全て遠き理想郷

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全て遠き理想郷 - (2017/04/25 (火) 23:05:33) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2009/08/16(日) 19:11:32
更新日:2023/04/05 Wed 20:17:29
所要時間:約 9 分で読めます





アヴァロン
全て遠き理想郷


Fate/stay nightFate/ZEROに登場する宝具

ランク:EX
種別:結界宝具
防御対象:1人

アーサー王伝説における常春の土地、妖精郷の名を冠した『約束された勝利の剣』の鞘。
セイバー(Fate)の手から失われた宝具。

【Fate/stay night】
Fateルート以外では失われたままだが、Fateルートでは最大の切り札としてギルガメッシュとの闘いに使用される。

能力は二つ。持ち主の老化を停滞させ、あらゆる傷を癒し、呪いを跳ね除ける効果と真名開放を行う事で数百のパーツに分解され、所有者を守る絶対防御能力。

前者は鞘を埋め込めば致命傷レベルの傷を受けても回復できる程である。
衛宮士郎の謎の治癒能力の正体。
但し、セイバーの魔力が無ければ十全な効果を発揮する事は出来ず、持ち主のセイバーが手にしている時でも
サーヴァントの宝具のような強力な概念武装で受けた致命傷レベルの傷ともなると、即座に回復する程の効力は無い。
それでも多少間をおけば死んでいない限りは概ね完治させられる強力な回復能力である。

セイバーの魔力が無いと宝具としての効果はほぼ機能しないため、セイバーがこの世から消滅すると力を失うが、
他人の魔力でも微弱な治癒効果は働き、冬木大火災の時に致命傷を負った士郎を救ったのもこの鞘の力である。

sn作中では士郎たちは鞘の存在を知らなかったため
「セイバー自身が何か特殊な回復能力を持っていて、サーヴァントである彼女の魔力がマスターに逆流したお陰で、
それが発現した……のかもしれない」
と推測していた。
この比喩は、この鞘の存在を知らなかった士郎や凛にとって、それほどに有り得ない回復効果を示したということを意味する。
通常使い魔の魔力が主に逆流することは本来はありえないが、絶対に起きないわけでもなく、言峰綺礼もギルガメッシュが浴びた「この世全ての悪」の魔力の泥がパスを逆流し蘇生するなどの現象が起きている。
また、セイバー自身も切嗣が『全て遠き理想郷』を使えば士郎と同じような状態になっていただろうことを肯定しているため、鞘かセイバーどちらの問題かは不明だが士郎のような現象は十分ありえるらしい。

「stay night」では主に士郎の治癒に効果を発揮し、その生命力は死徒並みと言われる程。
バーサーカーによって殆ど真っ二つに切りつけられた際には数時間で元通りの姿に戻ったという。
更にセイバーが接触して意図的に魔力を込めれば回復力が増し、ギルガメッシュによって胴体が千切れかけてる程の傷からも生還させ、
ゲイ・ボルクの呪いによる治癒不能の傷どころか呪いそのものすらも無効化した。
UBWルートでは契約が切れたため一度はほとんど機能を失うが、アーチャーとの闘いではセイバーが側で見守っていったためか微弱ながらも力を発揮し、アーチャーに斬られた傷をありえないスピードで回復させていた。

この通り、作中で数え切れない程に彼の命を救い続けた能力だが『約束された勝利の剣』の攻撃のみ例外なのか、デッドエンドで切りつけられた際は治癒能力が働らく事なく死亡した。
また、とあるデッドエンドでは士郎の固有結界の暴走によるダメージにも治癒能力が働くことはなかった。
一部のエンドでは生存を諦めただけで治癒も働かずに死亡するなどその回復力は非常にムラがある。

後者の絶対防御は「この世界における最強の守り」と形容されるが、正確にはもはや防御というレベルではなく遮断。
分解した鞘に包まれた対象はその瞬間のみ、妖精郷の壁によりこの世から隔離されることで、この世の理全てから断絶される。

