明神弥彦

登録日:2011/06/30 Thu 18:57:04
更新日:2021/06/27 Sun 23:20:23
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畜生…強くなりてぇ…



明神(みょうじん)弥彦(やひこ)

るろうに剣心』の登場人物。
CV:冨永みーな(CDブックでは高山みなみ) 
演:田中偉登(第1作)→大八木凱斗(京都大火編 / 伝説の最期編)→大西利空(最終章 The Final)

東京府士族の少年。かなり初期から登場し、一部彼を主役に据えたエピソードも存在する。
初登場時は股間に噛み付く程度しか戦う力を持たなかったが*1、全編通して徐々に強くなっていく成長型のキャラクター。
そういう意味では、緋村剣心よりも少年漫画の主人公らしいと言えるかもしれない。

1868年8月生まれ。年齢は初登場時、数え11歳(満9歳)。
30石2人扶持の下級武士だった父は彰義隊に加わって戦死(彰義隊の壊滅時期を考慮すると、弥彦が生まれる前に亡くなっていた可能性もある)。
母は彼を育てる為に遊郭で働き病死。明治維新の混乱によって孤児となった。
その後ヤクザに拾われ、スリをやらされる等こき使われていたが、ある日剣心の財布をスって逆に財布を差し出されてしまった事に対し、捨てきれぬ士族の誇りで財布を突き返し啖呵を切り、その気概を評された事でスリから手を切る事を決意。兄貴分たちに決別を宣言するも当然許される筈もなく制裁を受けそうになっていたところを剣心に救われる。

強くなりたいと願って剣心に飛天御剣流を教えてもらおうとするも、「飛天御剣流を後世に伝える気は無い」と考えている剣心はそれを拒否。
そして「飛天御剣流は教えられないけど、その代わりに」という計らいにより、神谷薫の道場を紹介されて門下生として神谷活心流を習うことに。
不本意だったこともあって初めは薫を認めず稽古をサボるなど反発しまくっていたが、薫の元門下生が撒いた騒動で師範代としての矜持を見せる彼女の姿に考えを改め真面目に稽古を受けるようになり、以後、着々と心身ともに強くなっていく。

高荷恵を助ける為に観柳邸に乗り込む際も同行。
護衛兵から銃をスる以外には大した活躍はしてないが、剣心が四乃森蒼紫の攻撃の前に倒れた時は、物怖じせずに蒼紫に啖呵を切った。
この時点で蒼紫も弥彦を「殺すのは惜しい」とその気迫を認めている。
アニメ版では追加で着いてきた薫と共に小性隊を倒している。


東京編では、憧れの剣心が持っている逆刃刀を買う為に密かにバイトしていたことが発覚。
そこで三条燕と出会い、かつて彼女の一家が仕えていた旗本の連中に脅されていた彼女を助ける為に剣心や相楽左之助に頼らず自分一人の力だけで戦い、(途中剣心と左之助の手助けがあったとはいえ)リーダーの幹推を一騎打ちの末撃破する。
因みに燕が登場した理由は、作者曰く「少年が戦う理由は少女のため」だからだそう。

また、石動雷十太の付き人だった塚山由太郎とはライバル関係になる。


京都編では、剣心との別れで凹んでいた薫に活を入れる。恵の叱咤で薫が立ち直った後は、2人で剣心を追いかけて京都へ。
志々雄真実一派との戦いでは、アジトへは行かずに京都の町で十本刀の一人・刈羽蝙也と1人で対決。
爆弾による爆風で空を飛び、攻撃の届かない上空から爆弾を投下する戦法をとる蝙也に苦戦する。
だが咄嗟の機転で近くにあった庄子を用い、蝙也の起こした爆風と組み合わせて利用することで蝙也より高く跳び、
“見様見真似・龍槌閃”によって爆風で飛ぶために蝙也が極端にひょろかったことと相まって竹刀で見事撃破する。

その後エヴァ……もとい巨神兵……でもない、十本刀の不二の文字通り圧倒的巨体を前にして仲間達が戦意を喪失する中、
ただ1人剣心の帰還を信じ抜き、諦めずに立ち向かおうとする。
そこへ師匠こと比古清十郎が駆け付けるのだが、

