プロ野球

登録日:2011/11/14 Mon 00:24:21
更新日:2025/07/16 Wed 16:57:19
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プロ野球は、その名の通り野球のプロスポーツ形態を指す言葉である。
本項では日本におけるプロ野球、特に日本野球機構(NPB)が統括するプロ野球について説明する。


【簡単な歴史】

野球が我が日本に伝わったのは1870年代。その60年後となる1936年に日本野球連盟が創設され、職業野球、すなわちプロ野球が始まった。
設立初年度はトーナメント制だったが、翌年からは今のような総当たり制になった。
第二次世界大戦後の1949年、当時1リーグ8球団だったプロ野球の拡充にあたり読売新聞のライバル社である毎日新聞を参加させるか否かでプロ野球再編問題が勃発。毎日の加盟に反対だった巨人・中日・大陽と、賛成派だった阪神に新設の大洋・広島・西日本が加わり「セントラル野球連盟」(セントラル・リーグ)を、賛成派の阪急・南海・東急・大映に新設の毎日・西鉄・近鉄が「太平洋野球連盟」(パシフィック・リーグ)をそれぞれ設立し、日本野球連盟は解散。1950年1月には新設の国鉄がセントラル・リーグに加盟し、ここで現在のような2リーグ制になった。
以降は春から秋にかけてリーグ戦を行い、それぞれのリーグで優勝したチームが日本シリーズで戦うという形が完成した。
さらに経営に行き詰まった西日本・松竹(元大陽)・大映*1などが他球団と合併して消えていき、1958年シーズンに現在の2リーグ12球団制が成立した。

ただし、戦後のプロ野球人気は正直なところ、芳しいものではなかった。
というのも、当時のプロ野球に対しては「スポーツで遊んでお金をもらうとは何事か?」という雰囲気があったからである。
現代の感覚からは信じられないかもしれないが、よくよく考えれば野球とは「ボールを使って点数を取り合うゲーム」なのである。
今で言う「eスポーツ」のようなものと考えればピンときやすいかもしれない。
1974年までオリンピックにも「金銭を目的とした競技者はオリンピックにふさわしくない」と言うように、金銭や勝利至上主義と結びつく野球に限らないプロ選手は倫理・教育的側面から忌避された時代があり、敗戦直後から高度成長を続けて今でも割と強い感覚である「汗水垂らして働くことが美徳」とされていた国民の支持は得られていなかった。
トップ選手となれば給料を多くもらえて贅沢していたのも、戦後の貧困に喘いでいる一般市民には見ていて気持ちのいいものではなかったかもしれない。

しかしながら野球自体の人気がないわけではなく、高校野球や大学野球といった学生野球は非常に人気があり、人々はそちらに熱狂していた。
そんな学生野球を卒業した選手が次々プロ野球選手になったとき、転機が訪れた。
卒業すればその活躍が見られなくなるが、学生時代でも十分すごかった彼らがプロ選手になればそれ以上にレベルの高い戦いが見られることに人々はすぐに気づく。
そんな学生たちが野球を続け長く活躍したことにより、着々とプロ野球の人気が出てくる。
そして1959年6月25日に行われた巨人vs阪神戦。昭和天皇直々に観戦されるという「天覧試合」が行われた。

その試合は全国ネットにてテレビ中継され、そこで行われた両チームの投手の力投やホームランの応酬、先制してはひっくり返される白熱した試合展開により、天皇陛下だけでなく日本中の国民がプロ野球の面白さを知ることになった。

こうして今日も、12のチームが頂点を競い戦い続け、全国のファンがそれを見届けているのである。


【チーム一覧】

セントラル・リーグ(セ・リーグ)

世界のプロ野球リーグでは珍しく、現在に至るまで指名打者制を導入せずに投手を含めた9人で戦うのが特徴。
かつては全国区でテレビ放送が実施されており、巨人や阪神といった人気球団を抱えることから「人気のセ」とも呼ばれていた。

読売ジャイアンツ

本拠地球場は日本初のドーム球場である東京ドーム。一般的に「巨人」の略称で呼ばれることが多い。
最初の日米野球を機にその代表を殆ど全員自球団の選手とすることで設立され最古の球団にして球界の盟主。あまり知られていないが設立の地は千葉県だったりする。
リーグ優勝39回・日本一22回はいずれも12球団ダントツのトップを誇る名門球団。本拠地の東京ドームは比較的狭い球場であることから本塁打が出やすく、全体的に強打者が多く揃っている。
ほぼ生え抜き選手(特にエースか4番クラス)しか監督に就任できないという縛りプレイをしながらも歴史的な低迷はなく、2年連続Bクラスですら球団史に残る汚点レベルという状況で、最下位に至っては1975年の1回のみというお化けチーム。定期的に優勝戦線に絡んでくるセ・リーグのラスボス
長嶋茂雄や王貞治を筆頭に数多くのスターを輩出するなど未だに高いネームバリューを誇り、大正義球団たるその強さとそれを維持するためのジャイアニズムを度々発揮することからよくも悪くもファンもアンチも多いがアンチに限って「巨人が弱いとつまらない」とか言い出すツンデレ
地方開催も多く、「身近に見られる球団」ということもあって本拠地の東京以外のファンも多い。毎年8月末か9月初週には京セラドームでの開催が恒例になっている。
しかし、上記の通り生え抜きの中心選手しか監督になれない上に、「球界の盟主たる巨人軍指揮官」という地位に対する主にOBからのプレッシャーは尋常ではなく、監督の後継者不足に悩まされているのが常。


