登録日:2021/09/09 Thu 05:12:52
更新日:2025/04/18 Fri 07:43:56
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地球連邦の民は、旧来の因習にとりつかれて、宇宙圏を生活の場としはじめた人類の意識が拡大しつつあるのに気づかぬ古き人々であるという。
その古き人々の連邦に、ジオンの国民が従ういわれはないと言う!
地球型官僚の堕落は、確かにデギンの言う通りではある。
連邦軍にあってもそれは事実であろう。
しかし、連邦の国民よ。デギン・ザビの語る一面の真理にのみ眼を奪われてはならない。
ジオンは地球から最も離れたサイドであるが、その彼等が宇宙の深淵を見たなどという戯言を誰が信じようか!
地球連邦は、『
機動戦士ガンダム』に連なる
宇宙世紀作品に登場する統一国家である。
本項では地球連邦の所属軍隊である「
地球連邦軍」及び政府についても合わせて述べる。
一応、サンライズとしては
映像化されたものが公式、富野由悠季の著作物は前者と矛盾する描写を除き公式というスタンスである。
現在の公式の扱いとして『
ガイア・ギア』や『
G-SAVIOUR』等の宙に浮いている作品や、コミック及び
ゲーム作品の情報も含まれている。
だが、
一年戦争前史も描かれている貴重な情報源の『
THE ORIGIN』については、1stの世界と地続きではない事は留意したい。
地球連邦
各コロニーや月面都市などの多数の自治共和国と連邦議会で構成される人類統一国家。英語表記は「Earth Federation」。
一年戦争開始前時点で、地球在留者は約20億、コロニー移住者は約90億。
他のSF・アニメ作品のように戦争を無くすために一部の国が主導したわけでも、平和のために団結したわけでもなく、人口の過剰な増大と地球環境の悪化を食い止めるために人類の在り方を考え、一部の文化的伝統と自然環境の保護・保全・回復を担う人々を残し、全員が宇宙に出るという理想を実現するために創設された共和制国家である。
ただし、地球環境回復政策の一環である宇宙移民政策で、スペースコロニーと宇宙移民者が増えていくにつれて、地球環境が想定以上の回復傾向を示したことで、「地球環境を維持する人材を確保するため」に
移民政策を中断。
「連邦政府関係者や超富裕層などの特権階級」なども宇宙に出るのを拒み、70年以上を過ぎても
政治の中心を地上に残したせいで宇宙移民計画は
棄民政策と化す。
その結果、地球を追い出された「スペースノイド」と、地球にしがみつく「アースノイド」が対立。
ジオン・ズム・ダイクンが提唱した「ニュータイプ論」を御旗に、自治権獲得を掲げたジオン公国との「一年戦争」から続く戦史の発端となった。
なお、
ギレン・ザビは優生学による“人減らし”、反連邦主義者でティターンズの創設者ジャミトフ・ハイマンは環境悪化に伴う地球人口減少を目的にしていたり、“地球圏”での覇権を狙う勢力も生まれてくるので、ジオニズムや地球連邦への粛清などは建前にすぎない。
首都
首相官邸ラプラス→ニューヤーク(1st以前)→ダカール(Ζ、ZZ)→ラサ(逆シャア)→ダカール(UC)→フォン・ブラウン(V)。
首相官邸ラプラスはラプラス事変で壊滅したため、ニューヤークへ。
一年戦争の被害を避けるためにジャブローに一次疎開し、終戦後にダカールに遷都した可能性がある。
ネオ・ジオンに首都ダカールを占拠されたため、0092年にルオ商会が関わる形でラサへ移転するが、
5thルナ落着で壊滅したため、ダカールに再遷都した。その後、「神の雷計画」の顛末でスペースノイドが実権を掌握したことで月面都市に移転。
正史として扱えるかは怪しいが、ラジオドラマ版の
ガイア・ギアでは0200年代の連邦政府の首都はヨーロッパ地区のヌーボ・パリとされている。
政策
主要政策は「地球環境の回復」。
アフリカのダカールという荒廃した砂漠しかない光景を嫌でも目にする場所に重要施設を置くのは
地球に残る為政者が破壊された地球の自然を認識するため
。
宇宙移民政策と環境再生政策の結果、産業革命から始まる環境破壊と、
一年戦争から続く
コロニー落とし・隕石落とし・爆撃・市街地襲撃で著しく荒廃しても、一部地域を「リゾート地」と言われるほどに回復させている。
一年戦争でサイド1・2・4・5・7壊滅後は、「
コロニー社会の回復」も命題となり、戦後三年で新規建造と配置、戦後七年で各サイドを復旧させた。
海洋汚染により、
グリプス戦役時点で
シロナガスクジラは絶滅したが、カミーユは
スペースコロニー1つ分の海で飼育されているクジラ
を見学しているので、一部の動植物は身近に触れ合えるほどの保護体制ができているようだ。
もっとも「地球環境の再生」「コロニーの再建」が
無料でできるはずもなく、連邦の財政は
火の車となっている。
人々の軋轢
「地球は裕福な楽園」であり、「全人類の約二割が政府関係者・エリート層」ということはありえないが、「コロニーに移住した人=スペースノイド」と「地球から移住できなかった人=アースノイド」
双方共に被害妄想で分断。
時代が進むと地球やアースノイドに関心を抱かず、連邦政府の動きに無関心な市民も増えている。
しかし、良くも悪くも市民の連邦政府の監視的な視線が弱くなったことも意味しており、連邦政府内で腐敗が増えることになってしまった。
+
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人口についての余談 |
人口についてもう少し触れておくと、前述の通り一年戦争で約半数の50億人が死んでいるが、逆襲のシャアで クェス・パラヤが「宇宙に住む100億の人間に対して地球の人々はちゃんと目を向けていない」、『UC』のリディが「狂った世界だとしても100億の人間が生きているんだから守らなければ」という趣旨の発言をしている。
彼女らの発言した数字が本当にそのとおりであるのなら、50億人が死んで残りは60億人だったのが、13年後には地球をカウントせずスペースノイドだけで100億人に回復しており
13年で60億〜70億人ほど増えている。
著しい人口減のために管理社会であるコロニーを中心に強固な人口増加政策を取ったのかもしれないと想像できるのだがそれにしてもペースが早すぎる。
他のSF作品にあるような人口子宮などの「一般的な妊娠→出産以外の子供を増やす手段」は少なくとも逆シャア時点までは見受けられないのだが。
これでは
全ての女性が出産可能な年齢になったらすぐに4人以上産まないと
13年で60億人という数字は達成できないし、できたとしても12歳以下がそれより上の年齡層の倍以上になるとんでもない人口ピラミッドとなるはずである。
ジュドーのような「14歳で自分どころか下の兄弟の生活費も稼ぐ子供」というのがスペースノイドでは珍しくないのかもしれない。
ただしこの考察はあくまで「前述の発言が統計上の数値そのものである場合」に限ったもの。
「100億」というのは実数値ではなく「多くの人類」を意味する象徴的な言葉であって、実数はそんな数ではなく、上記考察のようないびつな人口バランスでもないと考えられる。作中描写的にも、そっちのほうが自然だろう。「全人類が約100億」という発言も、これらの発言のほかには出てこない。
30年近く後のハウゼリー・ロナの時代に「地球圏人口100億」という言葉が出てくるし、映像化されていないとはいえ富野由悠季が直接執筆したF91小説版で「人口は一年戦争以前に戻った」だの、Vガンダム小説版で「地球圏の人口
300億人
」、つまり
80年で250億人増
と言わんばかりの有様だった。
おそらく初期設定ではそのくらいだったが現実的な数字になるよう辻褄を合わせようと試みたと思われる。
そもそも『0083』の時点で『逆シャア』以降の「後付け」であり、もともと一年戦争とグリプス戦役の間は何もない平和な設定だったので10年で50億人増は無茶としても人口回復自体はできる想定だったのだろう。
