登録日:2010/11/06 Sat 03:19:41
更新日:2024/12/21 Sat 15:54:14
所要時間:約 7 分で読めます
ホラーゲーム『
クロックタワー』シリーズに登場する殺人鬼。
独特なビジュアルデザインと恐怖演出から根強い人気を誇る、ホラーゲームのキャラクターの代表的存在の一つ。
企画自体が名作ホラー映画へのオマージュであることからも解るように、シザーマンもまたジェイソンやレザーフェイスの様なシンボル的存在として生み出された。
世界観が繋がっている『
初代』と『
クロックタワー2』では奇形の子供という共通項がある。
これは、特に初代の元ネタとも呼ぶべきダリオ・アルジェント作品の多くに共通する特徴でもある。
以下、小説版で明かされた設定も交えて解説するので、ネタバレに注意。
『1』おけるシザーマン(ネタバレ注意!)
ボビィ・バロウズ(8歳)
『1』おけるシザーマン。
バロウズ屋敷に出没する殺人鬼。ダンの双子の弟。9歳の少年だが、その顔はミイラか悪鬼のように醜い。
服装がバーロー
手にした大バサミで手にかけてきた動物や人間は数え切れず、ジェニファーの父曰く「悪魔の落とし子」。
ジェニファーらメアリー先生に養女候補として連れてこられた孤児院の少女たちを抹殺しようと執拗に付け狙う。
物理的攻撃の一切を無効化する不老不死の肉体を持ち、いかなる手段をもってしても死ぬことはない。
実は、バロウズ家が代々信仰してきた邪教の神「偉大なる父」が異次元より現世に遣わした使徒「偉大なる父の息子」。
メアリー・バロウズの胎内に生じた「次元の扉」を通じて現世に降臨した。
使徒として生を受けた者は生後10年をかけてサナギと呼ばれる巨大な胎児の姿に成長し、やがて羽化して成体となり完全な覚醒を迎える。
だがボビィは兄と違って羽化が早すぎた不完全体だったため、数日ほどで死ぬ運命にあった。
彼を哀れんだメアリーが、時計塔の大時計を停止させて時の流れを止める呪術を行ったことで生きながらえていた。
最終的にジェニファーの手で大時計を再起動され時の流れを再び動かされたことにより、苦悶と共に時計台から落ちて絶命する。
本作では特定地点のクリックとイベントシーンによってしか出現しないため、次回作と比べて影が薄い。
むしろジェニファーの主な死因は大量の理不尽すぎるデストラップでの死亡の方が多い。
『2』におけるシザーマン(ネタバレ注意!)
ダン・バロウズ(10歳)
ボビィの双子の兄。『2』におけるシザーマンの正体である。
『1』では想像を絶するほどの巨大な肉塊のような見た目の胎児として登場する。
その見た目通り運動機能が未発達な代わりに、備え持った強力な念動力と透視能力でジェニファーを怪異に陥れた。
『2』では前作の醜悪な姿とは打って変わって金髪碧眼の美少年として登場し、事件のもう1人の生存者を装ってエドワードと名乗っている。
時計塔のおかげで不老不死だった弟と違い、彼は正真正銘の不死身。
弟と同じく、バロウズ家の信仰する邪教の使徒として生を受けた存在。
ダンは不完全だった弟と違い順調な成長の途上にあり、屋敷の地下にある広大な洞窟の奥で人目を隠すようにして育てられていた。
地下洞窟に入り込んだジェニファーを殺そうと襲い掛かるが、崖をよじ登っていた彼女が転げ落とした灯油缶の引火による爆発で炎に巻き込まれた。
だが不死であるため死ぬことはなく、火災の熱によって羽化が促進されたことにより時期を待たずして成体として覚醒した。
(リメイクのPS版『1』では焼け崩れた肉塊から人影が起き上がるというシーンが伏線として追加されている)
そして記憶を失った事件の生存者を装って館から抜け出した彼は、ジェニファーたちの近辺に潜伏して機をうかがい、
ジェニファーに強い執着心を抱いていたハリスと事件に強い関心を持っていたバートン教授を唆して協力者として利用し第2の事件を引き起こすことになる。
その本性はいとも簡単に人を殺し、殺しを遊びやゲームと言い切る狡猾かつ残忍な性格。
凶器を振りかざして襲ってくるだけでなく、超能力を利用した怪異による罠を仕掛けたり、逃げた先に先回りできる(通称シザーワープ)。小説版では凶器の大バサミを使わずとも、強力な念動力で大の大人を軽々と吹き飛ばしその腕をへし折るなど、弟をはるかに上回る凶悪ぶりである。
それだけ簡単に人を捻り殺せるほどの能力を持ちながらもあっさり殺すことをしないのは人間に恐怖と死をもたらす存在であり、散々弄んで恐怖を存分に味合わせることを旨としているため。
一見簡単に隠れたターゲットを見失ったり撃退されているように見えても、あくまで殺害対象を気まぐれによって見逃しているだけに過ぎないのだ。
ちなみに年相応の感性や嗜好も持ち合わせているらしく、子供番組を見て無邪気に楽しみはしゃいだりもしている。
