墓穴ホール(遊戯王OCG)

登録日:2025/08/25 Mon 00:03:56
更新日:2025/08/30 Sat 11:15:42
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《墓穴ホール》とは、遊戯王OCGのカードの1枚である。

概要


墓穴ホール
通常罠
(1):手札・墓地・除外状態のモンスターの効果を相手が発動した時に発動できる。
その効果を無効にし、相手に2000ダメージを与える。



初出は第10期最終弾である第12弾のETERNITY CODE。つまり《朔夜しぐれ》や悪名高き《リンクロス》と同期。
2種類の効果を持っており、まず1つ目は手札・墓地・除外状態のモンスター効果の発動を封じる効果。


効果の適用範囲内に手札が含まれている為、パッと思いつくのは手札誘発への対策としての使い方を考えた人が多いかもしれない。

ただ、昨今の遊戯王で手札誘発に対する対策カードとして、多くの人はこのカードを浮かべるだろう。

速攻魔法(準制限カード)
(1):相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを除外する。
次のターンの終了時まで、この効果で除外したモンスター及び
そのモンスターと元々のカード名が同じモンスターの効果は無効化される。

昨今の遊戯王で手札誘発に対策をする場合、このカードが使用されることが多い。
そこで、このカードと比較をしながら手札誘発対策としてのこのカードのメリット・デメリットを浮かび上がらせていきたい。


①:「手札から墓地へ送って発動する」タイプでない手札誘発カードにも対策が出来る。

手札誘発の効果を持つモンスターの多くは、発動時に自信を墓地に送って効果を使用するカードが多い。

故に効果解決時には対象カードが墓地にいる関係で《墓穴の指名者》は狙い撃って効果の無効化をすることが出来るわけだが、PSYフレーム系のカードや《バトルフェーダー》の様に墓地に送って発動するわけではないカードに対しては《墓穴の指名者》は使用する事が出来ない。

他にも《次元の裂け目》などの墓地に送るモンスターを除外するカードによって、墓地にカードが送られなくなっている状態*1であっても同様の状態になってしまう。

一方で《墓穴ホール》は「発動した箇所」を参照しており、手札から効果を発動していれば、効果解決時にどこにいようが無効化の処理ができる。


②:手札誘発の効果無効が自分には適用されない。

《墓穴の指名者》は効果を無効にした後、次のターン終了時までお互いに同名カードの効果使用が不可能になるため、自分側にも効果を発動できなくなる制約がある。
これを忘れてうっかり発動したことで、結果的に無駄にリソースを消費してしまう危険性を持っている
一方《墓穴ホール》にはこの様な問題は発生せず、相手側の動きだけを止めることができる。

ただし、これは無効期間の様な物が無い関係上、相手が再度使ってきた場合などに対して、逐次対処をしなければならないなどの欠点とも捉え得る点には注意が必要である。


③:セットしないと使用できない。

《墓穴の指名者》に大きく水をあけられている点がこれ。
環境内で手札誘発を一番止めたい状況は「先攻1ターン目」に「後攻側が使用してくる手札誘発」を止めるタイミングになる事が多い。
その点《墓穴の指名者》は速攻魔法の為、手札にあればその場で使用できる。
一方《墓穴ホール》は罠カードの為、手札にあってもその場では基本的に使用できず、セット→発動と言うタイムラグが生じてしまう問題があり、すぐに使えないという点が手札誘発を止めたい時に機能してくれないという厄介な状態に繋がる事もある。


④:無効化したモンスターには何もしない。

手札誘発を発動して対象のカードが墓地に行っている場合、《墓穴の指名者》は、対象のモンスターを除外してしまう為、相手側の再利用が難しくなるのだが、《墓穴ホール》は効果を無効にした後には特に追加の処理が行われないため、墓地にある状態で対象モンスターを特殊召喚する、墓地から除外して別の効果を発動するなどの利用をされてしまう恐れをはらんでいる。


……と、この様に手札誘発としての使い方だけを見ても《墓穴の指名者》と《墓穴ホール》で得意・不得意があるのがよく分かるだろう。

それ以外の面で見た場合、《墓穴ホール》は墓地効果や除外効果を無効にすることが、《墓穴の指名者》は対象のモンスターを墓地から蘇生させるのを不発にさせたり、リリースして発動するなどの効果を無効にすることが出来る、と言った住み分けができる為、それぞれの特性を見極めて自分のデッキではどちらを運用するべきかを考えるのがいいだろう。



また、手札誘発に限らずにフィールド以外の場所での効果無効用として単純に運用する場合

カウンター罠
(1):1500を払って以下の効果を発動できる。
●モンスターの効果が発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する。
●自分か相手がモンスターを特殊召喚する際に発動できる。その特殊召喚を無効にし、そのモンスターを破壊する。

も存在する。

《墓穴ホール》で無効にできる効果は基本的にこのカードでも無効にできる上に、《墓穴ホール》では止めることのできない、手札・墓地・除外状態からの「チェーンに乗らない特殊召喚効果*2」にも対応しており、カウンター罠故の妨害の受けにくさなどでこのカードより優っている。

勿論こちらについてもライフコスト1500の有無、通常罠故の《トラップトリック》《悪魔嬢リリス》、そして【ラビュリンス】などのサポートの有無など、差別化が可能になる点がある為、《墓穴の指名者》の時と同じく使い方を上手く考えて運用の仕方を考えていく必要がある。