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後述の連邦軍同様、存在が言及される度、二言目には「腐敗」の二文字が並んでいる気がする。
以下は劇中の描写から読み取れる範囲で地球連邦政府の体制を詳述する。
それどころか、初代では政府の存在すら明らかでなく、ジオン公国がその建国からザビ家による独裁体制を詳細に描写されていたのに対し、地球連邦の体制については40周年を迎えた現在も謎が多い。仮にもアムロの所属国家やぞ…。
そのため、よぬ腐敗と言われるのに対し、実際どのような構造になっていて、どの程度逸脱しての腐敗なのかはよくわからない。
首相は君主の宰相又は大統領の下位に位置付けられる存在であることから、共和制たる連邦には大統領が居る、らしい。
ただ、『Z』で
ハヤト・コバヤシがシャアに対して「連邦の首相になるべき」と発言していたり、改暦セレモニーの主催者がリカルド・マーセナス首相であり、
ジョニー・ライデンの帰還で「大統領は実権のない象徴」と
ゴップが言及していることから、政府の実権はあくまで首相が握っているようだ。
軍以外の官僚機構についても判然としないが、『閃光のハサウェイ』原作及び劇場版では、閣僚や政府高官として保健衛生大臣、通信大臣、木星開発庁長官、内宇宙監視大臣、文化教育振興大臣、刑事警察機構長官といった面々が登場し、彼らに連なる省庁が存在すると思われる。
ほか、『逆襲のシャア』や『twilightAxiz』の漫画版付録では会計監査局、現実世界で言うなら会計検査院の職員が登場し、内閣六室なる情報機関も登場する。
『獅子の帰還』ではジオン共和国に国境侵犯をしでかした
リディ・マーセナスの後始末のため、国務省が動いた事が語られている。
また、地球連邦政府には、解放すれば政府そのものが転覆すると囁かれる
ラプラスの箱と呼ばれる重大な秘密がある。この箱は、アナハイム・エレクトロニクスの盟友である
ビスト財団がその在処を知っているとされ、財団、AE社、連邦が癒着のレベルを超えた共生関係にある理由とされている。
宇宙移民は「実質的な棄民」とされており、かなりの部分が強制的に行われた側面もあるようだが、連邦政府はスペースノイドに対し、無理矢理宇宙に追い出しておいて、孫の代まで続く引っ越し費用の借金を負わせたり、空気税を課したりしている。
ハウゼリー・ロナの主張によると、スペースノイドのコロニー税は移民のための三代に渡るローンや空気税・水税を合わせると収入の5割に及ぶとされている。
さらにコロニー税は本来はコロニー維持のための費用なのだが、一部は環境保全という名目でアースノイドのリゾート地開発という私腹に費やされている疑惑もある。
こうした不公正は当然スペースノイドの不満を蓄積しているが、連邦政府の政策にはそれを改めようとする様子は見られない。
というのは地球連邦政府においてはスペースノイドには参政権が与えられていない or あると、作品によって複数の描写があるのだが、普通に考えて選挙権が完全に平等ならばスペースノイド80億人とアースノイド20億人の人口差でスペースノイドが優遇な政治体制になっていないわけがないのでなんらかの制限があって地球側が有利になっているのだろう。
そのためサイドの首長の最終的任命権は中央政府が持っており、その中央政府に対してはスペースノイドは充分な干渉ができない構造になっている。
よって結局のところ、中央政府からの一方的な支配下にあることを強制されていることに変わりはない。
こうした一方的な支配システムがスペースノイドにおける反連邦の機運を高め、やがて自治独立を求める運動へとつながり、ついには後々の戦争の下地になった事は否めない。
一方、アナハイム・ジャーナルでは、メラニー・ヒュー・カーバインが地球貧困層出身のユダヤ人であった事を述懐し、貧しいアースノイドに比べればテクノクラートとしての教育を受けるスペースノイドは恵まれているとの趣旨の発言をしている。よって、連邦政府がアースノイドを殊更優遇する政策を採っていたとも断言はできない。
また「空気税」に関していえば、地球で空気税が課されないのは「国家のインフラに頼らず自己調達できるから」であるのに対し、コロニーの場合は「コロニーという連邦が用意するインフラに頼って調達できるから」税金を課されるのであって、現実世界での水道料金・電気料金に相当するものと考えれば、課されること自体は当然の話とも言える。
またアースノイドの中には非合法に滞在している人間もかなり多いし、アースノイドでもスペースノイドでもない月面居住者、ルナリアンという人々もいるのだが、これらの政治的な権利がどれほど認められているのかは定かではない。
まあ、ただでさえ超巨大国家の中央議会を直接選挙で運営するのは無理というのもわからなくはないが。
また
ギレン・ザビは「地球連邦は絶対民主制を敷いているが、それ故に限界を超えて機能不全に陥った」と発言している。
そもそも連邦や各サイドの詳しい政治システムや実情に不明な点・各作品での矛盾点が多いので、よく分からないところは多い。
また当初のTV版の世界ではそれほど厳しくなかった設定らしく、逆シャアでアムロは地球で連邦の政治家の腐敗を目の当たりにして嘆いた旨を述べているが、言うほどに弾圧されていたら元々絶望しているはずでまず出てこない発言だろう。
そもそもサイド7におけるアムロ以外の一般人達も連邦に弾圧されてきた感じは全く出ていないため、上記のコロニー税が重すぎるなどの設定は後から生えてきたと言っても良い。
ここらを知っていれば、Z~逆シャアの劇中で地球連邦高官やアースノイドに対して「重力に魂を引かれた人々」「愚かなアースノイド」の類のワードがぽんぽん出てくる(初代ではほとんどない)のも理解できなくもないのだが、実態としては地球連邦はスペースノイドが多数在籍している結構柔軟な組織の他、劇中で人にも自然にも散々暴れ散らかしているのはアースノイドももちろん同じだが、冷静に考えるとむしろスペースノイドの方がやばいことをする姿が目立つので混乱する視聴者も居る。どちらも人間であることに変わりはない。
要はこれらの発言は地球連邦の腐敗を主張する言葉と同時にアースノイドは存在自体が罪深いという偏見&過激思想にも通じてしまっている。厄介なことにニュータイプ論もこの思想を含有しており、アムロなど幾人かの主人公達も同じようなことを思ってはいる。そして強い影響力を持つシャアがこれに加えて虐殺もやむなしとか考えるような人だったので最悪な行動を引き起こした理由の一つになっている。主人公達も言っている割に結構危うい思想である。
一例としてはハウゼリー・ロナはスペースノイドの票田で連邦政府の議席を得ており、
地球から出ていかない連邦高官に宇宙からレーザー砲をぶち込む
という法案を提出して否決されたが、これによってますますスペースノイドの支持を集めてしまう…という状況で暗殺されてしまった。
このため
クロスボーン・バンガードは政争ではなく武力闘争による目的達成に舵を切っている。
つまりはあの時代には
純粋な政治の戦いだけで連邦が大きな不利益となる法案も通りかねない
ほどスペースノイド側の参政権が整っており、そうでなければ『F91』の物語が成立しない。
後付けだが
ラプラスの箱解放などの影響があったのかもしれない。
また、後発作品で連邦の弾圧!と繰り返し叫ばれるようになってきているが、そのわりに地球連邦の宇宙軍に一年戦争までロクに兵器がないという矛盾が存在する。
例えば大量に存在して旧式扱いもされがちなサラミスを例に挙げると、サラミス製造は宇宙世紀0070年代からである。一年戦争は0079年開始。
これに関連して、作中設定でミノフスキー物理学は0040年代から始まっているが、サラミスの特徴にも搭載されているメガ粒子砲は0070年に初完成。
これらはほぼジオン内の秘匿研究で、軍国主義による悪用を嫌ったミノフスキー博士の亡命による連邦への技術伝搬は0072年。
連邦はミノフスキー粒子影響下の戦闘が未熟過ぎたというほぼ原作設定もあり、0072年からの伝搬は説得力のある年代なので後付けで大幅変更も難しい。
