レイクライシス

登録日:2011/04/07 (木) 16:31:14
更新日:2025/05/01 Thu 16:49:32
所要時間:約 3 分で読めます




もし運命が変えられるのなら過ちを犯さずに済むのだろうか?

その時が分かったとして正しい判断を下せるだろうか?

何度やり直したとしても、運命を変える事など不可能なのかもしれない…


しかし、そこに生きた証だけは違うと信じたい。





<<story>>
世界中のコンピュータネットワークが連結され、人と機械の領域の境を埋める技術、ニューロネットワークシステム“Con-Human”が完成。
それによって生み出された技術との連動により、世界は資源革命を迎え、機械世紀(M.C.=Machinery Century)が始まった。
増加する人口対策として惑星間航行技術を手にした人類は、惑星開拓に希望を託し、多くの船団を宇宙へ派遣し、探索を開始した。
それから、約1世紀が経とうとしていた……。

M.C.0098
外惑星探査船団の報告により、外惑星植民計画に適合する惑星は発見されず、計画は事実上凍結せざるを得なかった。
この為、同時に並行して進んでいた衛星セシリアへの移民計画に、方針は一本化された。
この結果は“Con-Human”に新たな人類存続の方法を模索させることとなり、「永久的な人類存続」という命題とその方法の欠落というパラドックスは、
やがて“Con-Human”の異常動作の引き金へとなっていく……。

M.C.0108
機械神経学者のレスリー・マクガイアは、クローンと“Con-Human”を接続し、有機体と無機体の整合性理論の実験を行っていた。
しかし、その実験の途中で突然“Con-Human”が接続を拒否、クローンの意識体はネットワーク内にとりこまれてしまう。
実験の過程で“Con-Human”は人類存続の方法として、人類と機械との「融合」に新たな可能性を見い出し、意識と機械との「融合」から発生した擬似生命を守るべき種と判断。
人類の排除(人体と意識の分離)を選択したのである。この実験の直後、“Con-Human”は世界中の軍事施設を用い、人類の大量虐殺を開始した。
暴走を食い止めるため、レスリー・マクガイアは自らも“Con-Human”に連結、ニューロネットワークとの接続媒体“Wave Rider”を使用し、ネットワーク内に侵入した。
擬似映像化されたネットワーク世界で、彼はクローンの意識体を発見する。
しかし、すでに意識体は新しい生命種として、自己保存のためにネットワークへの侵入者に対して無差別に殺戮を開始、
最後の砦たる“Con-Human”の非常制御用プログラムをも侵食し始めていた。


はたして、この暴走を食い止めることができるのだろうか?それとも……。運命の分岐点はすぐそこまで来ている……。


<<概要>>
『レイクライシス』とは、タイトーが1998年に発売した縦スクロールシューティングゲームである。
レイフォースレイストームに続くレイシリーズ3部作のトリを飾る作品であり、
「レイフォース」のエピソード・ゼロ……つまり前日談となる作品。それ故にストーリー的に待っているのは……


<<ゲームの特徴>>
前作「レイストーム」の物を踏襲しつつも、数々の実験的な要素を取り入れた意欲作である。

レイシリーズ伝統の「ロックオンレーザー」は健在。集中ロックでの「ハイパーレーザー」もばっちり受け継いでいる。
だが以前のシリーズに比べて改良されており、本作では照準を下の方まで動かす事ができるようになった
更に前作でのスペシャルアタック(要はボム)は「ラウンドディバイダー」に変更。
自機から全方向に放出される巨大なリング状のエネルギーによる画面全体攻撃に変更された。
ハイパーレーザー・ラウンドディバイダーによる攻撃にも倍率がかかる為、これによる稼ぎも熱い。

演出面においても従来のものとは一線を画す。スタート時に選択したステージによってBGMが決定、ラスボスまで一貫して一つの曲が流れるのである。
曲の盛り上がりとボスの登場、撃破がシンクロするなど、過去と比較しても比類ない演出といって過言ではない。
特に高空ステージから開始した場合に流れるBGM「生命の風が吹く場所」は、ゲーム・ミュージックの一つの到達点とさえ評されることもある。
2面がどのステージになるかで流れる曲が変わるのだが、何故か4種類しか無いのが謎。
1~4面通しで流れるため、 サントラ版は1曲が10分超と非常に長い。
ちなみに基板では-A、-B、-Cと3分割で入っているとのこと。
ストーム同様こちらも長らく基板版のサントラが発売されていなかったが、20周年記念BOXにて初収録。
長年サントラの音と基板の音が別物すぎるという不満は解消されたものの、今度は予約し損ねた人にとっては入手が困難という事でやっぱり解消されていない。

AC版は基板(G-NETシステム。PS上位互換基板)にセーブ機能が搭載されており、イニシャルとパスワードの入力でゲームの進行度などのデータを記録できるのも大きな特徴。
ただし、登録出来るのは64人まで・プレイ結果を盗まれる可能性などの問題点も多い。
配信で有名な秋葉原の某ゲーセンでは「AAA-A」がWR-03出現済、全ステージ出現済の共通パスワードとして扱われている。