東京ヤクルトスワローズ

本拠地球場は明治神宮野球場。
2リーグ制後に国鉄の手により設立された球団。名前の由来は当時の国鉄特急「つばめ」から。
12球団の中でも突出して毎年のように故障者が続出しており、コンディションに恵まれないと最下位クラスに落ち込みやすいが、その一方で選手が揃えば圧倒的な強さを見せることがあり、極めて好不調の波が大きいジェットコースター球団でもある。事前の順位予想が全くあてにならないことから解説陣泣かせのチームでもある。
本拠地の神宮は12球場でも屈指の狭さであり、打者有利の球場であることから本塁打がよく出るため、こちらも伝統的に強打者が多い。一方でその開場経緯から学生野球に優先使用権があるため、プロ野球は土休日であっても大半がナイターになっている。
中央・総武線でつながっているお隣の巨人との対戦は「東京シリーズ」(TOKYOシリーズ)とも呼ばれ、そのチームカラーからお互いに10点以上取り合う乱打戦になる試合も少なくない。何かとあちらに話題を持って行かれやすいがその分ファンは濃い。
監督を筆頭に吉本興業とマネージメント契約を結んでいる関係者が何人かいる。


横浜DeNAベイスターズ

本拠地球場は横浜スタジアム
「(横浜)大洋ホエールズ」「横浜ベイスターズ」を前身とする横浜の星。
マシンガン打線」で知られるように打撃力はセ・リーグ屈指を誇るが、その反面「ベイスボール」と揶揄されるように守備面には課題がある。
かつては人気も実力も万年最下位クラスの弱小球団と言われていたが、親会社がDeNAになった2010年代からはIT会社らしいフットワークの軽さで多くのコラボ企画やイベントを開催するファンサービスの鬼と化し、リーグ優勝こそ12球団で最も古い1998年ながらもAクラス入りが増加するなど大きく躍進し、2024年には3位ながら26年ぶりの日本一を達成して横浜に歓喜をもたらした。
マスコットのDB.スターマンはたぬきではなくハムスター。いいね?


中日ドラゴンズ

本拠地球場はナゴヤドーム(バンテリンドーム ナゴヤ)。それ以外にも豊橋市民球場や長良川球場といった地元に近い場所での地方開催もある。
1リーグ時代から存在する名古屋の青き龍。プロ野球チームとしては巨人・阪神に次いで3番目の歴史を誇る。
強い時期はかなり強いがなかなか勝ち切れず、Aクラスこそ多いが優勝に届かなかった年も多いという稀有な球団。
本拠地のバンテリンドームは12球場屈指の広さを誇り、打者不利の球場であることから伝統的に高い投手力を誇るのがチームカラー。
2000年代までは巨人や阪神とともに何度も優勝争いを繰り広げてきたが、2010年代以降はドラフトなどの失敗が祟って暗黒期に突入してしまい、近年では最下位Bクラスが定位置という低迷に喘いでいる。


阪神タイガース

本拠地球場は阪神甲子園球場。年に1試合を倉敷マスカットスタジアムで行うこともある。
巨人に次ぐ歴史を誇る猛虎魂。何かと大阪の球団と勘違いされがちだが、あくまで兵庫県を拠点とするチームである。
巨人とは永遠のライバル関係であり、直接対決は「伝統の一戦」と銘打たれる人気カード。実際の対戦成績では負け越しており、リーグ優勝6回・日本一2回と実績では巨人に大きく劣るもののセ・リーグ2位の通算勝率を誇り、定期的に優勝争いに関わってくる名門。
しかしながら巨人に比べて好不調が極端で、強い時は2005年や2023年のように圧倒的な実力を発揮する一方、弱い時は散々なプレーや負けっぷりを披露することから「12球団一のお笑い球団」と言われることすらある。土地柄か……。
本来は古代史や宇宙用語だった暗黒時代という表現がスポーツに定着したのはこのチームのおかげ。
優勝時は基本的に独走状態であることから混戦を勝ち抜いたケースも少なく、2008年や2021年のように終盤の大失速でVやねん!逸することもしばしば。
本拠地の甲子園は元々春夏の高校野球のために開設された経緯があるため、高校野球と日程が重なる(本拠地)開幕戦と8月には京セラドームでの主催試合が行われており、事実上の準本拠地としての側面がある。
また、親会社の阪神電気鉄道→阪急阪神ホールディングスは大阪に本社を持ち、かつては「大阪タイガース」を名乗っていたことも含めて大阪のチームと勘違いされても仕方ない部分はある。
ファンの熱狂度は12球団随一で、甲子園での大歓声は最寄り駅まで響くほどの熱狂度。MLBにも引けを取らない動員数を誇り、優勝時の経済効果も極めて高い。
しかしながら悪質な一部のファンによる不適切な行為もまた目立っており*2、2023年の38年ぶりの日本一の際は道頓堀への飛び込みを防ぐために1300人もの警察官が配置された。


広島東洋カープ

本拠地球場はMAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島。
広島の誇る赤ヘル市民球団。「東洋」の由来である旧東洋工業ことマツダが筆頭株主ではあるが、あくまでスポンサーに近い立ち位置。
名前の由来は広島城の異名「鯉城」から。コイキングではない。
市民球団という都合上人気はあるものの常に資金には泣かされており、FAで主力に出ていかれることもしばしばで、逆にFA戦線に参戦することも稀。参戦しても微妙な反応をされたりするし。
近年ではメジャーから帰ってきた選手やFAで出ていった選手を再び迎え入れたり、人的補償で漏れたベテラン選手を引き抜いたりと動きを見せ、それが見事にマッチすることが多い。
スピードとつなぎを重視した攻撃、高い投手力と守備がチームカラーだが、1発のある大砲選手の少なさに課題がある。弱い時でも追い詰めた時のしぶとさと外国人選手の有能さに関しては定評がある他、よくも悪くもアットホームなところがある。
現在のオーナーは松田(はじめ)オーナー。「(もと)オーナー」ではなく「元という名前のオーナー」である。
かつてはなぜか5位に収束するという強力な5位力に悩まされていたが、近年では巨人に続いて2球団目となるセ・リーグ3連覇を達成するなど不思議と中の上クラスに落ち着いており、「カープ女子」も急上昇。ただし最後の日本一が1984年と最も遠ざかってはいるが。


パシフィック・リーグ(パ・リーグ)