そのため、宇宙世紀0070年代サラミス製造はメタ的にもこれ以上早められない過密スケジュールであり、むしろ旧式扱いのイメージとは裏腹に本来なら新兵器の部類である。
製造当時はよく知らなかったMSに対応出来ていないという仕方ない事情を除くと、生まれた時から旧式であるヘビーガンやジェムズガンの様な由来もない。
そしてサラミス以前の兵器は今も昔もほとんど影も形もないことからも、経済などの観点はともかく分かりやすく弾圧されていたといった構図は現状想像が困難。
政府における連邦軍の立ち位置だが、
一年戦争以来非常事態に置かれた世界という事情から、かなり大きな発言力を持っている模様。
特に『0083』では、デラーズ・フリートがコロニーを月に落とすと恫喝した際、政権を維持したい政治家が終始軍の将校に対して謙っており、軍人の一人は「これこそシビリアン・コントロールですな」と笑う一幕がある。
同時に、ある将校は「月へコロニーを落としたところで、連邦は揺るぎもしない」と発言している。
また、ティターンズ総帥
ジャミトフ・ハイマンは、大陸復興公社総裁と、地球の賭博組合であるインターナショナル国債管理公社総裁も兼務している。
過労死しないんですかね。
ただ、0090年を舞台にする『ジョニー・ライデンの帰還』では、ゴップが元軍人であり首相の座を狙うオクスナー・クリフ首相補佐官に対し、「軍部から首相を輩出するのは悲願だった」と激励している場面もあり、大日本帝国の如く、政権中枢まで軍に牛耳られている訳ではないらしい。
とは言え『Z』の時点で
現職の高位軍人で実質的にエゥーゴのトップ
のブレックス・フォーラが地球連邦議会の議席を保持しているが、それが特異なことのような描写がないあたり、シビリアン・コントロールという意味では微妙な体制と言える。
他にも、シビリアン・コントロール的に微妙な例を挙げると『逆シャア』のアデナウアー・パラヤ氏の肩書きは「地球連邦政府 参謀次官」なのだが、
参謀
とは軍人の役職で、ブライトのセリフからもおそらく軍人である。
連邦政府を代表してシャアにコロニーでの独立を認める重要な交渉を大臣や文官でなく軍人に任せるのは政府によほど人材がいないんだろうか。
アデナウアー以下の人材しかいないなんてことはなかろうな
作中に登場する文章の多くが英語であり、当初の首都がニューヤークであったこと、『UC』小説版に登場するガーベイ一族が連邦に反抗するムスリムの末裔という事情からも、地球連邦は
アメリカ合衆国やそれに類する勢力を中心に創設された可能性が高い。
同じく『UC』小説版では、若かりし頃のサイアム・ビストがテロに身を投じた経緯として、石油の枯渇で没落した中東諸国が一発逆転を狙って地球連邦の前身組織に反抗するも、あえなく返り討ちにされたことも語られている。
だが、欧米の精神的主柱である
キリスト教暦を捨て、リカルド首相自ら30以上の国の血が流れている事を誇りとし、ダカール以降、連邦首都が米国や欧州に置かれていない点からも、地球連邦が全人類の国家を目指していた事は確かなようだ。
加えて『虹に乗れなかった男』では、地球連邦軍上層部が
アクシズ・ショックの隠蔽に動く理由として、
「ジオニズムとニュータイプ神話によって人類が分断され、西暦のような終わりの無い宗教戦争の勃発を防ぐため」である事が明確に語られている。
一方、小説版『コロニーの落ちた地で』では、連邦内部には依然として多様な文化圏があり、言語もまた多様であることが触れられている。
しかし「同じ連邦軍でも、使用する言語が違うため意思疎通ができなくなる」「イギリス英語とアメリカ英語では同じ単語でも意味が違ったりする、ひどい時には真逆だったりする」ということから、「同じ文化を持つ、気心の知れた部隊・組織としか連携できない・しようとしない」という側面もあるようだ。
最も、言語設定を詳細に描くと尺を取られて話が遅延するので、これはおそらく例外的、または独自設定であり、実際は文化の多様性はあるものの言語の問題は明言されていないものの実質存在しない。
現に幼い子供やジュドーなどの環境が悪くてあまり学んでいない若者ですらコロニー間や地球の様々な国の様な別の環境でも言語に困ることは全くなく、その辺はジオンも同様。言語が多様なら成立しない作品が多数を占めている。
なお『Z小説版』ではカミーユの世代の少年はデジタルデバイスで育っており、カミーユがアーガマ内で他人にバレずに日記を書きたいという理由で初めて実物のペンと紙を入手してこっそり日記を書いている。
紙の書類が完全に淘汰はされていないが実務面でのペーパーレスは進んでいるのだろう。
現実の軍隊では軍人を呼ぶときは「フルネーム+階級または役職」あるいは「姓+階級等」で呼ぶのが一般的で「名前+階級等」で呼ぶことはないのだが、作中世界では連邦ジオンのどちらも
名前+階級呼びが妙に多い。
シャア大佐、アムロ大尉、ブライト艦長などが顕著である。ラル大尉とかシロッコ艦長などの例外もあるため統一が完全ではないというのが正しいか。
たぶん作劇の都合で視聴者が覚えてほしい呼称を強調したいからなのだろうけども。
【連邦の歴史】
その成立年について、具体的に示す各種資料も多数存在する。
が、近年の宇宙世紀世界における西暦の扱いについては曖昧にされている。
宇宙世紀移行の瞬間を最も詳細に描写したガンダムUCにおいても改暦の瞬間が西暦何年であったかは示されなかったため、現在の公式における地球連邦の具体的設立年は不明である。
メタいことを言うと、昔は「2045年」など明記されていたが、時代が本当に2045年に追いつきそうになったため「近未来」とごまかすようになったらしい
ただし、リカルド・マーセナスが初代首相であることから、西暦末期に創設されたのは確かなようだ。
そして、地球連邦軍についても、連邦加盟に反対する国家を併合するために活動していたこと、宇宙世紀年表に具体的設立年が示されていないことから、同じく西暦末期に設立されたものと思われる。
連邦政府は宇宙世紀の改暦セレモニーでいきなり官邸が爆破テロに遭い、しかも内実は白色テロという血塗られた時代の幕を自ら上げる。
宇宙世紀年表に「0022年 連邦政府、地球上からの紛争の消滅を宣言」という記述がある辺り、改暦以後も色々あったのだろう。
そして、連邦の評議員でもあった
ジオン・ズム・ダイクンなる男がコントリズムという傍迷惑な思想を引っ提げてサイド3に渡ったその時から、地球連邦の受難が始まる(後述)。
地球連邦の終わりは『G-SAVIOUR』の設定によれば0217年、一向に終わる気配を見せない
宇宙戦国時代に豪を煮やした連邦はとうとう各サイドの武力制圧を開始。
地球圏全てを巻き込む戦争が勃発し、遂に連邦政府はその強制力を喪失。0218年に崩壊した。
しかし、実際には「地球連邦の存在を求めるスペースノイド・コロニー社会」もかなりあったようで、サイド2、サイド3、サイド5、サイド7が旧連邦と合流し、セツルメント国家議会を形成する。
大きく時代がかけ離れているために関係ないに近い状況ではあるだろうが、かつてのジオン公国とザンスカール帝国が親連邦派なのは何の因果か。
残るサイド1、サイド4、月はセツルメント自由同盟を結成した。
サイドの数だけで言えばこの頃には「親連邦派のスペースノイド」は「反連邦派のスペースノイド」よりも多かったようにも見える。
【連邦政府の関連組織】
スペースコロニーの建造・移転・維持管理などを行う組織。
「公社」と言う通り、地球連邦の管轄下にある。というか、戦前までは「コロニー管理省」という名前で、連邦の組織機構の一部だった。官僚と技術者が協力する半官半民の組織。
スペースノイドの生活はこの組織に掛かっている。そしてこの組織を連邦が管理しているため、連邦がスペースノイドの生活を維持していると言っても過言ではない。
なお、コロニー住人にコロニーの簡易メンテナンスを義務付けていたり、各種税金等から住人の多くからは嫌悪されていた模様。かなりの重税なのだろうか
宇宙世紀0200年代時点でも存在が確認されているが、エアロックのセキュリティ管理が非常に緩いなど意識の低い管理体制となっている様子が見られる。
