GRAN TURISMOシリーズ

登録日:2010/06/06 Sun 00:17:22
更新日:2025/02/07 Fri 12:56:06
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GRAN TURISMO

THE REAL DRIVING SIMULATOR


GRAN TURISMO(グランツーリスモ)とは、ソニー・コンピュータエンターテイメントの主要子会社であるポリフォニー・デジタルが企画、開発しているドライビングシミュレーターゲームシリーズ。
略称はGT。

全世界で累計8000万本以上を売り上げる大人気シリーズである。



―概要―

先行していたナムコの「リッジレーサー」シリーズに対抗して発売された。
スピード感、ドリフトの爽快感を楽しむリッジレーサーに対し、グラフィックや車の挙動のリアルさを追求しており、エンジンなどの動作音も実車から収録するという当時としては異例の作品だった。

収録車種もレーシングカーやスポーツカーは勿論、街中でおなじみの軽自動車やハイブリッドカー、そして架空車も登場する。当初は大人の事情で不参加だったポルシェ・フェラーリも途中から参入し、今や全世界の自動車メーカーが登場するゲーム作品となった。
またこのゲームによって三菱ランサーエボリューションや、日産スカイラインGT-Rなどの国産スポーツカーが海外に広く認知されることになった。

シリーズの人気から2010年以降、実車メーカーがゲーム収録用のコンセプトカー「Vision GRAN TURISMO」を発表。果てはゲーム出身者からプロレーサーが誕生する等その影響力は単なるゲームを超え、世界の自動車業界に影響を及ぼしたと言っていいだろう。

2023年9月には映画化され、レーシングドライバーのヤン・マーデンボローがグランツーリスモを元にSCEと日産が主催するレーシングドライバー養成プログラム「GTアカデミー」でレーサーのキャリアを歩んだ実話をベースに、フィクションを織り交ぜたサクセスストーリーとなっている。

―シリーズ―

グランツーリスモ (PS)

1997年12月23日発売。
初代はサーキットこそ全て架空の物だが、100車種146グレードの圧倒的な車の台数、挙動のリアルさ、リプレイの美しさなどで、爆発的な世界的ヒットとなった。
PS1のソフトで世界1位の売り上げを記録しているのはこのソフト。
パッケージはトヨタ スープラと日産 スカイラインGT-R (R33)。

グランツーリスモ2 (PS)

1999年12月11日発売。
データ量の増加から二枚組ディスクで発売された。
一枚はメインの「グランツーリスモモード」。
もう一枚は「アーケードモード」である。
今作でダートコースが追加され、実在サーキット(ラグナ・セカ・レースウェイ)も初めて収録された。
パッケージはホンダ S2000。
ちなみに北米版のパッケージに写っているのはマクラーレン F1のダッシュボードである。本作には収録されていないのだが…


グランツーリスモ3 A-spec (PS2)

2001年4月28日発売。
プラットフォームがPS2に移りグラフィックなどが比較にならない程向上。フレームレートが30fps→60fpsになった事で動きがより滑らかで繊細になった。
PS2と同時発売(2000年3月4日)の予定だったが、車種、ゲームモードの追加でズルズルと発売日が伸びてしまった。"A-spec"となっているのはGT4で追加されるB-specモードを追加したソフトを後から発売する予定だったためであるのだが、結局そのソフトが発売されることはなかった。
パッケージはRUF 3400S。
実は内部データには当時の山内Pの愛車であったポルシェ911 GT3(996)が入っている。


グランツーリスモ コンセプト 2001 TOKYO (PS2)

2002年1月1日発売。
2001年東京モーターショーで発表された当時の最新車種を収録。
パッケージは日産 GT-R コンセプト。
海外では2002 TOKYO-SEOUL(パッケージはヒュンダイ クーペ FX)や2002 TOKYO-GENEVA(パッケージはNTSC版がフォードGT コンセプト、PAL版は日本版と同じ)といったバリエーションが登場している。


グランツーリスモ4プロローグ (PS2)

2003年12月4日発売。
開発が長引いたグランツーリスモ4の遅れを補完する意味合いで発売された。
グランツーリスモ4の予告編。
教習所スタイルで入門的内容。
すごろくのようなボードゲームスタイルで、運転技術向上レッスンを受けて進む。


グランツーリスモ4 (PS2)

2004年12月28日発売。
GT3の要素に加えて、愛車の写真撮影(USBメモリへの保存やプリンターでの印刷が可能)やB-specモードなどの新機能が加わった。
本作から物理エンジンが一新され、挙動のリアルさが大きく向上し実在サーキットが本格的に収録されている*1
B-specモードは、自分は運転せず、ドライバーに指示を出しながらレースが進行するモードである。
パッケージはフォードGT コンセプト。


グランツーリスモ4 オンライン実験バージョン

次のグランツーリスモに向け、抽選で選ばれた人にソフトの返却を前提に配布されたソフト。


グランツーリスモHD コンセプト (PS3)