1975年以降は指名打者制が導入され、切れ目のない攻撃を行えるのが特徴。
かつては観客動員や人気の面でセ・リーグとは比較にならないほどの差があった一方、日本シリーズやオールスターの勝率ではリードしていたことから「実力のパ」と呼ばれていた。
2000年代以降は各球団が独自ないし連携した上で集客向上策に力を入れるようになり、人気の差もソフトバンクを中心にかつてほどではなくなっている。

北海道日本ハムファイターズ

本拠地球場はエスコンフィールドHOKKAIDO。
元々は後楽園球場→東京ドームを本拠地としていた東京のチーム*3で、2004年に北海道に移転して札幌ドームを本拠地としていた。
この経緯からかつては年に数試合東京ドームでの主催試合があり、二軍本拠地も変わらず千葉県鎌ケ谷市である*4
北海道住民からは愛されているが、どうにも札幌ドームの運営会社と揉め気味だったことから2023年にエスコンフィールドへ移転。開閉式に加えて野球以外も楽しめる多目的球場になり、観客数も前年比155%増になった。なんか変だな。
GM制を敷くなどアメリカ流を取り入れた運営ゆえか選手に対しては非常にドライな対応をし、例え主力であろうと年俸に見合わない成績なら即座に放り出すことも……。
新庄剛志監督が就任した2022年からは若手を積極的に採用し、常識にとらわれない戦術が売りになっている。監督自身が現役時代はお祭り男だったこともあって余興やファンサービスにも余念がない。


東北楽天ゴールデンイーグルス

本拠地球場は宮城球場(楽天モバイルパーク宮城)。東北の各都道府県で地方開催を行うこともある。
2004年のプロ野球再編問題を契機に創設された最も新しい球団。今まで空白地だった東北にできたチームということもあり、ファンだけでなく東北出身の選手からも人気が高い。
オーナーがIT企業ということもあってドラフトや外国人選手は派手さを重視するが、それ以外は成績もタイプも顔も似たような選手をいっぱい揃える不思議な集団。
新興球団だけあってまだまだ強豪とは言えないが、球団史上初のリーグ優勝と日本一を達成した2013年東日本大震災直後の東北に歓喜をもたらし、被災者たちに大きな勇気を与えた。
楽天はJリーグのヴィッセル神戸の運営にも関与しているため、両チームの交流や合同キャンペーンも行う。
ヤクルトと同じく、監督を筆頭に吉本興業とマネージメント契約をしている人が多い。


埼玉西武ライオンズ

本拠地球場は西武ドーム(ベルーナドーム)。それ以外にも県営大宮公園野球場での開催が数試合設定されている。
かつては福岡県を拠点としていた「西鉄ライオンズ」で、紆余曲折の末に1979年に西武グループの国土開発に買収され、福岡から所沢に移転。
移転後は西武グループの豊富な資金力を生かして規約違反スレスレな補強策を実施。1980年~1990年代は2度のリーグ4連覇以上と日本一3連覇という「黄金時代」と称されるほどの強さを誇った。2008年以降は地域密着を目指して「埼玉」がチーム名につくようになっている。
パ・リーグ最多となるリーグ優勝23回・日本一13回の成績を残している名門で、その後も2000年代まではAクラスの常連だったが、近年は下位に沈むことも多く、ぶっちぎりの最下位に終わった2024年は球団ワーストとなる不名誉な記録を次々と樹立してしまった。
プロ野球ファン以外にとってはチームよりも本拠地であるベルーナドームのアレさで話題になることも多い。詳細は当該項目を参照してほしいが、その立地と構造から夏場は土休日であってもナイトゲームの開催がない。
大型ライブイベント開催が告知されると「所沢は嫌だ…所沢は嫌だ…」とうわ言を呟くアニヲタが大量発生するのはおなじみの光景。プロ野球ファンからの評判も……。


千葉ロッテマリーンズ

本拠地球場は千葉マリンスタジアム(ZOZOマリンスタジアム)。
かつては諸事情から本拠地*5や親会社*6が次々に変わった不思議な球団で、特に宮城球場時代は「ジプシー・ロッテ」とも揶揄されていた状態だった。
1992年以降の本拠地であるZOZOマリンスタジアムはその名の通り海辺にあり、日によっては凄まじい浜風が吹き荒れることからフライ処理が格段に難しいと評判で、稀に強風が理由で試合が中止になったことすらある。
それゆえかいつまでたっても強打者に恵まれずにスモールベースボールな印象が抜けないチーム。新規に外国人を発掘するよりも他球団を自由契約になった助っ人を獲得するケースも多い。
手拍子やジャンプといったサッカーを彷彿とさせる独特な応援スタイルが特徴で、それゆえにファンが濃く創作などでも熱烈なファンが現れることが妙に多い。
??「ロッテの選手は真面目(地味)なんだからクズはいない」
ちなみに、1974年を最後に50年以上に渡って年間勝率1位から遠ざかっている一方*7、2005年や2010年はプレーオフやクライマックスシリーズを制しての日本一を達成している。


オリックス・バファローズ

本拠地球場は大阪ドーム(京セラドーム大阪)。旧本拠地である神戸総合運動公園野球場(ほっともっとフィールド神戸)での開催も年に数試合設定されている。
2004年オフに「オリックス・ブルーウェーブ」が「大阪近鉄バファローズ」を吸収合併して誕生したチーム。その経緯から近鉄は傍系扱いで、あくまで戦前の阪急軍から始まる阪急の系譜を継ぐチームである。
Wiki篭り的にはバファローベルでおなじみ。これは2011年にロゴなどを大幅リニューアルした際に誕生したもの。
他にもコラボをして負けて顔芸を繰り返しているバファローズポンタが人気を博している。
なお、近鉄時代から誤解されがちだがバファローズではない。
交流戦や日本シリーズでの阪神との対戦は「関西ダービー」と呼ばれる。こちらはちゃんと大阪の球団だが人気の面では阪神とは雲泥の差があり、メディアも現地もそれほど取り上げてくれない悲運の球団。
そのためにファンはやはり濃くなりがち。
阪急時代を含めると4番目に古い歴史を誇る老舗球団でもある。