連邦もこの責務を重視しているようで、地球圏最大の企業・アナハイムですら、コロニー公社のシェアを奪いコロニーの維持管理を行うことはできなかった。一応、部品の提供などでは関わっているが、それでもシェアは低いらしい。
所謂「木星船団」。「木星開発公団」とも呼ばれる。
木星圏から地球圏にヘリウム3などの資源を運搬している組織。
前身組織が西暦時代から存在しており、宇宙世紀初期に再編されて現在に至る。
貴重な資源の運搬係であることから地球連邦やその反抗勢力の軍事力や経済力に関わる生命線であり、各勢力から保護されて中立の立場を貫く事実上不可侵の組織と化している。
一方で長期的な任務をする都合から乗員になる難易度が高く、採用されて働いている人間も星間航行の経験などが原因でニュータイプへの覚醒や独自な思想に辿り着く変人が排出されやすい模様。
この組織に所属していた
パプテマス・シロッコはティターンズの軍事補強に加担する行動に出ており、最終的にはティターンズの実権を握って
グリプス戦役の混乱を招いた。
最近の設定では
グリプス戦役時の木星船団公社は
ティターンズと接近したいと考えており、シロッコを介してジュピトリスを
ティターンズで活動させていたのは木星船団の思惑だったということになった。
いくらなんでも戦闘用じゃないジュピトリスを激戦地に出すのに「本来の持ち主」の木星船団が関与していないというのは無理があると気づいたのだろう。
0099年にはユーリー・ミノフスキー計画に参画していたり、「V」の小説版ではハンゲルグ・エヴィンの次なる調査対象として目を付けられるなど、中々にきな臭い組織である。なお、
木星帝国との関係性については、いまいち作中で明言されていないが、木星帝国も表向きは「公社」らしい。
ちなみに
一年戦争時点のジオン公国は木星船団公社とは別に独自で木星からのヘリウム3採掘船を持っており、あの
シャリア・ブルはこちらの出身。
宇宙移民の引っ越しや歴史的財産の宇宙への運搬などを行う公社。
組織のルーツは宇宙世紀初期に存在した「フロンティア開発移民局」であり、この団体が戦前の時代に連邦政府によってNGOとして現在の形に再編された。
宇宙移民や財産保護に関連する業務内容故に
一年戦争時もジオン公国の干渉を避けるなど中立的立場が保証されているはずだったのだが、
ザンスカール戦争ではザンスカール帝国によって武力制圧が試みられたこともある。
太陽発電衛星の管理を行っている公社。この団体に触れられた『V』では名前が出てきておらず、一部では「太陽電池公社」という組織名だとされている。
組織や保有する衛星周辺は中立的立場が保証されているが、
ザンスカール戦争の際にザンスカール帝国の軍事的干渉を受けている。
「南洋宗」という仏教系の宗教団体が東南アジアを中心に運営している地球連邦政府を構成する国家の一つ。
正史の
パラレルワールドである『
機動戦士ガンダム サンダーボルト』に登場する敵勢力であるため、正史世界線にこれに相当する国家及び組織があるのかは不明。
一年戦争後に連邦政府が疲弊したことや連邦・ジオンの両軍人が精神的に廃れた空気を狙って信者を増やし、連邦政府内の団体でありながらも反連邦組織として活動を開始した。
連邦政府の管轄下に置かれている半官半民の企業で、地球連邦軍の兵器研究や開発を担当する。シャアの反乱の時期に戦略戦術研究所から海軍戦略研究所として再編された。
元々MSの開発は行っていなかったものの、アナハイム・エレクトロニクスは戦略戦術研究所時代から目をつけており、自社の競争企業へ発展させることで、MSの技術発展を暗に目論んでいたようである。また、ロナ家の影響下にあった節があり、
ガンダムNT-1をこっそり彼らの私兵勢力であるバーナムの森に横流ししている。
後に「
フォーミュラ計画」と呼ばれるMS開発計画によって、アナハイムの独擅場だった連邦軍のMS運用の情勢を大きく変えることになる。
しかし、後の
ザンスカール戦争においてはサイド2の支社がザンスカール帝国に接収されるなどの事態に陥る。
通称は共に
マハ。後者は前者の組織が発展成長した後継組織にあたり、こちらの正式名称は「地球連邦警備警察機構特捜第十三課」。
『
ガイア・ギア』における敵対勢力。不法な地球移住者を宇宙に送り返す事を主任務とするが、遊び半分で民間人を虐殺するなど、暴走状態にある。UC0200年代まで存続している。
『G-SAVIOUR』の設定に『
ガイア・ギア』の存在が反映されていたかは怪しいが、年表だけ読めばこの組織の暴発が連邦崩壊の序曲に見える。
具体的な設立年は不明だが、UC0090年頃が舞台の漫画『ガンダム・インレくろうさぎのみた夢』では、父を”人狩り”で失い火星に逃れた母子が登場した他、漫画『
機動戦士ガンダムF90FF』では
若き日の鉄仮面のセリフからUC0115年の時点で「特捜第十三課」として活動している事が口述されている。
ラジオドラマ版の
ガイア・ギアでは、本編におけるマハはUC0186年に設立された新たな秘密警察であり、マンハンターから直接繋がった組織ではないという設定に改変されている。
【連邦議会】
地球連邦の議事機関。「中央議会」とも。
「腐敗した連邦のアースノイドども」とジオニストが言う場合、大体ジャブローの軍人か官僚かこの議会に属する議員を指していると思われる。
『Z』屈指の名シーンであり、何故か
劇場版でカットされた「ダカールの日」などで登場。
現役の将校である
ジャミトフ・ハイマンや、同じく現役将校であり反地球連邦組織
エゥーゴの代表ブレックス・フォーラが議席を持っている辺り、まとまな法案審議は期待出来なさそうである。
0090年では政界へ転身したゴップが上下院どちらか不明だが議長を務めている。
0096年ではローナン・マーセナス上院議員が、影の内閣と揶揄される移民問題評議会の議長として登場。
ラプラスの箱を巡って様々な陰謀に関与するが、それよりも中央議会の議員にコロニーレーザー発射のボタンを握らせる地球連邦軍の体制がヤバい。
ラプラス事変直後の時点で、マイッツァー・ロナの兄でたるエンゲイスト・ブッホ議員が閣僚として既に中央へ食い込んでおり、サイコフレーム回収計画妨害や、フロンティア・サイドの建設に一枚噛んでいた事が判明している。
『F91小説版』及び『プリクエル』では、エンゲイストの跡を継いだ甥ハウゼリー・ロナの議員としての遍歴が語られる。
彼は連邦議会の怒りを買うような法案を上程した結果、U.C.0118年に暗殺される。
しかし、近年の『
F90FF』にて、そのハウゼリーこそが、宇宙世紀後半の闇を繋ぎ、
ギレン・ザビの思想を実現させようとしていた超弩級の危険人物であったことが判明した。
【地球連邦軍】
英名はEarth Federation Force(略称はE.F.F.)。
特に宇宙軍を表すE.F.S.F.(Earth Federation Space Force)のマークはガンプラのデカール等でよく見る。
宇宙世紀世界における、最大にして最も長期に渡り活動した人類統一国家・地球連邦の軍事組織。
西暦末期の連邦政府発足と同時期に、旧アメリカ合衆国軍を母体に連邦加盟国の保有軍を合併し、部隊の再編や装備品の規格統一をする事で創設された。
宇宙世紀0079年頃〜0087年までは南米の
ジャブローに参謀本部(総司令部)を置いていた。それ以前は不明。
徴兵制が敷かれている描写は無いため、おそらく志願制。
ただし、ホワイトベースのクルーは成り行きで軍属にされているなど、
一年戦争時は少年兵も多かった。
これは、当時ジオンの虐殺で人口の半分が死亡したことが原因。「全人類の半分が死亡」ということは、矢面に立った連邦軍人は半分どころか大半が戦死したということであり、とにかく人手を集める必要があったからである。
小説版では「慢性的な人手不足のため、パイロットが整備士とともに機体を調整するなど、一人の人間が複数役を兼務するのは当たり前」と言及される。『逆シャア』のチェーン・アギも、整備士ながら機銃の操作からMSの操縦まで一通りこなせた。
