危険物取扱者

登録日:2012/05/02(水) 00:16:53
更新日:2020/03/19 Thu 13:59:56
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危険物取扱者とは、世の中いろいろやべーものがいろいろあるが、日本では消防法で定められた危険物の取扱及び貯蔵に関わる業務を担任する者である。
危険物取扱者免許を所持する者が危険物取扱者になることを許される。

分かりやすく言うならば、ガソリンスタンドの店員などが我々庶民にとって最も身近な危険物取扱者であろう。
勘違いされやすいが、タンクローリーの運転に危険物の免許は必要ない。ガソリンなどを積んで走るときにいる。

工業系の仕事に着く際は非常に役に立つ免許であり、工業高校出身の人間ならば、必ずこの免許を取得しているといっても過言ではない。

というよりこの免許の取得が必修化されている工業高校も実際に存在する。


危険物取扱者になるためには

『危険物取扱者になりたいけど、どうすればいいのか分からない……』

答えは単純明快、危険物取扱者の試験を受けて合格すれば、その日から危険物取扱者である。
すなわち、実際に危険物を取り扱う仕事をしていなくても、免許を所持していれば危険物取扱者の称号を得られるのだ。


試験の種類


試験は甲種、乙種、丙種に分かれており、それぞれ扱える危険物の範囲が違う。さらに乙種は扱える物質の種類によって1~6類まで細分化されている。

どの試験も3分野に分かれており、3分野とも正解率6割が要求される。

  • 危険物に関する法令
消防法をはじめとする法令。「指定数量」という考え方について、危険物取扱者のルール、危険物を取り扱う施設の分類やルール、危険物の陸上輸送に関するルールなどを問われる。

  • 物理学及び化学
この分野のみ種によって名前が変わり、甲種は「物理学及び化学」、乙種は「基礎的な物理学及び基礎的な化学」、丙種は「燃焼及び消火に関する基礎知識」。
高校生レベルの物理・化学に加え、燃焼の仕組みや消化の原理などを問われる。

  • 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法
各類に属する代表的な危険物の特徴や安全な保存法、消化方法を問われる。

概ねの試験の難易度は
甲種>>>~越えられない壁~>>>乙種4類>4類以外の乙種>丙種
である。

ガソリン、灯油、軽油などの液体燃料全般を取り扱える乙種4類、全ての危険物を取り扱えるキングオブ危険物取扱者である甲種は特に人気が高い。

てゆーか、ぶっちゃけ乙種4類と甲種以外は空気


受験資格

受験資格は特に無く、受験料さえ支払えば小学生でも受験できる。
受験申込封筒も最寄りの消防署に置かれているので簡単に受験する事が可能。

試験はマークシートの選択式でありしかも合格率は甲種と乙4種を除き60%程度であり、かなり合格しやすい。

ただし、甲種と乙種4類は30%程度である。
乙4は人気が高く、その中には学校等で無理矢理受験させられたやる気ない人が少なからずいるためである。
また、乙種免状を持っている者は他の乙種免状を受験する際に試験科目の「危険物に関する法令」と「基礎的な物理学及び基礎的な化学」が免除され、試験時間が35分となる。つまり「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法」のみ。
すなわち乙4は完全にまっさらな状態で受ける人が多く、一方で他の乙種は科目免除がある人が多いのである。乙4以外の乙種を受ける人って大体「該当物質を仕事で扱う」とか「甲種の受験資格取得のため」とかなので。
甲種は単純に難しいため。試験科目の免除もない。

なお、乙4を取ってから甲種に挑むつもりなら2類は飛ばして3、5類及び1類or6類を取る必要がある。
そのため「1類を取るか6類を取るか」という話になるのだが、難易度的には「どっちもどっち」。どのみち甲種を取るなら全部勉強する必要があるのであまり気にする必要はない。
しいて言うなら、1類は「勉強は面倒くさいが試験は簡単」、6類は「勉強は簡単だが試験は面倒くさい」という傾向がある。
1類は該当する危険物の種類がやたらと多く、覚えるが大変だがその代わりに試験自体は基礎問だけで十分数が稼げるため、基本ができれいれば問題なく合格できる。
一方6類はたった4種類しかなく覚えやすい代わりに、一つ一つの危険物について問われる知識が深く難問奇問が出やすい傾向にある。