福岡ソフトバンクホークス

本拠地球場は日本初の開閉式ドーム球場である福岡ドーム(みずほPayPayドーム福岡)。九州の各都道府県で地方開催を行う場合もある。
福岡が誇る若鷹軍団。元々は大阪を本拠地とする「南海ホークス」を前身とし、1988年をもって南海電鉄からダイエーに売却され、福岡に移転。
このために関西には南海時代からの残党のような濃いファンがちらほら存在し、京セラドームでの主催試合を行う年もある。
本拠地のみずほPayPayドームはかつては広い方だったが、甲子園とは逆にラッキーゾーンを設置したことで一転して本塁打が出やすい打者有利の球場になっている。
2005年にソフトバンクがオーナーになってからは高い資金力を武器に補強にも育成にも注力し、何度もリーグ優勝や日本一を達成しており、近年では巨人に代わって大物選手を次々に獲得する大正義球団としての地位を確立。パ・リーグのラスボスになっている。
こちらも南海時代を考えると老舗の部類に入る。


◆2024年から加入

二軍は本拠地を東西に分け、「イースタン・リーグ(イ・リーグ)」「ウエスタン・リーグ(ウ・リーグ)」として構成されていたが、2004年の近鉄消滅・楽天誕生によって両リーグのチーム数が奇数になり、試合日程が歪なものになっていた。
これを解消するために2024年に二軍のみのチームを募集し、2球団が加入することになった。NPB球団の拡張は65年ぶりのことで、この2チームについてはリーグに関係なく対戦を行っている。
あくまでNPB加盟ではなく二軍戦への参加という扱いのため、所属選手はNPB在籍年数をカウントされないが、各成績は全て公式記録として表彰の対象になる。その立場上ドラフト会議に参加できないことから独自のトライアウトで選手を獲得しており、かつてNPBでプレーしていた選手も多数在籍する。
元NPB選手はシーズン中でもNPBへの復帰が可能で、それ以外の選手はドラフト会議で指名されることでNPB球団に入団できる。

ただし、一軍とは違って移動手段は基本的にバス中心と選手への負担も大きいことから、2026年から1リーグに統合した上でMLBのように東・中・西の3地区制に再編される予定である。中地区に関してはこれまでイ・リーグだった巨人・DeNA・西武とウ・リーグだった中日・くふうハヤテで構成される見込み。
ヤクルトとロッテは将来的な本拠地移転の計画があるため、これを踏まえた上での地区割りとされる。もっとも、西地区以外は奇数編成に戻ってしまうことから本末転倒という指摘もある。
  • 東地区 - 日本ハム・楽天・ヤクルト・ロッテ・オイシックス
  • 中地区 - 巨人・DeNA・西武・中日・くふうハヤテ
  • 西地区 - 阪神・オリックス・広島・ソフトバンク

オイシックス新潟アルビレックス・ベースボール・クラブ

本拠地球場は新潟県立野球場(HARD OFF ECOスタジアム新潟)。
名前で分かる通り、Jリーグと同名のプロ野球チーム。何ならバスケットボールも「新潟アルビレックスBB」で同名。新潟県アルビレックス好きすぎ問題。
2007年から独立リーグで活動しており、元々NPB加入を目指して設立されたチームのため、誕生17年目にしてその念願がかなったことになる。


くふうハヤテベンチャーズ静岡

本拠地球場は静岡市清水庵原球場(ちゅ~るスタジムアム清水)。それ以外にも静岡草薙球場・浜松球場・静岡県営愛鷹球場でも主催試合を行うことがある。
東京にある投資ファンド「ハヤテグループ」を親会社に持つ、静岡県初のプロ野球チーム。運営法人は「ハヤテ223(ふじさん)」。
初代GMは地元出身の山下大輔氏が務めた。


【1年の流れ】

  • 合同自主トレ
野球協約第173条の関係でチーム練習ができないオフシーズン(12月1日~翌年1月31日)の時期に選手同士が自主的に集まって行われる。
球団の主力選手が若手を誘ったり、同じ高校・大学の先輩後輩で集まったりとその方式は多様で、球団の垣根を超えた選手同士の交流という側面も大きい。
その他、新人選手は年明け後の「新人合同自主トレ」に参加し、各地での自主トレを終えた主力選手が集結して行われる「選手会合同自主トレ」でチームに合流するようになっている。
外国人選手は概ね1月下旬に来日し、数日かけて軽めに調整して時差ぼけを解消した上でキャンプインを迎えるケースが多い。

  • 春季キャンプ
2月からの約1か月間、宿営しながら行われる個人および全体練習を行う期間。野球のシーズン到来のため、この時期は「球春到来」とも言われる。
長いシーズンに向けて、選手たちは体力作りや基本練習から時にはキャンプならでのユニークな練習法も行いながら、次第に実戦形式の練習や紅白戦、オープン戦を経て開幕に向けて調整していく。
基本的に温暖な宮崎県沖縄県で行われているが*8、時には海外で行う球団も存在するほか、一軍・二軍や一次・二次でキャンプ地を分けて行う場合もある。
現地でも普段訪れる機会が少ない所にプロ野球が来るため、地域の振興にもなっている。

  • オープン戦
開幕前の「春季非公式試合」。2月下旬から始まり、序盤は春季キャンプと平行しながら現地で行うことが多く、3月に入ると各球団の本拠地での開催に移っていく。
レギュラーシーズンとは違ってリーグを問わず対戦し、結果も12球団総合で発表される。
非公式戦なので当然ながら成績は反映されず、延長戦も行われない。あくまで開幕を見据えた調整や開幕一軍をかけたアピールに重点が置かれている。
ただし育成選手も出場できるため、オープン戦で結果を残したことで支配下登録を勝ち取る選手も多く、新戦力の発掘という側面もある。
全試合で指名打者制を採用することが可能だが、セ・リーグ球団は開幕直前になると実戦を意識して9人で戦うことが多い。

