大塚明夫

登録日:2009/06/26 Fri 19:36:30
更新日:2025/04/04 Fri 18:43:50
所要時間:約 7 分で読めます


タグ一覧
ゆるキャン△ アナベル・ガトー アントニオ・バンデラス イスカンダル ウェズリー・スナイプス オール・フォー・ワン カタギに見えない コックに縁のある漢 サンダウン・キッド シブメン スティーヴン・セガール ストロング・ザ・武道 スネーク ソリッド・スネーク チャンプ デンゼル・ワシントン ドルフ・ラングレン ニコラス・ケイジ ネモ船長 ノリのいいおっさん バトー ブラック・ジャック ヘビースモーカー マウスプロモーション マーシャル・D・ティーチ レッド(ロックマンX) ロックダウン ワムウ ワンダーライドブック ヴァイスアッシュ 京楽春水 仮面ライダーセイバー 仮面ライダー変身ベルト声優リンク 名もなきねずみ 吹き替えにいたらテンション上がる 国立市 声優 声優項目 声優魂 大塚明夫 戦隊声優 新宿 日曜洋画劇場 東京都 次元大介 田中のおっさん←他人の空似 範馬勇次郎


大塚(おおつか)明夫(あきお)とは、マウスプロモーション所属の俳優、声優
1959年(昭和34年)11月24日東京都新宿区歌舞伎町出身、東京都国立市育ち。父親は超大御所声優にして黎明期から平成末期まで活躍した大塚周夫

大塚芳忠は他人である
以下、大塚の名字を持つ人がたくさん出てくるので、「明夫」で統一する。


◎概要

落ち着いた深みのある声が特徴的で、この人がやるキャラはほぼ全員『』である。
ちなみに元妻の沢海陽子も声優。

実は元々声優を志していた訳ではなく、むしろその逆。
小さい頃から父・周夫が役者業との兼ね合いであまり面倒を見られた経験がなく、
演じた役のせいでイジられたり虐められたりすることがあったことから、かねてから折り合いが悪かった。
「誰が役者になんかなるか!」と怒鳴り散らしていたという話すらある。
大学時代には父との仲がとにかく悪くなり中退してしまい、その後トレーラーの運転手をしていた過去を持つ。

しかし、その際のある出来事が彼の人生観を変えることとなる。
運転手時代に惚れた女性がいたのだが、彼女は劇団員と交際しており、その男性は女性から活動費を無心していた。
『役者業についての因縁があった』ことと、『ヒモとして生活している男の情けない様に憤った』明夫は、
女性に対して「男は真っ当に働いて稼ぐべき」だとして、自分との交際を求めた。
しかし当の彼女は

「男はがある方が素敵」

と言って相手にされず、きっぱりと断られてしまった。
これに腹を立てた明夫は

「だったら俺だって役者ぐらいなってやる!」

として一念発起。役者で、かつ反発していた父・周夫に援助を乞いつつ1986年(昭和61年)にデビュー、今に至る。
この経緯から、犬猿の仲だった父との関係もみるみるうちに改善していき、アテレコの仕事を紹介したのも父・周夫であったという。
あるラジオに語ったところによると、乳飲み子の時代の明夫が泣きじゃくっていたとき、台本を読み込んでいた父・周夫が怒って押入れにしまい込んだことがあったそう。
明夫はこれを明かしたうえで「そういう行動をするのも(役者であれば)無理はない*1」「役者になったことで当時の父親の気持ちが理解できるようになった」
と父親の前で、当時の父の(今ではひと悶着ありそうな)行動を全肯定するほど仲良くなっていた。

役者としての師匠は必ずしも父・周夫というわけではないようだが、デビュー当時は出演作などを電話等で伝えてアドバイスを乞うていた。
いろいろなアドバイスを言われたようだが、明夫が40歳を迎えるのを堺に「いつまでも子供扱いするわけにも…」、とあまり言わなくなったらしい。*2
明夫自身も「親父の芝居というのはどこか身体に染み付いている」とし、「親父の仕事で一番すごいのはねずみ男」と称賛している。
ワンピースの黒ひげはこのねずみ男に近い人間味のある悪辣さを持つキャラクターであると認知し、自分にとって同等のキャラクターとして掘り下げていくことを目標としている。
Twitterでは「凶暴で獰猛なねずみ男」と形容していた。