また、士官学校卒でないと佐官以上に昇格出来ない。
と言っても、現実の現代軍隊なら士官学校を出ずに尉官になることすら難しいのでおかしなことではないが。
設定上スペースノイドに比べてパイロットの練度が低い、みたいなことをよく言われるが、これは「大半を地球出身者で固めておりエリートしか入れない」という
ティターンズの存在と根本的に矛盾する。
その活動範囲は地球圏全域とされ、地球のみならず、月並びに7つのサイドにまで駐留軍を置く。
ただし、0058年になされたサイド3による独立宣言後は、0100年まで主権の及ばない”外国”が存在した。
また、
火星や
アステロイドベルト、
木星までは未だカバーしきれていないようであり、そのためか、地球圏を追われた
ジオン残党や
ティターンズの逃亡先にもなっている。
第1作機動戦士ガンダムでは、主人公である
アムロ・レイやホワイトベース乗員…の中の民間人が(やむなく)属することになった軍隊として登場。
レビル将軍などアムロ達に期待する軍人が居る一方、ゴップら参謀本部の将官など、WB隊を「永遠の厄介者」扱いする者も居た。
しかし、戦況膠着で軍規が緩み荒んだ兵卒が出てきたり総じて堅物で融通のきかない硬直した官僚機構である描写はあれど、地球連邦軍は一貫して
ジオン公国軍との戦争に対処する主人公サイドの
後続の作品群に比べれば割と真っ当な軍隊として描写された。
軍閥台頭、条約違反の
核兵器配備、毒ガスによる虐殺、内戦、人体実験、出動すべき戦争に参加しない、前線で戦っている部隊に無礼極まりない事を言う、金塊で懐柔されての隕石の売却、巨大企業との癒着、人狩りなどなど、未来の統一国家というよりは途上国の軍隊かのような愚行が度々描写され、宿敵であるジオンとその継承組織とともに宇宙世紀を混迷の闇に陥れた。
そして、0100年にジオン共和国の自治権が消滅すると、その堕落と慢心ぶりをますます加速させていった。
ただし、虐殺が国是だったジオン公国や過激派のみで構成されている残党組織などとは異なり蛮行はあくまでも一部の暴走であり、問題が起きれば何かと事態の鎮圧を図ってもいる。
また、危険すぎる団体についてはどれだけ強大でも明確に敵対する元一般人の主人公達も連邦の腐敗を嘆くことはあれど敵視している者はほぼいないこともそんな危険な組織ではない証左と言えるだろう。
身も蓋もない事を言えば、「初代の時点で連邦が強すぎた」と言うのが、この辺りの腐敗のメタ的な原因とも取れる。
いくらジオンに国力がないとは言え、1月のルウム戦役の時点で地球連邦軍艦隊は50%以上を喪失しているにもかかわらず、凄まじい速度で再編成が行われ、4月頭のV作戦承認から半年経たない9月にはガンダムが出撃、11月にはジムが量産され実戦配備されている。アナハイムの暗躍が有ったと言えど、この辺りは兵器開発ペースとしては異常。
それを実現する国力が連邦に有ったと言う事であり、連邦が強すぎて腐敗していないと話が始まらないと言う作劇の都合が大きいと思われる。
そもそも初代の時点ではこんなに長く続ける予定はなかったので、仕方のない事ではあろうが。
0123年のコスモ・バビロニア戦争では初期の対処に失敗。
戦艦ラー・グスタ隊が驚くべき練度を見せつつ参戦したり、月からの援軍艦隊が出動した一方で、ストアスト長官なる政府高官に至っては「酔っ払い同士の喧嘩みたいなもの」と言い放つ始末。
結果的にフロンティア・サイドの住民は半ば
クロスボーン・バンガードの生贄として捧げられた扱いで、宇宙に対する興味を連邦が失ったことが、後の
宇宙戦国時代を招くことになる。
…そもそも宇宙戦国時代開幕の発端は、
スペースノイドの高度な自治と一年戦争のころから強く主張されてきた思想が形はどうであれどいざ実現したわけだが、やってみたら思ったよりもうまく行かないし大変だし、連邦に頼るにしても
「お前らがやりたい放題してきたせいで連邦軍も連邦政府も地球環境自体も何もかもガタガタなんだよ!念願の自治独立だろう?治安維持くらい自力でやれ!!」として放置されたという、
スペースノイドの長年の理想が達成された結果の末路、という事態に陥った。
理想自体には一定の理論こそあったが、その道筋やその後の見通しの甘さは、厳密には違うが結論としては典型的な無政府主義の結末のようなものだったと言える。
そして0153年の
ザンスカール戦争に至っては、対ベスパ主戦力は民間のレジスタンスである
リガ・ミリティアという有様であった。
ちなみに、
リガ・ミリティアは連邦軍が動かない事を予期した上でMSの開発に乗り出している辺り、当時の連邦軍の覇気の無さが窺える。
ただしこの時にも、有志が募って形成されたバグレ隊や連邦軍に属するムバラク艦隊などが参戦し、事態解決に大きく貢献していた。
「このムバラク艦隊の合流がなければ、
リガ・ミリティアはザンスカール帝国には勝てなかった」とも言われており、劇中でも合流後はムバラク大将が連合艦隊の主導者となっていた。
0200年代に入ると警察機構の特殊部隊であるマハの権勢に押され、軍の統帥権すら彼らに握られていた。
事態の深刻さに気が付いた連邦政府は反連邦組織のメタトロンとの裏取引によって独自行動を開始したマハ勢力を壊滅させ、メタトロンを連邦軍に吸収する。
しかし、この事実は本来は単なる警察機構に好き放題された末に内部の問題の解決を反連邦勢力に頼ったことになり、連邦の致命的な弱体化と規律の無さを表しているとも言える。
そして0217年、連邦軍はサイド制圧に乗り出した事で激しい抵抗に遭い、地球連邦政府共々組織が崩壊する。
しかし、連邦軍はそのままセツルメント国家議会軍として再編された。
また母体のセツルメント国家議会も、親連邦派の各サイドが連邦と合流する形で成立しており、「連邦政府と連邦軍による安定を求める人たち」も大勢いた模様。実はセツルメント国家議会に合流した勢力はかつて激しい独立運動が勃発したサイドで構成されていたりする。かつての独立運動とは何だったのか
また、セツルメント国家議会の中では連邦の復活を望んでいる者もおり、セツルメント国家議会の解散とセツルメント国家議会に合流しなかった勢力の新連邦への吸収を目指し、世界各地で食糧危機などを煽るために工作活動に励んでいる。
余談だが、澤野弘之氏が作曲したガンダムUCの
BGM「E.F.S.F」は、どう聴いても正義の味方のテーマとは思えない重苦しい重厚で尊大なサウンドで構成されている。
地球連邦軍は四つの軍種(陸軍、海軍、空軍及び宇宙軍)で構成され、劇中でクローズアップされるのは主に宇宙軍である。
従来の設定資料集等によれば、連邦政府には軍政機関として陸海空軍を束ねる地球軍省と宇宙軍を所管する宇宙軍省があり、その上級組織として最高幕僚会議や連邦安全保障会議が存在する。
また、参謀本部であるジャブローは軍令機構としての側面から地球軍と宇宙軍を統括しているようである。
ほか、情報部や軍法会議の存在も確認されている。
ジャブロー又は参謀本部については、度々現場の連邦軍人達から「現場を知らない快適なオフィスで派閥政治を繰り広げる」「ジャブローのモグラ」の巣窟のように揶揄される。
ティターンズの謀略で核爆発した後は拠点機能をニューギニア基地等に移したらしいが、0093年にはラサに本部を置いている。
隕石が落ちた時には高官が真っ先に逃亡して本部は吹き飛んだが。
陸軍は『
08小隊』で登場するが、海空軍は取り上げられる機会が少ない。
精々地球に於ける軍高官の勢力争いが描かれている『
オレら連邦愚連隊』にて、地球軍の将軍とそのお供数名が登場した程度。
これに関しては、敵対勢力が大規模な海軍や空軍を持たないから、というのが原因な模様。
MSV-R ジョニー・ライデンの帰還によれば、存在意義を失わないよう、ジオン残党を秘密裏に海軍が支援しているという相変わらず碌でもない描写がある。
『UC』小説版でも反連邦勢力と地球軍が実は癒着しており、軍事予算を確保できるようにわざわざ予算審議の時期を狙って限定テロを起こしているという描写がされている。
そんなことしていたら予算が不足するのも当然では…?