なお、対戦カードは各球団の営業担当同士が直接折衝し、日程と条件が合えば開催されることになっているため、球団によって予定試合数はまちまち。
加えてその開催意義から公平性もそれほど重要ではなく、雨天中止やノーゲームによる順延も行われないため、順位は各球団とも最終的な消化試合数による勝率で決定する。
もっとも、球団によってはある程度の法則性を持つケースも存在する。2013年頃からは最終カードではほとんどがドーム球場(一部例外あり)かつ二軍におけるイースタン・ウエスタンリーグ同士の相手リーグのチームとの組み合わせが慣例になっている。
過去にはシーズン終了後の秋にもオープン戦が行われており、主力選手の引退試合を開催するケースもあった。現在でもオープン戦の期間中に前年限りで引退した選手が1日だけ選手契約を結んで引退試合を行うことがある。

入場料は概ねレギュラーシーズンより安く設定されており、球場によっては一部座席を開放しないケースもある。かつては曜日を問わずほとんどの試合がデーゲームで行われていたが、ドーム球場ができてからはナイターで行われる日も設定されるようになり、オープン戦とはいえ多数の動員を記録することもある。

これとは別に、キャンプ地が近いチーム同士では「練習試合」が行われることもある。試合の趣旨としては概ねオープン戦と同様だが、こちらは入場料を取らずに各チーム間の合意で自由に開催できるため、「一度交代した選手の再出場」「試合途中からの指名打者の使用」など、普段は使用できない特別ルールが設けられることもある。
近年は近隣でキャンプを行う韓国の球団や遠征でやってくる台湾の球団、キャンプ地の近くの独立リーグなどとの練習試合も組まれている。

  • レギュラーシーズン
公式戦。いわゆる普通の試合。ペナントレースとも呼ばれる。
例年3月下旬~10月頃まで、各チーム25試合ずつ戦う125試合のリーグ戦と交流戦18試合の合計143試合が開催される。
延長戦は12回までで、決着がつかない場合は引き分けになる。タイブレークもなし。
ラジオではこれを境にナイターイン、ナイターオフと区別される。

最初の試合は「開幕戦」と呼ばれ、1年の始まりとあって概ね満員に近い動員を記録する。開幕戦に先発する投手は「開幕投手」と呼ばれ、基本的に各チームのエースが指名されることから名誉とされる。どの球場でもオープニングセレモニーを行うのが通例。
開幕カードをホームで行えるのは数年前(セ・リーグは2年前、パ・リーグは3年前)のAクラスだったチームだが、阪神に関しては甲子園が基本的に春の高校野球と日程が重なることから、開幕権を有する場合は京セラドームで開幕戦を行う*9
翌週のカードは開幕をビジターで迎えたチームにとっての「本拠地開幕戦」になる。

火曜日~木曜日をチームA、金曜日~日曜日をチームBと対戦するのが基本的なスケジュールで、月曜日は休みないし移動日に充てられるが、連休によって月曜日が祝日の時には試合が行われる日もある。2004年以前のパ・リーグでは月曜日がチームAの初戦として行っていた。平日はもっぱらナイターで、デーゲームは主に土休日に行われる。
ただし7月~9月上旬は気候の関係上、屋外球場とベルーナドームは土休日もほぼ全試合ナイターになる。その他、春先にはパ・リーグの一部球団で平日デーゲームを開催することもあり、ナイター設備がない地方球場も平日デーゲームで行われることもある*10
チームによっては最大で合計10試合程度を地方球場で開催することがあり、「○○シリーズ」と称して同一カードでも複数の球場で試合を行うことがあるが、試合中止になった場合は本拠地開催に振り替えられる。水曜日か木曜日を移動日として2試合を行うケースもある。

  • セ・パ交流戦
再編問題後の2005年に導入された、セ・リーグとパ・リーグが戦うインターリーグ。
現在は1カードごとにホーム・ビジターを年間で入れ替え、3試合×6カードを5月終盤~6月中旬まで1か月かけて戦う。「セ→パ→セ→セ→パ→パ」か「パ→セ→パ→パ→セ→セ」の順番で行われる。
指名打者制はパ・リーグ球場で使用可能。逆に言えばセ・リーグ球場ではパ・リーグ投手も打席に入る必要があるため、このあたりの駆け引きも見どころになっている。
普段は戦わないチームや選手との対決はもちろん、この間は各リーグ内の対戦が一時中断することから1人勝ち・1人負けといった番狂わせが生じやすく、順位も大きく変動しやすいことから1年を戦う上で極めて重要になっており、年によってはセ・リーグ6チーム全てが勝率5割以下になった珍事すら発生している。
オープン戦と同様に12球団総合で順位が発表され、優勝やMVPの表彰も別途行われる。
2020年はコロナ禍で中止。

  • オールスターゲーム
毎年7月中旬に開催され、セ・パ両リーグのスター選手たちが集い、リーグの意地とプライドをかけて戦う「球宴」。現在はドーム球場・屋外球場の順に2試合が開催される。球場は12球団持ち回り制で決められるが、定期的に地方球場で開催されることもある。
全試合指名打者制を採用。延長戦はなし。
出場選手はファン投票・選手間投票・監督推薦・プラスワンにより決められ、必ず各チーム1人以上は選出される。ファン投票なので稀に投票ジャックも起こる。暗黙の了解として開催球場を本拠地とするチームの選手が多く選ばれるように配慮されている。
もちろん結果も重視されるが、「投手を代打や代走で起用」「普段は守備に就かないポジションで出場」「出番のない選手や出場を終えた選手が走塁コーチを務める」などお祭りや余興としての側面も強く、普段はまず見られないような光景も多々あり、選手同士の交流という側面も強い。
監督は前年にリーグ優勝したチームの監督が務め、前年Aクラスチームの監督2人がコーチとして参加する。前年から監督が交代した場合でも後任監督がそのまま参加する。
かつては「夢の球宴」とも呼ばれて人気を博したが、交流戦の開始後は真新しさがなくなってかテレビ視聴率は年々低下し、何とかテレビ朝日独占放送で食いつないでいる状況*11
こちらも2020年はコロナ禍で中止。
オールスター開催前には二軍選手を対象にした「フレッシュオールスターゲーム」も別途実施されている。