PS3初のグランツーリスモで、オンライン向けに無料で配信されていたソフト。
様々な部分にGT4の面影が色濃く残っている。
本作でファン待望のフェラーリが初登場。
ブランドイメージ保持の観点から「ウチのクルマが最速じゃないと許可できない」*2という姿勢を貫いている偏屈な会社であったため、GTへの参戦は大いに驚かれた。
パッケージはフェラーリ 599。


グランツーリスモ5プロローグ (PS3)

2007年12月13日発売。
グランツーリスモ5の予告編。
プラットフォームが次世代機のPS3になった事により、更にグラフィック、挙動が美しくなった。
マルチプレイヤーでのオンライン対戦が可能。
オンラインアップデートが何回か行われた。
パッケージは初期版が日産 GT-R、Spec IIIがGT by シトロエン。


グランツーリスモ (PSP)

2009年10月1日発売。
とうとうGTが外に持ち出せるようになってしまった。
タイトルはGTだが、初代のリメイクではない。
延期延期のシリーズで珍しく発売日が一週間早まった。
とはいってもPSP発売前(2004年)にはPSPでGTシリーズが出ることは発表されていたので、延期こそされていないものの発売は遅れたと言える。
800車種以上、35コース搭載でメインシリーズにひけを取らないボリュームになっている。
ランボルギーニやブガッティといったスーパーカーメーカーは本作から登場。
ちなみに「ミッションにチャレンジ」モードのナレーションは桑島法子
パッケージはシボレー コルベット ZR1 (C6)。


グランツーリスモ5 (PS3)

2010年11月25日発売。
2010年11月3日発売の予定だったが、延期がアナウンスされ25日に発売された。
車体ダメージ、時間変化やGT3以来のローマコースにTop Gearテストトラック等の新収録コース、さらにはF1のレッドブル・レーシングと共同開発し、「F1における制約を一切無視して地上最速のマシンを作った場合どうなるのか」をコンセプトに、空力の鬼才と呼ばれるエイドリアン・ニューウェイが手掛けた『レッドブルX2010プロトタイプ』の他、1031車種の収録車両などの新要素が盛り込まれている。
…が、本作向けにモデリングされたプレミアムカーとPSP以前のGTから移植されたスタンダードカー*3の間でクオリティの差があまりにも激しい。車内視点がない、写真撮影に使えないなどの制約がありダメージ表現も車体がグニャリと歪むだけな上、特にGT3以前から移植されたものはテクスチャーがかなり低品質。ひどいとホイールアーチが目に見えてジャギジャギなものすらあった。
一部のスタンダードカーはアプデで修正が入った。
パッケージはメルセデス・ベンツ SLS AMG。

2011年10月11日にスペック2.0と表してアップデートが行われ、パッケージ版も発売された。
パッケージはグランツーリスモ レッドブル X2011 プロトタイプ。

当初はDLCは導入しないつもりだったが、プレイヤーからの要望により配信を開始。

GTアカデミー

SCEと日産による、GTを用いてプロドライバーを育成するプログラム。
2008年に第一回選考が行われ、2010年から2016年まで毎年世界各国で開催された。
このプログラムからSUPER GTやル・マン24時間レースなど世界の名だたる大会で活躍する選手を何人も輩出している。
GTアカデミー自体は終了したが、現在でもリアルレースへのステップアップを賞典とするオンライン大会がいくつか存在している。

グランツーリスモ6 (PS3)

2013年12月5日発売。
今回は珍しく特に延期もなく発売された。
サスペンションシミュレーションにKWオートモーティブが、タイヤシミュレーションに横浜ゴムが協力しているほか、様々な部分で新規のシステムを採用した作品。
目玉は、グランツーリスモ15周年を記念して自動車メーカーがグランツーリスモのためだけにクルマを本気でデザインする『ビジョン グランツーリスモ』という企画の元に誕生したクルマの数々。
当初は一発企画の予定だったが、その後もプロジェクトは継続している。
収録車種は1247種類に上った(同型の仕様違いを含む)が、モデリング時期によるクオリティの差は相変わらず。というか本作からサブディビジョンサーフェスモデリングが導入されたため余計に格差が広がっている*4
本作のみ最初のクルマがフィットで固定されておりネタにされている。
パッケージはシボレー コルベット スティングレイ (C7)。


グランツーリスモSPORT (PS4)

2017年10月17発売。
PS4初のグランツーリスモで、FIA(国際自動車連盟)とのパートナーシップのもと開発された作品。
PS3からのハードウェア性能の向上は凄まじく、グラフィックはこれまでよりもはるかに高水準を達成している。
あくまでもSPORTであり、ナンバリングからは外れているため、チューニングに関してはナンバリングタイトルより圧倒的に簡略化されている。
また本作はオンライン専用で、シングルモードのみプレイするにしてもネット接続が必要。マルチプレイにはPlusの加入も必須。
初めは少なめだったクルマやコース、オフラインイベントも、1ヶ月単位というハイペースなアップデートで続々と追加されている。
また、今作でついにポルシェが登場したのは大きなトピックと言えるであろう(他にもライセンス取得が難しいとされていたデ・トマソも本作で初登場)。GT3にこっそり収録されていた993もようやく正式デビューである
本作からリバリーエディターを搭載し思いのままにクルマを彩れるようになった。