人心掌握術にも長けており、テレパシー能力で人間の脳に直接語り掛けて意のままに操ることも可能で、ハリスとバートンを唆して利用した他、後見人であるグラニット孤児院のケイも瞬く間に隷属的立場に貶め、手駒として扱っている。
小説版によればクロックタワー事件の際にこの能力でジェニファーを操り、自殺に追い込もうともしたという。動物を操ることもでき、バロウズ家の元執事の邸宅で飼われていたセントバーナード犬を凶暴化させ、ターゲットを襲わせている。
人間の姿は擬態に過ぎず、真っ黒な粘膜と粘液にまみれた醜い獣のような姿が正体であり真の本性である。
なおダンとボビィは2人で1人であり、蘇ったボビィの魂がダンと合一を果たすことで、この世の終末が訪れるという。
(具体的にはラストに出てくる次元の扉から、向こうに潜むあらゆる邪悪が人の世になだれ込んでくるらしい)
最終的にはバロウズ城の次元の扉に吸い込まれ、現世から元いた世界へと追放された。
しかし、シザーマンは人間と異なる次元に潜む存在であるがゆえ、魂そのものを完全に滅ぼすことはできず、
いずれまたこの世に生まれ落ちるとされている。
過去のシザーマン
シザーマンのミイラ
~
『2』の最終章では、バロウズ城のとある部屋にて棺桶に入れられ安置されたシザーマンのミイラが発見される。
恐らくゲームの時代よりもはるか大昔、バロウズ家がノルウェーに移住する前に出現したシザーマンと思われ、
作中で語られた「セオドールが領民の虐殺に手を始め、シザーマンが生まれるようになって以降に地元住民の間で歌い継がれるようになった「大きな城のリトルジョン」という童謡に関わりがある個体と思われるが、
詳細はゲーム中では明かされないため、いつの代に生まれたのか、なぜミイラ化しているのかについては不明。
海外ファンの間では「13代目クエンティン・バロウズの代に生まれ、父の手で滅ぼされたシザーマンが動揺の発祥の元になった」という解釈が
クロックタワー非公式ファンwikiの
この記事
で言及されているが、
明確なソースがないため、あくまでもファンの一解釈に過ぎない。
そもそもシザーマンは物理的手段の一切が通じない肉体を持っていること、「次元の扉の奥に追放することでしかシザーマンを倒せない」と断じられていること、
クエンティン自身が次元の扉をシザーマン打倒の秘策として残していたことを考えると、それらの力に頼らずにクエンティン自身が遺体が残る形でシザーマンを完全に倒したとは考え難い。
ゲーム中で見れるシザーマンのミイラの顔は、前作の公式イラストにおけるボビィの顔に非常によく似たものになっているため、
個のシザーマンのミイラもボビィ同様に不完全な形で生まれ落ち、そのまま死を迎えた個体であると思われる。
丁重に棺に安置されていたのも、シザーマン自体がバロウズ一族にとって尊い存在だからとすれば説明はつくだろう。
(反邪教派のクエンティンが殺したシザーマンをわざわざ丁重に棺桶にしまうとも考えにくいし)
また、前作ではボビィを延命させるための「時を固着させる秘術」の存在が漠然とながら語られていたが、
恐らくはシザーマンが不完全な形で生まれた際に対処すべく編み出された秘術なのかもしれない。
呪われしバロウズ家の歴史
15世紀半ば、イングランドとスコットランドの国境付近を統治していたバロウズ家初代当主セオドール・バロウズは、
百年戦争帰還後、病的なまでに死を恐れるようになり、不死を追い求めて「偉大なる父」と呼ばれる邪神を崇める邪教信仰に手を染めていく。
「死と恐怖を求める神にそれらを献上し永遠の不死を得る」という教義に基づいて領内の多くの子供を虐殺したため、『人喰いバロウズ』と畏怖された。
やがて彼は自分自身を生贄に捧げねばならなくなったとも、イングランド国王にその凶行が露見するのを恐れた親族に毒殺されたとも言い伝えられている。
こうして恐るべき凶行は止んだものの、邪神の呪いはその後も長きに渡って一族に残ることになる。
セオドールの代以降、バロウズ家に度々異常な残忍性と超能力を有した奇形の怪物が生まれるようになったのである。
この怪物こそが、後に「シザーマン」と呼ばれる邪教の神の使徒「偉大なる父の息子」だった。
生まれ落ちる度に血を求めて狂ったように暴れたため、その度に仕方なく生贄が捧げられ多大な犠牲者が出たという。
この現状を憂えた第13代目当主クエンティン・バロウズは、邪教根絶を決意してただ独り奔走し自分の代に生まれたシザーマンを葬り去ることに成功するものの、完全な根絶を果たせぬまま邪教派に暗殺されてしまった。
その後、1912年にバロウズ家はイギリスからノルウェーへと移住し、以降の80年間、クエンティンの尊い犠牲によってバロウズ家に平穏な日々が続いていた。