師匠「いいぜ小僧、よくぞ吠えた。この勝負、最後まで俺のバカ弟子を信じぬいたお前の勝ちだ!」

この掛け合いは作中屈指の胸熱シーン。

しかし京都編エピローグでは、志々雄が倒れ「勝ったのは自分達、だから自分達が正しい」と思っていたところを、
剣心に「勝った方が正しいというのなら、それは志々雄の方が正しいということ」と指摘され、自分は何も分かっていなかったことを思い知る。
(「弱肉強食」「暴力による支配」が志々雄の思想であり、また、志々雄の最期は殆ど勝ち逃げにも等しいようなものでもあった)
なお薫曰くこの時点で、(10歳の少年としては)恐らく日本一の強さを持っている、とのこと*2


人誅編では、六人の同志による最初の襲撃の際、剣心についていこうとしたところを「来るな!」と制される。

剣心としてはこれ以上大切な人を傷つけたくなかったからであろうが、弥彦はこれを「自分はまだ剣心にとっては守るべき存在でしかなく、左之助のように対等に肩を並べられる存在ではない」と受け取り、
このことをきっかけに神谷活心流奥義を会得することを決意。
一度は断られたが、「自分だけ弱いのはもう嫌だ」という弥彦の意を汲む形で奥義を伝授させた。
当初は自分だけ弱いのは嫌という動機であったが、修行の中でその程度の志では剣心達の域には到底行きつけないと悟り、「本当の意味で強くなりたい」という確固たる目標を抱く。

神谷道場での戦闘の際は、剣心からは「最悪の場合に限り攻めに転じる事を許す」という異例の指示を受け躍起し、六人の同志の一人である乙和瓢湖と対決。
奥の手の暗器により重傷を負わされるも、さり気なく剣心の龍翔閃をコピーしつつ撃破する。
(後に龍翔閃もどきを撃つシーンがあるのだが、弥彦が龍翔閃を見る機会があったのは剣心が外印と戦っているこの時だけ)
その後薫が殺害され、剣心が壊れてしまった際は一度は心が折れかけるも、巻町操の叱咤によってすぐに復活。
左之助にまで見放された剣心を、「必ず復活するはず」と信じ続けた。

警察署を脱走した鯨波兵庫が連射型改造擲弾射出装置(カスタムグレネードランチャー)を装備して暴れだした際は、1人で食い止めようと応戦する。
この時、「達人クラスになった剣客だけが放つことができる」と言われる“剣気”を放つ。
鯨波との直接対決では圧倒的体力差の前に押され気味だったが、「答え」を見つけて復活した剣心の助力もあり、辛くも退ける。
そして鯨波に武士の誇りを思い出させ、負けを認めさせて勝利した。

浜辺での戦闘では玄武と対決。腹に痛打をくらい、さらに地面に叩きつけられるが、
「助けた薫の第一声が『あんた情けない』だと格好がつかない」
と根性で立ち上がる。そして神谷活心流奥義・刃止めに見事応用をきかせ、玄武を撃ち破った。

念の為確認しておくが、この時点までで、弥彦は10歳神谷活心流に入門して半年程度
中学校の剣道部であれば、基礎体力作り、木刀による型作りが終わり、ようやく防具を付けさせてもらえる段階である。
小学校低学年くらいからみっちり剣道を学んでいたとしても到底弥彦の域には追い付けまい。
公式プロフィールは128cm28kg。明治初期の10歳の発育としては妥当なところだが、現代の基準で考えれば2歳下の8歳(小学2年生)の平均身長体重に等しい。
半年ちょっと稽古した小学2年生が、戦闘に長けたプロを何人も倒している。いくらなんでも強すぎだろ……
因みに剣心や薫以外にも、左之助や斎藤一、蒼紫、操、比古も弥彦に期待している、あるいは一目おいている描写がある。
まあ、上述の作中描写に従えば、剣の才能・覚えの速さは余人を遥かに凌いでいるので、名だたる剣豪ですら認めて当然なのかもしれない。


人誅編後のエピローグでは成長した姿で登場。
ベースは弥彦、背丈は剣心、雰囲気は左之助といった感じに成長した(背中に小さな惡一文字がある)。
白羽取り千本制覇し、自称日本二の剣客になった。
そして尊敬していた剣心との一騎打ちを果たし、惜しくも敗れる。この時、元服の祝いとして逆刃刀を譲り受けた…が『北海道編』では剣心に返却する事に。

