デコース・ワイズメル(FSS)

登録日:2011/08/19 (金) 23:46:47
更新日:2020/11/20 Fri 00:05:28
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「黒騎士<ブラックナイト>……!  デコース・ワイズメル!!」



◆デコース・ワイズメル


デコース・ワイズメルは永野護の漫画作品『ファイブスター物語』の登場人物の一人。
初登場は第1話「運命の3女神パート1 ラキシス編」
アニメ映画版の声優は中尾隆聖が務めていた。
通称:凸助(公式)。


◆初登場から再登場まで

同作を代表する悪役、悪漢キャラクターではあるが、正義や悪の二元論で塗り分けられていない『FSS』の世界観に於いては、単なる悪役とは呼べない独自の美学と主義主張を持つ、恐ろしい乍らも魅力的な人物として描かれている。
……尚、デコースが「悪」に見えるのは、自らがそれを望んだ結果であり、かの「悪漢宣言」にも通ずる「悪の美学」をデコースが持ち、尚且つそれに忠実に生きているが故である。

……事実、作中に登場して来た「騎士」の中でも、10指には入る実力を持つ超一流の騎士なのだが、その天才的な技量とは裏腹に仕えるべき主君も大望も持たず、初登場時には金の力で地方領主の座を勝ち取った悪辣な俗物であるユーバー大公の甥(雇われ用心棒)と云う名目で登場している。

ラキシスのお披露目式に乱入して横からかっさらったソープを追撃し、KOGと対戦。
相方であったトローラ・ロージンが一瞬で頭部コクピットをもぎ取られて潰されて戦死し、果敢に挑んだデコーズも一太刀も浴びせられず脚部を破壊されて大破した。


――――が、生きていた。 
この事に就いて作者は、キチンと「デコースは一流」であると云う事への注意を促しているのだが……。
ムック本でも「ただのスケベなやられ役」と紹介されていたデコース……。

───だが、目ざとい読者には疑問が残った。
単行本第1巻の口絵ページで、デコースのカラーイラストはファティマ・エストとMHバッシュと並んで掲載されており、黒騎士のシンボルであるオレンジ三つ巴のマークをつけたバトルスーツを着ていたのである。まさかこいつが?───

ともかく、ムック本の紹介通り、読者にとっては長らく、デコースなんて所詮はただの三枚目の間抜けなやられ役だったのである……再登場までは。

再登場となったのは「トラフィックス1」のエピローグ。
手下のチンピラが口喧しい爺さん(二代目黒騎士ロードス・ドラクーン)に懲らしめられたのにキレ、決闘を申し込んだ場面に於いてだった。
……「剣聖デイモスと並び称される武人」と云われ、既に読者にもコーラスーハグーダ戦を通じて、その実力が知られていたロードスを二刀流を使い、破ったチンピラの頭(騎士)こそ……あのデコースだったのである。

そして、短編連作「シバレース」の一編「黒き死の女神」に於いて、主(ロードス)を失った後に擬似人格“バーシャ”を発動させ、カステポーを彷徨していたファティマ・エストと邂逅。
……遂に、連載当初より予告されていた三代目黒騎士の称号を得るのであった。

考えてみれば天照、ラキシス、KOGというFSS最強トリオ相手に戦って生き延びているのである。
最初から只者ではなかったという事か。

……この後、デコースは「命の水」の力により復活した伝説の魔導師ディス・ボスヤスフォートの腹心(ブラックスリーの一角)として、あのミラージュ騎士団を壊滅させ、更にハスハ連合共和国(アトール聖導王朝)の首都ペイジとハスハ王宮の壊滅を成し遂げる事となる。
尚、現在の称号は「バッハトマ魔法帝国騎士団団長」……。

可愛い後輩に面倒見の良い所を見せたり、指揮官としても優秀な所を見せたり「やだぁ凸助どうしたの?」とファンからも賛否両論だが、作者によれば「面白いから」騎士団長やってるだけと云うのが真相らしい。
……飽きたら止める。
……きっとそれだけの事なのだろう。