2007年から導入された、かつてパ・リーグで導入されていたプレーオフの改良版トーナメント。通称「CSClimax Series)」
Aクラスのチームが順番に戦い、優勝したチームが日本シリーズに出場する。
詳細は当該項目を参照。

  • フェニックス・リーグ
CSと同時期に宮崎県で開催される春季リーグ。主に若手選手の育成に重点が置かれているが、CSの導入後は調整のためにリーグ優勝チームが主力クラスの選手を派遣することもある。NPB以外にも独立リーグや韓国リーグのチームも参加するのが特徴。
これとは別に二軍の日本一をかけた「ファーム日本選手権」もこの前に行われる。

  • ドラフト会議
CSと日本シリーズの間に開催される新人選手選択会議。就任したばかりの新監督にとっては初の大役である。
MLBのように完全ウェーバー方式(順位の低い順に指名)ではなく、1巡目は入札型、2巡目はウェーバー、3巡目は逆ウェーバー、4巡目以降はウェーバーと逆ウェーバー交互となっている。
1巡目のみ存在する入札バッティング時の指名権獲得くじ引きが最大のサバイバルである。
そして指名を受けつつもプロではなく大学や社会人に進む選手など、さまざまなドラマが生まれる場でもある。
以前はドラフト上位候補選手が自ら球団を選択できる希望入団枠(逆指名・自由獲得枠)があったが、不正の温床になるとして2006年をもって廃止。また、かつては高校生と大学・社会人とで個別に行われていたこともあったが、現在は育成ドラフト以外は統合されている。

CSを制したチームが戦う、その年の日本一を決める頂上決戦。
7試合で4勝した方が日本一の栄冠を手に入れる。
詳細は当該項目を参照。

  • 秋季キャンプ
シーズン終了後に春と同様に行われる強化練習期間だが、こちらは若手選手の体力作りと底上げを目的として約半月ほど行われる。ただし多くの主力選手は休養に充てることも多く、外国人選手もほとんどが帰国することから参加しないケースも多い。
ポストシーズンへの出場可否によって開催時期は異なる。
このキャンプと並行して、自由契約となった選手の入団テストを行うこともある。

毎年11月頃に開催される、自由契約選手を対象にしたトライアウト。
戦力均衡を目的に選手会の要望で2001年から開始した。
毎年年末に放送されている特番「プロ野球戦力外通告・クビを宣告された男達」でこれを知った人も多いことだろう。
球場は12球団持ち回りで、入場料を取るので一般客も観覧可能。
トライアウトには野球以外の企業やスポーツも参加しており、そこからオファーがかかることも多くセカンドキャリアの開拓に貢献している。
なお、実態としてはあくまで「選手の状態をチェックする」といった最終面接に近く、トライアウトの結果はほとんど加味されないことからNPBは一定の役割を終えたとして廃止を検討しており、2025年以降は選手会主催という形で継続すると見られる。

  • ウインターリーグ
冬季にドミニカ共和国・ベネズエラ・メキシコなどのアメリカ大陸やアジア・オーストラリアなどで開催される教育リーグ。若手の育成を中心に各球団から多くの選手を派遣しており、アジアでは「NPB RED」「NPB WHITE」などの選抜チームを編成することが多い。

日本シリーズを含めたシーズン全日程終了後は多くの選手がオフシーズンに突入するが、国際大会や海外との強化試合がある場合は日本代表「侍ジャパン」として招集される人もいる。
かつてはMLB選抜との「日米野球」も数年おきに開催されていたが、2018年を最後に行われていない。


【用語あれこれ】

  • 日本野球機構(NPB)
文部科学省管轄の社団法人。文字通り日本のプロ野球のトップ組織。その割には組織としての規模は小さいが。

  • 日本プロ野球選手会
社団法人と労働組合で同名の組織だがあまり区別されない。
主な役割は選手の待遇向上と野球の振興。毎年正月にテレビ放送されるスポーツフェスティバルの主催はここ。
争議権を有するため、プロ野球再編問題時にストライキを実施したのはあまりにも有名。

  • 日本プロ野球名球会
金田正一らが設立したOBの組織。
入会の条件は「2000安打」「200勝」「250セーブ」のいずれかを達成すること。そのほかに昭和以降生まれという大正出身の人は入れない謎の縛りがあり、これは川上哲治らを除くためだと噂される。
金田の私的組織と揶揄されることもあったが、2009年に実質的に追い出されたことでOB組織として整備されるようになった。
創設時の会員に王貞治や張本勲といった日本国籍を有さない選手がいたためか、実はNPBで記録をスタートさせさえすれば外国人の入会制限はない*12。実際にアレックス・ラミレスNPB単独での2000安打を達成*13、条件を満たしたことで外国人選手初の入会を果たしている。
2003年12月以降はMLBに挑戦する選手が増えたことを踏まえ、日米通算記録もカウントされるようになっている*14。なお、NPBでは2安打しか打っておらず、その後MLBで1998本以上打ったアルフォンソ・ソリアーノ*15に関しては理論上は入会条件を満たしているが、あまりにも特殊すぎるケースであることから「本人から申し出がないため所属とせず」とやや有耶無耶な形で処理されている。彼自身は割と入会に乗り気だったという話も
2019年からは投手の200勝が難しくなった状況を受けて特例入会制度が導入され、上記の入会条件を満たさずとも理事会の承認が得られれば加入できるようになった。

  • 野球殿堂
プロ野球で活躍した選手やプロ野球の礎を築いた人物の中で、投票で一定の割合に達した人物が選出されるプロ野球屈指の栄誉。

  • 地域保護権(フランチャイズ)
1952年より制定。各球団は都道府県単位の保護地域を設定し、公式戦ホームゲームの半数以上を保護地域内の1つの専用球場で主催する義務を負う代わりに、当該都道府県での全てのプロ野球関連行事の独占権を排他的に得られる。
そのため、他球団の保護地域になっている都道府県での主催試合や野球関連のイベントを実施する場合、当該都道府県にある全ての球団の許諾を得る必要がある。いわゆる「準本拠地」も公式的には地方開催の一種である。