パッケージはメルセデス・ベンツ メルセデス AMG GT S。

FIA グランツーリスモ チャンピオンシップ

本作品を用いたFIA(国際自動車連盟)認定のグランツーリスモ国際大会で、2018年より開始された。
自動車メーカー対抗団体戦部門「マニュファクチャラーシリーズ」と、国別対抗個人戦部門「ネイションズカップ」の2部門が行われ、メーカーの看板と母国の威信を背負った闘いが繰り広げられる。
オンライン大会を勝ち進んだ精鋭たちがオフラインで一堂に会して繰り広げる熱いバトルは、本作を持っていない人も必見である。
また、この大会出場者からプロのレーシングドライバーになった選手もいる。その代表格・ブラジル代表イゴール・フラガ*5(ネイションズカップ初代王者)は2022年から日本を拠点とし、スーパーフォーミュラSUPER GT(GT300クラス)などで活躍している。
2019年10月26日・27日には東京・お台場で開催された東京モーターショーのサテライトイベントとして開催。2日目にはゲスト解説者として参加した「ドリキン」土屋圭市が見守る中、福島県の専門学校生・国分諒汰が日本代表として初めてネイションズカップを母国開催で制した。

グランツーリスモ7 (PS5/PS4)

2022年3月4日発売。
9年ぶりのナンバリングタイトルにしてシリーズ25周年記念作品。
当初はPS5独占タイトルの予定だったが、PS5の品薄を受けてPS4対応に変更された。PS4版はGT2以来の2枚組となる。
PS5版限定で120fpsや光源トレースによるリアルな映り込み、レーシングAI・GTソフィー、VRといった機能に対応する。
収録車種は総数こそ大きく減ったものの、全車両が丁寧にモデリングし直されPS3期のようなクオリティのバラツキはなくなった。また、性能や見た目に大きな違いのないグレード・年式違いはだいぶ整理されている*6
しかしこれまではどの車も基本的に新車価格を基準に値段が決まっていたが、今作では古いクルマはクラシックカー向け保険会社「ハガティ社」の査定に基づいて現実の市場価格が反映されるようになり、かなりの車種が従来作から大きく値上がりしている。
シリーズの集大成としてGTオートや中古車ディーラー、ワールドマップが復活。チューニングもかなり細かいセッティングが可能になった。
挙動面ではブレンボ社との提携によりブレーキングが進化。
カスタマイズ面ではリバリーエディターももちろん続投。さらにワイドボディ化とエンジンスワップが加わり、カスタムの幅が大きく広げられた。脳筋な施工アニメーションが笑いを誘うが

パッケージはマツダ RX-VISION GT3 CONCEPTとポルシェ ビジョン グランツーリスモ。

グランツーリスモ(映画)

2023年8月25日(米)/9月15日(日)公開。
ストーリーのないシミュレーターの映画とは何ぞや?と思うかもしれないが、前述のGTアカデミーからデビューしたプロドライバー、ヤン・マーデンボロー選手を主役とした伝記的作品。
ただし彼が最初の卒業生として描かれていたり*7レースキャリア自体も時系列が一部シャッフルされている*8、マーデンボローとその家族、山内P以外には実在人物が登場しないなど史実からはだいぶ脚色されている。
マーデンボローの吹き替えは松岡禎丞。走行シーンのスタントは本物のマーデンボロー氏が担当した。また、山内P本人も寿司屋の大将役でカメオ出演している。

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最終更新:2025年02月07日 12:56

*1 GT2のラグナ・セカは北米市場からの要望が多かったため収録されたが、山内P曰く「GT3までの物理エンジンでは実際の走行タイムとの差異が大きいため、本当は実在サーキットを入れたくなかった」とのこと。

*2 逆に言うとフェラーリのクルマしか出ないゲームにはあっさり許可を出している

*3 ごく一部新規にモデリングされたものもある。

*4 スタンダードカー相当の車でも外見だけはプレミアムカー相当に作り直されたものもある。アプデでしれっとキレイにされたりもした。

*5 石川県金沢市生まれ、ブラジル・イパチンガ出身、日系ブラジル人4世。小学校卒業まで北陸で過ごしていたため非常に完璧な日本語が話せ、日本でのメディア対応も通訳不要で行える。同じくSUPER GTで活動している牧野任祐・小高一斗・阪口晴南はキッズカート時代の同世代。

*6 シビックタイプR(EK9)の前期・後期やスカイラインGT-R NISMO(R32)など違いが大きいものや特徴のあるグレードは残っている。また、ランエボVI標準車などカスタムパーツとしてフォローされているケースも見られる。

*7 実際には2011年度優勝。また、当時はGT5の時期だが劇中では一貫してGT7が使用されている。同様に日産のロゴも2020年以降のもの。

*8 ニュルブルクリンクで死亡事故を起こした後にル・マンという流れだが、史実ではニュルの事故の方が後(2015年)。また、ル・マンでも劇中では日産ワークスからLMP1に参戦して「総合」3位だが実際に彼が「クラス」3位だった2013年はLMP2で、チームも違っていた。2015年にNISMOからLMP1で出たことはあるがこの時は完走していない。