比古清十郎(るろうに剣心)

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比古清十郎(るろうに剣心) - (2017/03/10 (金) 04:37:57) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2011/06/30(木) 20:47:47
更新日:2024/04/10 Wed 23:42:32
所要時間:約 15 分で読めます





今の一撃、申し分無し!







だが、惜しかったな








るろうに剣心』の登場人物。
CV:池田秀一 演:福山雅治

飛天御剣流の後継者。
「比古清十郎」の名前は奥義伝授とともに受け継がれる名前であり、本名ではない。
また読み切り版『戦国の三日月』にて同名のキャラクターが登場する。(名言はされていないが、彼が「初代」比古清十郎であると思われる)
ここでは剣心の師匠についてのみ記す。


◆人物

13代目の飛天御剣流後継者。
天保7年(1836年)10月生まれの43歳男盛り。
剣心もだが、顔と年齢が一致しない。弥彦が「飛天御剣流には不老不死の秘密でもあるのか」と疑うほどである。

剣心とは違い、身長が高くガタイも良いガチムチ(身長189cm、体重87kg)。
その為身体に負担のかかる飛天御剣流を、なんの制限もなく撃ちまくることができる。
全ての面で剣心を上回っている、本作のジョーカー(作者公認)。
あまりに強すぎる為か、戦う場面は一度しかない(剣心の修行は除く)。

その性格は剣心曰く「自信家、陰険、ぶっきらぼう、(剣心の過去を知っているという点で)斎藤より数倍たちが悪い」。
さらに人間嫌いであり、最近は陶芸家の新津覚之進として暮らしている。
また己の天才性を自画自賛するナルシストでもある。

よく酒を呑むシーンがあるが、別にアル中というわけではない。作者が男らしさにこだわった結果である。


春は夜桜
夏には
秋に満月
冬には

それで十分酒は美味い
それでも酒が不味いんなら、それは自分自身の何かが病んでいる証だ

因みに何気に原作とOVAで性格の差異が激しく、ナルシストじゃなくなっている。
何せ、心太に自己紹介した際にあれだけ夜盗をフルボッコにしておいて「剣を少々やる」と謙遜するくらい。
そして、上記の酒の場面でも剣心に「お前もいつか酒の味がわかるようになる。その時は美味い酒を酌み交わそう」と約束する。

先代の「比古清十郎」からは白外套を受け継いでいて、これを常に着ている。
これは「比古清十郎」の名と共に飛天御剣流継承者に受け継がれてきた外套で、重さ10貫(約37.5kg)の肩当と筋肉の逆さを反るバネが仕込まれている。
剣心に奥義を伝授した際に譲り渡そうとしたが、「似合わないから」という理由で拒否られた。
この時、正式に剣心を破門している。


◆能力

当然全ての技をマスターしている……はずだが、戦う場面が少ない為本編中では使用していない技も多い。
最も得意とする技は九頭龍閃。
同じ九頭龍閃でも、剣心と同時に撃ち合えばパワー・スピード共に段違いな比古の方が確実に打ち勝つ。
その一撃は刃渡り7mほどもありそうな不二の刀を刃こぼれさせ、それどころか横から串刺しにしてしまうほど。誰が打ったんだよこんな刀…。
なお、天翔龍閃は現在、如何なるメディアにおいても使っていない。
格ゲーでも態々九頭龍閃を通常版と超必版用意するくらい徹底している。

志々雄真実を「自分が出張れば済む」と一蹴。
作中ではこの2人が戦うことはなかったが、これが事実なら志々雄より強いということになる。
実際、マント付けてた手加減状態で剣心がかすり傷しか付けられなかったので充分にあり得る。
てか剣心と違って刀も普通の刀な上に不殺もしないので確実に真っ二つだろう。
縁ですら相手になるかどうか危ういのではなかろうか。

再筆版では黒いスーツを着込むサン・ジェルマンばりの紳士キャラになったが、刀が武装錬金化したばかりか、
フルパワー時には衣服が吹き飛び肌が赤く染め上がるなど、完全にヴィクター化した。


◆本編中の活躍

京都編にて、志々雄を倒す為に剣心が奥義を伝授してもらいにきた。その時に初登場。
前述のように「自分が出張れば済む」と言うが、「面倒臭い」と剣心に丸投げ。
剣心はもとよりそのつもりだったが、日本がヤバいという時にそれでいいのかオイ。
剣心に奥義・天翔龍閃を伝授した際に、飛天御剣流の伝統どおりに死にかける。
が、伝授の際に剣心が使用した逆刃刀・真打ちの目釘が緩んでいたおかげで一命を取り留める。
この後、剣心が飛天御剣流伝承者になるつもりはないと言ったので破門。
決して白外套を受け取らなかったことを怒っているわけではない。多分違う。