基本的に受験資格は無いのだが、甲種のみ例外的に極めて厳しい受験資格が課せられている。

  • 化学系の学部・大学を卒業している。もしくは化学に関する授業を15単位以上修得した者。

  • 乙種免許の内のどれかを取得していて、かつ、危険物取扱者としての実務経験が2年以上ある。

  • 乙種免許を以下の4種類以上取得している者
1.1類又は6類
2.2類又は4類
3.3類
4.5類

上記のどれかに該当していることが受験資格である。

しかも、試験の内容自体が乙種とは遥かに次元の違う難易度を誇る。流石は危険物取扱者の最高峰といったところだろうか。


取り扱える危険物の区分


甲種

全ての種類の危険物の取り扱いと立ち会いができる。
更に、甲種防火管理者と防災管理者の資格、陸上航空自衛隊の技術陸曹と空曹の任用資格を有すると認められる様になる。

乙種

1~6類のうち自分が免状を交付されている類の危険物のみ取り扱いと立ち会いができる。

乙種1類-酸化性固体
乙種2類-可燃性固体
乙種3類-自然発火性及び禁水性物質
乙種4類-引火性液体
乙種5類-自己反応性物質
乙種6類-酸化性液体

全ての類を所持していれば甲種同様の取り扱いと立ち合いの資格を有する様になる。

丙種

第4類に属する危険物のうちガソリン、灯油、軽油など指定されたものの取り扱いのみができる。正直とる意味はない


もう少し詳しく

危険物に関する法令

とにかくいろいろな規定が出てくる。暗記を最も要求されるだろう。内容をちょいと見せると、

  • 指定数量
確かに危険物は量が多いほど危険だが、異なる種類の危険物を量だけで比較するのは好ましくないため、種類ごとに「指定数量」という値が規定され、扱う量/指定数量で表される「指定数量の倍率」という数値が重要となる。
指定数量の倍率が1倍以上になると消防法の規定に従うことになる。それ未満の場合は条例による。
例えばガソリンは「第4類・第1石油類・非水溶性」なので200L、重油は「第4類・第3石油類・非水溶性」なので2000L。つまり同じ量だとガソリンは重油と比べて10倍危険。

  • 施設
製造所、貯蔵所(7種)、取扱所(3種)に分けられる。例えばタンクローリーは貯蔵所のうちの「移動タンク貯蔵所」、ガソリンスタンドは取扱所のうちの「給油取扱所」にあたる。
それぞれにおいて扱える危険物やその指定数量の範囲、容量や設置場所(住宅、学校、重要文化財などからの距離)、危険物保安監督者の設置義務のありなしなど規定がある。

  • 消火設備
第1種(消火栓)、第2種(スプリンクラー)、第3種(泡消火設備など)、第4種(大型消火器)、第5種(小型消火器、水や砂のバケツなど)がある。

危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法

  • 第1類・酸化性固体
燃焼は、「燃えるもの」と「燃やすもの」が急速にエネルギーを放出しながら結びつく反応である。
ここにあるのは「燃やすもの」にあたる固体で、
塩素酸カリウム、過塩素酸ナトリウム、 硝酸アンモニウム、過マンガン酸カリウム、重クロム酸カリウムといった酸素の供給源が該当する。
保存時は衝撃や高温・可燃物との接触を避ける。消火時は水で冷却しよう。

  • 第2類・可燃性固体
「燃えるもの」にあたる固体。
代表選手は硫化リン、硫黄、赤リン、金属粉、固形アルコール。
空気や水を避けるために密封し、冷所に保存される。水で冷却することが多いが、水と反応する物質は砂をかけて酸素を断つのが効果的。

  • 第3類・自然発火性及び禁水性物質
水や空気に触れるだけで発熱する、相当危険な物質。指定数量も10kgなど少ないものが多い。
黄リン、アルカリ金属(カリウムやナトリウム)、アルキルアルミニウム、ジエチル亜鉛、水素化ナトリウムなど。
空気や水と触れないように、灯油や窒素の中で保管される(ただし黄リンは禁水性でないので水中に保存)。
黄リンなどを除いて水での消火はできず、不活性ガスや砂などをかけることが効果的。ただ消火も難しい部類。

  • 第4類・引火性液体
最も馴染みのあるものがそろう花形。「燃えるもの」にあたる液体。
引火点、つまり「火を近づけたら燃え出す」温度の低いものから、特殊引火物(ジエチルエーテルなど)、第1石油類(ガソリンなど)、アルコール類、第2石油類(灯油や軽油など)、第3石油類(重油など)、第4石油類(潤滑油など)、動植物油類。
静電気をためやすい・揮発しやすいなどの特徴があるため、絶縁体の上に置かない、換気の良い所に置くなどを守る。勿論火気厳禁。
ほとんどが水より軽く、浮いて流れるため、火災時は水はかけずに消火器液など専用の薬剤を散布して酸素との接触を断つこと。


  • 第5類・自己反応性物質
「燃えるもの」と「燃やすもの」を両方含む物質で、自然発火・爆発などを起こす危険性があるという厄介物。
過酸化ベンゾイル、ニトログリセリン(ダイナマイトの成分)などの硝酸エステル、ピクリン酸やTNT(トリニトロトルエン)が所属する。
衝撃を避けて冷所に保存。消火は非情に困難で(何せ酸素を断っても効果が無いため)、大事に至らぬうちに水で冷却するのが良い。

  • 第6類・酸化性液体
「燃やすもの」にあたる液体。
過塩素酸、過酸化水素、硝酸など。
保存時は衝撃や高温・可燃物との接触を避ける。消火時は水で冷却しよう。
また自然に分解するものも多く、その場合は密閉禁止。


興味がある人は近所の消防署に行って願書を貰ってこよう!







追記・修正は危険物取扱者甲種を取得してからお願いします。
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