だが、サイモン・バロウズの代になって再びシザーマンが生まれ落ちることとなり、サイモンはクエンティンが残した教えに従って、シザーマンを葬り去ろうとするものの、
双子への情に支配された妻メアリーの妨害にあい追放の儀式に失敗してしまう。
こうしてシザーマンの恐怖は再びこの世に解き放たれ、全ては時計塔屋敷で発生した事件へと繋がっていくのである。
余談
- 上述の設定上、『2』でのゲーム中のCGモデルでは明らかに成人男性ほどの体格で描かれているが、ハリスとバートンがどれだけの範囲で犯行に関わっていたのかは漠然としている。
- ヘレン編のシナリオ2の冒頭デモでは、ゴッツがシザーマンを銃撃するも効果がないというシーンがあるが、小説版においては「高性能の防弾チョッキを着れば不死身の怪物を演じることは可能」として、無防備の太ももを撃つものの微動だにせず、最高の急所ともいうべき股間に狙いを定めるも何故かピンピンしているという描写がある。
- また、ジェニファー編における第1章での殺人事件はハリスの犯行とされているがゲーム中では受付のソファーを調べると、子供サイズの足跡があるという描写も存在している。。
- ちなみにシザーマンとして現れる際には何故か左足を引きずっている。
- ダンは完全体であり、ハリスもバートンも五体満足のはずなのだが、この所作に何かしらの意味があるのかは不明である。
『3』におけるシザーマン
共通するのは名前だけであり、設定もリアクションも何もかもが別物。
本作では奇形の子供ではなく、単に奇抜な格好をしたテンションの高い兄ちゃんである。
おぼっちゃまともサーカス団の一員とも取れる服装。ぶっちゃけネタにしか見えない。
「シザー!」とか叫ぶし。
因みにシザーウーマンなる妹もいる。
尚、兄が“ルディ”で妹が“ジャニス”である。
東洋系で、バロウズ候の配下として多数の領民達を惨殺した。
“魔のモノの配下”の中でも側近的な立ち位置だが、懲役人数は幹部級の
斧さんに劣っている。
ハサミの構えは2と同じだが分解した状態で持つ場合も。
とゆうか武器がハサミを摸した剣だが、ハードモードでは日本刀となり、電流が走る。
斧男の
鎌装備に変更もそうだが、お前ら変えるところを間違えていると思う。(他はハンマー男→トゲ付き鉄球、硫酸男→硫酸の噴霧機のデザインが変更でまあ名前に偽りはない)
ぶっちゃけ、シンボルキャラクターであるシザーマンを改変し過ぎたこともあり『3』の不評の原因の一つ。
追記・修正をお願いします。
- 人一里吹き飛ばすか、凄いな -- 名無しさん (2019-12-16 19:35:57)
- 某デビルハンターの合言葉案件 -- 名無しさん (2020-03-02 12:45:16)
- チョキチョキと鋏を動かしながら追い回すけど殺害方法が畳んでぶっさすのにちょっとがっかりした思い出がある。いや、そりゃ鋏で真っ二つとかにしたらいろいろ問題があるだろうけどさあ……。 -- 名無しさん (2021-09-03 21:30:55)
- ゲームセンターCXで有野が2に挑戦した時の「このクワガタヤロー!」のアフレコに笑った -- 名無しさん (2022-06-09 18:03:48)
- バートンはエンディングBとCで普通に生き残っているあたりシザーマンに操られていた以上の関係でもあるのだろうか -- 名無しさん (2023-05-13 20:54:01)
- ↑バートンが生き残るのはジェニファー編で、そっちじゃハリスが犯人だからバートンは殺人犯してはいないぞ。ゲーム中で首つり自殺してたのはシザーマンからの殺人の唆しから逃れるためだと小説版で明かされてるし。 -- 名無しさん (2023-05-16 00:44:06)
- 小説版2で明かされたダン君がチート過ぎてつまんない。この手の殺人ホラーのキラーは「尋常じゃないほどタフで極めて残虐で執念深い」でいいのに超エスパーなんかにしたら主人公一行は負け確なのにやられるってご都合主義の極みなんよ。やっぱシザーマンはボビィが至高だな(3などない) -- 名無しさん (2024-11-01 14:27:33)
- 過去のシザーマンの項目についてはCOさせてもらった。wikiaがソースとして掲示されてるが、そちらでも肝心の出典が不明なのでこちらの記述に対する出典にはならない。制作者が公式にそう述べていた、というソースがあるならそれを掲示の上で復帰させてください -- 名無しさん (2024-12-09 15:36:30)
- ↑“あくまでも不確かな情報”と追記した上で復元しました。 -- 名無しさん (2024-12-10 21:13:06)
- ↑もうちょっと筋が通るように修正さしてもらいました。シザーマン=リトルジョンも非公式なんで見出しも変えてます -- 名無しさん (2024-12-15 17:33:11)
最終更新:2024年12月21日 15:54