登録日:2012/05/22 Fri 22:11:26
更新日:2025/01/05 Sun 01:54:07
所要時間:約 13 分で読めます
映画『
風の谷のナウシカ』の原作漫画。
作者は宮崎駿。アニメージュで連載されていた。全七巻。
【概要】
スタジオジブリを代表するアニメ映画の原作にあたるが、商業的なダイジェストである映画はそのうち2巻の途中くらいまでの映像化に留められており、該当部分の展開もかなり異なる。
当時の慣習では原作無しのオリジナルアニメの企画を通すのが困難だったことから、
「じゃあ原作を作ればいい」とパヤオが自分で描いたという経緯がある。
このようなやや不純な動機で描かれたものの、当時のパヤオの集大成といえる壮大な大傑作になっている。
しかし、映画に比べるとシリアスで残酷な場面が多く、映画では生き残る登場人物も死んでしまう。
間違っても
トトロや
ポニョ、
あるいは映画版ナウシカの気分で読むのはオススメしない。
映画版と同じく序盤は自然破壊をテーマにしているが、中盤は民族紛争、後半は生命倫理的な話になってくる。
スタジオジブリ設立からラピュタ・トトロ等の製作に時間を割かれてかなりの中断期間を経ている。
その間に起きた
湾岸戦争はパヤオの価値観にかなりの衝撃を与えたらしく、本作終盤に相当な影響があったと後に述べている。
※似たような話は他にもあって、福田己津央も現実の戦争がお茶の間で流れる光景に受けた衝撃が
ガンダムSEEDに繋がったと話している。
あの戦争、何気に本邦の創作文化にすげー足跡を残しているのだ。
【あらすじ】
巨大産業文明が「火の7日間」と呼ばれる戦争によって滅び、大地が荒廃した世界。
瘴気と呼ばれる毒によって汚染された大地は腐海と呼ばれる巨大な菌類の森に呑まれようとしていた。
「火の7日間」から1000年、小国風の谷の族長の娘ナウシカは、古き同盟を果たすためトルメキア王国の戦に招集されていた。
そんなある日、墜落するペジテの船を発見し、残骸から発見したペジテ市の姫ラステルからいまわの際に秘石を託される。
しかしクシャナ率いるトルメキアの親衛隊が秘石を追って風の谷に現れる。
ナウシカは秘石を守るために戦っていく。それが世界の真実を巡る戦いになるとは知らずに…
【主な登場人物】
◆ナウシカ
ご存知主人公兼ヒロイン。
映画版ラストの王蟲の来襲を退けた後も、終わらぬ戦争に自ら身を投じていき、やがて世界の真実にたどり着くことになる。
念話など超常の力を無意識にだが持っている。
また多くの人を引き付けるカリスマ性の持ち主で、クシャナの部隊の兵士や蟲使いたちですらコロッと落としてしまったほど。
性格などは映画版と差異はほぼないが、躊躇なく殺人を行う場面もある。
しかし、漫画版は映画版とは比べものにならない程シビアな世界なため、あれぐらいでないと生きていけないのだろう。
映画版のナウシカが聖母的美しさなら、漫画版は戦乙女といったところか。
折り込みイラストではわりとほのぼのとした姿や落ち着いた表情のイラストも描かれているが、パヤオ的には宣伝のために描かされたものでかなり不満だったらしい。
◆クシャナ
トルメキア帝国第四皇女。通称・殿下。
手段を選ばず世界を変えようとする、ナウシカとはベクトルの違うもう一人の主人公。事実、ナウシカ以外で唯一表紙を飾っている。
映画と違い五体満足。
基本的なキャラクターは同じだが若干道化くさかった映画に対し、本作ではナウシカのifのような位置付けであり、
戦略家としても優秀で彼女の為なら命を投げ出す部下が大勢いるなどカリスマ溢れる人物として描かれている。
それ故に父王や兄たちには自らを脅かす脅威とみなされ、クシャナの連隊は不向きな戦場送りにされるなど冷遇を受けており、彼女自身も何度か死にかけている。
確かな戦績でそれらを跳ね返す気丈な人物だが、少女時代には悲しい過去が…
終盤に近づくにつれ、人間味を失うナウシカに反比例するように人間らしさを取り戻していくため、
「漫画版のヒロインはクシャナ様」と語る親衛隊員は多い。
◆クロトワ
本国からクシャナのサポートに送られた軍参謀で、貧乏な地方出身の平民軍人。