その結果、あらゆる物理的・魔術的干渉は勿論の事、現存する五つの魔法(TYPE-MOON)、並行世界からのトランスライナーすら通用しない。
多次元からの交信も六次元まで遮断するという。
言うなれば個人を対象とした移動要塞。

ブリテンを代表する魔術師マーリンが生前のアルトリアに語った内容によれば、
「妖精郷とは、三次元に存在する地球より数次元分ずれた位相に存在する、所謂あの世や常春の国とも呼ばれる地。竜種を始めとする殆どの幻想種が西暦移行の住処と決めた、"世界の裏側"と同一の場所」である。
要はセイバーを七次元上の妖精郷に避難させる、というもの。

それ故、相手が現世に属する限り、何者にも侵害されぬ究極の一であり、TYPE-MOON世界最高峰の守り。魔法の域にある宝具である。
作中ではギルガメッシュとの最終決戦で使用され、乖離剣エアの最大出力『天地乖離す開闢の星』をも弾き、彼を打ち倒す決定打になった。


鞘返却後はセイバーの魔力量も増量すると語っており、一回は令呪ありではあるが士郎がマスターでもエクスカリバーを4発も撃つ事も可能になった。
参考として優秀な魔術師である凛がマスターでも2発が限界と語っており、破格の魔力向上と言えるだろう。

きのこさん曰く、セイバーがこれで引きこもったら手におえないとの事。
天の岩戸作戦で、士郎が外でごはんを作ればひょっこり顔を出すと思いきや、移動要塞なのでうまくいかない。

ただし、常時発動型宝具ではなく真名開放型なのでタイミングはきっちり計らないといけないし、展開したまま攻撃する事は当然出来ない。
セイバーはギルガメッシュとの闘いでは最大の切り札としてより効果的に発揮する為に闇雲に使わずに鞘の遮断とエクスカリバーを組み合わたカウンターによる奇襲でギルガメッシュの打倒を果たした。

『天地乖離す開闢の星』の凄まじい威力を恐れていたこともあるが、
セイバーの高い直感スキルとこの鞘の能力をもってしても、このカウンター戦法の成功率は極めて低い。
と彼女の直感スキル自体が訴えかける有様。
早すぎるとカウンターにならず、更に鞘の存在を知られて警戒される。遅すぎると展開が間に合わず無防備に直撃してしまう為。
セイバー自身、最低でも合計数回は敵の特定の攻撃を目にして生じる隙や特性等を見定める必要性を確信しており、タイミングを計れるギリギリまで彼女も実践は避けようとした。
上記のギルガメッシュのように大技の直後に一定の硬直時間が訪れる相手等、対象をちゃんと選別した上で
成功すれば絶大な成果が期待出来るものの、博打要素の大きな最終手段でもある。



【Fate/ZERO】
第四次聖杯戦争に際してアインツベルン家が「最強のカード」を引き当てる切り札としてコーンウォールから発掘する。
セイバー召喚の為の触媒として使用された後はアイリスフィールの体内に封入される。
敵の攻撃に対する備えとすると同時に、「器の守り手」たる彼女の崩壊を押し留める効果を見せた。
アイリは契約者ではない為にセイバーから離れれば効果を発揮しなかったが、彼女が触れた途端に傷は愚か、魔術回路やスタミナすら回復した。

戦いの最終局面において、アイリから最後の戦いへと赴く切嗣へと託され、正規の契約者たる切嗣にセイバーの魔力が流れた事で鞘の効果は十全に発揮し、
致命傷の一撃を貰っても復帰を可能にしたという。


切嗣は鞘に治癒能力がある事は知っていたが、いざその効力を目にするとこれ程のものとは思わなかったと驚愕していた。
固有時制御の反動による自傷にすら癒す効果を利用し、限界を超えるレベルで固有時制御を発動させ、
預託令呪をこれでもかと投入する言峰綺礼との最終決戦においてその機能を遺憾なく発揮した。
と、いうかこれが無かったらDead End確定だった。

