されど罪人は竜と踊る

登録日:2011/03/22(火) 21:54:39
更新日:2018/05/06 Sun 13:58:26
所要時間:約 5 分で読めます





我らは絶叫し問い続ける

誰かが美しい至銀の短剣を

私の胸の奥の心臓に飾るまで

教えてくれ

その真実と虚偽と薔薇を


ジグムント・ヴァーレンハイト
「遺稿詩生前葬」皇暦四八九年








浅井ラボ著のライトノベル。イラストは宮城→ざいん。
角川スニーカー文庫版とガガガ文庫版が存在し、後者ではタイトルが「されど罪人は竜と踊る Dances with the Dragons」に改められた。
この辺は作者と角川とのトラブルが関わってくる。 


【大まかな説明】
咒式(魔法のようなもの)が存在する世界を舞台に、咒式士(魔法使いのようなもの)である主人公らしき存在ガユスと彼の相棒かどうか怪しいギギナが厄介事(国家レベルの陰謀やテロなど)に巻き込まれて戦い、死にかけたり、実際何度か死んだりする物語。

ちなみにタイトルにある「竜」とは「異貌のものども(咒式を使う人以外の生物の総称)」の一種であり、地上最強レベルの生物種。
沸騰したタングステンを吐いて人間を蒸発させたりする。
ガユス達はそんな化け物に襲われたり、霊長目ホモ属サピエンス種、つまりはヒトに騙されたり嵌められたりする。



【作品の特徴】
暗黒ライトノベルと呼ばれることがあり、実際その通りのダークでアンハッピーエンドな作品。
登場人物の言動が愉快だったりするので笑える部分もあるが、陥っている状況は大抵笑えない。

ガユス達の戦闘能力は人類としてはかなり上位に位置するはずなのだが、しょっちゅう鬼畜仕様の敵に遭遇し、内臓をかき回されたり、食べられたり、
一度殺されてから(殺し足りないので)無理やり復活させられたりする。

そして主人公達以上に他の登場人物が酷い目に遭う。虐殺、肉体改造、ゾンビ化、レイプ、輪姦、生体解剖、異種出産などなど。
しかも、それらの場面がしっかりと描写されている。ロリがアナルファックする場面もある。され竜は一般小説であって18禁ではないのだが。

物理面だけでなく精神面でもダークであり、毎度毎度、誰かが絶望することとなる。


このような内容なので自分がへこんでいる時に読むと、「こいつらの状況と比べたら全然マシだよな」という気持ちになれる。
もしくはそのまま心が折れるか砕け散る。


【登場人物】
◆ガユス・レヴィナ・ソレル
主人公兼移動式眼鏡置き場。
化学錬成系十三階梯の攻性咒式士として異貌のものどもと戦ったり、塾講師をしたりして生計を立てている。
咒式士として最高位に達する高い実力を持ち、頑張れば核融合を起こしたりできる。しかし対戦相手が常識を振り切った怪物や超人ばかりの為、相対的に雑魚扱いになってしまう事が多い。
少し性格に難はあるものの、そこそこのイケメンで頭脳明晰。ジヴーニャという美人の恋人がいるが、たまに浮気して制裁されたりする。
わりかしハイスペックなのだが、しばしば自らのキャパシティを超える出来事に遭遇する貧乏クジ。。
異常者に好かれる傾向で、内臓萌えの医師や蟲男や食人鬼に変態的な意味で求愛されている。
ポジションで言うと後衛系で魔法(らしきもの)を撃ちまくるタイプ。

◆ギギナ・ジャーディ・ドルク・メレイオス・アシュレイ・ブフ
ガユスの相棒の二酸化炭素放出式剣振り機。
ドラッケン族という戦闘一族の生まれで、生体強化系十三階梯の攻性咒式士にして剣術の達人。
凄まじい美形であり、美女をとっかえひっかえしている。しかしながら女好きな訳ではなく、本人は人間より家具に偏執的な愛情を注ぐ変態。
お気に入りの椅子にヒルルカと名付け娘のように溺愛している。
ガユスとの仲は非常に悪く、彼を斬殺しようとすることがよくある。
ポジションで言うと前衛系で自分強化系統かけて剣術でぶち転がす。



【用語】

  • 咒式
プランク定数に干渉して望む現象を引き起こす為の技術ないし能力。
その仕組の基礎は明らかに物理学だが、良く分からない読者はとりあえず『科学っぽい魔法』とでも考えておけば問題無い。
咒式の存在により、され竜は現代にファンタジーとSFを足して割ったような感じになっている。


主な分類は
化学系:化学物質や金属を精製する
生体系:生物に関係する物質や器官、もしくは生物自体を生み出す
電磁系:電気やレーザーを発生させる
重力系:重力場を生み出す
数法系:確率を変化させ、さまざまな現象を起こす

の五種類。

  • 咒式師
咒式を使う人達の事。
一から十三の階梯に能力を判定され、九階梯以上は高位咒式師、十三階梯に達した者は到達者と呼ばれる。
作中における強さの目安ではあるのだが、到達者の中にもピンキリがあり高位の者は常識とか通じないのであくまで目安。
ちなみに主人公達はピンキリのキリの方。
でもキリの方でも上位がよく敵で出てくるので毎回苦戦する。

  • 魔杖剣
咒式を使う際に必要な兵器。され竜版マジカルステッキ。
銃のような機関部と刀身を持ち、これに咒弾を装填し組成式を書き出し引金を引く事で咒式は発動する。
通常の咒式師は魔杖剣がなければ咒式の発動は出来ないが、異貌のものどもや超人の一部は無くても発動可能。
魔杖剣以外に魔杖槍斧、魔杖弓、魔杖短剣なども存在する。

異貌のものどもの中でも最高位の存在で、所謂ドラゴンの事。
人間以上の知性を持つ高位竜とそれ以外の飛竜等が存在するが、この場合の竜は基本的に前者。
生を受けて千年以上の竜は長命竜(アルター)と呼ばれ、高位咒式師が束になっても勝てない程の強さを誇る。
万年生きた竜は龍と呼ばれ、神と同一視される。

  • 禍つ式
別の世界から奇跡的な確率で干渉してくる存在で、所謂悪魔や邪神。
高次元の存在であり、存在するには何かを核とする必要がある。
その性質から咒式との類似点が指摘されており、「禍々しき咒式」、略して禍つ式と呼ばれる。
「人間界を滅ぼして俺たちの世界にするぜ!」な混沌派
「高位な私たちが人間界を管理してあげましょう」な秩序派
そのどちらでもない無派が存在する。
形式番号付きの大禍つ式(アイオーン)は長命竜とタメを張る能力を持つ。それぞれの番号により人間の爵位で区別される。

  • 家具の会
家具蒐集家や家具評論家が集まり、家具について会議を重ねる組織。公平性を保つために覆面をかぶって開催される。
毎週のように家具界の振興や家具用語の定義の検証など、深淵な命題について殴り合いをも交えた熾烈な議論を繰り広げており、代表的な構成員として攻勢咒式士のギギナ、椅子分類学のテレンバイン博士、椅子生態学のハスキュレイ博士などが存在する。
また家具を傷つける闇の家具勝負、家具武闘などの残虐行為を異端家具審問官が取り締まっており、それらを開催する組織、闇の家具会とそれを率いる家具七将軍と強い対立関係にある。

追記、修正お願いします。

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