もっとも、次の2つ目の効果から墓穴ホールが他のカードの下位互換として扱われることはまずないのだが……。





2つ目は効果無効後に2000ポイントのダメージを与える効果。



……この時点で「見間違いか?」と感じた人もいるかもしれない。
ではもう一度効果をよく見てみよう。














墓穴ホール
通常罠
(1):手札・墓地・除外状態のモンスターの効果を相手が発動した時に発動できる。
その効果を無効にし、相手に2000ダメージを与える。


……そう、見間違いではない。
このカード、指定された領域内で発動したモンスターの効果封じをした後の処理として、相手のライフを一気に2000削るという、オマケと呼ぶには破格すぎる追加効果を持っている。

「初期ライフ8000の4分の1」と言う観点でも十分に脅威ではあるが、昨今の遊戯王では、「ライフポイントを支払う/ダメージを受ける/失う」と言ったコストは他の盤面や手札などのリソースを消費する様なコストに比べて軽い物とみなされ、積極的に消費されていく傾向が強いため、状況次第では引導火力として機能する可能性も十分にある。

また、引導火力とならない場合でも、2枚目以降のこのカードの存在をチラつかせてデュエルを進行させていく事で、相手の警戒を強めさせて展開を緩めさせたり、「支払う予定だったコスト分のライフが削られた事で、カードの使用が出来なくなり、展開ルートの見直しを余儀なくされる」と言う副次的な恩恵も期待することができる。



昨今の遊戯王では手札・墓地・除外状態からのモンスター効果発動は比較的よく見られるため、能動的な発動こそできないものの、気軽に使用できるバーンカードとして使用する事も可能になっている。

単純なダメージ量の高さゆえに【フルバーン】内でダメ押しの一撃として使うも良し、罠カードゆえにチェーン数を増やしていくのに使用できる点を使って【チェーンバーン】のソースに組み込むのも良しと、バーンダメージの観点で見た場合、かなりの活躍が見込める。


……と、この様にフィールド以外の場所からの効果への無効効果と、バーン効果についてを見てきたが、このカード自身は「ホール」の名を冠しているため、【蟲惑魔】内で様々なサポートを受けることが出来、効果をより効率的に運用できる。

また、通常罠カードゆえに上述した通り【ラビュリンス】ともシナジーが高く、上手くやれば先攻1ターン目でも後攻の相手からの手札誘発に対して動くことが出来る、などの利点も作れる。

この様に汎用性では、類似カードに対して後れを取っている部分はあるものの、デッキ次第で大きな活躍を見せてくれるカードでもあるので、興味がある人はデッキに入れてみて動かしてみるようにするのもいいかもしれない。



相性のいいカード

エクシーズ/効果モンスター
ランク4/地属性/植物族/攻300/守2500
レベル4モンスター×2
(1):X素材を持っているこのカードは罠カードの効果を受けない。
(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、「フレシアの蟲惑魔」以外の自分フィールドの「蟲惑魔」モンスターは戦闘・効果では破壊されず、相手はそれらを効果の対象にできない。
(3):自分・相手ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、デッキから「ホール」通常罠カードか「落とし穴」通常罠カード1枚を墓地へ送って発動できる。この効果は、その罠カード発動時の効果と同じになる。
デッキの墓穴ホールの効果をコピーして使用できるモンスター。
【蟲惑魔】の特徴である「落とし穴」「ホール」サポート効果の一環であるが、素材に縛りはない汎用Xモンスターである。
驚くべきは、前述した墓穴ホール最大の弱点、「セットしないと使用できない」という弱点を克服できるということ。ランク4を出すだけで、初期手札の質によらず墓穴の指名者のような役割をこなすことができる唯一無二のコンボである。

一方で、この目的のために墓穴ホールを1枚だけ採用するとなると、素引きが大きなリスクとなる。墓穴ホールがデッキに存在していないとこのカードのコピー効果は使用できないのだ。
特に、ついでのように盤面にランク4を追加できるデッキというのは高速展開デッキと思われるため、墓穴ホールを罠として運用してもあまり効果的でない。

【メガリス】と非常に相性がいい。元々デッキ枚数を嵩ませないといけない事情があるため、このカードの素引きのリスクも少ない。
ランク4の申し子【ライゼオル】登場時にはニビル対策を目的に採用されたこともあるが、間もなくしてカテゴリ内のみで安定して対策ができるようになったため下火となった。



余談


  • 名前の由来は「墓穴を掘る」を元として「掘る→ホール」としたものと思われる。実際にイラスト内には《墓掘りグール》や《墓穴の指名者》にも出てくる腕が墓を掘りながらやり取りを交わしていたり、《浅すぎた墓穴》に登場するモンスター2体も背景にて登場している、と言ったややカオスな光景になっている。

  • イラスト内にいる《浅すぎた墓穴》の登場モンスター2体の様子から、このカード内で描かれている状況は《遅すぎた墓穴》との設定的な関連がある可能性が示唆されている。



追記・修正は墓を掘り起こされながら2000バーンを受けても倒れない人がお願い致します。


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最終更新:2025年08月30日 11:15

*1 「手札から墓地へ捨てて(送って)発動する」系の手札誘発は使えないが、「手札から捨てて発動する」系の手札誘発は適用下でも発動できる。

*2 《サイバー・ドラゴン》の様な特定条件を満たしている場合に、効果の発動などを伴わずに行われる特殊召喚のこと。