虎(虎空王)

登録日:2010/02/01(月) 01:19:11
更新日:2024/03/07 Thu 19:07:53
所要時間:約 5 分で読めます




石川賢先生の作品『5000光年の虎』と『虚無戦記』の「虎空王編」の主人公。

数多くの石川作品の中でも、1、2を争うほど不幸な目に遭っている主人公だが、
石川世界の住人なので、それらの不幸が原因で暗くなったりはせず、むしろ殺る気を漲らせている。

虚無戦記』の他の主人公たちが「宇宙の安定のため」とか「人類の進化のため」と大きな物の見方でラ=グースと戦う中で、
虎だけはすごい個人的な理由でラ=グースに戦いを挑んでいるのも特徴。

戦い方も『虚無戦記』では異質で、他の主人公は高度に進化した強力な戦士たちや、凄い性能の武器や、決戦兵器やらを使うのだが、
虎の場合、宇宙艦はスクラップ(ただし中身はくわせもの)、率いる兵士たちは神の軍団にコテンパンにされた敗残兵で、
さらに虎本人は生身で戦うと、とても漢らしいファイトスタイルである。

顔も石川的ハッタリが効いていて、「その男の瞳は燃える野獣だった」のセリフに代表されるようにワイルドな風貌である。

性格は、本来は割と温厚だと思われるが、自身の身に降りかかった災難がきっかけで非常に気が短くなっており、
他の石川主人公以上に、キレると物凄く怖い。


そんな虎の戦いの原動力は「恨み」である。
神を憎んで憎み倒し、恨んで恨み抜いた末に能力が覚醒したのだが、
その非常に強い恨みに比例してか、能力自体もとても強い。

能力を本格的に使ってない状態でも、生身で宇宙に出ても平気だったり、念動力で超高層巨大建築物を粉々にしたり、
惑星の外から爆発が見える程のビームでも無傷で、テレポートも出来るし、数光年先の出来事を知覚する事も可能…と、やりたい放題している。

本気を出せば同作者謹製、かの有名な超スケールロボゲッターエンペラーを恐らくパンチ一発で破壊できるし、
現にパンチ一発で超巨大宇宙戦艦×数千隻を消し去るなんて芸当をやってのけている。

能力の原理的には、本人が何もしてなくても銀河規模の敵を簡単に殲滅できる上に、まだまだ進化の途中。
防御の方もありとあらゆる種類の攻撃が無効。

まるで中二病の妄想のような能力だが、石川氏は見事に説得力ある描写で作品を作り上げていった。



【発端】

以下、ネタバレ注意





虎は、かつて辺境の惑星で家族と一緒に星の原住民の為に働き、平和に暮らしていたが、
彼の父が物凄く価値のある鉱物を掘り出してしまったことが、運命が大きく狂うきっかけとなった。

父が掘り出した鉱物「ニュープラトン」の噂を聞き付けた神の軍団が住んでる惑星に攻めてくると、
星の原住民たちは星ごと焼け野原にするというダイナミックな方法で瞬く間に全滅させられ、
そしてその後、虎達にも彼らの魔の手が伸びてきた。

結局、父だけ難を逃れたが、虎と母、そして弟は捕らえられてしまう。
神の軍団とその手先達は、虎から博士とニュープラトンの鉱脈のありかを吐かせようと、数々の拷問を行なった。

しかし虎の精神は強靭で、凄まじい苦しみと痛みに耐えた。
攻めあぐねた神の軍団は、心を責める恐ろしい拷問を考案する。

「お前は弟の耳を俺の目の前にぶら下げてこう言った」
(弟の泣き叫ぶ声が聞こえないのか)
「次はえぐりとった目を……見せて」
(お前には血も涙も無いのか)
「って言ったな……」

なんと虎の五体をバラバラに解体して水槽浸けにし、
何の抵抗も出来ない虎の前で、彼の母と弟をゆっくりと嬲り殺しにしたのである。

ここまでされても虎は口を割らなかったのだが、
さらに神の軍団はそのまま水槽の中に虎を数年間放置し、「孤独地獄」を味わわせた。

虎は気が狂いそうな程寂しい毎日を、首だけの状態で過ごしていたが、
ある日、念じる事で切り離されていた腕が少し動くのを目にする。

それが、虎の眠っていた能力を覚醒させるきっかけとなり、
彼が神を恨めば恨むほどに、その能力も強くなっていった。

そして、虎の目の前に自分とその家族を散々な目に遭わせた男が再び現れた時、
虎は能力で他の水槽から手、足、胴体が飛び出させ、首と合体して自分で自分を縫い合わせた。

そんなこんなで体が復活した後は、神の軍団が居る宇宙「マッドウィング」に行く方法を知っているという女宇宙海賊、ゴールド・ランと共に復讐の旅を開始した。


物語終盤では宇宙を駆け巡って神の軍団に破れたもの達を集め「虎の軍団」アンドロメダ大軍を組織し、
儒生暦20789、神々の戦場「リアエント」に殴り込みをかける。

これよりラ=グース 神の軍団との戦い 三千年間におよぶ
そして!!  ドドドド

 虚無戦史MIROKU  完


儒生暦30458、神の軍団 こと座環状星雲に侵攻!!
35482、環状星雲 消滅

 5000光年の虎 



  • エピソード
いつも虚無るけど実は凄く計算高いと噂されている石川先生だが、こんな話がある

「そうなんです(笑)」
「最後のところでサブ(脇役)のキャラクターが、主人公の名前を呼ぶシーンがありますよね?」
「あそこを描こうとした時、はたと気づいたんです。」
名前が無いって(笑)」


そう、虎という名前は最後の数ページで初めて出てきた名前なのだ(虚無戦記では加筆されてるためそれより早く名前が出てるけど)。

やっぱり本当は何も考えてないのか!?石川先生!!


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最終更新:2024年03月07日 19:07