彼が如何に「魔導大戦(マジェスティックスタンド)」を戦い、また如何なる結末を迎えるのかはもう少し先の事である。



【人物】


「宇宙の戦神」と謳われた元イオタ宇宙騎士団団長ジョルジュ・スパンタウゼン曰わく、「カステポーの生んだ天才騎士」。
その「剣」は我流で型が無く、凄まじい重さを持つにも関わらずに変幻自在に動くと云う。実際、ロードスやウラッツェン、ヌー・ソードといった剣豪の全力の振り下ろしをブレもなく受け止め、ひねるように反撃している。
二刀流も七音剣も手段の一つにしか過ぎない。
得意技は「七音剣(ストラトブレード)」と呼ばれる暗殺剣で、実体は不明だが「人差し指が重要」で、受けた相手は痛みも無しに脇腹を割かれ、下手に動くと腸が飛び出す状態に陥るらしい(多くの騎士剣技と同様に、正体は空気の剣技。指だけでの真空斬りなのだろう。)。
他にも、名だたる剣聖、天位剣技に精通しており、エストがヨーンを守る為に繰り出したブレイクダウン・タイフォーン(最強のMH剣技)も初見で見切っている。
その実力は「天位」級騎士ですら比較にならないレベルにあり、中古のデヴォンシャタイプのMHを駆り、三大MHのサイレン3騎(内一騎は当時の三銃士の一人であったバーバリュース・V)を一瞬の内に斬り伏せていると云う逸話もある等、その強さには枚挙に暇が無い。

……反面、前述の様に性格や人格面はねじ曲がっており、作者曰わく「性格と顔は悪いが、ファッションセンスだけは良い騎士」との事。
ひたすら人生に退屈しており、面白いと感じれば誰がどんな事になろうと省みることなく踏み込む。第1話のユーバー公の件も、アドラー星に動乱を起こすその策謀を面白がったのだと思われる*1

エープ騎士団のM・J・ギラ将軍が勘違いしていたが、彼の強さは経験によるものではない。
デコースは本物の「天才」である。彼は今までの経験を参照したり、知識で考えたり相手の行動を先読みしたりはしない。全ての事柄をその場の本能・直感で捌いている。
そういった人物はFSSに、他にも多数存在する。

チンピラ的な所しか見えなかったデコースだが騎士団長になって以降はチンピラ的な所はほとんど見られず、騎士団長らしい上に立つものとして部下の面倒をしっかり見ており
指揮は的確でいざという時は責任を取る度量、部下の功績に対して恩賞を与えるなど立場にふさわしい立ち振る舞いを見せている。
エストに対してもきつい当たり方をしたものの、乗機共々メンテナンスを受けさせるなど適切な対応をするなどととても当初のチンピラぶりが嘘のようである。
…「面白い」からにしてもここまで仕事ができるあたり本当に彼も天才であることが伺える。

多くの「天才」と呼ばれる人物がそうであるように、デコースもまた“存在するだけ”で周囲を歪め、混乱を生む存在である。
……「天才」は逆に新たな秩序を作る事もあるのだが、デコースは常に混乱を好む……自分と云うものを理解しているのだろう。

そんな彼が、言い訳のしようもない負け方をしたのがソープ
あの凸助がソープに対してだけは完全に力の差を見誤り、自分からつっかけて負けたのだ。ソープの異常性を示す出来事である。再会が待ち遠しい。

【パートナー】



※エスト以前のパートナーは存在せず、エトラムルファティマ(無生物型)を使用していた。
ファティマには否定的であり物として扱う、故にエストは悩まない。
それゆえ後年には歴代黒騎士の中で最もエストを的確に使いこなした黒騎士とまで称されている。


【搭乗MH】


◆バルンシャ(デヴォンシャ)
第1話で使用していた明らかに雑魚い外見のMHだが、基本性能のバランスが良く、使用する騎士によってはかなりの強さを発揮する……との説明通り、デコースはこの機体を利用してサイレン3騎を倒している。
更に、一番強いバーバリュースを殺さずに逃がす事で自らの「強さ」の生き証人としている……正に外道である。