しかし剣心を何かと気にかけているのも事実。剣心の頼みに応じて十本刀との戦いの場に赴き、
そこで身の丈840㎝の巨人・不二と戦闘。

師匠「お前が全力を出しても倒せない男が、こうして目の前に立ってやっているんだぜ」

そして白外套を着たまま、不二を撃破。つまり本気を出すことなく不二を倒しちゃったのだ。

その後は再び陶芸家として山のふもとで暮らしている。


抜刀斎となった剣心に起こった悲劇は剣心自身の責任と突き放したものの、その事に責任を感じているのも事実で、
剣心を破門して追いだした際には、

ただ、俺がお前に飛天御剣流を教えたのはお前を不幸にするためではないことだけ、覚えておけ

と発言している。

原作でのイメージカラーはだったがアニメではに変更された。

池田秀一が演じるキャラクターとしては珍しいケースである。




◆師弟関係

邂逅は本編より19年前、比古が24歳、剣心が9歳ほどの時分となる。


山中で野盗の襲撃を受けた幼年の剣心(当時の名前は「心太」)を間一髪で救出するも、既に心太以外の同行者たちは殺されてしまっていた。
同行者たちの死体を見つめて呆然とする心太に、
「弱者が暴力の犠牲になるのは世の常、自分が助かっただけでもよしとしろ」慰めにもならない慰めの言葉を残して、
無言のまま身じろぎもしない姿を一瞥し、踵を返す。


当時は比古自身、「飛天御剣流の理に従い刀を振るっても、結局、誰ひとり救えないことなど今まで何度もあった」「だが、それもよくあること」などと述懐している通り、
これらの「ありふれた悲劇」に対してやるせないものを感じつつも、そこに自分のできることなどほとんどないという諦念があったと思われる。


その後、やはり心太の動向が気になったらしく、1週間も放置したあげく愛飲の酒を買いに行ったついでに心太の動向を聞きこんだが、
心太が現場を離れていないことを知って、「世を儚んでその場で自殺したか」と推測する。

自分に出来るのは、せめて犠牲者の墓を作るくらいと再び現場を訪れるが、そこで見たものは心太と、心太の立てた多数の墓標であった。


「野盗の墓まで作ったのか」と問いかける比古に対し、心太は「死ねば誰もただの骸だから」と答える。
同行者であり犠牲となった3人の少女に対しても、「男は俺1人だったし、命を捨ててでも守らなきゃと思ったんだ」と呟く心太を見て、比古は1つの決心をする。



「坊主、名は?」


「心太…」


「優しすぎて剣客にはそぐわないな。お前は今日から『剣心』と名乗れ」


「お前には俺の、飛天御剣流(とっておき)をくれてやる」






かようにドライな言動を取りつつも、内心はかなり情に厚い比古であるが、
剣心との師弟関係については、ある種の親馬鹿といっていいレベルにある。


  1. 師の教えに背いて勝手に出てった弟子に奥義伝授してくれる
  2. 何だかんだで出てった弟子が何してたのか気になって周りの人間に訊く
  3. 剣心が大勢に慕われてるのを見て満更でもない顔をする
  4. 腕が鈍った弟子の再修業に1週間も付きあってくれる
  5. まっすぐな瞳をした弟子をいじめるのが趣味見て満足そう
  6. ほんのちょっと掠っただけでも一撃入れたことにしてくれる
  7. 「自分を犠牲にするな」「ちゃんと幸せになれ」とずーーーっと言い続けている
  8. 奥義伝授の前夜は弟子が答えを見つけられるか心配で一睡もできない
  9. 自らの死も覚悟で弟子に奥義を伝授するつもりだった
  10. 奥義は貰うけど流派は継がないとのたまう弟子の更なるお願いを聞いてあげる
  11. 「お前を不幸にするために飛天御剣流を教えたわけじゃない」とか言っちゃう


甘すぎ。


特に7番、剣心の「自分の命を捨ててでも誰かを守る」という傾向については、剣心との初対面時から比古が危惧していたであろうことでもあり、
作中においても様々なかたちで言及している。


「お前独りが全てを背負って犠牲になるくらいで守れるほど、明治という時代は軽くない」

「同様に人ひとりの幸福も軽くない。お前がここで犠牲になれば、ただお前に会いたいという気持ちひとつで京都に来た娘が、確実に不幸になる」

「どんなに強くなろうと、お前は一介の人間。仏や修羅になる必要はないんだ」
その次のコマの比古さん修羅の形相ですけどね



「しかし、それでも…命を捨ててでも、俺はここで奥義を会得しなくてはならない」

「やはりお前はバカ弟子だ。結局のところ、何も分かっちゃいねェときた」



「人を斬り、数多の命を奪ったお前はその悔恨と罪悪感のあまり、自分の命をすぐ軽く考えようとする」

「自分もまた1人の人間の命だという事実に目を伏せて」



「愛しい者や弱い者を仏の慈愛をもって、己を犠牲にして守ったところで、
その者たちの中には悲しみが残り、本当の意味で幸福は訪れない」

「時代の危難を修羅の激情を持って、命を捨てて鎮めたところで、
それは所詮、連綿と続く時代の一時だけのことにすぎない」

「生きようとする意志は何よりも強い…それを決して忘れるな」



「ただ、俺がお前に飛天御剣流を教えたのは、お前を不幸にするためではないことだけ、覚えておけ」


「修羅」「仏」、そしてそれに対置される「人間」という単語は、
京都編におけるキーワードとなっている(仏教用語とは別のものとして)。
例えば志々雄真実、四乃森蒼紫、そして人斬り抜刀斎は「修羅」であり、心太と剣心は「仏」に当たるだろう。