映画同様冴えない野心家なおっさんだが、
実は凄腕のコルベット操縦士だったり、クシャナの謀殺をかわす狡猾な一面を見せたりする。
本国の命でクシャナを
スパイしていたが、
どうせ最終的には殺されるだけだと本国を裏切りクシャナ側についた。
殿下に膝枕してもらったうらやましい奴。
「実質的なヒロイン」という声も。
◆ユパ
腐海一の剣士で風の谷の族長ジルの親友。
やっぱりかっこいい。恐らく白兵戦では作中最強。
30人以上を相手に無双したり離陸直前の船に飛び移るというとんでもない芸当をやらかすスーパーおじいちゃん…と見せて実はまだ45歳。
16歳のナウシカの父が老衰死しているので、全般に老いの進み方が早いのかもしれない。
すごい博識。 七巻では土鬼とトルメキアの戦いを止めるために…
◆ジル
風の谷の族長でナウシカの父。
かつては一流のガンシップ乗りと称えられたほどの男だが、現在は寝たきりとなっている。
ナウシカに族長としての心得を叩き込むなど指導者としてはまだ現役。
ナウシカがトルメキア戦役に出発した後、老衰により死亡。
◆ミト
老いて病気になったために畑仕事から離れ、城の管理や族長の助言者を任された城ジイの筆頭。
ナウシカが若者をつれて戦役に行くことを望まなかったため、彼女の付き人として付き従う。
当初はナウシカの生き様は身を滅ぼすと心配していたが、この戦いで精神的に大きく成長した彼女を認め、最後まで従うと決めた。
ガンシップと共に散々な苦労をするミスター過労死。
最後まで生き残ってはいるが、寿命が近いことが示唆されている。
◆アスベル
工房都市ペジテの王族の息子でラステルの双子の兄。
映画同様ガンシップで暴れまわりクロトワに撃墜されて腐海に落ちたところをナウシカに助けられる。
その後ひょんなことで出会ったユパと共に旅に出るが…
工房都市の息子ということもあって作中では修理要員も担当。
◆王蟲
腐海に住む蟲たちのトップに位置する存在。
非常に堅い甲殻を持ち、念話で会話するなど高い知性を持つ。
しかしなぜか土鬼はこの王蟲すら培養する技術を持っている。
◆
巨神兵(オーマ)
ペジテの地下より発見された古代の生体兵器。
最初は骨格だけの状態だったがペジテのやらかしで不完全ながら再生し、皇兄によって完全に再生された。秘石を持つナウシカに呼応するかのように目覚め、母のように慕う。
当初は生まれたての赤ん坊レベルの知性しか持たなかったが、ナウシカからオーマの名を与えられたことで知性が急速に進化する。
高い火力と空を自在に飛ぶという作中屈指のチート能力を持つが、肉体からは毒の光が発せられており、長時間ともにいると死に至る危険がある。
映画ほどではないが覚醒が早すぎたため、その身は生まれながらに腐っており、最後はナウシカの呼びかけに応じて死力を尽くして力を使い息絶えた。
◆僧正
土鬼(ドルク)に属するマニ族の族長。
すでに盲目であり卓越した念話(テレパシーのようなもの)の使い手。
原作での映画の大ババ様ポジ。
敵を滅ぼすために王蟲を使い、味方諸共滅ぼす生命を弄ぶような作戦に反対している。
最後はナウシカに希望を見いだし、本国からやってきた皇弟に逆らって命を落とす。
その後はナウシカの守護霊になっている。
◆皇弟ミラルパ
土鬼の支配者。念話や読心、幽体離脱などの異能の力を持つ。
若い頃は慈悲深い名君で今でも本人なりに国民の事を考えているが内容は完全な恐怖政治。一方で部下からは結構慕われている。
すでに悠久の年月を生きているが、クローン技術を恐れて(安全な技術ではなく彼の父は目の前で血を噴き出しながら死亡した)延命医療のみで生きながらえている。
土着の教えである「青き衣の者」を恐れ、彼女がその者に違いないとナウシカを危険視し、その命を付け狙う哀しき宿業の男。
死してなお彼女を
ストーカーする元祖カオナシ。
◆皇兄ナムリス
皇弟の兄。異能の力が無いために実権を握れずにいたが、クーデターを起こして弟を謀殺し実権を奪い取る。
異能の力こそないがクローン技術などを用いて永遠に近い年月を生きられる不死身の身体を手に入れている。
人を信頼しておらず、部下としてヒドラと呼ばれる人造生命体を連れている。