バッシュ(バッシュ・ザ・ブラックナイト)
エストを娶ると共に所有……。
その高名を死神の代名詞と出来る事に身を震わせた。
因みにバッシュの名はカステポーの由来でもある「ヤーン・バッシュ・カステポー王女」に由来。
……最悪の凱旋となった。
かなりクセのあるファティマとMHなのだが、その本能でベストの取り扱いをしてみせる。
彼のバッシュは肩や頭部などに装甲を追加、まるで鎧武者のような外観になっておりそのかっこよさから歴代バッシュどころか全MHでも人気の高いMHの一つでもあった。
改編後にはGTMダッカス・ザ・ブラックナイトへと変更されている。



【主な関連人物】


  • ディス・ヒフツェン・ボスヤスフォート
通称:ボスやん(公式)。
バッハトマ魔法帝国皇帝で、現在の雇い主。
判り易い悪役に見えるが、実は人の尊厳の為に神に挑もうとする最凶の魔導師。

  • ビューティ・ぺール
通称:会長(公式)。
最強レベルのダイバーにして、ユーコン財団の会長。
魔力と財力でバッハトマを支える。
ミラージュダイバーのズームの母ちゃん。
超帝國宗家の末裔と思われる。

※ボスやん、会長、凸助の三人は「ブラックスリー」とも呼ばれ星団最凶(公式)。



■ピッキング・ハリス(スパーク!)
元・AP騎士団(ハスハの国家騎士団)スキーン隊隊長にして、ミラージュレフト(左翼大隊)No.10。
小天位騎士オルカオン・ハリスの娘にして「超帝国の純血の騎士」の血を色濃く受け継ぐ。
もう一つの人格は「薔薇の剣聖」こと、殺人鬼マドラ・モイライ。
更には彼女自身は超帝国の剣聖プロミネンスの転生でもある。
デコースとはフロートテンプル奇襲以前からの知り合いだったが、スパークの時にフロートテンプルで傷をつけたことで最強と信じて家庭を持ち
子を成すことなど叶わないと思っていたマドラが自分を傷つけた騎士となら…となり態々デコースの部屋まで赴き彼を逆レした。


■ベルベット・ワイズメル
十二代目剣聖。
後のミラージュ騎士で、デコースとスパークの息子
……どうしてこうなった。
出自的には転生前も含め剣聖の母と超一流の騎士で黒騎士の父を持つとんでもないサラブレッドなのだが…
ザ・ヤクト・ミラージュGL(グリーン・レフト)を預けられる程に強力な騎士で、剣聖マキシ(蒔子)がタイカ十曜に旅立った後に「剣聖」の号を授かる事になる。


■ヨーン・バインツェル
後のミラージュ騎士。
平民の出で、自らに目覚めた騎士の力を使い立身出世を果たす大望を抱き故郷を旅立った。
偶然から出会ったファティマ・バーシャとの旅の中で非凡な才能に目覚めるも……。






【余談】


原作でソープたちに敗れた後は乗機から這い出るコマが描かれているが、映画版では撃破後の描写はなくただのやられ役になっている。

※現在大好評連載休止中の「魔導大戦」……。
現在の黒騎士は、皆大好き、僕らの凸助(三代目)だが、戦争終結後にはバンドライン・ゴール(四代目)に代替えする事となる(末期には某フィルモア皇帝が黒騎士に搭乗している可能性も……)。
……それに伴い、バッシュの所属もバッハトマからハスハ解放軍に移る事になるようだが……。



何があった(あるんだ)、凸助……。






追記、修正は悪の美学を貫いてからお願いします。

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最終更新:2020年11月20日 00:05

*1 後の設定の充実とともに膨らんだ事だが、スケベオヤジの卑猥な手出しにしか見えない第1話、実はかなり危ない話だった。トラン連邦はミッション・ルース体制で貴族階級の権限がかなり制限されており、旧レントの貴族層が不満を溜め込んでいた。そこに旧レント貴族血統のユーバーがあれほどの戦力を固めてバストーニュの独立を謳えば、旧貴族が集まってトランで内戦が起きる可能性があったのだ。ロッゾ帝国がトップMHのヘルマイネをユーバーに売ったのも、アドラー星に介入する糸口を開く狙いがあったのだろう。ルース大統領の帰還とソープの参入が重なったことで撃破されたが、危うい偶然であった。