◎人柄

父である周夫が『仕事や芝居には厳格な思いやプライドを持ちながらも茶目っ気を兼ね備えた』人物だったのに対し、明夫は少しフランクなところがある。
父が吹き替えは得意だが漫画(アニメ)のキャラクターは苦手で、特にナレーションはやりづらいというのに対し、明夫はナレーション業大好きだったりする。
そんな周夫も大御所でありながら作品を問わずいろいろ出ていたことを考えると、仕事を選ばないというところでは共通しているのかもしれない。

そして良くも悪くも義理を大事にする人。

例えばコジマプロダクションの代表にして自身をスネーク役として有名にした監督の小島秀夫が、
コナミ(というか当時の社長)と揉めて会社を追い出されるような形で去ることになった時は、終始小島サイドに付いた。この件については小島側にも問題があったのではと言われている中だが、それでも小島側に義があると考えている様子。
この件、普通に考えれば声優側としては仕事を回してくれる大企業であるコナミ側に付いた方が得なのに、あえてそちらを蹴っているあたり相当な覚悟があったとは思われる。
小島については一貫して彼のクリエイターとしての素晴らしさを語っており、以降も彼の作品に出演中。*3
現在でもコジプロの仕事については内容を問わず積極的に参加し、コジプロの新社屋の探訪動画でもナレーションを担当した。
紆余曲折あって元小島組のスタッフが中心となりコナミがメタルギアのIPを復活させた事に対しては「小島監督のミームが受け継がれていく事は良いこと」「メタルギアは埋もれさせていい作品ではない」と肯定的に見ている。


所属事務所がデビュー以来一貫してマウスプロモーションである。
これは所属していた大先輩の納谷六朗の家族とに面倒を見てもらった恩義があるため、事務所を抜けるつもりはない、とのことらしい。

次元大介役を引き継いだ際も最初は渋っており、
「次元は(小林)清志さんじゃなくちゃ嫌なのは自分も同じ。でも清志さんが自ら苦渋の決断で決めたことで、そのうえで自分に話が来ている。最早キャスト変更が避けられない中、他の人に演じられて複雑な気分になるよりは……」
とオファーを受けることにしたという。
小林清志の勇退は小林自身にとっても不本意なもの、と理解していたこと*4、何より自分が小林清志の次元のファンであったこともあり、
演技プランもあくまで小林清志が紡いできた次元大介をいかに継承していくか、をテーマにしているようである。
これは、ルパン役の栗田貫一が、山田康雄の質感を可能な限り模倣しつつ演じていくことに注力した方針から、
山田康雄のそれを土台として守りつつも、自分なりのルパンを模索するようになったのとは正反対と言える。

俳優の吉田鋼太郎とはしばしば「そっくり」と言われるが、実は舞台俳優として吉田の主宰する劇団AUN(あうん)創立に携わるなど長い付き合いのある知人同士。
劇団AUNのホームページにおける紹介ページでは二人が並んで掲載されているほか、twitterに投稿されたツーショット写真もネットニュースで取り上げられるなど話題になった。
生き別れの兄弟とかではない。念の為。


◎逸話的なもの

家族揃った機会の際、親子で会話をしたとき、父の周夫が道楽のような仕事をしてきたため財産がなく「何も遺せなくてごめんなぁ」と息子達に詫びた。
すると後日、明夫は「俳優として一番大切な物を遺してもらった」と言いにいって、周夫がそれが何かと聞くと「血だろうな」と答えたらしい。あの声で。
なお、その件が相当嬉しかったらしく、生前の周夫はしばしばこのエピソードを語っていた。

声優業界のご意見番的な存在であり、声優という仕事の現実を、一切の誇張なしで書いた『声優魂』という新書を上梓している。
帯に書かれた煽り文句は、ずばり「声優だけはやめておけ」なおこの煽り文句を考えたのは明夫本人ではない。

極端な優勝劣敗の世界を生き抜いてきたからこそ書ける本であり、声優に夢を見ている人はぜひとも一読していただきたい内容である。
この内容を理解した上で「それでも声優をやりたい」という人でなければ、声優業界はつとまらないであろう。


