騎士(FSS)

登録日:2011/09/04 (日) 23:57:54
更新日:2020/11/24 Tue 02:41:12
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「騎士の数は増えぬ……何故なら、一人の騎士育てるのに一人の騎士の血を犠牲にするからだ……」
剣聖デューク・ビザンチン



●騎士●

本項目では、永野護の漫画作品『ファイブスター物語』に登場して来る騎士=超人類ヘッドライナー(天を取る者)の概要を説明する。
……連載も進む内に若干、いやだいぶ設定が変更された部分もあるが、なるべくフォローはしていく……つもりである。

この壮大な歴史物語の主人公達であり、人の手から創り出された美しき人工生命体ファティマ・ファティスを伴い、
ジョーカー太陽星団が生み出した究極の戦闘兵器=機械の巨人モーターヘッド(MH)を駆って戦う超人達の事である。
※因みに「ヘッドライナー(Headdliner)」とはロックコンサートに於ける大トリ、メインイベンターの事である。


【概要】

AD世紀の「炎(ほむら)の女皇帝」の時代に頂点を極めていた人類の科学力。
……そんな時代の「超帝国」から誕生した
「数億の生命の犠牲の下で生まれた僅か800人程の超人間(シバレース)」の末裔達……。
それが、現在のジョーカー太陽星団に残る騎士達の正体であると云う。
  • 同じく「超帝国」の呪われた血の末裔として「ダイバー(魔導師)」や「パラサイマル(預言者)」が居るが、こちらは「騎士」よりも更に出生確率が低いらしく、この辺りが星団規模の「ダイバーズ・パラ・ギルド」の成立に繋がっているとも思われる。

……尤も、上記の設定が明かされたのは連載も10年以上が軽く過ぎた辺りであり、
それ以前には単にAD世紀の改造人間の末裔とされていたのだが、まあ意味合いは同じと思って貰っても構わないであろう。
……ただし、以前の情報では改造人間達は厳しい宇宙環境の中で惑星開発に従事して来た等とされていたのだが、
AD世紀の「超帝国」の設定が詰められて以降は現在の「騎士」達の力をも超える完全な呪われた血を持つ
最終兵器であったとされており、それに伴い惑星開発云々の話や、
彼ら「騎士」が搭乗するマシンメサイアからMH(モーターヘッド)に至る歴史も事実上の設定変更がされている。


【能力】

超人である「騎士」は、普通の人間に換算した場合、一軍に匹敵する戦闘能力を備えているとされる。

以下に、挙げられている一般的騎士の主な特徴を記す。

●時速180㎞で走りつづける。
●瞬間的に衝撃波をまき散らし構造物を破壊しながら疾走。
●30mをジャンプする。
●光(レーザー)を見切る。
●戦車(ジョーカー宇宙の超科学力の)を素手で破壊する。
●スパイド(実剣)を振れば50m先のその戦車を衝撃で破壊。

……と、かなりとんでもない。
尚、この特徴は特定のキャラクターでは無く一般的な「騎士」の説明として挙げられている為に、
騎士能力を持つ者はこの位出来て当たり前と考えるのが正解だと思われる。

ただし、身体能力はこの通り圧倒的なのだが「生命力」という点では一般人と同様で、部分的には劣る面もあるという。
騎士同士の間に子供が生まれる事は難しく(しかもその子が騎士とは限らない)*1、病気にかかれば普通に死ぬ。


【系譜と発生】

ルーツとなる「超帝国」の「シバレース」達は完全にシステム(ハイブレン)により管理された存在であったが、
AD世紀が終わり、星団歴に移ると共に解放された彼ら「シバレース」の血は星団中に散る事となった。
その遺伝情報はジョーカーの民全体に薄く薄く広まっている。

騎士の遺伝情報は完全に劣勢のもので、「呪われた血」の形質が生まれてきた子に発現する事は極めて稀。
「騎士」の誕生確率はジョーカー全体で20万分の1程。更に騎士同士での生殖は子供が無事に生まれてくる事自体が稀で、
その子が騎士の力を持つ可能性は天文学的に低くなるらしい。
※ただし王族は例外で、「騎士」の血が濃い為かその限りでは無く、「コーラス王家」に至っては長子は必ず「騎士」となる。