なお、2005年~2007年の3年間は合併による暫定措置として、大阪府・兵庫県の両方と密接な関係にある阪神・オリックスは両府県をダブルフランチャイズとして設定。書面による同意を交わすことなく折衝のみで大阪ドームと神戸総合運動公園野球場(スカイマークスタジアム)の使用日程を調整することができた。
オリックスに関しては野球規約における本拠地球場は大阪ドームを登録していたが、2005年10月にドームを運営する第三セクター「大阪シティドーム」が会社更生法を申請し、運営体制が不確定になった関係で2006年のみスカイマークスタジアムに変更していた。年内にオリックスが買収し、さらに「京セラドーム大阪」のネーミングライツを導入したことで2007年から大阪に戻している。
ダブルフランチャイズが終了した2008年以降も阪神の大阪開催・オリックスの神戸開催は継続しているが、従来通り書面上の同意が必要になっている。

  • 出場選手登録
「一軍登録」とも呼ばれ、その名の通り一軍の試合に出場できるように登録されること。
支配下登録された最大70人の選手の中から29人まで登録でき、さらにその中から25人までが試合に出場できる(ベンチ入り)。基本的には登板予定のない先発投手や連投中のリリーフ投手などがベンチ外になることが多く、「あがり」とも呼ばれる。
出場選手登録はされていないものの遠征先に同行する場合は「一軍帯同」と称される。登録されている選手が二軍の試合に出場することも可能であり、選手によってはデーゲームの二軍戦と一軍のナイターの両方に出場するという「1人親子ゲーム」を行うケースもある。
開幕戦の出場選手登録は開幕3日前までの申請が必要で、一度登録されると開幕まで変更できない。
出場選手登録を抹消された場合はその日から一軍の公式戦には出場できなくなり、10日間過ぎるまで再登録できない。
登録および抹消は逐次公示され、NPBや各球団のオフィシャルサイトから閲覧可能である。
日本シリーズではこの制度は適用されず、代わりに40人の選手を「出場有資格者選手」として登録し、その中から試合ごとにベンチ入りメンバーを選ぶ方式が取られている。

2011年からはレギュラーシーズンの全日程終了後、CS開幕まで10日以上空く場合は自動的に全選手が登録を抹消されるようになっている。これは2010年のシーズン終了後に中日が全員の登録を抹消したことが初出であり、それが2011年からルールとして明文化されたものである。
もっぱらCS前での適用だが、2021年は東京五輪が開催された関係で1か月間シーズンが中断したため、7月15日に12球団の全選手が出場選手登録を抹消された事例がある。シーズンが再開された8月13日には試合がなかったDeNAとヤクルトを除く10球団総勢276人の出場選手登録が公示された。

2016年からは「脳震盪登録抹消特例措置」が導入され、脳震盪によって登録を抹消された場合は10日経たなくても再登録することが可能になった。この特例を使った場合は代替選手を指定して一軍登録することができ、当該選手が10日以内に復帰した場合はこの代替選手が登録を抹消される。
コロナ禍の2020年~2023年は「感染症特例措置」が導入されており、出場選手登録数が29人→31人、ベンチ入り選手数が25人→26人、外国人選手枠が4人以内→5人以内に増えていた。ただし、外国人選手枠に関しては投手と野手のどちらかを4人にした場合、以後もその内訳を変えることはできない*16
脳震盪特例と同様に、体調不良でコロナ感染の疑いが出て出場登録を抹消されても検査で陰性となるなどした場合は10日間以内の再登録が可能。陽性の場合や濃厚接触者認定などで自宅待機になった選手は登録抹消日から練習に復帰した日までの実日数を出場選手登録日数に加算する。

2017年以降は「引退試合選手登録特例措置」が導入され、引退試合を行う選手のみ1日限定で出場選手登録の人数制限を超えての登録が可能になった。複数の引退選手を登録することも可能だが、ベンチ入りできる人数は変わらない。
これを適用された選手は翌日に自動的に登録を抹消され、その後はCSを含めたリーグ公式戦終了まで登録できなくなる。
なお、出場選手登録を用いない日本シリーズには出場可能。また登録後の引退試合が中止された場合は球団が指定する日に再び登録することができる。

  • 外国人選手枠
「助っ人枠」とも呼ばれ、外国籍の選手に関する出場枠にも規定がある。2002年以降は出場選手登録できるのは投手と野手を合わせて最大4人までで、どちらかのみの4人登録は不可能。
ただし、外国籍であっても日本の学校に通っていた選手やFA権を取得した選手は日本人扱いで適用される。

  • 育成選手
2005年から導入。その名の通り実戦よりも育成を主目的とした契約区分で、ドラフト会議における育成ドラフトで任意に獲得できる。
背番号は3桁の数字が与えられ、最低年俸は230万円からに設定されるなど支配下選手よりも下部に位置する概念として位置付けられる。当然ながら一軍公式戦には出場できず、二軍戦であっても1試合に5人までしか出場できない。そのため、球団によっては二軍の下にさらに三軍や四軍を設置し、育成選手を中心にチームを結成して大学や社会人などとの試合を行っている。
ただし、その年の7月末まであれば支配下登録を勝ち取ることも可能であり*17、実際に育成契約から侍ジャパンに選出されるまでに成長した選手も数多く存在する。
契約期間は3年間で、経過後は自動的に自由契約公示されるが、育成選手として再契約することも可能。他球団に移籍する場合もある。

他方で、トミー・ジョン手術や病気などによって長期間のリハビリを余儀なくされた選手が支配化枠を空けるためにいったん育成選手として再契約し、復帰の目途が立った段階で改めて支配下に復帰させるといった用途で用いられるケースもある。この場合は将来の支配下再登録を見据えて従来の背番号を3桁にした数字にすることが多い。
また、戦力外通告を受けた支配下選手が育成選手として再出発したり、自由契約になった他球団の有望な選手を育成選手として獲得したりするケースもある。