先の通り、父がいつも仕事で家に帰らず母を泣かせていたため、役者には絶対になるまいと思っていたらしい。
父・周夫が『ゲゲゲの鬼太郎』のねずみ男の声優だった為子供の頃「子ネズミ男」「ネズミ小僧」と馬鹿にされた過去もあり、
それも周夫に対する反発心を育てたと語っていたが、今は「親父の仕事で一番すごいのはねずみ男」と尊敬している。

自身が主演を務めた『ブラック・ジャック』のTVアニメ版第二期『21』では第1話のゲストとして父・周夫が出演。
この際の周夫の役は「無免許のBJに対し、正規の医師としてのプライドと面子から冷遇する医師連盟会長」という、明夫の役と敵対する役どころであった。
この話では原作漫画で名無しだった会長の息子に、アニメオリジナルで「明夫」と命名されている
由来は言うまでもないのだが、こうなった経緯は原作で「せがれ」と呼ばれていたシーンを現代風に「息子」と直した台本に対し、周夫が「自分の息子に「息子よ」と呼びかける親はいない」と指摘。
それを受けた制作陣が周夫の息子である明夫の名を拝借した、というもので、周夫の没後にプロデューサーがその件について「現場で何度も呼ばれて息子の明夫さんの心境は複雑だったかも」とコメントしている。

ふしぎの海のナディア』のネモ船長は、当初は冷静なキャラクターにする予定だったが、
明夫の体育会系な雰囲気に影響を受け、勢いでいくタイプに変わっていった。
ネモ船長が再登場した際に髪を伸ばして結んでいるのは、当時の明夫が長髪で髪を結んでいて、それがかっこ良かったので、「大塚さんみたいにしよう」ということになったと言われる。


元々ゲームをする大人には良い印象はもっていなかったが、スネーク役に抜擢されたことからゲームをやるようになった。
そのおかげか、夜中庭に侵入してバイクを盗もうとした輩に気付き、追い払うことができたらしい。
ちなみにその時やっていたゲームは『バイオハザード2』。


昨今、コミュニティサイトmixiで個人ファンコミュニティを管理していた知人の紹介で、ニコニコ動画で大塚明夫の物真似を芸風としていた実況者と面会。
自身の不手際でトラブルを重ねていた実況者に、「自身の出演する舞台に来てくれたら楽屋に遊びに来ればいい」と激励した。

しかし、その実況者はそれを「実況者本人の名前を出せば明夫本人に“何人でも”会える」と曲解、自身のmixiのコミュニティに明夫のサイン会に近いオフ会を企画。
それを聞いた一般参加者の「不公平だ」という問い合わせに対し事実無根だと説明し、大塚コミュニティ管理者は実況者に注意を促した。

しかし実況者はブログで一般参加者の僻みとして批判する内容の文面を上げたためブログ・mixi共に炎上、
大塚明夫サイドのコミュニティ管理者がコミュニティ閉鎖になる事態となった。

この事に対し明夫は実況者にネット上で軽々しく発言しないようにと苦言を呈した。

しかし2012年(平成24年)にツイッターを開始。つぶやく頻度は多くないが日常的なことを語ったり仕事のことに触れたりしている。
そして2020年(令和2年)にTwitter側の不具合で本来は外部には出ない「気に入ったアカウントをまとめたリスト」が部外者に見れてしまう現象が発生して
多数のコスプレイヤー、もちろん見目麗しい上に セクシーな写真を投稿している女性 のアカウントを大量にリストにしていたことがバレてしまった。
どうやらやっちまったか。。なかったことにはできないが。。ここはひとつ  忘れてくれ。。(^.^)
セクシャルな女性の情報を集めて 個人的に使用する だけでは何の犯罪でも反社会的な行為でもなく、やっちまったといってもTwitterの問題であり本人には落ち度はない。
このように潔ぎよくさっぱりと認めたことで好感度は上がった。なおリストの中には田中敦子のアカウントもあった
また、24年にいいねが非公開になった際はこの件を暗に指してフォロワーに注意を呼びかけている。

彼が声優をつとめるキャラクターに挑むと命を絶たれるか必ず重症を負う。挑んではいけない勝てない逃げられない
……いや、ダマラム、お前は例外だから。

2016年(平成28年)4月からBSJAPANのドラマで主役級の役を担当、元妻である沢海とも元夫婦役で共演する。(このことから円満離婚だった様子)
また、父も経験していた大河ドラマへの出演も果たしている。