ここで言う修羅とは「1つのために他の全てを切り捨てる者」のことであり、
上述の3人はいずれも自らにとって切り捨てがたいものさえ切り捨てている。
一方、仏とは「自らの全てを差し出して他者のために尽くす者」と言えるだろうが、心太と流浪人の剣心の性根は、これに近い。


他の全てを犠牲にして、あるいは自らの全てを犠牲にして、そこまでの覚悟を持ってこそ拓ける道もある、得られるものもあるということだが、
比古自身はそれを否定する。
比古が剣心に幾度となく伝えようとするのは、「修羅」でも「仏」でもなく、あくまで「人間」として生きろということである。



「人間」という単語は、個人が「人」「間」に位置することから作られたとする説がある。


剣心が自らを犠牲にする覚悟で奥義の会得に臨んだ際、生死の境において脳裏を掠めたのは、これまでに剣心が出会ってきた様々な「人」であった。
それら「人」「間」にある己を悟ったとき、剣心の心性が「死んでも」から「死ねない」へと変化し、結果的に奥義の会得に至るわけである。


この比古の奥義伝授の瞬間をもって、剣心は「修羅」としての人斬り抜刀斎、「仏」としての流浪人剣心とは別の、
「人間」としての緋村剣心という道を歩み始めたと言うことができる……かもしれない。


いろいろ不安定な弟子が少しは安定してくれて、師匠としては一安心であろう。
そのあと一気に大迷走した挙句一度廃人化するけど


◆実写版

2014年8月1日公開の実写版『るろうに剣心 京都大火編』にてラストシーンにてサプライズ登場。
この時は事前情報は完全に伏せられており、見に来た人の度肝を抜いた。
(正確には福山氏のラジオ番組に剣心役の佐藤健氏がゲスト出演した際にオファーしているのだが、
その時はまだ誰もが冗談半分の話と聞き流していたが…後に現実となってしまった)


そして2014年9月13日公開の『るろうに剣心 伝説の最期編』にて、福山雅治が演じることが正式に発表された。
福山氏は時代劇はかつて大河ドラマ『龍馬伝』に於いて坂本龍馬を演じていたものの殺陣は初挑戦とのことであったが、
それを全く感じさせない迫力ある体当たりのアクションを演じ、渋みのある比古像を見事に演じてみせた。

ただ役作りには大変苦労したようで、まず剣心の師匠という事で原作でも見せる圧倒的強さを表現しなくてはいけない。
そしてそんな心構えすら吹き飛ぶ過酷なアクションシーンに経験したことのない関節の痛みに襲われたらしい。
またミュージシャンとしての仕事も同時進行しており、ロケ地のアフリカでひたすら殺陣の練習をしていたとか。

なお、原作版の赤、アニメ版の青の衣装の両方を着ており、スタッフのこだわりを感じさせてくれる。


◆余談

彼の誕生年はあの坂本龍馬と同じ。つまり坂本龍馬と同い年である。
上記の実写劇場版で福山雅治が比古役に抜擢されたのはもしかして……。

『新SD戦国伝 天星七人衆』で彼そっくり…と言うより見た目がまんまな武者ガンダム・剣聖頑駄無が登場する。
流石に外套(天紡の外套)にバネは仕込まれていないが。
こちらの立ち位置も親を亡くした主人公(とその兄)の育ての親兼師匠であり、七星天剣流の後継者だったりする。
ちなみにその彼の弟子は拉致された兄を救うための旅に出る日に師匠から新しい名前(零壱→武者頑駄無零壱)を名乗るように言われている。
時期と理由は違えども弟子に新しい名を与える所もまんまである(もっとも、武者頑駄無を名乗らせるのは流派の認可みたいなものだが)。
必殺技も突きのない九頭龍閃だし。
ちゃんと酒も飲む。あの顔で何処から飲むの?なんて思ってはいけない

当時コミックボンボンで漫画が連載されていたほぼ同時期にアニメ版『るろうに剣心』が放送されていたのもあって、
「比古まんまじゃねーか」と思った読者は多いはず。
しかし性格は比古とは真逆であり、かなりの人格者。途中から主人公の旅に同行し、本気を出すと鎧を着込む。

が、剣聖が再登場した回に志士皇(シシオウ)頑駄無と見た目どころか名前がどストレートな敵が現れてしまった。

ちなみに比古の声優・池田秀一氏は武者頑駄無シリーズではニンジャ忍者の隠密頑駄無を演じていた。
こちらはるろ剣前の作品なので比古成分は一切なく、比古やシャア、シャンクスを知っている人は唖然とするレベルのギャグキャラだった。










お前には俺の追記修正をくれてやる。








   ヘ   ヘ
  ((/TT\))
   >_∠ニニ<
  ∠シ=・ェ・)>
  と丶ニ@フつ
  ⊂__⊃
 /⌒




『師匠…今何か』

『あぁ、俺の下僕だ問題ない』

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