因みにこのエピローグでは、さりげなく弥彦が神谷活心流の師範代になっていること、
暴れている鯨波を止める際に協力した新市小三郎と左之助の弟・東谷央太が入門し、由太郎が帰国して弥彦と共に師範代になっていることが描かれている。


その『北海道編』では、門弟が増えて忙しくなった神谷道場の実質的な大黒柱となっている様子。
相変わらず仕事をしてない剣心や金勘定が不得手な薫にチクチク小言を言うことも…

剣心達は薫の父親を探して北海道に向かう事になったのだが、思うところがあったらしく彼らに同行せず神谷道場を預かっている。
あと、燕に「一緒に暮らそうか」と事実上のプロポーズをした。

その後は激化しつつある剣客兵器との戦いにおける戦力候補として度々言及されるも、道場運営も大事という理由で参戦要請は見送られている。
弥彦本人も手紙で北海道の状況は把握しているが、呼び出しがあるまでは道場を離れるつもりはない模様。



燕との間に子供を授かることも判明しており、その姿が描かれることはなかったが原作者のコラムによるとひねくれた剣路と違って、出来た息子のようである。
名前は「心弥」(恐らく剣心の「心」+弥彦の「弥」であろう)。


さすがにいくらジャンプ漫画の住人とはいえ強さが年齢・経験と釣り合っていなさすぎるという批判があったせいか、キネマ版を初めとする近年のリメイク作品では弱体化補正がかかっており、比較的年齢相応の常識的な腕前に落ち着いている。
そもそもエピローグまで神谷活心流に入門していない。
ちなみに『キネマ版』では燕とは幼馴染という設定になり、赤べこで働くのも燕の実家の借金返済に影ながら(燕はその事を知らない)協力するためである(あと剣術を指導している薫への月謝)。

京都編の序幕では斎藤一から左之助共々「お前等は抜刀斎の弱点にしかならない」と吐き捨てられるレベルであったが、
『北海道編』では現状僅かな戦闘シーンながらさらに実力を上げた姿を見せており、当の斎藤からも剣客兵器に対抗し得る戦力としてカウントされていたりするので、リメイク作品で弱体化した分の面目躍如といったところ。

キネマ版の解説によると元々は「少年漫画なのに30近くのおっさんが主人公で大丈夫か?」という疑念から、メイン読者層たる少年たちが共感できるような、少年視点のキャラクターが必要だろうという意図から生み出された。
要するに名探偵コナンの少年探偵団的な役割を担うべくして作り上げたようだ。
しかしながら上記の通り「年齢の割にあまりにも強すぎる」という批判が多かったためか
「少年誌と言ってもジャンプのメイン読者層は弥彦より上の中学~高校生が殆ど。その中でも自分の作品の読者の年齢層は高めに寄った方なので『共感できるような少年視点のキャラクター』という意図はあまり機能しなかった」と振り返っている。



■技
神谷活心流には色々技があるらしいのだが、弥彦がそれを使っている描写は殆どない(薫が使っているシーンはある)。

  • 見様見真似(みようみまね)・龍槌閃
  • 龍翔閃 (もどき)
剣心の飛天御剣流を見様見真似で摸した技。当然本家には劣るが、わりと完成度は高い。
RPG『十勇士陰謀編』では龍巻閃もコピーしている。

  • 片手面
神谷活心流初作。その名の通り片手で面を打ち込む。
神谷活心流の秘伝書を盗み読んで刃止めをマスターした(つもりの)阿爛に刃止めが決まるよりも先に叩き込んだ。

  • 奥義の防り・刃止め
神谷活心流奥義。手を交差し、相手の剣撃を手の甲で白刃取りする技。
通常「白羽取り」と聞いてイメージされるのは手のひらで挟んで取る方法だが、それだと武器を持っている時はできないため、攻と防を一体にすることができない。
徒手空拳の流派ならともかく、剣術である以上は剣との併用ができなければ意味がない。
それを「手の甲側で挟んで取る」という方法で解決した技が「奥義の防り・刃止め」である。