騎士能力の発現は概ね思春期辺りに起きるらしいが、強力な「騎士」の血統に連なる者の場合は、
幼少期には既に騎士能力に目覚める事が多いらしい。
劇中ではフィルモア帝国の皇帝代理騎士(ハイランダー)クリスティン・ビィが34歳(地球人の中学生相当)*2で、
ハスハ(アトール)のデプレ皇子に至っては幼児の段階で「天位」号を父ダグラス・カイエンから授けられている。

……少なく見積もっても常人の数十倍の身体能力を有している事からも判る様に、
生物学的には人類とは別種の存在であるらしく、青年期に「騎士」能力に目覚めたボード・ヴュラードは、
肉体が「騎士」に作り変えられて行く過程で地獄の苦しみを味わっている。
曰く、青年期まで発達した身体に騎士代謝が来てしまうと生存率は30%を切るのだとか。
つまり、ジョーカーの民は壮年期に入るまで体の中でいつ爆弾が起爆するかわからない不安とともに暮らすのだろうか…?


【制約】

上記の様に凄まじい力を持つ「騎士」であるが、それ故にその存在には多くの規正が掛けられている。
……如何に「騎士」が凄まじい力を有していても絶対数は普通の人間が多いと云う事である(※国は民で成り立っているからである。)。

●主な規正。

※身分登録の徹底。
「騎士」能力に目覚めた者は星団法の下に申告、申請をしてランク付けされた後に仕事を斡旋される。
花形は宮廷騎士団。
キリは警備隊……か。
登録すると光剣(スパッド)が支給され、これが「騎士」の証となる。

※戦争で戦う
「騎士」が数々の優遇措置、貴族の様な暮らしが出来るのもこの為。
強力な力を持つ騎士は一般人の代理として戦争で戦い、「殺すか死ぬか」が役目なのだ。
尚、国家騎士団にも参加出来ない様な騎士(つまりは戦争に参加出来ない様な半端者)は一般人にも蔑まれる(アララギ・ハイト等)。

※一般人に暴力を振るう事への厳罰
……特に重要な規正で、重くて死刑。
軽くても薬物で筋肉を破壊されて一生を植物状態で過ごす羽目になる。

……まあ、ルールを守ってる人達の話ですが。
  • 当然ながら、騎士が表舞台を捨ててアンダーグラウンドに走ってしまうと追うのはものすごく難しい。本編でも、アドラーの暗殺者ギルド*3や極左テロリスト団体ゲイトジーベン*4、秘密結社ローゼンクロイツと、強力な騎士が所属する暗黒組織の名前が複数出てくる。

【一般人の妬み】

騎士は一般人にとって「戦争の全権代理人」として信頼する一方で蔑むべき存在。
美しいファティマと超兵器MHを以て戦う憧れの存在であると共に、自分達には無い物を持つ妬むべき存在でもある。

……そんな「騎士」に対して“善良で無力”な一般人が自分達の弱さを盾に不当な攻撃や暴力を加える姿は
『FSS』の根幹となる一つのメッセージなのであろう。
代表的なのは矢張り「シバレース編」でのクリスティン・Vのエピソードだが、
平民の両親を持ち乍らも騎士能力に目覚めた事で故郷を捨てざるをえなかった事から始まる
ヨーン・バインツェルの悲劇的なエピソードもまた、矢張り「騎士」の血が生んだ業と言えるであろう。

……尚、読者は当然の様にご存知だろうが「ファティマ」の場合は規正や扱いが更に更にムチャ酷い。

更に言えば規正が上記程度で済んでいるのは「騎士」の発生確率の異常な低さ故にである(一般人にとっては対岸の火事程度の認識)。

【精神】

このように肉体的にも社会的にも「人間ではないもの」として取り扱われるにも関わらず、騎士の心は人間と変わらない

※ただし、AD世紀の純血の騎士には戦闘と破壊と殺人そのものを心から楽しいと感じる「兵器としての本能」
が組み込まれており、その血が強く出た騎士は肉体のみならず、心も部分的に怪物化することとなる。

故に騎士たちは自分の存在に苦悩し、道を誤るもの・狂気に満たされてしまう者も少なくない。これもFSSのテーマのひとつ。
最近の連載では鳴りを潜めているが、シャフトやパイソン、クー・ファン・シーマー王子のような倫理もクソもあったものではない
殺人狂達の有り様は、騎士たちが生きるという事のグロテスクな現実を見せつけるエピソードであった。


