氷川(真・女神転生Ⅲ)

登録日:2011/07/05 (火) 02:27:08
更新日:2021/03/21 Sun 01:34:32
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……世界は、やり直されるべきなのだよ




氷川とは、アトラスから発売された『真・女神転生Ⅲ-NOCTURNE-』に登場する人物である。
CV:小野大輔(リマスター版)

今をときめく大手通信企業サイバース・コミュニケーション社のチーフテクニカルオフィサーにしてCEO。
だが同時に、カルト宗教との繋がりなど黒い噂の絶えない人物でもある。
そして何より、この作品における「世界の滅亡」を引き起こした張本人。自分の望みによって、主人公含む全ての登場人物を振り回した男である。
表向きの地位とは別に、混沌の中に真理を見いだそうとするガイア教徒でもあり、更にはそのガイア教内でも異端とされる存在であった彼は、世界を一度やり直し創り変える事――つまり創世を目論み、その為に読み解いたミロク教典を利用して東京受胎を引き起こしたのだ。
マニアクスでは、教団の蔵書からミロク経典を見つけてアマラの転輪鼓を顕現させた事、それを解析する事で東京受胎の確立や悪魔召喚法を得た事、そして召喚した悪魔達で邪魔なガイア教団員や病院関係者を皆殺した事が明かされている。


作中での動向

ゲーム中での初登場は、最初のダンジョンとなるシンジュク衛生病院の地下階。
主人公が担任である高尾裕子を探して侵入した際に遭遇することになる。
不確定因子を嫌う彼は主人公の事を殺そうとするも、そこに割って入った祐子に「主人公を殺すなら貴方には協力しない」と言われ、仕方なく主人公の殺害を諦める。

受胎前からの様々な準備により、ボルテクス界には氷川を総司令とする「ニヒロ機構」が時系列を無視して以前から存在し続けていたことになっており、更に作中最強クラスの魔王、邪神、堕天使、夜魔、鬼女という錚々たる面子がシジマに賛同。そして一番の障害たる高尾裕子をナイトメア・システムに組み込んでマガツヒの流れをコントロールする中核に仕立てるという一石二鳥の策を成し、対立勢力であったマントラ軍も難なく壊滅させる等、最も創世に近い立ち位置にいた。
この時までは。
しかし、裕子の要求を呑んで見逃していた主人公が人修羅と化した事で事態は一変。ニヒロの本部たるオベリスクに攻め込まれて彼女を解放されてしまい、ナイトメア・システムは機能不全に陥る。

ゴズテンノウのマガツヒでも狙ったのかイケブクロに現れた際には、鉢合わせた人修羅に「オベリスクなんてもうなくてもマガツヒ余裕だし?」とか強がっていたものの、やはり神を降ろすのには足りなかったらしく、一転して創世レースのドベに転落。
ムスビ、ヨスガが守護神を降ろした後にようやくトウキョウ議事堂のマガツヒを手に入れて魔王アーリマンを降ろし、ついでに裕子も消滅させた。まあ、それも4体もの幹部と急に出て来たミロク教典の審問官が人修羅の足止めのために散ってギリギリだったわけだが。

そんな有様だったためか、カグツチ塔ではコトワリボスの中で最も低い階層で相対することに。歩みを緩めていたのはわざと!わざとです!
主人公がシジマに賛同していた場合は同志として手厚く歓迎してくれ、更に自分の腹心の悪魔を譲ってくれる。
一方、シジマを否定していた場合には魔王アーリマンとして襲ってくる。
彼との戦闘で気を付け無ければいけないのは、「○○…これを禁ず」の言葉。「とにかく色々と誓いナ・サーイ!」
○○に入るのは魔法や道具、攻撃以外など各種行動であり、それを破ると絶対に命中する相性無視の即死魔法「地獄への導き」を叩き込んでくる。
禁則事項を無視してゲームオーバーになるのは、誰しも1回は経験するのではないだろうか?