特に過去あれだけ反発していた父・周夫の代役については関係の改善もあって好意的に受け取っており、
そもそも父の生前からねずみ男などのモノマネをしては、山寺宏一などに「お父さんの役じゃないですか」と突っ込まれていた。
モノマネについては「親父の芝居が自分の中に残っていて、代役の仕事を貰ってモノマネすると周囲が喜んでくれるため、調子に乗ってまたやる」といい、
さらに「親父がまだ生きているような…また会えるような気がして」として、モノマネめいたこの仕事も楽しんでいるようである。
特に山田伝蔵の代役はまるで生き写しのようにソックリなので必見。
なおどういう因果か、チャールズ・ブロンソンの生まれ変わりと言われたロバート・ブロンジーの吹き替えを大塚明夫がやるという数奇なことも起きている。


先の通り死去した実父・大塚周夫をはじめ、木村幌や蟹江栄司、西田昭市、家弓家正、石塚運昇、田中信夫、上田敏也、小林清志から持ち役の一部を引き継いでいる。


◎代表的な役

アニメ


ゲーム


特撮


代表的な吹き替え担当

  • スティーヴン・セガール
  • ニコラス・ケイジ
  • トーマス・ヘイデン・チャーチ(サイドウェイ)
  • アントニオ・バンデラス
  • ウェズリー・スナイプス
  • デンゼル・ワシントン
  • ドルフ・ラングレン

吹き替え


実写出演


ナレーション


その他



◎余談

  • 長身痩躯な体格であり、非常に男前な御方。

  • Sound Horizonのライブにも顔出しで出演したことがある。というかロンギ~ヌス♪と歌ったこともある(本人は大変だったらしい)。

  • 代表的な役柄の1人でもある、アナベル・ガトーは彼がモチーフになっている。



追記・編集お願いします

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 声優
  • 声優項目
  • 大塚明夫
  • マウスプロモーション
  • 東京都
  • 新宿
  • スネーク
  • コックに縁のある漢
  • ヘビースモーカー
  • ノリのいいおっさん
  • カタギに見えない
  • 日曜洋画劇場
  • 声優魂
  • 吹き替えにいたらテンション上がる
  • ウェズリー・スナイプス
  • スティーヴン・セガール
  • アントニオ・バンデラス
  • デンゼル・ワシントン
  • ドルフ・ラングレン
  • ニコラス・ケイジ
  • 田中のおっさん←他人の空似
  • ネモ船長
  • アナベル・ガトー
  • ブラック・ジャック
  • バトー
  • ソリッド・スネーク
  • 次元大介
  • サンダウン・キッド
  • 国立市
  • ゆるキャン△
  • イスカンダル
  • 範馬勇次郎
  • 京楽春水
  • 名もなきねずみ
  • シブメン
  • ワンダーライドブック
  • マーシャル・D・ティーチ
  • ワムウ
  • オール・フォー・ワン
  • ロックダウン
  • ヴァイスアッシュ
  • レッド(ロックマンX)
  • ストロング・ザ・武道
  • 仮面ライダーセイバー
  • 仮面ライダー変身ベルト声優リンク
  • 戦隊声優
  • チャンプ
最終更新:2025年04月04日 18:43

*1 俳優は台本を覚えつつ芝居もしないといけないため。

*2 本人は「言ってくれたほうがこっちは得するし、いらないもの(助言)は捨てれば良いんだから」と返していたが。

*3 ちなみにこの騒動以降「二度とスネークは演じないと決めている」という俗説が流れているが、実際にはそのような発言はされていない。ただし、騒動以降に発売されたスネーク出演作品は新録無しのライブラリ出演なのと、スネークの「待たせたな」というセリフは小島監督がいつか新しくメタルギアを作るその時まで封印したいという旨を明言しているのは事実。

*4 本人は「首から上が元気なうちはやめない、90になってもやる」と言い切っていたため。

*5 因みに勧めたのは先にボトムズシリーズにヨラン・ペールゼン役で出演し、ボトムズにかなり好印象を抱いていたという大塚周夫

*6 先代は父・周夫

*7 先代は小林清志

*8 テレビ東京版。

*9 2018年版。