◆チヤルカ
土鬼の叩き上げ僧兵の将軍。「チャルカ」と表記されることもあるが正しくは「チヤルカ」。
ミラルパには心からの忠誠を誓うが、一方でミラルパに諫言したり、公に知られれば吊るし上げられかねない、弾圧された古い宗教にまつわる逸話を口走った老人を言い咎めるだけで済ませたりするなど人々や国土第一の姿勢を貫く良識派。
ナウシカと知り合うにつれて彼女の言葉に心を動かされ、土鬼の人々と接点を持たないナウシカを助けるようになる。
◆チクク
ナウシカが砂漠のオアシスにあった、僧会に弾圧されて時代の影に潜った古代密教の僧院で出会った少年僧。
まだ幼い子供でありながら念話や読心を得意とする。武器は吹き矢。
人との交流がさほどなかったためかしばしば爆弾発言をしてしまいチヤルカを慌てさせる。
終盤にてかつて土鬼によって滅ばされた土着の国家クワバルカ王家の末裔を名乗っている。
◆ケチャ
土鬼に属するビダ族の娘。かなり気の強い性格。
僧正の部隊に所属していたが、騒ぎに巻き込まれてユパやアスベルと行動を共にする。
家族を奪ったトルメキアを憎んでいる。
最終的に、漫画版におけるアスベルの伴侶となる。
◆セルム
腐海に住み、蟲や粘菌生物と共存して生きる森の人の代表者。セライネという妹がいる。
腐海の真実を知る者であり、腐海に取り込まれて自我を失ったナウシカを救うべく尽力する。
◆蟲使い
腐海に入り、蟲を捕まえて使役する者達。自らの帰るべき国を大海嘯で滅ぼした愚かな武器商人の末裔と言われている。
不衛生な生活習慣や、死人の身体を漁って金品を奪う行為から、この世界の人々からは最低辺扱いで嫌われている。
森の人を異常なまでに崇拝する。
◆ヴ王
トルメキアの王でクシャナの父。
肉の塊と見紛う肥満体のジジイだが、冷酷で強情で豪胆で王としての器は確かな人物。一人称「朕」。
ある巡り合わせでナウシカと共に世界の真実にふれることになる。
そっくりなピザな息子が三人いるが、彼やクシャナほどの王者としての器はない。
道化として醜い小男を連れている。
◆庭の主
旧世界の芸術や動植物が保存されている「庭」の主。ケストというヤギのような動物を従者にしている。
1000年以上を生きてきた人工生命体で、あらゆる言語を話し、強力な超常の力を操る。
腐海による世界の浄化が終わった時、「庭」を解放する役目を持っている。
またシュワの墓所に至る道の番人も兼ねており、シュワを目指して迷い込んできた者の心を探って深層心理で求めているものを提供し、
安らぎを与え庭に閉じ込めてしまう役目も持っている(ヴ王の息子たちも父に抑圧されず旧世界の音楽を楽しむ環境を与えられたことで庭に取り込まれてしまった)。
庭を出ようとするナウシカを止めることはせず、ナウシカを見送り荷物をケストに送らせた。
◆墓所の主
ラスボス。
世界の復興を目的に、旧世界の人間により創造された浄化の神。
土鬼の聖都・シュワに存在する旧世界の墓所、その最深部に配置されている肉塊。
腐海や庭の主、旧世界の超技術を欲する人々を利用する事で、世界を司ってきた。
【メカニック】
おなじみナウシカのトレードマークとも言えるグライダー。
ナウシカ曰く乗り物としては特に珍しくはないものらしいが、
風の谷では風を読みメーヴェを使いこなす者を「風の和子」と呼び、大変喜ばしいこととしている。
トルメキアや土鬼では「エフタルの民の使う凧」として認識されている。
銃口みたいな機首が特徴の戦闘機。
建造されてから100年になるが、エンジンを作る技術が失われたこの世界では貴重な航空戦力であり、
辺境の小さな村にすぎない風の谷が独立国家としての体裁を保てたのも有事の際にガンシップを戦力として貸し出すことを約束していたため。
度々ズタボロにされるが王蟲の皮を装甲材として用いているため致命傷を受けることはなく、修理して使われてはズタボロになるこの作品屈指の過労死。
ついには最終決戦でシュワの墓所に墜落、墓の崩壊に巻き込まれる形で大破した。
なお、風の谷の城の地下には壊れたガンシップが幾つも放棄されている。
風の谷のガンシップに曳航される輸送用グライダーで動力を持たない
