊滅を免れた。
戦いの結末
バルディゴスの死によって幕を閉じたルーズの戦い。その最大の功労者は、皮肉にも
ルディック国の
カルディスであった。
これが、戦場の混乱で行われた単なる暗殺なら、誰も
カルディスの言葉に耳を傾けなかっただろうが、この直後、
カルディスは、自らが
バルディゴスの野望を砕く事を願った副官
ロールソレアの弟であったこと。
ロールソレアの密書を持っていたことを宣言する。
特に、密書の件は、
ロールソレアの密書が自分にしか届かなかったことから、自分の提案として盟主の地位についていた
ボルゾックには、反論を封じる効果を見せた。
そして、
カルディスは、偽帝討伐の手柄として、辺境の地を要求した。
連合解散の混乱もあり、
ボルゾックは、この要求を厄介払いするかの様に飲み、ここに
ロー・レアルス国が建国された。
結局数万の兵士を遥か彼方から引き連れて集まった連合軍は、
カルディス一人の手柄の為に舞台を演出した形となり、怒りを抑えながらもそれぞれの領土へと帰っていく。
この戦いの後、旧
ルディック領土の城が次々と
ロー・レアルス国への鞍替えを宣言。その中には、
ルディック帝国の帝都である
ルディック城さえ含まれていた。
こうして
ロー・レアルス国は、大国となるが、この建国劇は、あまりにも迅速だったため、かなり以前から用意周到に根回しがされていたと思われる。すなわち、
カルディスにとって兄の仇をとることは己の野望を達成させるためのついでにすぎなかったのだ。
一方で、
カルディスに反発した将軍達は引き続き
ルディック国を存続させ、その国主に
テレサを置いた。
また、それまでは自称に過ぎなかった
ロードレア他が名乗っていた「国主」の地位を、
ルディック国は正式に明文化してこれを認め、皇帝の地位を廃して
ルディックも、帝国から、他国と同じ諸国の1国とすることで周囲の攻撃の矛先をひとまず避けることに成功した。
こうして、「序章」は終わりを告げた。
だが、これで平和が訪れるものではなかった。
存在していた時は形骸の扱いをされていた皇帝という地位は、失ってからその存在感を光らせる。既にここ数十年、国境を巡っての小競り合いや外交戦略が続き、互いに疑心暗鬼となっていた国主達、そして空席となった皇帝に拘り始めた諸侯達は、水面下で動き始め、まさに戦国の時代、
蜉蝣時代へ突入しようとしていた。
最終更新:2011年11月28日 16:20