チコタン

登録日:2011/09/30(金) 21:57:41
更新日:2025/01/03 Fri 22:01:32
所要時間:約 4 分で読めます




チコタン』とは、蓬莱泰三作詞、南安雄作曲による楽曲である。正確には「チコタン~ぼくのおよめさん~」というタイトルで、高度経済成長社会の被害者たる子供たちを悼む歌として作られた。全5部構成。
歌詞が関西弁であることもあってか、主に関西の小中学校で歌われている。

いわゆる交通戦争*1を皮肉った歌と言われる事もあり、実際にこの項目でもそう書かれていたが、作詞者は「世間に交通事故に警鐘を鳴らす曲とだけ捉えられたことは心外だった」と語っている。

内容


Ⅰなんでかな
小学生の主人公がチコタンという女の子に惚れ、浮かれる。

Ⅱプロポーズ
主人公はチコタンに結婚を申し出る。
そしてストーカーぶりを前面に押し出し始める。

Ⅲほっといてんか
魚が嫌いなチコタンにふられた事を、魚屋を営む親のせいにして八つ当たりをする。

Ⅳこんやく
魚嫌いのチコタンが海老と蟹とタコは好きだと知った主人公。
彼は「海老と蟹とタコだけを売る魚屋をやろう」と思いつく。

Ⅴだれや!?
そんな約束の矢先、チコタンは交通事故で死亡。主人公はそのショックとやり場のない怒りに叫ぶ。

第4章までは恋をする少年の揺れる心が歌われているが、第5章が始まるや否や「チコタン死んだ」と急な鬱展開
子供たちの合唱コンクールに来た何も知らない親御さんたちを絶句させたことだろう……。

また学研映画により映像化されてもいる。
しかし、オープニングのスタッフロールで不協和音が流れ、アニメーションや主人公の言動が狂気的であるため、観ていて不快になる人も多いとか。
特にⅤのパートでは麻薬中毒の幻惑を見ているかのような表現があり、主人公がまさに冒頭で記したような病状になっていく様子がうかがえる。

合唱曲としては、感情の起伏が激しい上に曲も長いため、難易度が高いとされている。
そういう意味でもトラウマになるかもしれない。


その後

この曲と同じ作詞家・作曲家による合唱曲「日曜日~ひとりぼっちの祈り~」が作られた。
こっちも交通事故がテーマで、冒頭から両親が衝突事故で崖から落ちてひとり遺された少年の絶望が歌われ、聞くものを暗くさせる。

だが、終盤。『チコタン』同様、歌う側も聞く側もドン底に突き落とす展開に発展する。

「人殺しの子」と語り手が周囲から蔑まれて呼ばれる。
語り手は「違うわい」と否定するが、本人もしっかり「(父ちゃん)なんでお酒飲んで運転したんや」と父親が飲酒運転で事故を起こしたと知っていた。

事故の真相は彼の父が飲酒後、母親と共に車に乗って走行中に他車を追い越そうとして衝突、その勢いで崖から落ちたというものだったのだ
しかも、相手の車にも別の一家が乗っていて、その中の1人は足を大けが、他の人は全員死亡*2という大惨事になっていた
語り手は生存者に手紙を書きながら「僕が何でもするから父ちゃんを堪忍してやってくれ」という趣旨の必死の謝罪の言葉が歌い上げられる。

そんな鬱ソングだが、朝日放送のテレビ番組「なるみ・岡村の過ぎるTV」の摂津市特集にて当楽曲が紹介された。
「摂津市立第三中学校の卒業生なら全員歌える」といわれていたが、最近音楽の先生が変わって歌わなくなったらしい。
しかも問題の五番だけを歌わさせられていたとか。


追記・修正は、交通事故を起こさないという強い意志がある人が行って下さい。

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最終更新:2025年01月03日 22:01

*1 昭和30年代以降に自動車交通が急成長したことにより、交通事故死者数の水準が「日清戦争での日本の戦死者(2年間で17,282人)を上回る勢いで増加した」ことから、この状況は一種の「戦争状態」であるとして、「交通戦争」と呼ばれるようになった。

*2 語り手が生存者に対する手紙に「(ぼくの父が事故を起こさなければ)君もひとりぼっちにならずにすんだ」という表現がある。