スカーレット隊(ポケットの中の戦争)

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スカーレット隊(ポケットの中の戦争) - (2022/07/01 (金) 15:57:36) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2022/06/30 Thu 20:40:26
更新日:2024/04/18 Thu 22:53:31
所要時間:約 6 分で読めます




スカーレット隊、発進!


スカーレット隊とは、『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』に登場する地球連邦軍の部隊の名前である。


【概要】

地球連邦軍に所属する部隊の一つ。
NT-1を受領する為、サイド6「リボー」コロニーに駐留している「グレイファントム」を母艦としている。
当時の最新鋭機であるジム・スナイパーⅡを2機に量産型ガンキャノン1機、ジム・コマンドに至っては少なくとも3機も配備されており、パイロットこそ描かれなかったが上層部からの信頼がうかがえる。


【劇中での活躍】

連邦軍が密かに開発中のNT-1「アレックス」を破壊するべく、リボーコロニーに現れたサイクロプス隊の強襲用MS「ケンプファー」。
それを迎撃するべく、艦橋からの指示で母艦のグレイファントムから勇しく出撃するスカーレット隊。
しかし、哀れにも下降中の量産型ガンキャノンがケンプファーのショットガンに貫かれ破損。*1
続け様にケンプファーの放った2発のシュツルムファウストにて、ジム・コマンドが一度に二機撃墜。
炎と黒煙を吹きながら墜落していく量産型ガンキャノン。
そしてジム・スナイパーⅡも無惨な姿で横たわっていた。
ジム・コマンドの一機が降下に成功するも、ケンプファーの位置を捕捉できないまま、背後からジャイアントバズⅡの一撃を受けて撃墜された。

スカーレット隊、全滅!

……そう、以上がスカーレット隊の活躍の全てなのだ。
勇ましい出撃シーン、緊迫感のあるシリアスなBGM、そしてハイスペックなMS。
それら全てを活かすことなく散っていった、完全なる出落ち部隊である。
ちなみに、発進!から全滅!までの所要時間、映像にして約30秒ちょっとである。


【考察】

とまあ、あっさりとやられたスカーレット隊。
勿論その描写だけ見れば「ケンプファーSUGEEEEE!!」となるか「スカーレット隊ざっこwwwww」「何だ精鋭部隊じゃなくて精鋭部隊(笑)か」となるかだろう。

何故スカーレット隊は、良いMSを与えられていたのにああもあっさりとやられてしまったのか。
勿論それは「ジム・スナイパーⅡや量産型ガンキャノン、ジム・コマンド」が雑魚だったからという理由ではない。*2
それにはそもそもスカーレット隊のパイロットが未熟だったという可能性が考えられる。
前述の通り、彼らの操るジム・スナイパーⅡや量産型ガンキャノンは、当時の最新鋭機である。
だが、MSというのはいくら新型が開発されても、パイロットがそれを好むとは限らない。
事実ジオンでは一年戦争末期にゲルググが量産されても、扱い慣れたザクを好むパイロットも多かった。*3
その為ゲルググには学徒兵や新兵が搭乗していたものも多いという。
スカーレット隊のパイロットも同様だったのではなかろうか。
無防備な降下中に盾を構えなかった事、ショットガンはともかく、公式設定でも「弾速が遅い」ジャイアント・バズやシュツルムファウストを避けられなかったこと、降下に成功しても棒立ちでいた事、しかもその場所がコロニー外壁スレスレの橋の真下だった事などから、立ち回りについて未熟であった事がうかがえる。
そもそも一年戦争末期にもなって、前線であるソロモンやア・バオア・クーから程遠い中立地帯のサイド6に、NT-1受領のいわば使い走りとして来ていた事からも、実践経験の有無については疑問が残る。



だが待ってほしい。
スカーレット隊は本当に弱かったのか?