【称号】

騎士はその力や役割に応じて称号が与えられる事がある。連載当初は「天位」のみだったが後に増えていった。
上位の称号を持つ者か、騎士の力を見透す力を持つバキン・ラカンの聖帝か、騎士を生み出した超帝国の記憶を受け継ぐハスハの詩女(アトール聖導王朝皇帝)が授与する。
基本的に人格などは考慮されない模様。(ただし、ナイアスの様に御披露目でやらかして授与を剥奪されることはある。)
また、称号を受け取らない騎士もちょいちょいいる。初期設定の関係で天位を受け取っているが、剣聖は嫌がり倒しているログナーが典型例。
  • 天位(シュペルマスター):ランク的には一番下で、星団に複数人(数十人単位で?)存在する。上位称号持ちの騎士が認めるだけの力の持ち主であるが、本編ではイマイチ頼りないのは出番の多い天位騎士に未熟な若者が多いからだろうか?
一流騎士の代名詞ではあるが、上記の経緯から天位級以上の力を持つ騎士も存在する。
尚、最初に設定が明かされた当時は騎士に限らず、工芸や美術の分野でも与えられる、謂わば星団規模の人間国宝みたいなものと解説されていた。
  • 小天位(イポルマスター):ここから先は一人だけ。「小」とつくが天位より上の称号である。
  • 強天位(メガマスター):さらに1つ上の称号。さすがにここまで来ると半端ではないが、これでも剣聖には敵わない。
因みに、強天位でも間合いや反応速度といった基本的な騎士能力は通常の騎士の範疇だったりする。
一時代に一人の筈だが、現在の連載では強天位騎士が同時期に二人在位中(璃里とジャコー)。
  • 剣聖(フレール・ド・イペルシュバリエ):その時代における星団最強の騎士の称号。これだけは完全に実力で贈られる。…が、これと同格の力を持つ騎士が(割とゴロゴロと)いるのも事実。
ただし、その場合も表には出てないだけで“剣聖”が他にも出現していただけ……という話であり、剣聖級や“元”超帝国の剣聖がゴロゴロと転生している魔導大戦時が異常なのである。
前述と同時期の設定改編により超帝国の純血の騎士が剣聖であり、その純血の騎士の能力を持って生まれてくるのが剣聖とされており、つまりは騎士の上位種というか、最早別カテゴリーみたいなものという認識でオーケーである。
剣聖のみは強天位以下の騎士とは全く別レベルで、基本となる間合いすら三倍近くとなる。

【特殊称号】
  • 太陽王の代理騎士(ハイランダー):フィルモア帝国の筆頭騎士として、戦場で最高位に扱われる名誉称号。
皇帝代理騎士。その名前の起こりは、フィルモアの前身だった太陽王国にさかのぼれるという。皇帝が騎士であれば皇帝自身がハイランダー。


【剣技】
FSS本編には、名前付きの「流派」という物は確認できない(一定の「」はある)。
だが名前付きの特定の「技」は存在しており、次の世代にも決め手として順々に伝えられている。
騎士の手足の延長である巨大ロボットモーターヘッドも、だいたい同じ事ができる。

百戦錬磨のファティマ「エスト」が語る所によれば、騎士の戦いの重要点は「敵の攻撃ポイントを予測する」事であるという。
攻撃手がどの位置に踏み込んでどのコースで必殺の一撃を振るか、受け手はどう読んで対応するか、それが勝敗を決める。
よって騎士の剣技はカテゴリ1「敵の動きを止め、次に放つ必殺の一撃に対応されにくくする」か、
カテゴリ2「必殺の一撃自体を見切られにくくする」の2つに大別できる(カウンターの大技は今の所見当たらない。)。