トルメキアの戦闘艇。
ガンシップより大型だが、卓越した操縦士が使えばガンシップに匹敵する高機動戦闘も可能。
反面、装甲は大したものではないらしく、機銃で蜂の巣になったりしている(それでも飛び続けられるくらいの信頼性はあるが)。
王族用に大型化した重コルベットも存在する。
トルメキアの戦闘艇。コルベットを小型スリム化したような機体
将軍級の連絡艇などに使われているようである。クシャナ達が奪取し一時的に使用した
トルメキアの戦闘艇。先尾翼機という他とは違う特異な見た目
対地攻撃用の機体と思われるが登場が僅かなので詳細不明
トルメキアの大型
飛行艇。
やはり映画同様、図体がでかいばかりのデクの棒であり漫画でもいいところがなく蟲に襲われては墜落したり大破したり。
土鬼の空中戦艦
機動力こそトルメキアの各機体に劣るものの多数の砲門を備えており火力は圧倒的。一方で船体は木製と思われ防御力はバカガラスにも劣る。輸送艦も兼ねており部族ごと移動する用途にも用いられる。一般艦の他に大型の旗艦が存在し、こちらは専用の連絡艇を搭載している
土鬼の3,4人乗りの小型艦載艇。映画版ではペジテが使用
瓶のような見た目だが性能はなかなかで様々な用途に使われる
【専門用語】
作中に何回か登場する歴史書。腐海文書などが該当する。
火の7日間直前まで存在した非常に高度な文明の概要や大海嘯などの腐海に関する歴史を伝える。
最終的に、本編で起こった出来事も多くが年代記に記されたようである。
産業革命から数百年間発展し続けた人類が劇的に衰退する原因となった、人類史上最大の戦争。
調停者として人間が創り出した神である巨神兵が世界を焼き尽くし、地表の殆どを汚染された不毛な大地と変えた。
星の海を航る船やエンジンの建造法、生命改変などの奇跡の技が失われた。
巨神兵が化石と化した後、生き残ったわずかな人類が誕生した腐海のほとりに暮らすようになった。
映画版では冒頭のタペストリー&映像でその様子が伝えられるが、こちらでは単行本の裏表紙に一枚絵が掲載されるのみとなっている。
腐海に隣接する小国のこと。
大海嘯を免れた土地にエフタルの民が建てた国々の総称。
辺境諸民とくくられるが、多くがトルメキア王国と同盟を結び帰従している。
塩の海の近くに位置する小さな辺境国家。
風のおかげで腐海の毒から守られている。
武力で世界を支配する国家。
後にトルメキア戦役と呼ばれる戦争を起こし、土鬼へ侵略する。
土鬼と二分する勢力を誇る大国で風の谷を含む辺境諸国と同盟を結んでいる。
土鬼側が厳しい規則で旧世界の技術を自制していたため、事実上最大の戦力を誇る国となっている。
最終的にクシャナが王位継承権を得るものの彼女は一生王位につかず、以降トルメキアは王を戴かない国となった。
トルメキアと世界を二分する宗教国家。
諸侯国とあるように近隣の部族の集合体であり、諸侯連合と呼ばれているシーンもある。
僧会と呼ばれる宗教団体が政治や軍事の実権を握っており、その頂点に超常の力を持つ神聖皇帝が君臨している。
ただ広大すぎるがゆえに国土全てを完全に掌握できているとは言い難く、国民は従順な一方で禁教指定した土着の信仰を払拭できていなかったり、言語のなまりが酷かったり、サジュ・サパタのようにトルメキア戦役前は地方同士で争っていた事もある。
戦力として見た場合、墓所を擁する聖都シュワでは火の七日間以前の技術が保存されており、それら全てを注ぎ込めればトルメキアをもはるかに凌ぐ打撃力を持つ。
だが強大すぎるが故に自身の身を滅ぼしかねんと禁忌もされており、ヒドラなど幾つかの旧世界の技術を自主規制している。
このため前線では旧世代装備を兵士の士気と数で補っているフシがあり、トルメキアの侵攻に対してまともな阻止線も張れずに蹂躙された。
最終的にはなりふり構わず旧世界の技術を乱用したが、皮肉にも危惧した通りその力で逆に自国を壊滅させてしまった。
地下から旧世界のエンジンなどを発掘する工房都市。
トルメキアに帰順しているが、民族としては土鬼に近い。
アニメと同じく同盟国であるはずのトルメキアから侵攻を受けて壊滅。
アニメとは違い、アスベル以外は皆死に絶えた。