彼らが戦った場所はサイド6のリボーコロニーである。
ここは中立地帯であり、本来は戦闘をするべき場所ではない。
ジオンはそこで密かに開発されていたNT-1や、それを破壊または奪取する為なりふり構っていられなかったサイクロプス隊はともかく、スカーレット隊は立場上連邦軍の正式な一部隊である。
つまり、この場での戦闘行為は南極条約に背く許されない立場であり、無闇に発砲などできはしなかったのだ。
実際、このとき連邦側はコロニー住民の不興を買うことを避けるため、コロニーの治安部隊であるリーア軍を矢面に立たせ、その支援という立場を強調していた。スカーレット隊に下された命令も「防衛ラインを張る」ことである。
連邦の上官が「君たちも実戦を経験しといた方がいいと思うがね」とリーア軍に嫌味を言っていたが30秒後に思いっきりブーメランになった。

そんな状況では高速で住宅街を移動しやりたい放題するケンプファーを空中から捉え、狙撃するなど出来るはずもない。
ジム・スナイパーⅡがスナイパーライフルではなくブルパップマシンガンを装備している事からも、その判断は間違いではないだろう。
また、ケンプファーの砲撃を受けてしまったが、その砲撃が逸れればコロニーに予期せぬ被害が生じた可能性も考えられる。まあでも結果として墜落して被害は広がってしまったし、キャノン以外は盾使って良かったと思う。

また、ケンプファー自体が高速で動くステルス機、そのパイロットもミハイルというベテランだったため上記のスカーレット隊新兵説も含めるとスカーレット隊は致命的に運と相手が悪かったという可能性も充分あり得る。

もし仮に戦った場所が中立地帯ではなく、宇宙か地球の何処かだったら…あるいは連邦寄りサイドなら…*4結果はわからなかっただろう。

そしてロクな活躍もできなかったわけだが、無駄な犠牲とも言えない。
なにせケンプファーは貴重な弾薬を浪費し、その結果肝心のNT-1とは接近戦で対峙する事となったのだ。
元々の切り札であるチェーンマインで仕留められなかった後、ビームサーベルで接近した事によりNT-1のドヒキョー隠しガトリング砲でケンプファーは正面から蜂の巣にされてしまった。
もしここで射撃武装があれば、一旦距離を置いてそれを放ち、未熟なクリスにはそれに対応する術がなかった可能性も高い。
そう考えるとスカーレット隊の犠牲は無駄ではないどころか、勝利の為に必要不可欠だったと言っても過言ではないだろう。犠牲になった方はたまったものではないが。


【関連機体】

出撃シーンから、少なくとも2機が配備されていることが確認できる。
スナイパーライフルではなくブルパップ・マシンガン装備で出撃。
降下中にカメラに向けてスコープバイザーを下ろす動作を披露するも、その後は色指定ミスされたり、ロクな戦闘シーンもなくいつのまにか撃墜されているという、あんまりな扱い。

こちらは空中でキャノン砲を構えるも、ケンプファーのショットガン一発で撃墜されている。
ショットガンの弾頭の硬度*5もあるとはいえ、距離の空いた状態の散弾を受けて落とされるあたり、耐久面に疑問が残る。(因みにこいつの装甲材質はチタン合金セラミック複合材である)
しかも街中に墜落した影響で周囲が停電し、その上キャノン砲が暴発して街を破壊している為、この一件でコロニーに一番被害を与えたのは多分コイツである。

シュツルムファウストで落とされた2機と最後にバズーカで落とされた1機で、少なくとも3機が配備されていた。
が、一度もアップになる事なく撃墜されている、スカーレット隊の中でもさらに酷い扱い。

スカーレット隊の母艦。
サラミス級やマゼラン級ではなくペガサス級である辺り、スカーレット隊の地位の高さがうかがえる。
が、コロニー内ではスカーレット隊を発進させる以外の活躍はできずに終わっている。


【余談】

こんな彼らのやられっぷりだが、ジム・スナイパーⅡ、及び量産型ガンキャノンの映像作品における現状唯一の活躍であり、不名誉ではあるが貴重な映像資料である。

また、あまりのインパクトからガンダム界(たまに他の所でも)「噛ませ犬」「精鋭部隊」という話題になるとちょくちょく名前が出てくる。

追記・修正は編集画面から公開するまで30秒ちょっとでお願いします。


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