人知を超えた超戦士が奮う怪物じみた剣技の数々は、後のフィクションにおける超常剣士のアクションにも影響を与えている。

  • 真空斬り(ソニックブレード)
騎士剣技として最高クラスとも基本とも言われる、空気を操る剣技。
衝撃波を叩きつける仁王剣(ショックブレード)と真空の亀裂を生み出す真空剣(メイデンブレード)を複合させて、着弾点は叩き斬りその周囲は吹き飛ばす空気の剣を撃ち放つ技。天位級はこれを素手で簡単そうにコントロールする。
ザコを吹っ飛ばすか、広範囲を吹き飛ばして敵騎士の足を止めるかが主な使い方。
  • 分身(パラレル・アタック)
カテゴリ2の典型例その1。超高速での連続サイドステップで何人にも見える。が、「パラレル」の名前の通り分身像は平行に移動しているだけ。
  • 残像剣(ディレイ・アタック)
振り抜く騎士の動作に何重もの残像が見え、フィニッシュのタイミングが見えづらくなる。カテゴリ2の典型例その2。
  • 飛燕剣(エコー・ブレード)
激しい体の振りと腕の振りで、打ち込みがどちらの手で繰り出されるかを撹乱する突進斬り。カテゴリ2の大技。
本編では剣聖デイモス・ハイアラキと「A・T」が実践し、どちらも「構え」と「振り抜き後」で持ち手が違っているのがわかる。
ぶっちゃけFSS版「変移抜刀霞斬り」である。作者も認めている*5
  • 無走剣(ブラインド・ブレード)
抜き打ちの衝撃波で敵をぶった斬る遠距離剣
  • 七音剣(ストラト・ブレード)
人差し指一本で空気のカッターを放つ技。敵との剣の打ち合いの最中に、剣を握る指を一本伸ばしてボディに斬りつける…改めて見るとエグい攻撃である。ウラッツェンがヌーソードに警告していた所からすると、バトルスーツを着ていても安心できない威力のようだ。
「狂乱の貴公子」デコースの得意技。
  • 十文字霞斬り(デフォッガー・アタック)
至近距離からX字に斬りつけつつ飛び退がる。十文字霞崩しかよ
  • ブレイクダウン・タイフォーン
三分身から、分身体それぞれが真空斬りを放ちつつ突入するカテゴリ1突進系剣技の最高峰。アルル・フォルテシモの得意技。元はハイアラキが黒騎士搭乗時に生み出した最高峰のモータースキル。
  • 連弾衝撃波(ダムドストローク)
小型の衝撃波の猛連射で敵を釘付けにする、ハイアラキの必勝手。カテゴリ1の剣聖技にして典型例。
  • ミラー
強力な騎士能力とダイバー(バイター)能力を併せ持つ者にしか使えない超絶技、次元反転分離攻撃。
この為、剣聖級の騎士であってもダイバーパワーが無いと使えない。(反面、騎士能力が足りてなくても才能があれば使うことも可能らしい)
完全に2つの体(同時存在)になり、バラバラに動き回る。
残像に過ぎない通常の分身と違って、鏡像体(ミラー)は実体を持ち本体と同じ事ができる上に独立しているので、
「敵を挟み撃ちにして真空斬り」という事もできるしここから更に通常の分身も可能。
カイエンは本編で、本体と鏡像体合わせて48分身を披露している。
  • ダブルヘクサグラム
12分身から24本の真空光輪(リングスライサー)を生み出し、敵を集中砲火するカテゴリ1の剣聖技。
剣聖慧茄・ダイ・グ・フィルモアの必勝手だった。
ただし、上記のダムドストロークもそうだが、これ程の超絶技であっても“足止め”や“隙を作るため”の技に過ぎない。
  • 十字架手刀(カルバリィ・ブレード)
交差する同時発生させたソニックブレードにダイバーパワーによる光弾を組み合わせた剣聖剣技。
ミラー同様に剣聖級でも使用者が限られる。
  • マキシマム・バスター・タイフォーン
剣聖級の騎士が全力で溜めを作って放つ、超大振りの空気砲。モーターヘッドすらたたき壊す。軽めに撃って敵の体勢を崩す用途もある。

【純血の騎士】

前述の「超帝国」の「シバレース」達の星団での呼び名。
現在の星団歴の騎士達が劣性遺伝の果ての劣化コピーに過ぎない事から「超帝国の純血の騎士」とも呼ばれる。
生身に剣一本でMHもブチ壊してしまう、歩く人外大魔境。
2千年を超える星団歴の中ですっかり薄れてしまった“筈”だったのだが、2200年代に突如復活した初代剣聖ナッカンドラ・スバースから連なる「純血の騎士」の血統が出現……先祖返りしたかの様な「化物」も発生している。
……更にドラゴンから託された「純血の騎士」その物や、そこから発展させた謂わば「人工の神」を誕生させた超天才が居たとか居ないとか……。
現在は前述のように純血の騎士(シバレース)が剣聖、通常の騎士はリッター(ウォーキャスター)と呼ばれる、超帝国時代の兵隊の末裔とされており、完全に別物として扱われている。



追記修正はファティマを娶る器量を得てからお願いします。

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最終更新:2020年11月24日 02:41