火の7日間の後に3回あったと伝えられる、腐海が突如に沸き津波のように押し寄せてくる大災害。
大量の蟲が胞子を広範囲に撒き散らすため、一度起こると腐海が異常拡大する。最後の大海嘯では、王蟲が腐海から2000リーグ(約3700km)も突出したとされている。
すでに300年間起きていなかったが、ナウシカは王蟲の大移動が大海嘯の前触れではないかと思っている。
かつて300年前に存在した国家。エフタル砂漠の広大な領域を治めていた。
火の七日間で失われたエンジンを製造する技術が残っており、科学的にかなり発達した文明都市だった。
しかしその技術競争の結果、王蟲の殻を求めて生きた個体すら乱獲するようになり、激怒した蟲たちが起こした大海嘯によって滅亡した。
彼らの都市は腐海の一部となって残るほか、トルメキア圏の言語として残っていたり、森の人や蟲使いたちが彼らの末裔であると言い伝えられたりしている。
風の谷やペジテなどの辺境国家はいずれもエフタルの流れを汲む国である。
土鬼の首都シュワの中心部にある黒くて四角いピラミッドのような建造物。
そこには旧世界の秘密が眠ると言われている。
その扉は墓所の主が許可した者にしか開かず、武力で開こうとするとビームで反撃し、傷は自己修復してしまう。
いわゆる
超能力。ごく一部の人間が持つ先天的な能力であり、墓所の技でも身につけられない。
声を使わずに直接相手の心に語りかける「念話」や人の心を読んだり入りこんだりする能力などがある。
人造生物。作中では皇兄主導のもと開発された不死身の戦士として登場するが、技術的には墓所を解析して作られたと考えられる。
このため旧人類の純技術と思しき「庭」に存在するヒドラと比べると暴力以外に取り得がない様子が見て取れる。
特に知性は非常に低く、専門の飼い主が音で制御するがそれがなくなると見境なく暴れまわる。
暴力に関しては優秀で、卓越した剣技の持ち主でも簡単にひねり倒すほどの強い腕力と、戦艦の砲弾を受けても生きているほどの生命力はまさに戦士にうってつけ。
頭部にある中枢が弱点であり、ここを破壊しない限り止まることはない。
皇兄も自らを同じ技術で改造しており、首だけになっても死ねない体となっている。
以下ネタバレ
世界を滅ぼす神罰と見られていた腐海や大海嘯は実は旧世界の人類が作り出した環境再生のためのプログラムであり、王蟲を始めとする虫達や粘菌も彼らによって作り出された存在である。
腐海は大地の毒を取り込んで数千年できれいな砂と化し、やがて清浄な環境を取り戻すようになっている。
現在の人類は旧世界の人類によって過酷な環境に適応できるように作り替えられた存在であり、彼らは瘴気の中をマスクだけで生きられる程度に耐性を得た一方で完全に浄化された世界には適応できず、その空気を吸っただけで血を吐いて死んでしまうようになっている。
さらに体が石のようになってしまう奇病や子供が幼くして死んでしまうなど生存率はかなり低くなっており、滅亡へ向かいつつある。
墓所の主は自らに従う人間に旧世界の技術を提供し、清浄な世界を取り戻した際には完全な肉体を取り戻すことを約束して使役していた。
ナウシカとヴ王は滅んでしまった神聖皇帝に代わる者として選ばれる予定だった。
しかしナウシカは例え作られた生命でも生命には尊厳があり、やがて変わっていくことができると語り生命を弄ぶ墓所の主を否定(ヴ王も便乗する形で否定)、オーマの力をもって墓所の主を破壊する。
そして世界の真実を誰にも告げることなく、民衆と共に生きていくのであった。
ちなみにワイド版でありながら全巻セットが2780円とリーズナブル価格である。
古い作品のため最近は置いてない本屋も多いが、
コンビニやヴィレッジバンガードのジブリコーナーなど意外なところにあるので興味ある人は探してみよう。
追記・修正はメーヴェに乗りながらお願いします。
- ↑ 下手したら人類殲滅プログラムとかかもしれないしなぁ、いきなり一緒に世界再建しようよ★なんていわれても信じないわな -- 名無しさん (2017-09-05 13:58:13)
- ↑ 「僕と契約して、世界再建してよ!」…うん、わかりやすい -- 名無しさん (2017-12-26 11:33:20)
