戦国時代(日本)

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戦国時代(日本) - (2023/10/05 (木) 15:53:56) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2009/10/25 Sun 11:18:10
更新日:2024/04/03 Wed 06:11:30
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戦国時代。それは、平和と戦乱、日常と非日常が同居した時代。

一般に群雄が日本の統一を目指していた時代…と認識される事が多いが、そもそも日本史の年表区分には「戦国時代」は存在しない。
(cf.1336~1573:室町時代、1573~1603:安土桃山時代、1603~1867:江戸時代))
一般には1467年(応仁の乱)~1615年(大坂の陣)までとされるが、1493年の明応の政変や、1441年の嘉吉の変などを起点とする説や、
1590年の小田原征伐または1591年の九戸政実の乱の鎮圧を終点とする説もある。
名前は中国の春秋戦国時代から。

戦国時代の大名でも抜群の知名度を誇る織田信長が「天下布武」を掲げ、天下統一を目指したとされることから、
この時代の大名は信長に限らず、誰もかれもが天下統一及び京都上洛を目指していたものだと勘違いされることが多いが、
実際にはそれらを目指していた大名はほとんどおらず、大半の大名は自らの領地を守り、増やすことに注力していた。
そもそも、この時代の『天下』という言葉は「天皇のお膝元」、つまりは近畿一帯を指しており、『天下人』も畿内を統一した者というくらいの意味合いであるため、
この勘違いが生じる要因となった信長も、現代人がイメージするところの「天下統一」は目指していなかったと考えられる。

また、誰も彼もが自らの領地を増やすことに躍起になっていたかと言えばそうでもなく、毛利氏や後北条氏のように一つの地方の制圧を到達目標としたり、
三好氏や細川氏のように、室町幕府の足利将軍の補佐という立場で権力を握って活動したりと、広い視点で行動していた戦国大名もいた。
信長も三好氏らのように上洛して畿内を統一し、自らが将軍の地位に就けた足利義昭を補佐するという立場で軍権を握ったが、
やがて義昭とは関係が悪化した末に対立し、最終的に彼を京都から追放する形で室町幕府を滅ぼし、信長自身で天下を差配することになった。

信長はその後、かの有名な「本能寺の変」によって部下の明智光秀に謀反を起こされて志半ばでこの世を去るが、
彼に代わって権力を握った豊臣秀吉が天下の領域を日本全域に広げる…即ち日本統一を達成したことにより、戦国時代は終焉を迎える。
そして、秀吉の死後に権力を握った徳川家康が江戸幕府を興し、全国支配の基盤を整えたことによって、時代は江戸時代へと突入していくこととなる…。


よく誤解されているが、『武士>百姓(農民)』という構図もこの時代には存在しない。
大名や直臣などの上級武士はともかく、足軽などの下級武士は鎌倉時代から変わらず『半農半士』であり、
戦争がない時は自分たちも百姓と同じく、手に鍬や鋤を持って農業に勤しんでいた。
領主もそのことを理解しているため、春や秋といった農繁期には出兵を控え、農業に専念させようとしていた。
彼らにそっぽを向かれれば領国経営は立ち行かなくなるため、必然的に政治も百姓たちに配慮したものにならざるを得なかったという一面もある。
武士道も義理人情というより、遥かに現実的な「弱肉強食」思想だった。

また、この時代は農民に限らず武士以外の身分の人たちも相当逞しく生きており、合戦が起きると弁当持参で見物に赴き、
決着が付くとその辺の野原に晒されたままの死体から、金目のものは釘一本残らないと評されたほど遠慮なく回収していたという。
特に当時流通し始めた「鉄砲」は金になるだけでなく簡単に扱えることから大人気だったとか。

敗残兵を狙った「落ち武者狩り」も頻発しており、上述の「本能寺の変」の後、秀吉に敗北して落ち延びた光秀がこれに遭って死亡したと伝わる他、
身包み剥いだ上で首を取って兜を被せ、いかにも名がある武将の首といった風情に仕立てて勝者側に褒賞をもらいに行った例もあるとか。
このため、首級の数を数えると共に首の身元を明らかにする首実検というものも行われている。


ちなみにこの時代、場合によっては大名よりも権力を持つ存在がいた。西山本願寺などの寺社勢力である。
特に一向宗の宗徒が行った「一向一揆」は国を問わず頻発し、信長や家康といった有名な大名たちもかなり悩まされていた。
まあ武士の側も寺社領を「横領」することが日常茶飯事だったので(明智光秀もこれをやって信長に咎められている)、どっちがどうという話ではないのだが。

なお、信長は「比叡山焼き討ち」を始め、一揆や寺社勢力には容赦しなかったといわれている……のだが、
ぶっちゃけて言うと、比叡山やら大和の寺が焼けるなど信長がやる以前も何度もあったことであり、
単に「比叡山の焼き討ち」が有名故に信長が槍玉に挙げられやすいだけで、似たような所業を行った大名は他にもいる。
信長は先述のように横領を咎める立場であり(むしろ足利義昭は自分の部下が横領をすることを認めていた)、
人一倍寺社勢力に厳しいどころか、あの時代にしては寺社に気を使っている方である。