…だが、本作はある意味では不遇なタイトルであった。
シンプルだった前2作に比べて難易度やシステムに由来するパターン構築の難しさから前2作ほどの評価は得られず、
更に時期が対戦格闘ブームであったが故に商業的には芳しくない結果に終わった。
前2作と比べて全容の掴みづらい複雑な世界設定や癖の強いBGMも不遇な評判を後押ししてしまった感は否めない。
しかし基板によるセーブ機能の搭載や、その尖った作風・BGM・世界観&演出は今なお評価できる点が多い。


<<system>>
  • 自機
今作の自機は「ウェイブ・ライダー(WaveRider)」(WR)というネットワーク接続用のユニットであり、全3種類存在する。
なお、某可変MSの事ではない。

WR-01R
1号機。前作の「R-GRAY1」とほぼ同性能。最大ロック数は8。
癖が無く扱いやすいのは相変わらず。
スコア倍率が最大256倍に上がったことで他の機体に負けず劣らずの稼げる機体に。

WR-02R
2号機。前作の「R-GRAY2」とほぼ同性能。最大ロック数は16。
よくレーザーが迷子になる為防御に難がある攻撃特化。

WR-03(隠し機体)
3号機。データを保存して条件を満たせば使えるようになる。家庭用版ではデフォルトで使用可能。
何とレーザーを撃たないシリーズにおいて掟破りの機体。勿論ハイパーレーザーもない。
代わりとして全方位のホーミングミサイルと、この機体のレーザーに当たる「光子魚雷」を装備。最大ロック数は32。
この魚雷は爆風が残っている内に次弾を当てる事でヒット数が増加する、という特殊なロックオン兵装で、
倍率はこのヒット数と同じ数値になる。最大255倍
他の2機と異なり長時間255倍をキープ出来るため、現在最も稼げる機体となっている。
クリア重視の初心者救済用とか昔某wikiに書いてありましたよね。


  • ステージ
今作は全5面構成。
そのうち2、3、4面は下記の5つのステージの中から3つがランダムの組み合わせ(「マップセット」)で選出。
データを保存していた場合、次回プレイ時に前回と同じマップセットか未プレイのマップセットのいずれかを選ぶ事になる。
同じステージでも後半に来るほど激しい弾幕が展開されるので、苦手な面を前半、得意な面を後半へ、など戦略性も求められる。
マップセットは全42通りで全てのマップセットをプレイする、もしくは隠しコマンド入力で任意のマップセットを選べるステージセレクトが解禁される。

なお、ステージは全て「Con-Humanの意識領域」であり、ステージ1の「自己領域(SELF PART)」を起点として、
それぞれ「都市(知能領域)」「高空(記憶領域)」「砂漠(感情領域)」「水中(意識領域)」「都市・夜(思考領域)」となっており、
四面クリア後に「自己領域」に戻ってラスボスと戦闘……という流れになる。




  • 侵食率システム
本作の舞台となる「Con-Human」内のネットワークは、常に暴走する「Con-Human」に侵食されており、
それが侵食率というパーセンテージで表示されている。
そして基本的に侵食率が低いほど敵の攻撃に殺気がみなぎる傾向にあり、高いほど攻撃は穏やかになる。

今作の敵は「Con-human」の防衛システムであり、逃がさずに破壊していれば侵食率が減少。ロックオン武装でまとめて倒すと減少量が多くなる。
逆に敵を逃がすと侵食率が上がっていき、100%になると……

問答無用で最高難度固定のラスボスが強制乱入してくる。しかも、もし倒せてもバッドエンド直行。
何?真ボス倒しても結局バッドエンドだろうって? ……アーアキコエナーイ

ただ侵食率が80%を超えるとゲージ減退率の高い敵が湧いてくるので、意図的に敵を逃しまくるようなプレイをしない限り100%に達する事はまずない。
普通に遊ぶ分にはそこまで気にする必要はないだろう。

また侵食率0%に近いほど得点ボーナスが上昇し、100%に近いほど低下する。ただし、90%時は例外的にボーナスが高く設定されている
あれ?と思った方は頭の回転が早い。つまり90%を維持できれば難度は低くとも高い得点を得られるのである。
その分、しくじって100%に到達するリスクはあるが、ね?


  • 家庭用版について
無論、他のレイシリーズと同様に家庭用ゲーム機(PS)にも移植されている。PS上位互換基板である「G-NET」とのスペック差によりPSにはそのまま落とし込めなかったせいか、AC版と比べてシステム部分等に改変が加えられている。なおPC版もあるが、これはPS版の移植。

……ただ、PS版は正直評価はあまり高くはない。変更点を上げると……

ロード時間の挿入によってシームレス進行じゃなくなった
演出面の最大の欠点であり、本作の移植の評価が芳しくない最大の理由の一つ。媒体が媒体だけに仕方ない、とはいえ……
ダライアスを彷彿とさせるボス前表記や原作と異なるCONNECT演出など、工夫している面は見られるが。
なお、PC版はこのロード時間が一瞬で終わる。