- 「失政は政治の本質だ!」なんかすごい名言っぽいが会話の流れ的に要は「お前らのすごい墓所の主とやらは失政をカバーしきれてねえじゃねえか!」程度の意味。もちろん言い回しはとてもうまいし、墓所の主は結局は人間を制御しきれていないということを端的に示しているのが鋭い -- 名無しさん (2018-10-01 13:55:48)
- 作中の多くの人物が心の揺らぎとか迷いとか持ってるし、心情が変化していくのがこの作品の特徴。だからこそナムリスとかヴ王が異色を放ってると思う。 -- 名無しさん (2018-10-28 15:39:53)
- バムケッチとかケッチとかまだ色々あるやん… -- 純ナウシカファン (2018-12-30 21:54:04)
- 庭や墓所は幾つもあるという会話から -- 名無しさん (2019-08-04 02:49:52)
- ↑ キレた。 -- 名無しさん (2019-08-04 02:50:38)
- ↑ またしてもすまん。 計画はこれからも存続だろうし ナウシカたちにそれを確かめれるすべはないだろう -- 名無しさん (2019-08-04 02:58:34)
- 現人類って必要あるのか?と思ってしまった。清浄化させるだけなら虫と腐海だけで充分では?設定上なんか別の役目があったのかな -- 名無しさん (2020-12-27 12:03:50)
- 鋼の大地といろいろ共通しているって聞いてみたらわかった気がする。あとテトが死ぬとは思わなかった -- 名無しさん (2020-12-27 12:19:54)
- 庭に取り込まれたヴ王の息子二人、熱心に音楽にはまっていったが(実際は鍵盤楽器なんてなく空中に手を動かしているだけ) あの二人の引き込まれ方だと遠からずおそらく飲食も忘れ過労死するだろうと思った だがあの後 あそこを管理するヒドラからはたかがなにもできない太った男二人始末するメリットもない(わざわざ楽器と楽譜の幻覚を見せておいてからだと) 過労死しない程度に楽器管理係にさせたんだろうか またはそのために人間じゃなくても生きていけるように改造を -- 名無しさん (2021-02-27 19:28:36)
- >現人類って必要あるのか? 墓との対決で「世界を取り換えるには結局奴隷の手が必要か?」みたいな台詞あった気が。浄化だけなら腐海に任せておけばいいけど新人類世界の始動には現人類が必要ぽい? -- 名無しさん (2021-03-05 13:01:34)
- 結局「ザブングル」と構図が同じだったわけか。 -- 名無しさん (2021-03-21 23:14:25)
- 仮に旧人類の計画が達成されても、何処かで世界のほころびは起きてたんじゃないかと思う。ヒドラも生きてる存在なのだから、墓の主の命令でも「死ね」とか言われてはいそうですかと反応するかと考えると… -- 名無しさん (2021-06-18 20:57:17)
- ナウシカたち現生人類は(このままだと)浄化した世界に耐えられないって目論見もあったと思う けど浄化された世界に適応しつつあるから一概には言えない -- 名無しさん (2021-06-28 07:07:00)
- 身も蓋もない話だけど「現人類がいないとストーリーが成り立たない」というのがまず第一の存在理由。で、作中では『外部の人間による助力が必要』ってことになってる。これもご都合と言えばご都合だし、外部と言えば庭の主もあるけれど、でも墓所視点では庭の存在がおそらく知られていない。現人類が全て墓所起源だと考えると「現人類が腐海の毒にかなり不完全な耐性しか持たされていない」という疑問点も「墓所を縋る外部の存在を生み出すためのシステム」だとも考えられるし、そもそも完全耐性が得られるのなら旧人類は腐海という浄化システムと共にそのまま存在し続けられただろう。そうできないからこそ完全耐性は王蟲たちしか持ち得なかった。だから一応筋は通っていると思う。 -- 名無しさん (2022-04-18 16:21:48)