因みに『
閃光のハサウェイ』に登場するダバオ基地は空軍の管轄である。
また、連邦首都が月に移った後は陸海空軍は更に冷遇され、地球軍に纏められてしまう。
『THE ORIGIN』アニメ版においては、
一年戦争開戦前の時点でゴップが統合参謀本部議長であるとの描写がなされ、原作後期には元帥に昇格しており、彼が当時の連邦軍最高位の軍人であるとの設定が追加された。近年のゴップ
ageがすごい。
『
0083』劇中ではジーン・コリニー提督の派閥が軍内で隠然たる影響力を発揮しており、彼が宇宙軍のトップであった可能性は高い。だが、腹心の部下である
ジャミトフ・ハイマンが
ティターンズを創設して以降の動向は不明である。
『Ζ』劇中では、あくまで連邦の一特殊部隊である
ティターンズの指揮下に連邦軍が収められる法案が可決されるという異常事態が起こっている。
また、
ティターンズと
エゥーゴの抗争激化に伴い、
ティターンズはジャブローを核爆発させて拠点を放棄。以後はラサに移ったとみられる。
『
ZZ』ではそもそも
第一次ネオ・ジオン抗争に殆ど参戦せず、かつては反乱軍であった
エゥーゴとカラバにその対処を任せる体たらくぶりのため、指揮系統には不明な点が多い。
連邦なりの宥和政策だったらしいが、
ティターンズ壊滅から1年も経過していない内にえらい揺り戻しである。
ただ、ニューディサイズによる
ぺズンの反乱時には部隊を送り込むなどの対処してはいる。
また第一次ネオジオン抗争末期には、連邦艦隊がアクシズに攻め込んだ。ハマーンとグレミーの内紛を察し、消耗を待っていたとも考えられる。
『
逆襲のシャア』ではアデナウアー・パラヤ参謀次官が
ネオ・ジオンとの交渉のために宇宙へ上がる。が、元々参謀とは軍令機関のため、その次官が文官らしいアデナウアーというのがよく分からない…。
『
UC』ではラプラスの箱に纏わるゴタゴタを片付けるべく、参謀本部がゼネラル・レビルを友軍であるはずのネェル・アーガマに差し向ける。そこには
ビスト財団のマーサ・ビスト・カーバインの意向が反映されており、今作の連邦軍はトリントン基地やダカールの防衛隊等地方基地部隊は除いてほぼマーサの私兵である。
『
NT』では参謀本部のマウリ・レホ中将がルオ商会のミシェル・ルオにシンギュラリティ・ワンに関わる資料を提供している。ゼネラル・レビルは撃沈された。
『閃光のハサウェイ』ではメジナウム・グッゲンハイムという人物が宇宙幕僚長官として登場するが、当職が宇宙軍最高位の役職かは不明。
『
F91』や『
V』などの時代は、もはや参謀本部どころか現場の部隊の描写しか無いため、どのような指揮系統で運用されているのか不明である。
サイド2駐留軍に至っては、サナリィ・サイド2支社共々ザンスカール帝国の軍事部門であるベスパの母体になっており、本部の指令が届いていたのかも怪しい。
ただ『F91』のわずか三年前である『
F90』では、参謀本部主導のもと火星までの大規模遠征計画が組まれ、『F91』では月からの援軍艦隊が出動したりと、120年代まではちょくちょく真面目に動いている描写がある。
また『V』ではムバラク・スターン大将の艦隊が参戦。
このムバラク艦隊、ムバラク大将自身が指揮する艦隊のほか、義勇兵のような形で各地の連邦軍将兵が参加したものであったらしい。
連邦軍内部の「主流派」は矢面に立つことを嫌がり、そうした主流派の停滞ぶりを見限った連邦軍内部の有志=非主流派が集まって「ムバラク艦隊」を構成したという。
軍閥化とも言えるほど成立過程はひどいものだが、彼らは「連邦軍人」という意識でもって動き出し、
リガ・ミリティアと協力して戦ったのであり、この150年時点でも連邦軍の実力はいまだ健在ではあった。
ちなみに非常に不思議なことであるが、部隊員同士の結束は非常に硬い。
主人公達の所属する善良な部隊は愚か、チンピラめいた奴らでも仲間同士の相性は悪くなく、仲違いの様子もそれほど多くはない。
他方、別部隊同士となると手柄の取り合いや連携ミスの類も少なくなく、MS隊に戦果を取られたくない戦闘機部隊が先行して基地を爆撃するも反撃を食らって全滅するという失態もあったりする。
【特殊部隊】
地球連邦軍には様々な特殊部隊が存在するが、中でも代表的な部隊を一例として示す。
生き残りは
エゥーゴに寝返った者や離脱した者はアナハイムの重役の娘と結婚したり、ロンド・ベルに配属、または
偽名で地方の基地配属と幸運な道を辿ったが、そうではない大半の構成員は本来なら、狩るべきネオ・ジオンやジオン残党に機体ごと加入、または残党化してロンド・ベルに狩られたり、軍事裁判で死刑判決を言い渡されたり、退役して民間軍事会社に就職、月面都市で暮らしたり、オーストラリア方面に逃げてジオン残党に装備を売る武器商人及び傭兵になる、火星に逃げてジオンのゴタゴタに介入したりと実に様々。
ジャミトフはとある目的を遂行するために
ティターンズを組織したのだが、シロッコが断片的に語ったのみでその真実がTV版や劇場版で明確に語られてはいない。
また、ジャミトフは
ラプラスの箱を探していたようだが…。
正式名称「連邦軍対破壊工作特殊捜査旅団」。連邦宇宙軍による対テロリスト専門部隊であり、軍警察としての機能も持っている。
創設者一族のツルギ家の影響が非常に強く、ツルギ家が日系人の一族であることからメンバーには日本文化に影響を受けた者が多い。シン・フェデラルとの抗争の後に衰退した。
0085年に設立された、連邦軍のMSの戦闘技術の開発や研究を担当している特殊なMS部隊。小惑星ペズンに駐留している。
構成員はエリートが選ばれているが地球至上主義や選民意識を持った者が多く、後に連邦が親
エゥーゴになったことに将兵達が反感を抱く。
やがて連邦政府に従う上層部の方針に反発する将兵がペズンで武力蜂起を起こし、「ニューディサイズ」を結成する事件「ニューディサイズの反乱」が勃発した。
一応後年でも同じ系統の組織が活動している。
そして、特殊なガンダム絡みの騒動にまたもや巻き込まれる。
ブライト・ノア大佐を司令とする特定の管轄を持たない独立部隊。
アムロ・レイも所属する。
ティターンズ暴走の反省を受けて、その規模は一個艦隊程度と、あちらと比べてかなり小さい。ただし運用設備については最新鋭機材が配備されている。
危険な武力行使の恐れがある反連邦勢力に対処するために創設され、そのために単なる戦闘部隊ではなくコロニーに対して独立捜査権を与えられているが、設立当初から
ティターンズの再来として警戒されており、結局シャアの行方を掴む事は出来なかった。ジョン・バウアーなる良識的な兵站担当の参謀の後押しで創設された。
前述したロンド・ベルの独立捜査権はシャアの反乱では身を結ばなかったが後に意外な形で結果を出すことになる。
Earth,COlony and ASteroidbeltの略。「地球・コロニー・小惑星帯」、転じて「活動場所を選ばず」の意味。
参謀本部直轄の特殊部隊であり、文字通り地球圏のあらゆる領域を活動範囲とする。
マン・ハンターという蔑称もあるが、前述の警察組織とは全く別系統の組織で特に関係ない。
汚れ仕事をさせられた結果、忌み嫌われているマン・ハンター呼ばわりされている。
【その他関連組織】
Federation Survey Service。
地球連邦軍の外郭団体。
一年戦争終結後、ジオン脅威のメカニズムの調査を目的に設置された兵器群調査委員会を母体とする。
