登録日:2012/11/17 Sat 10:31:18
更新日:2024/11/13 Wed 21:54:41
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◆巨神兵とは
かつて火の7日間と呼ばれる災厄をもたらし、当時の文明を崩壊させた最強最悪の存在である。
人の形をしているが、かなりの巨体を持つ。
作中で化石と化した遺骸が砂漠に転がっているのが序盤から確認できる他、
回想シーンで光の
槍のようなものを持つシーンが存在した。
作中では工業都市ペジテの地下にて起動させる前の形で発掘され、世界の崩壊を恐れた街の住人が封印しようとしたが、
トルメキア帝国が確保しようとしたことで物語の始まりに繋がる。
トルメキアがペジテから強奪し、大型母船に乗せて本国へと送ろうとしたが、重量がありすぎて腐海に落ちてしまう。
この際に虫を潰してしまったようで、なんとか再離陸を行うも、大型母船は無数の虫にたかられてしまい、操縦系統を損傷。最終的に「風の谷」に墜落してしまった。
トルメキア本国は一報を受けて(恐らく大型母船からの通信を受けたか、連絡用の護衛艦がいたのだろう)、クシャナ殿下に回収部隊を率いさせて「風の谷」に向かわせるが、
現地に到着したクシャナは「空輸は不可能」と断定、現地で培養が始まった。
……というのは口実で、要は彼女は巨神兵の力を自分のものにするつもりである。
とはいえ、現に大型船でも運びきれなかった大質量なので、彼女の言にも一理あったが(墜落した大型船よりも大きな船を回収部隊は用意していないので、また空輸しても墜落するのがオチである)。
発見時点では卵のような状態であり、ストーリーのほとんどでは培養タンク(?)の中でうごめくだけだった。
ただまるで機械に肉片が融合した、もしくは肉片が機械に融合している不気味な装置に囲まれた存在感は異様であり、
繭(胎盤?)と思わしき中にいる時点で意思のようなものは見せており、話しかけた参謀のクロトワに反応したのか見つめて目を細めるシーンもある。
「笑ってやがる。てめえなんざ、この世の終わりまで地下で眠ってりゃアよかったんだ」
物語終盤、ペジテの報復で王蟲の群れが風の谷に殺到したため、その襲来を退けるべく不完全な状態で起動させられる。
しかし回想シーンのような二足歩行は一切できず、這いつくばったまま歩くという異様な姿であった。
しかも表皮は泥のように波打っていたうえ、丘の上から現れた際には下半身がいきなり崩れ落ちる。
雑兵たちは突然の援軍に歓呼していたが、クロトワは最初からいぶかしんでおり、下半身が崩れた際にすべてを悟る。
未完成のまま起動させられた巨神兵は、全身が
腐乱していたのだ。
それでも、クシャナ殿下の指示が飛ぶと、それに呼応するかごとく口から強烈なプロトンビームを放つ。
その一撃は巨大な閃光と爆炎を引き起こし、王蟲の群れを吹き飛ばす。
その威力は遥か彼方の着弾にもかかわらず暴風が自分たちの場所まで及ぶ規模であり、
クロトワも「世界が燃えちまうわけだ」と、当事者でもないのに「火の七日間」が事実であったと悟るほどだった……
が、一薙射では王蟲の群れを消し去るには至らない。
クシャナはさらに連射を命じるが、巨神兵は射撃をためらうそぶりを見せる。いや、一発目の時点でもすぐには撃たなかった。
重ねて放たれた指令に従い、二発目のビームを放つ巨神兵……だが、その二発目は明らかに、一発目に比べて威力が無さすぎた。
それどころか巨神兵は、二発目の発射と同時に皮膚がただれ落ちて頭蓋骨がむき出しとなり、さらにそのまま全身の肉も融解・液状化して地面に落ちていく。
やや遅れて骨も崩れ、腐臭を立ち昇らせて完全に朽ち果ててしまった。
不完全なままの肉体では、巨神兵の肉体もプロトンビームの反動に耐えられなかったのである。
その後、王蟲の群れは風の谷に殺到するが、巨神兵の骸はなぜか彼ら自然の猛威にも避けられていた。
※このシーンは
銀魂のアニメ(タマ菌の回)でパロディにされた。
スタジオジブリは絶賛してくれたらしい。
チョイ役で終わった映画版と違い、今回はほとんど完全体で復活する。
物語序盤で、ペジテの地下に埋まっていた巨神兵の骨格。
その側にあった箱の中の『石』をはめかえると…数日後、肉がついていた。そう、箱は胎盤であり、石はその鍵だったのだ。
その後ペジテを襲ったトルメキア軍の手を経て土鬼が『人工子宮』に入れて育てていた。
終盤で巨神兵が入っていた『子宮』が燃やされ目覚めた巨神兵は、復活のトリガーとなる『石』を持っていたナウシカを母親と認識し、彼女の言葉に従う。
復活直後はまさに生まれたての子供のような無邪気な言動が見えたが、ナウシカに息子として認められ『オーマ』という名前を与えられると急激に知能が進化。
ちなみにオーマとは古エフタル語で『無垢』。