ただし、これらの描写に関しては色々物議をかもしている。
切嗣の場合、預託令呪をふんだんに使う言峰綺礼に心臓をただの一撃で破裂させられているので、「全て遠き理想郷」の回復力でも蘇生が間に合わないのでは?と言われることもある。
というより士郎や本来の持ち主であるセイバーでも即死級の重傷から数秒で全快する即時復帰は叶わないので矛盾や異常、回復力盛りすぎと指摘をするファンも居る。



戦争終結後、セイバーの消滅により宝具としての機能は失われたが、魔力を込めれば微弱ながら治癒能力を発揮する為、
大火災によって瀕死となった士郎を救う為に切嗣によって使用される。
この時のアヴァロンは鞘のままでは瀕死の人間を治せるほどの力はなかったので、分解し埋め込むことで治癒力を増やす形で使用された。
その10年後再びセイバーが召喚された後はセイバーとのリンクが取り戻されたことで機能が復活し、前述の通り強力な治癒効果を士郎にもたらした。

また、本来士郎は剣以外の宝具を投影することは不得手だが、コレは体内に長年埋め込まれた事でその構成を完全に身体が記憶している為、容易に投影できる。
能力がワンランク下がっている状態でも「この世全ての悪」の呪いを持ち主から跳ね除ける力を見せた。

コンマテ3によると例えほぼ全ての宝具を持っているに等しいギルガメッシュさえも全て遠き理想郷を使っているセイバーを傷付けるのは不可能と説明されている。


また、長時間鞘を埋め込まれた者の起源と魔術属性を剣にする能力があるとされている。
士郎の起源が剣になりかけている原因とされ、あの投影が出来たのも鞘の影響で起源と魔術属性が剣になったと説明されている。

なお聖杯戦争終結後、凛とウェイバーによって大聖杯は解体される為、セイバーとの繋がりは完全に断たれ鞘のイメージは消えてしまい、
使用する事は出来なくなる。
アーチャーが全て遠き理想郷を投影出来ない理由もコレとされている。


尚、EXTRA CCCにて八次元まで遮断するというムーンセル中枢の障壁が登場。
(これを単なる物理・魔術防御力による防壁だと誤解しているファンも割といるが、作中ではちゃんとBBが
「まるっと円形の、八次元までカットする霊子障壁」
と説明している。このムーンセルの障壁も単なる防御力云々の代物ではなく、干渉を受け付けない類の遮断障壁である。)
そして、それを長時間掛けたとはいえ突破した原初の女神の力を手にしたBBや、大化生の力を振るう自称良妻
こうした設定の為、これらの上級神霊格や根源といった次元が違うレベルの力の前にはアヴァロンでも遮断は出来ないと思われる。
そもそも世界の裏側(妖精卿)には、西暦移行に、単身生身で旅立った者達や、一瞬とは言え幾度も往復する幻獣も居り、現世と異界の境界が曖昧な時代から生息していた精霊種にとっては、不可侵どころか馴染み深い場所ですらある。

ただし、これらは既に現世の地上に現界し続けることを実質許されないにも関わらず居座るように存在し続けると言った状態に近い生物だから出来る芸当であり、人間やサーヴァントのように契約等で現世に縛られた(存在することを許されている)存在には、神代の環境が残り続ける世界の裏側に干渉する術が最早無い。


それ故、現世に現界した英霊の中で突破し得る者がいない点は変わらない、地上において人や英霊が使用し得る装飾ないし防具としては至高の逸品である。


【余談】
元々のアーサー王伝説では約束された勝利の剣(エクスカリバー)と異なり、特に名前は設定されていない無名の鞘。
エクスカリバーは湖の精からもらった剣なので、その辺の繋がりからつけたのだろう。
最終戦で「エクスカリバーの鞘!!」とか叫んで鞘を展開して勝っても微妙だしね。
また能力も「身につけている間は傷を負わない」とシンプルなもの。


因みにフィギュア業界では、グッドスマイルカンパニーから出た名作「セイバーリリィ~全て遠き理想郷~」の事を指す。




追記、修正よろしく。

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