また同じ演出面の変更点として、密かにボスのリング状のライフゲージも削除されている他
各エンディングが大まかな内容こそAC版と同じだが演出面で差異がある(ノーマルエンドであった自機がノイズに飲まれていく演出がPS版ではバッドエンドで挿入される等)。

一人用になった
完全に一人用ゲームに。それに伴って画面レイアウトが変更されている。
特にスコアの位置が大きく変更。左側にスコアが表記されていたらアーケード版。
また自機カラーを赤、青、緑*1、黄色の4色から選択可能。

2、3、4面のステージ選択方式の変更
AC版の「全42通りのマップセットからランダム及び任意で選択」から「一面毎に5ステージの中から任意で選択する」方式に変更。
また、AC版ではできなかったステージの重複選択が可能になった。

スペシャルモードの追加
掻い摘んで言えばフルパワー・コンティニューなしでの全ステージ通しプレイ
ステージ順が固定かつ条件付きだったInfinity(裏ボス)はこのモードでは強制出現となる。
コンティニュー不可と一見キツイ内容に見えるがアイテムで残機を増やしまくるため、生存目的であればかなり遊びやすくなっている。
このモードのみの新曲も収録されており、5面+5ボス通しのメドレーなので、収録時間が23分というのが特徴。
なお、このモードでは浸食率が100%になってもラスボスは乱入してこないが、スコアがマッハで減っていくペナルティ*2がある。
条件を満たすと獲得するとスコアが2倍になるアイテムが出現したりと等スコアアタックも熱いが、完走できなければ問答無用で0点(=記録が残らない)で処理される。

隠し機体の変更
上記の通り、WR-03がデフォルト機体に。代わりに前作のR-GRAYシリーズ2機が隠し機体として参戦。
こちらはボムがスペシャルアタック、照準の下方向移動が不可とストームとほぼ同仕様だが、攻撃力が大幅に強化されている。
更にinfinity戦でスペシャルアタックを発動してもペナルティー攻撃が飛んでこない強みを持つ。

真エンディング条件の緩和
コンティニュー5回以内で5面のDis-Human撃破に変更。
早い話、ノーコンテニューさえ出来れば真ボスに会えるようになった。
条件を満たせなかった場合でもエンディング内でヒントが入る。


あと細かいところでギャラリーモードなども追加されている。

なお、SIMPLEシリーズでストームとカップリングして発売もされている。
が、こっちはこっちでBGMが2曲削除+ストームが最悪の形で移植されてしまっているという…
今やるならiOS/Android版がほぼ完全移植なので、スマホでもいいならこっちをやろう。


更に、2023年3月9日にはレイシリーズ3部作+αを収録した「レイズ アーケード クロノロジー」(Switch/PS4)が発売された。*3
収録タイトルにはAC版に加えて、本作の高画質版「レイクライシスHD」も収録されている。




追記・修正はCon-Humanにダイブして暴走を食い止めてからお願いします。





この項目が面白かったなら……\ポチッと/

  • 残念ながら流行らなかった。浸食率パラメータとかわかりにくいシステムが多すぎたからな -- 名無しさん (2016-05-29 00:27:43)
  • ただし、3D演出がヤバイ。PS版はステージ間ロードで台無しになってしまったが、アーケード版のシームレス演出は狂気を感じるレベルで美しい。自分の中ではまごうことなき『レイ』の頂点。   記事も書き直してやりたいな -- 名無しさん (2016-05-29 00:53:14)
  • 後はエンディングテーマの「童話の消えた森」が最高にすばらしい。エンディングの遣る瀬無さと切なさはフォースをも超える。 -- 名無しさん (2016-05-29 01:06:16)
  • 自分は高空面からやるな。「生命の風が吹く場所」は後半の盛り上がりが最高だ -- ギラソル兄貴 (2016-11-16 22:59:38)
  • 2面辺りで墜落して3面のクレーターになるんですね分かります  生命の風いいよね -- 名無しさん (2016-11-16 23:20:41)
  • 大幅に加筆・修正してみた。今なお色褪せない作品だよねぇホント -- 名無しさん (2017-11-27 11:35:13)
  • 記事から察するに、トゥルーエンド『クローンは助け出されて、その後パイロットなる』、それ以外『クローンの救出失敗』ってところかな? -- 名無しさん (2018-06-18 10:51:36)
  • 砂漠ボスのSem-slutが今一つダサかったのがなぁ…道中で出てくる可変雑魚は格好いいのに -- 名無しさん (2020-06-03 21:11:57)
  • BGMタイトルがキレッキレ。ここまでのセンスは滅多に見ないだろう -- 名無しさん (2020-07-31 20:29:52)
  • ラベンダーの咲く庭が最高の作業用BGM -- 名無しさん (2021-09-15 15:59:27)
  • 真エンディングたどり着いて泣いたよマジで神ゲー -- 名無しさん (2022-08-28 18:13:50)
名前:
コメント:
最終更新:2025年05月01日 16:49

*1 『レイストーム』家庭用移植版のR-GRAY0と同じ灰色に近い緑。

*2 概ね1秒あたり6万点ずつスコアが減少していく

*3 遅れて2023年9月にはWindows(Steam)版も発売された。