根本的に白羽取りという技自体が超高速の動作を要求される技であり、刃止めもその例に漏れない。
弥彦は刃止めを教えられる前段階として頭上で交差させた腕を下に振り下ろす型(ちょうど空手の「押忍」のような動作)をひたすらやらされていたが、
そのかいあって弥彦のこの動作は敵の斬撃を受け止められるだけの速度を得ている。
特に北海道編にて剣心の現在の実力と体調を図るべく対決した際には九頭龍閃を受け止めようとして押し切られたものの、九頭龍閃の神速の九連撃の内、伍の撃までは受け止めて見せた
剣心の言う通り、ここまで受け止められるだけでも大したものだろう。というか、弥彦の刃止めも神速の域に入っていることになる

また、弥彦が当初練習していた型はあくまでまっすぐ上段から振り下ろされる攻撃に対する基本の型であり、実戦では当然ながら他の角度からも攻撃が来得る。
実戦でこの技を使うには高度な先読みの経験・技術も要求され、相手の攻撃が来る角度を見誤らない事が要求される。

玄武戦では相手の棍の突きに対して竹刀の柄尻を一点で突き合わせて止めるという変則的な応用を見せた。
刃止めに至る速度もさることながら、柄尻を合わせるピンポイントの精度も必要な、高度な応用である。
刃止めされて押し合っている限り玄武側からは打つ手が無いが、弥彦側は隙を見て力点をずらし刃渡りに移行でき、
かと言って押し合いを中断するために棍を引けばそれ自体が隙となりこれまた刃渡りが入る…と、防りの技で玄武を詰み状態に追いやった。

  • 奥義の攻め・刃渡り
神谷活心流奥義。刃止めで受け止めた武器を制しつつ、そのまま間合いを詰めて攻撃に転ずるカウンター技。
少年漫画の奥義にしては地味な気もするが、実際出来るならばかなり強力。

  • 奥義の極・刃断
神谷活心流奥義。素手で相手の武器を受け止めて、もう片方の拳で叩き割る。
最早剣術でも何でもないが、白刃取りを極めた弥彦だからこそ出来る技であろう。
本編終了後の読み切りで使用した。この技では普通に手を怪我している。

  • 末代祟り
神谷活心流の禁じ手。所謂金的蹴りである。
余談だが、弥彦は何かと金的とゆかりが多い。

  • スリ
ヤクザの舎弟として働いていた時に身に着いたスリ技。
本人としては忌まわしい過去なのだが、敵の武器をかすめ取るのに便利なため、不本意ながら重宝している。

なお、弥彦の得物は竹刀である。御庭番衆戦では木刀を持っているのだが、この時は戦っておらず、実戦に参加するのは第五巻の番外編から。
以降は木刀ではなく竹刀だけで戦っている。
竹刀とは、殺傷力を抑えるために作られた稽古用の刀なのだが、これでチンピラヤクザからテロリスト、上海裏社会の達人まで沈めている。
真の達人は武器を選ばないということだろうか…
竹刀の一撃で人を失神させる弥彦が木刀を持ったら…ましてや本編終了後の逆刃刀を持ったら…想像するだに恐ろしい。
ただ、後の「北海道編」において、弥彦にとって逆刃刀は竹刀の使い方が流用出来ない非常に使いづらい得物であることが判明した。
言われてみれば、弥彦の時代で逆刃刀を振るう機会は剣心に比べて圧倒的に少ないだろうし、使いづらさを感じても無理もないかもしれない。
剣心に逆刃刀を返却してからは「竹刀で強くなったのだから、竹刀を使う事を選ぶ」とも「竹刀」という存在に愛着がある発言もしており、今後も木刀に持ち替える気はない模様。
弥彦はあくまでも「動乱の時代」の非情の人斬りではない。
「人を斬らない平和な新時代」の新しい、活人の剣士なのだ。


実写版では田中偉登(第1作)→大八木凱斗(京都大火編 / 伝説の最期編)→大西利空(最終章 The Final)が担当。
成長による事情でキャスト変更されているものの、いずれも原作の雰囲気に合っており、なかなかの好評である。
なお、剣心達に会う前の経歴はカットされており、神谷道場に来ている少年という設定になっている。



ちょっと待て!おまえ、俺に項目の追記・修正習えっていうのか!!
しかもこの(冥ω殿)に!

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最終更新:2021年06月27日 23:20

*1 CDブックでは蹴っている。

*2 彼の周囲の実力者の同時期の状態と比べると、剣心は飛天御剣流の修行を始めたばかりで左之助も恐らく鍛えはじめたばかり、御庭番衆きっての天才である蒼紫もまだそれ程実戦の経験は積んでいないと思われる。