なお、彼の髪型はベジータのような

であり度々ネタにされている。
某漫画家曰く、「だまし絵みたいなハゲの人」。

シジマエンドでは創世後も生き残るも、自分は人修羅を創世の座に誘う役割だったと悟り、世界を見守る役につく。
Neutralエンドでは公園での暴動事件からか、緊急会見を開くニュースが流れていた*1


シジマのコトワリ

「シジマ」とは「静寂」。
欲望、感情を排した人間たちが世界の一部を為す歯車として淡々と時を刻む世界である。
誰も苦しまない代わりに何も生み出さず、ただ運行されるためだけに運行されるシステムは、見る人が見れば静寂を通り越して空虚以外の何物でもないだろう。
もっとも氷川に言わせれば、「人は欲望などというものを愛し過ぎた」とのこと。
人間の欲望とは火の様なもの。小さいうちは暖かく明るい灯火だが、やがて全てを焼き尽くすまでに大きくなる。
一部の人間には耳の痛い話では無いだろうか?
大手企業CEOという競争社会の成功者にして勝利者の彼がそれを言うのも、また根が深い。

一見すると従来で言うLawが極まったようなコトワリだが、それを説く彼の部下は上記の通りChaos寄りの悪魔で占められている。
シジマの秩序は、かつて人が猿だった頃と同じように自然の摂理の一部へと回帰するものであり、つまり自然信仰が発生するよりも前の段階まで退行している。
従来のLawは、最大勢力であるヘブライ神族がそうであるように、唯一神のような擬人化された「絶対的真理」の庇護と管理を前提にしているものが多いため、「ただそこにある摂理」に「ただそこにあるから」という理由で準じるシジマの思想は、「我らこそ正義」の高揚を求めるヘブライの天使たちにとっては非常に受け入れ難いものなのだろう。
また、シジマの面々は絶対悪アーリマンを始めとして、純然たる悪魔であるソロモン72柱、寿命を司るモイライ、世界を終わらせる炎であるスルト、酩酊の悪徳4つを体現するマダ、旱魃期を象徴するモト、楽園の赤い蛇サマエルといった、安寧を乱す悪性や制御不可な災禍といった「驚異の象徴」たる存在ばかりで、主神から貶められた存在というのが極端に少ない構成となっている。
シジマに集う彼らは自然の驚異であると同時に自然のシステムそのものでもあり、人が自然に抗うことを諦め自然動物へと回帰することなのだろうと思われる。

最後に付け加えておくと、静寂を求める彼の動機と行動はある意味で他のどの登場人物よりも更にエゴに満ちたものである。
他の人物はコトワリを啓けた者もそうでない者も自らが巻き込まれ、或いは自らが生み出された「東京受胎」という事象を受け止め、次の世界の「あるべき姿」を各々なりに模索した。
悪く言えばあくまでも受動的であり、或いは彼らこそが世界の摂理に従った者たちとも言える。
だが、シジマの実態は際限ない競争世界に倦み疲れた氷川が「世界にこうあって欲しいと要求した姿」であり、彼は世界を自らの思想で塗り潰すために能動的に摂理を捻じ曲げてかつての世界を滅ぼしている。
自らを由とするChaosの悪魔がシジマに集ったのは、理念への同調等といった小難しい理由ではなく、氷川のこの圧倒的なエゴイズムに引き寄せられたが故なのかもしれない。


●TRPG版
ジャイブから発売されたテーブルトークRPG『真・女神転生TRPG~魔都東京200X~』では「もしまだ『東京受胎』を発動しなかったら」という設定で氷川が登場し、『ガイア教徒で企業「サイバース」のCEO』となっている。

  • リプレイ『聖華学園退魔生徒会』シリーズ(作:朱鷺田祐介):炎の悪魔剣を振るう女子高生「豊野香 苺」と接点を持っており彼女に執着するが、本作品の高尾祐子は彼女の学校にいて「ムーの巫女」なる素質を秘めていた。
    • そして8巻でクトゥルーのペルソナ使いと化した高尾祐子を篭絡、IT企業としての力(?)を生かし電霊「アヌビス」を使役し『東京受胎』を目論むも、苺たちに阻止され失敗。止む無く引き下がった。
    • 二次創作ではあるのだが、氷川の人間性や高尾祐子の「危うさ」(引き金になったのは苺の仲間なニャルラトホテプと化した教え子が種族的な一線を越えた所為だが)が垣間見れる作品ともいえる。




「追記は残酷な行為とはよく言ったものだ…不毛な項目を前に知恵を搾らねばならないからだ」

「思えばアニヲタwikiの歴史など不毛なばかりだった…」

「盲いた項目の無意味な修正…繰り返される荒らしとスレマゲ…」

「10000項目を経てなお脆弱な編集の重ね塗りだ」

「この項目はやり直されるべきなのだよ」

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最終更新:2021年03月21日 01:34

*1 東京受胎が起きた世界では、この時すでにシンジュク衛生病院に居たので、こちらでは受胎を諦めたらしい。