デラーズ紛争の記録抹消に反発したカネサダ・ツルギによって設立された反連邦組織。
反連邦組織ではあるが、デラーズ紛争における連邦軍関係者や教導団ネメシスに所属していた者が参加しており、後述のエゥーゴのように連邦宇宙軍の軍閥という扱いである。
サイド1やアナハイムといった勢力と関係性を築いて拡大し、ティターンズやBGSTと対立した。
最終的に対立するBGSTのスポンサーでもあった連邦欧州商工会議長のリチャード・グレイソンによる事実上の組織の乗っ取りが行われた末に壊滅する。
軍人でありながら連邦議会議員の資格も持つブレックス・フォーラ准将が率いる、反
ティターンズの連邦軍人や
ジオン公国軍の残党を中心に構成している反連邦組織。
反連邦組織という体裁なので勘違いしやすいが、一応は地球連邦軍内の一派閥、もしくは結社という組織。
グリプス戦役で
ティターンズを反連邦組織扱いに追い込んで勝利し、戦後の連邦軍の主導権を握った。
しかし、その勝利と引き換えに指導者層の消失で組織としては大きく弱体化し、最終的にはロンド・ベル隊への発展や過激派のジオン系構成員の離脱などで消滅した。
軍閥ではあるが政治家も参加していたようで、エンゲイスト・ロナは
エゥーゴ派のサイド2議員として頭角を現した。
ザンスカール戦争後の
宇宙戦国時代の最中に頭角を現し始めた連邦軍内の軍閥。
サイド1に存在する宇宙要塞「ティターノ・マキア」を拠点に地球圏の治安維持を掲げて活動しており、
ティターンズの末裔を自称する。
独自開発したMSを保有しているが、その内情は時代遅れな
ティターンズ製MSの改修品や既存の主力量産機の劣化品が大半で
宇宙戦国時代激化の悪影響を受けている。
地球連邦政府内に存在する警察機構。
地球に滞在する不法居住者の摘発を行っており、その理念だけならば間違ってもいないのだが、多くの人間を無差別的に拉致し、遊び半分で人を殺害する行為すらも厭わないことから多数の被害者を生み出し続けた。
宇宙世紀100年代後半には後継的組織「
マハ」が設立されている。
シャア・アズナブルを慕うグループが立ち上げた、ジオンの名前やシャアの思想を利用する組織。
宇宙世紀0100年代後半から反連邦政府組織としてマハと対立しており、後にシャアのクローンとされるアフランシ・シャアを組織に迎える。
マハの勢力拡大に不信感を抱いた連邦政府と長年の活動やアフランシへの失望から疲弊した上層部の利害が一致し、連邦政府はアフランシの抹殺や軍事力の吸収を条件にメタトロンを連邦軍の傘下に迎えることになった。
【連邦軍のモビルスーツ】
一年戦争序盤までは
宇宙戦艦と
戦闘機を主体とする艦隊を主力戦力としていた。
ただしジオンからの亡命者や諜報活動によりジオンがモビルスーツという人型の兵器を運用しているということ自体は掴んでおり
それにどう対抗するか、同じものを作れるのかという研究自体は
一年戦争の前から行なっていた模様。
開戦でジオン公国の開発したモビルスーツと、電子兵装を使用不可能に陥らせる
ミノフスキー粒子の効果を体感してその研究を加速させたために連邦軍の戦術と兵器体系はMSを主体に塗り替えられた。
ただ、星の屑作戦が引き起こされるまで、宇宙軍内ではMSではなく戦艦中心の編成が未だ主流だったようである。
「MS運用を前提とした巡洋艦」アレキサンドリア級重巡の開発も「星の屑作戦」前の時期から行われており、「戦艦・空母・MSの三種類の兵科を組み合わせた艦隊思想」を理想とした説もある。
その後勃興した
ティターンズはアナハイムや旧ジオン系企業を締め出した独自のMS開発を推進。
ガンダムMk-Ⅱのほか、ジム・クゥエルを起点とした兵器体系であるTR計画においても数々の成果を挙げた。
え?最終成果のTR-6が他の機体共々火星で量産された挙げ句にジオンの内輪揉めに使われてるって?
ティターンズ壊滅後のMS開発はAE社に殆ど依存しており、本来はエゥーゴへ供給するためのMS開発プロジェクトとして立案されたZ計画の系列機は、第一次
ネオ・ジオン戦争以降、連邦軍の戦力として運用され、更にその発展機も連邦の主戦力として供給される。
また、0100年という節目のため、連邦軍はドゴス・ギア級2番艦「ゼネラル・レビル」を象徴として再編計画を進め、再編の要となるフラグシップMS開発計画「UC計画」をAE社に委託した。こいつらいつも再編してんな。
しかし、大型化と複雑化が進むMSとそれに伴う整備費の高騰から、連邦軍は次期主力MSに不安を覚え、これに対して海軍戦略研究所、通称サナリィがモビルスーツの小型化を提案。
これを受けてAE社により
ヘビーガンが生み出され一応は採用されるも、連邦もサナリィも満足させられない程度のMSであったため、
サナリィは
フォーミュラ計画を始動させ、小型化された高性能機
F90を開発する一方、AE社は挽回のため
ヴェイガン製と言われた方がしっくりくるデザインの
MSA-0120をお出しするが、コンペでサナリィに負ける。
以後、サナリィはF91などの傑作機を連邦軍に供給していくが、アナハイム社との"付きあい"が深い連邦高官の意向もあってアナハイム製のMSも採用され続けた。
0119年には、ヘビーガンの後継機の
ジェムズガンが連邦軍の主力MSとして採用され、宇宙仕様である
ジャベリン共々、30年後のザンスカール戦争でも使われているが、精強なザンスカール軍の前では流石に心もとない性能と言わざるを得なかった。
クロボンに出てきた量産型F91と133式ボールどこ行った
ザンスカール戦争以後の
宇宙戦国時代では流石の連邦軍も地球圏の混乱に巻き込まれ、
ジェムズガンをデチューンして使わざるを得ない状況にまで落ちぶれるも、過去の蓄積による豊富なデータや連邦軍の復権に意欲的な人物の意向もあり、最終的には一度途絶えてしまった様々な最先端技術の再現が可能な程度にまで回復している。
【連邦軍と財政難】
一年戦争では緒戦で大打撃を受けるも、すぐさま対抗策としてガンダムやジムをロールアウトし、壊滅した宇宙艦隊もジムの大量生産と合わせてあっという間に再建した地球連邦軍。
戦後も続々と新型機を開発・投入していることから資金は潤沢と思いきや、実際の所は結構な財政難である事が明かされている。
例えば旧ジオン軍のMSを接収しカスタマイズを施した上で運用したり、
ガルバルディβのように再設計して量産が行われていたりする。
それでも新型機の配備は進められているが、
ジオン残党軍との戦いの前線であった宇宙軍に比べて、地上軍への配備(特に重要拠点でない箇所)は遅れ気味。
例えば
グリプス戦役の頃はジャブローでは未だに
ジム・スナイパーカスタム等の旧式機やセイバーフィッシュ等の航空機が現役であり、0091年頃の地上の後方支援隊ではジム改が現役で稼働しているし、ラプラス事変の頃のトリントン基地には、
グリプス戦役の機体であるジムⅡやネモ、
ガンキャノン・ディテクター、果ては一年戦争のアクア・ジムや
ガンタンクⅡが未だに主力機として配備されていた。一部にはリジーナやセイバーフィッシュ、プチモビやホバートラックみたいな骨董品レベルの物まで使われていた。
0100年以降の小型モビルスーツ導入の方針も、そもそもはモビルスーツ含めた軍の運用コストの削減の為。