人類の存在の是非を問う『裁定者』として目覚める。
凍えるナウシカのために光を作って温めてあげたり、ナウシカのために一生懸命になったりと、
根は素直で優しい良い子。
ナウシカに「古代文字」と言われ、陰影だけで描かれているので一見謎の文字に見えるが、よく見ると
漢字
で
歯に『東亞工廠』と書いてあるのが確認できる。そのことから生体メカと思われる。
どこぞの東亜重工とは関係ない。
※しかし、彼の体から発せられる『光』は生物には非常に毒であり、光を浴び続けたテトは死に、ナウシカは死にかけた。
ほとんど完全体のため映画版以上の能力を持っており、馴染みのビーム以外に
- テレパシーで会話
- 見た映像を他人に送信
- 光輪を背負って音速で飛行
と規格外な能力を披露する。流石は悪魔・・・。
しかし、『子宮』から早く出てしまったせいで肉体は完全ではなく、時がたつにつれ、徐々に朽ちていった…。
そもそもかつての巨神兵達がそうであったように、とっくの昔に本来の役目を終えた彼にもまた遅かれ早かれ死が「訪れさせられる」宿命にあった。
終盤、シュワの墓場の入り口を一撃で破壊したあと反撃を喰らい、死亡したと思われたが、ナウシカの『墓場の主を破壊しろ』という命を聞き、奮起。
下半身が引きちぎれながらも墓場の外壁から無理やり侵入し、主を破壊した。
だが、そこでついに身体が限界を超えてしまい、そのまま死んでしまう。
最期のナウシカとのやりとりはとても切ない……。
【余談】
劇場版において巨神兵がプロトンビームを発射しながら崩壊するシーンは、
庵野秀明が原画を担当した。
宮崎駿が描いた初期の絵コンテの段階では完全復活した巨神兵と王蟲が激突するシーンが存在したが、尺に間に合わないということで間に合わせるために絵コンテを描き直したという。
BD版『風の谷のナウシカ』の完成披露発表会において、スタジオジブリの鈴木敏夫は「
エヴァンゲリオンは巨神兵だ!!と今気付きました」「何十年たった今でも人間って同じことやるんですね。恐ろしい(笑)。だからお墓には巨神兵って書いときましょう」と発言した。このソフトには映像特典として、鈴木と庵野の対談「ナウシカとエヴァンゲリオン!巨神兵の行方は?」が収録されている。
2012年には、イベント「特撮博物館」開催にあたってその
庵野秀明自らの手で映像化。
「
巨神兵東京に現わる」というタイトルで、イベント会場にて上映された。
追記・修正は『石』を持つ巨神兵の親の方、お願いします。
- オーマはかわいそうだな..、根がいい子な分。読んでて虐待されてる子供みたいに感じた。 -- 名無しさん (2013-09-07 08:52:09)
- 『東亞工廠』から察するにメイドインジャパン。日本怖えー。 -- 名無しさん (2013-09-15 00:21:15)
- ↑2でもナウシカはオーマの事を理解して愛していただろう?オーマにとってはそれだけで充分だっただろうさ。 -- 名無しさん (2013-09-15 08:13:08)
- ナウシカにおいて造られた命がどれだけ悲惨なモノか端的に示した存在といえる -- 名無しさん (2013-09-15 13:02:56)
- 生物とメカニックが合体したような感じだっけ? そりゃあエヴァだな。 -- 名無しさん (2013-09-15 13:24:42)
- 殿下「これがわたしの巨神兵だ!フハハハ!」 -- 名無し (2013-12-27 22:20:18)
- 来世があるのなら、オーマは本当子供として -- 閲覧者 (2014-02-22 03:25:12)
- 俺の股間の巨神兵にもやさしくして下さい -- 名無しさん (2014-06-04 11:30:58)
- ↑おうその粗末な虫笛しまえや -- 名無しさん (2014-06-04 12:50:57)
- ↑×2 世界で最も短小な一族の末裔乙 -- 名無しさん (2014-06-04 13:02:04)
- 原作ではテト死んだのね。。。><。。。 -- 名無しさん (2014-06-04 13:29:02)
- 白石晃士の「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!史上最恐の劇場版」では名前と発音が似た「鬼神兵」という巨人型兵器が登場。こちらは「巨神兵東京に現る」の巨神兵がモデルらしくシンプルなのっぺらぼうの黒い巨人。 -- 名無しさん (2014-08-29 23:04:02)
- 「巨神兵東京に現る」が火の7日間なのかな? -- 名無しさん (2014-08-29 23:09:12)
- ↑×6 それじゃ、とことん喜ばせてやらないとな… -- 名無しさん (2014-08-30 08:28:59)