そして何より、戦国時代最大の要素と言えば『下剋上』である。

実のところ、名のある大名たちも室町幕府から役目を与えられた正式な「大名(守護大名)」は上杉謙信などのごく一部だけで、
たいていの大名は元々の守護大名を実力で排除するなどして自ら権力を握った「戦国大名」であり、
上の者を排除して下の者がその座に収まる『下剋上』が当たり前のように行われるのは、ある意味当然ではあった。

元々は別に武士の家の生まれというわけでもない、素性不明の身から戦国大名にのし上がった斎藤道三*1や天下統一を果たした豊臣秀吉、
地方の小豪族から中国地方の覇者となった毛利氏や、かつて家臣として仕えた主家を乗っ取った鍋島氏など、
彼らの人生・生きざまそのものが下手な小説よりよっぽど面白い『大逆転』を果たした人物や一族は多い。

守護大名という身分さえも、血縁のある同族で奪い合ったり身の保証と引き換えに譲ったりすることさえあった。
先程例に挙げた上杉謙信も、上杉の名跡を譲られて守護大名となっている。
そういう意味では、『下剋上』こそが戦国時代が後世の人々を引き付けてやまない要因の一つと言えるかもしれない。


その独特の時代背景から革命の幕末動乱期と同様、様々なメディアで取り上げられる事が多いが、少年誌ではコケやすいというジンクスがある。
歴史の予備知識がある程度ないと楽しめないからというのが主な原因かもしれない。

なお、戦国時代を舞台にした作品は数あれども、1467年の応仁の乱勃発から16世紀中ごろまでの戦国時代前半を舞台にした作品は極めて少なく、
ほとんどが、織田信長・豊臣秀吉・徳川家康の戦国三英傑らが活躍した16世紀後半以降を扱っている。*2
まあ、戦国時代の前半は有名な人物も伊勢宗瑞=北条早雲、足利義政と日野富子、太田道灌、大内義隆、細川勝元・政元あたりに限られるし、
有名な事件も応仁の乱・寧波の乱・山城国一揆・関東の合戦くらいではあるが、
有力大名同士が中国大陸で激突するわ、農民一揆が大名を自刃に追い込むわで、カオスさでは後半期以上だったりする。



◆戦国時代を舞台とした小説の作家
池宮彰一郎
加藤廣
司馬遼太郎
城山三郎
高橋和島
童門冬二
永井路子
火坂雅志
隆慶一郎

◆漫画
犬夜叉
桶狭間戦記
仮面の忍者赤影
黒田・三十六計
センゴク
センゴク天正記
天正やおよろず
殿といっしょ
信長のシェフ
信長の忍び
花の慶次~雲のかなたに~
へうげもの
夢幻の如く
MISTERジパング


◆ゲーム
桜花センゴク
鬼武者
戦国大戦
戦極姫
戦国無双
戦国BASARA
戦国ランス
戦国✟恋姫
太閤立志伝
天下統一
仁王
信長の野望


◆ソーシャルゲーム
戦国コレクション


その自由度の高さから厨二的なキャラが活躍したり、史実と異なるif設定の架空戦記が書かれたり、武将がみんな女の子になったり、
自衛隊や長嶋巨人軍や宇宙刑事シャリバンがタイムスリップして来たり更にはモビルスーツが出撃したりする事も。


なお、武士の間では衆道、平たく言うと「アッー!」なことが武士の嗜みとされるほどに流行った時代*3であり、
戦国大名は『小姓』と呼ばれる自らの補佐役に自分好みの美少年を選抜し、衆道の相手から何から身の回りの世話をさせていた。
これは小姓となる少年側も承知の上であり、「主人のナニに合わせて肛門を広げておく」だの「放屁の原因となるイモ類はなるべく食べない」だのといった心得もあったという。
見込みのある少年を小姓として自らの傍に置き、教育するという意味合いもあり、小姓出身の有名な戦国大名・武将はかなり多い。
ともあれ、そういった背景もあり、その手の人々の人気も高い。

一方女性の立場はそれほど高くはないが、鉄砲で武装したり、貞操を守るために脇差を仕込んでいたり、逞しさに関しては男性にも決して負けていなかった。
夫の出征中に不埒な目的も込みで自らを呼び寄せたと思われる秀吉を完全武装で出迎え、彼を怯えさせたという「立花誾千代」や、
大河ドラマにもなった女性大名(と伝わる)「井伊直虎」や、今川家を支えた女傑とされる「寿桂尼」等、後世に名を残した女性も多くいる。


◆現代
弱肉強食・下剋上のイメージから、特定の産業界におけるシェア争いや倒産・再編といった大規模な変化が予想されるときに「〇〇戦国時代」といった表現がしばしば見られる。

追記・修正は、全国を平定し、天下人になってからお願いします。


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