- つまり墓所と庭はご近所さんだけど完全に別勢力で、どちらかと言えば庭の方が上位。庭には(人類を含まない)残すべきものが、墓所には残す価値のないもの(ほぼ人類のみ)が保管されているのだから、墓所の方はより不完全なシステムで、内部に寄生してる教団員を誘導し外部の現人類を唆して作中のような大海嘯をたびたび発生させないと、腐海による緩やかな星の浄化という数万年単位の年月に耐えられない構造なんだろうと考察できる。庭も墓所も腐海発生の中心部に置くべきなのにそうしなかったのだから腐海は作中から読み取れる以上に強力な腐蝕性を持ってるんだろうな。 -- 名無しさん (2022-04-18 16:40:32)
- ドルクの初代皇帝が庭園からヒドラを持ち出してその後、墓所の主と接触しているから庭と墓所は二つで一つのシステムなんじゃないの? ただし庭は保存が目的なので争いもなくただ生を謳歌していればいいのに対し、『復活』という明確な目的があるのにぜんぜん予定通りに行かないよ私は神だああああ、ってのが墓所。庭が現人類ともそこそこ共存できる姿勢なのに対して、墓所は予定通りに現人類を駒として使いつぶす姿勢だからナウシカとしても滅ぼすしかないのはしゃーない -- 名無しさん (2022-04-19 18:01:14)
- 墓所の連中の胡散臭さはカルト宗教レベルで傲慢さが透けて見えてた。あいつらに利用される危険あれどメリットは見えなかった。あいつらの根底が所詮改造人間という蔑視しかないんだから対等な協調なんて幻想でしかない。実際拒否姿勢を見せた途端に攻撃してきてるしな。あいつら庇ってナウシカ叩いてるようなのは穿った悪役擁護な読み方にしか見えない -- 名無しさん (2022-08-27 16:13:44)
- 果たして完璧に人類を存続させるならシュワの奴だけなのだろうか? もしかしたら複数存在していて浄化された土地では任務完了した墓所と眠りから覚めた人間がいるかもしれない(まあ、ひ弱な土地を守る為に文明のものは最低限にするだろうけど) -- 名無しさん (2022-10-09 17:46:53)
- ↑10読み返したがピアノは有ったけど -- 名無しさん (2022-12-17 04:37:58)
- ↑3↑4他 現人類を戻す術はあると言ってる(現にクシャナの兄貴たちは庭で生きていけてる)し、現行人類も一応人類として救済するつもりはあると思うよ。まあ、活かすというか、体を戻すついでに争いの心を持たない穏やかな種に作り直すんだろうけど。 -- 名無しさん (2022-12-17 05:38:51)
- あの時点で現人類トップになってるヴ王もそれなりに英邁であり、連中に臭うもの感じてナウシカに賛同したしな。見かけることあるナウシカ個人が勝手な暴挙でやった叩きはおかしいわな -- 名無しさん (2022-12-19 09:57:46)
- 庭の主はよく読むと墓所の主とそこにあるものを嫌ってるっぽいのが -- 名無しさん (2023-02-09 23:30:27)
- コメントのログ化を提案します。 -- 名無しさん (2023-02-10 00:25:13)
- 最終巻でのナウシカが抱き合うアスベルとケチャを見つめるシーンのもの悲しさが凄い ナウシカって壮大なNTRの話だよな -- 名無しさん (2023-02-21 02:53:55)
- ↑宮崎駿曰く漫画版のナウシカとアスベルに関しては「くっつきそうな雰囲気だったのであえて別れさせた」らしい -- 名無しさん (2023-02-21 04:52:05)
- ↑ひでぇ…w -- 名無しさん (2023-02-21 13:57:07)
- ログ化しました。 -- (名無しさん) 2023-03-04 14:10:08
- ピク百科辞典によると大友克洋が「今のマンガ家の失っているマンガ本来の楽しさがある」とか言ってるらしいけど、ふつーに当時の日本の漫画が今でも世界中で人気なのも知らないんだろうか?(笑)それとも自分が気に入らない作品は魅力がないと考える子供みたいな思考回路なのかな。 -- (名無しさん) 2023-09-06 23:55:30
最終更新:2025年01月05日 01:54