- ↑7 グチャッ 「あ・・・見えなくて踏み潰してしまった。」 -- 名無しさん (2014-08-30 10:48:20)
- このコメ欄、腐ってやがる・・・ -- 名無しさん (2014-08-30 11:34:39)
- コメントするのが早すぎたんだ -- 名無しさん (2014-08-30 11:38:14)
- 柳田理科雄がラピュタvs巨神兵軍団ってのをシミュレートしてたな。うまくやれば地上の2パーセントくらいを灰にしてラピュタが勝つそうな -- 名無しさん (2014-08-30 11:52:15)
- 原作を読み終わる頃には、ナウシカより巨神兵の方が愛しくなったのは自分だけじゃないはず。健気すぎんよオーマ。 -- 名無しさん (2014-11-30 06:15:11)
- 東京に現るではとんでもない大きさだったな。800mくらい? -- 名無しさん (2014-11-30 10:55:25)
- 世界が燃えちまう訳だぜ…。 -- 名無しさん (2014-11-30 11:18:46)
- 巨神兵東京に現るで「巨神兵…宮崎駿」になってたけど、まさか中に入ってたわけじゃないよな… -- 名無しさん (2014-11-30 11:23:51)
- 確か操演のはず -- 名無しさん (2014-11-30 13:46:02)
- 確か巨神兵って、生殖器みたいなのがあったんじゃないか? -- 名無しさん (2015-04-01 21:16:28)
- 今更ながら「東京に現る」見たが、感激と驚愕と恐怖で涙出たよ。オーマとは真逆で恐怖100%だったが、むしろあれが巨神兵の本来の姿なんだろう -- 名無しさん (2015-07-20 22:50:14)
- 注意して読むとわかるが「東京に現る」で破壊のシーンと共に流れる黒画面の字幕は聖書の創世記の神が七日間で世界を作った一文の真逆になってるんだよな。 -- 名無しさん (2015-10-25 01:17:24)
- ↑最初のコメントの方へ、ナウシカもオーマに愛情を示していましたよ。名前を与えているし、オーマの最期に告げた言葉も流した涙も本物ですよ。 -- 香奈芽 (2016-02-06 13:52:04)
- ↑4 厳格な裁定者に生殖能力なんか持たすかね -- 名無しさん (2016-05-13 14:32:07)
- ↑ 旧約聖書の天使でも人間との間に子ども作ってるので超越者でも生殖能力持ってるのは大昔からいる。もしくは生殖能力なくて外観だけで、神の姿を模して両性具有にしたのかもしれない -- 名無しさん (2017-09-05 09:21:12)
- ↑6生殖器はある、ただし人間のとは違って男根と子宮に当たるものが一体化していてそこから生体細胞を生成する一種の自己再生器官として機能している。ってやつだったはず。 -- 名無しさん (2018-05-20 20:04:39)
- 巨神兵が完成体なら多分王蟲の軍勢に勝利できたんだろうな 単体で全盛期WTOに匹敵する火力を持ってそうだし -- 名無しさん (2019-01-04 23:17:37)
- 完全覚醒の巨神兵とマジンガーZ(ニューZ強化後、パイロットはもちろん兜甲児)が戦ったらどうなるだろうか。裁定者たる巨神兵を劇場版マジンガーZ / INFINITYで「この世界に存在する価値はあるか?」と問うたDr.ヘルを、甲児は重ねつつも立ち向かうか。神つながりで『7つの魔神パワーを持つマジンガーZERO』だったらどうなるやら…こいつだと本気出せば一体だけで軽く世界を滅ぼせるなぁ -- 名無しさん (2019-01-07 15:04:15)
- 『火の7日間』で登場したコイツらはどうやって死んだんだ?まさか、あの状況で人類側が殲滅した訳でもないだろうし……。 -- 名無しさん (2020-04-19 17:45:05)
- ↑火の7日間が科学文明への裁定だったなら、裁定が完了(文明崩壊)したと判断した時点で自律的に機能停止したんじゃいかな。 -- 名無しさん (2020-04-19 18:00:30)
- 巨神兵の骨格(超硬質セラミック)よりも硬い殻を持つ王蟲が何気に凄いと思う。どうして巨神兵の骨格もこの材質で作られなかったんだろう -- 名無しさん (2020-04-19 19:54:49)
- ↑王蟲も結局は人為的に作られた生物なので「あの世界に存在する物質の中で最強レベルに外殻が硬い」 というのはさほど不思議じゃない。そして突進&蹂躙を攻撃手段とする王蟲に対して、ビームや飛行という強力な能力を持つ巨神兵には そこまで硬い骨格は必要なかったんだろうと思う。 -- 名無しさん (2021-03-08 14:58:39)
- 「火の一週間戦争」とも言えるなw。 -- 名無しさん (2024-04-20 13:31:41)
最終更新:2024年11月13日 21:54