しかし破滅主義的な勢力は当然として、そんな事もわからない敵対勢力やよりにもよって環境指向を標榜する勢力ですら昔から地球環境を汚染するような作戦ばかり取るものなので、時代が進むにつれて連邦軍・連邦政府はますます財政難に苦しんでいったと思われる。
ただし財政難である一方で兵士達に対しての福利厚生はしっかりしているらしく、兵士たちがジャブローに訪れた際にはできる限り面談をしたり、ルナツーに入港する軍艦にはレクリエーションサービス班が用意されたりと、いろいろと気を揉んでいた。
特に
食事に関しては十分な量が供給されていたらしく、
とある人物は「少なくとも前線で飢えた事はない」と証言したり、戦艦が避難民を乗せて尚且つ敵の攻撃を受けるまで、流石に平時より量は減らされていたようだが食材に不足しなかったという
話も存在している。
また
とある基地では「人参は要らない」と好き嫌いする
士官に
逆に大量にふるまったという事実すらある。この士官は後にも人参チャレンジを行っている。
笑い話ではあるがこの事を考えると一人に決められた食事量以上を与えられる余裕があるという証拠とも言える。
他、極東方面と言った激戦地に置いても食事の配給は忘れずに行われていた形跡もある。
ただし味に関しての感想は不思議な程無いのでもしかしたら本当に「飢えないだけ」だったのかもしれないが、少なくとも
ブライト・ノアは
ハンバーガーを気に入っておりしょっちゅう食べていた。
後に、こういった兵站面に関してはレビルの盟友であった
ゴップの働きが大きかった事が語られている。
他にも人員に余裕があるためか作戦においても大規模な人員投入や入念な整備、相談が行われている節がある。
面白い描写として「機動戦士ガンダム外伝 コロニーの落ちた地で…」に登場する特殊部隊であるホワイトディンゴ隊は、隊長のレイヤーが「我々は24時間いつでも出撃可能がモットー」という覚悟はありながらも、夜中に叩き起こされて任務に就くことは稀と説明されている。
要するに各部隊の穴埋めの為にオーストラリアを転々とする彼らにもよほどの事がない限り十分な休息を取らせていることを考えると、案外ホワイトなのかもしれない。
時系列を追えばわかるがホワイト・ディンゴの設立準備や訓練期間を抜いた「実戦」は40日程度で終戦を迎えており、当該発言も約1ヶ月後のことなので夜中に突然起こされる事態が1ヶ月に複数なかったというのは理解できる範囲である。
また小説版FGとこの「コロ落ち」では、一般的な連邦軍ではMS一機につきパイロットが最低三人は用意され、ローテーションを組んで24時間体制を維持する旨の記述がある。
アムロやレイヤーたちはいずれも特殊部隊なので一機につき一人という変則的・過労気味な状態になっているが、本来はそれぐらいが基準とのこと。
しかし同作や小説版「ジオニックフロント」の中でもジオン側では「MS一機につきパイロット一人」というのが一般的であり、少なくとも「疲労の分散」と言う点では連邦側はより重視していたようだ。
ちなみにジオン側の同じオースラリア方面軍のエースパイロット「ヴィッシュ・ドナヒュー」は休みもなくオーストラリア全土に派遣されていることを愚痴っているシーンがあり「人手に余裕のある勢力と余裕のない勢力の対比」とも見て取れる。
【連邦vsジオン】
サイド3の独立以来、連邦はジオン公国とその後継を名乗る残党組織、
そして近年の作品では継承国家であるジオン共和国との関係性に悩まされてきた。
特に国父でありジオニズムの提唱者でもある
ジオン・ズム・ダイクンに対しては、かなり初期からマークしていたようで、『
ギレン暗殺計画』によれば、彼のサイド3移住を妨害した記録が残っている。
後に首相に就任したダイクンにより、0058年にサイド3は連邦から独立。国防隊を発足させる。連邦は経済制裁を課す一方で、宇宙軍の拡充に注力した。
そして、ダイクンが突然病死した事で、ジオニズム思想はザビ家の手によって過激化。
0069年に彼の跡を継いだ
デギン・ソド・ザビによって、サイド3は彼を公王として戴くジオン公国となり、軍国主義化を推進。
そして0079年、遂に地球連邦とジオン公国間で人類史上最大規模の戦争が引き起こされる。
その勝者こそ連邦であったものの、地球もコロニーも壊滅的被害を受けた連邦を尻目に、サイド3は本国も全力も残した状態だった。結局、連邦は彼らにジオン共和国として自治権を残して併合を見送る。
一方、多額の戦時国債を抱えた共和国はジオニックなどの国営企業をアナハイムや連邦に売り払い、その売却益でいち早く復興を成し遂げる。
だが、コロニー落としと各サイドの蹂躙を思えば、ここまで温情を見せたにもかかわらず、公国軍の多数の部隊は共和国への恭順を認めず、地球圏内外のあらゆる領域へ逃亡。以後、連邦はこの残党に苦しめられる。
だが、
ティターンズが壊滅すると、あんなに残党狩りに血道を挙げていた連邦は、
ネオ・ジオンにダカールを占拠されるとハマーンにサイド3を譲渡するなど、唐突に宥和政策へ傾く。しかも、またコロニー落とされてるし…。
その後は5thルナを地球へ落とされたにもかかわらず、シャアを筆頭とする
新生ネオ・ジオンにアクシズを売り渡し、酷い目に遭っている。
だが、ラプラス事変に係るゴタゴタではジオン絶対殺すマンとしての側面を全力で押し出し、
袖付きはおろか、最終的にはコロニーレーザーで、ビスト財団とアナハイムが所有する民間のコロニービルダーであるメガラニカを消滅させようとする暴挙に出る。
連邦は上述のとおり人類統一国家として、分断を生むジオニズムを看過することは出来ないのだが、それ以上に、
とある秘密から、ジオンとニュータイプを絶対に肯定できない理由があるらしい。
その後は不死鳥狩りに際して、
袖付きに偽装したジオン共和国軍という本丸とも交戦するのだが、その真実を認識していたのかは不明である。
なお、連邦はサイド3との境界を国境線として認識しており、ジオン共和国を外国として認めている。
その後、0100年にジオン共和国の自治権返上がなされた後は、火星に潜伏していた最後のジオン残党
オールズモビルを鎮圧し、遂に対ジオン戦争は終わりを見せる。
【ガンダム神話】
なお、連邦上層部は自軍の象徴であるガンダムタイプが、ニュータイプ能力を最も顕現していた事実を否定するため、ロンド・ベル発足時にはZガンダムやZZガンダムを隠匿。
CCA時点のZやZZはアムロの趣味に合わず、「前線での運用には耐えられない」ため、
リ・ガズィが配備されるまで
ディジェを乗り回していたが、
νガンダムが引き起こしたアクシズショックが発生。
妄執じみたニュータイプ根絶とガンダム神話が結実した
UC計画が立案されるのであった。
その後、ガンダムタイプの存在は忘れられていたらしいが、
F91のデザインはガンダム顔が採用され、
ヴィクトリーガンダムは抵抗運動の象徴となるよう「ガンダム」として造られた。
だが、連邦はともかく、作品世界にとって「ガンダム」とは何だったのか。それは
Ξガンダムを見た
ブライト・ノアの台詞に集約されていると思われる。
「そうでもないさ。歴代のガンダムは、連邦軍にいても、いつも反骨精神をもった者がのっていたな。そして、ガンダムの最後は、いつもこうだ。首がなくなったり、機体が焼かれたり、バラバラになったり……。しかし、反骨精神は、ガンダムがなくなったあとでも、健在だったものだ」
じゃあ教えてくれよ、この仕組みの深さを追記・修正する方法を…!
最終更新:2025年04月18日 07:43