  • フリーエージェント(FA)
CSも含めて出場選手登録145日を1年として換算し、7~9年経過することで国内外の他球団に移籍する権利を取得できる。
国内FA権は高校生入団の場合は8年・大学や社会人入団の場合は7年、海外FA権は全選手が9年経過することで取得可能になり、日本シリーズ終了翌日から7日以内にコミッショナー宛に申請することで行使可能。8日目の午後3時にコミッショナーより「FA宣言選手」として公示され、翌日から国内外全ての球団と契約交渉を行うことが可能になる。
FA権を取得した外国人選手は行使の有無にかかわらず翌年からは外国人枠から外れ、日本人扱いで起用される。
ただし、145日を超えて登録されてもカウントされるのは145日まで。また、登録日数が145日に満たないシーズンが複数ある場合はそれらを合算して満145日ごとに1年として計算される。途中で所属球団が変わっても引き継いで計算される。
「故障者選手特例措置制度」「投げ抹消による先発投手特例」など、一定の条件を満たせば登録扱いされるケースもある。
FA権を行使した選手は4年経過することで海外FA権を再取得する。

NPB他球団に移籍した場合、当該選手の古巣での年俸に応じてランクが「A」「B」「C」と位置付けられ、ランクB以上の場合移籍先球団は古巣に対して「金銭補償」か「人的補償」を行う義務が生じる。
前者を選択した場合、当該選手の旧年俸の6割(8割)を支払う。
後者を選択した場合、当該選手の旧年俸の4割(5割)に加えて特定の支配下選手1人を人的補償選手として獲得する。ただし、「プロテクト(優先保有)した28人の選手」「外国籍選手(FA権を取得して日本人扱いになった選手を含む)」「直近のドラフトで獲得した新人選手」「育成契約選手」は選択できない。
また、万が一人的補償選手が移籍を拒否した場合は資格停止選手の処分を受け、さらに金銭補償が行われる。
FA選手の翌年の年俸は現状維持が上限だが、契約年数や出来高払い(インセンティブ契約)、2年目以降の年俸の上昇に制約はない。

海外の球団に移籍した場合は国内と違って補償は生じないが、例外として2年以内に帰国してNPB他球団へ移籍した場合は最後に在籍した日本の前球団への補償が必要になる。
ただし、海外FAによる補償制度は一度も発生していない。

FA権を行使する理由は選手によって多種多様で、「強いチームで優勝争いしたい」「憧れのチームに移籍したい」「(家族を考慮して)地元(に近いチーム)でプレーしたい」「古巣に復帰したい」などが挙げられる。
なお、FA権を行使したが移籍には至らなかった場合、あるいは行使はするが最初から移籍しないケースもあり、「宣言残留」と呼ばれる。この場合は新たに複数年契約を結ぶケースが多く、年俸も上昇する傾向にあるが資金力に乏しい球団ではこれを嫌って認めない場合も見られる。
また、近々FA権取得を控えた選手が複数年ではなくあえて単年契約を結ぶケースも多い。

  • ポスティングシステム
FA権を持たない選手でも球団の許可があればMLBに移籍できる制度。1996年オフにロッテからMLB挑戦を明言した伊良部秀輝の移籍がきっかけで導入された。
MLB機構にポスティング申請を行い、成立すれば選手の保有権を対価に契約額に応じた譲渡金を受け取る。ただし、MLBでは2016年以降は国内選手保護の目的で25歳未満かプロ6年未満の海外選手獲得時に契約金や契約内容に制限をかける「25歳ルール」が適用されており、マイナー契約しか締結できないようになっている。
なお、FAとは違って球団の権利であることから容認するかどうかはチームによってまちまち。加えてポスティングでMLB移籍が決定した際は自由契約公示されるため、短期間で帰国した場合はFA権を取得するよりも早いタイミングでNPB他球団へ移籍することもでき、その場合はあくまで自由契約の選手を獲得した扱いになることから当然ながら古巣への補償も発生しない。

2011年から導入。
詳しくは当該項目を参照。

プロ野球における移籍方法の1つ。
詳しくは当該項目を参照。

2022年のオフに導入された、出場機会に恵まれない支配下の中堅選手に新たな活躍の機会を設けることを目的とした移籍制度。ドラフト会議とは違って12月に完全非公開で行われ、終了後に結果が発表される。
詳しくは当該項目を参照。


当wikiに項目のある野球選手

現役選手

NPB所属


MLB所属選手


過去の主な選手(日本人選手・五十音順)

あ行



か行



さ行



た行



な行



は行



ま行



や行



過去の主な選手(NPB在籍経験者・外国人選手・五十音順)



当wikiに項目のあるプロ野球審判



【余談】

  • 野球人気について
近頃野球人気が低下しているとよく叫ばれているが、実際は趣味およびスポーツ嗜好の多様化という説が大半。昔はメディアが限られ、趣味の数も相対的に少なかった。スポーツに限って言えばサッカーW杯の開催、アテネ五輪における躍進*18で世間が海外で活躍する選手に目が行くようになったことが大きい。
ちなみにアテネ五輪の開催年は2004年だが、この年のプロ野球に何が起きたかを考えるとなおさらであろう。

  • 観客動員数
2004年の球界再編以降、パ・リーグを中心にさまざまな集客イベントを実施した結果、2010年代以降は毎年観客動員数を更新するようになった。
実際に球場を訪れると多数のサービスや物販が目白押しであり、近年では試合の合間にファン参加型のイベントも多いことから、「メディアで見るのではなく行く」趣味になったと言えよう。

  • 試合時間
2010年代以降の1試合の平均試合時間は3時間10分で、他のスポーツと比べてもかなり長い部類に入る。主な理由としてはターン制である上に1イニングに何点も入れられ、3アウトを取るまではイニングが終わらないことや継投などが挙げられる。
そのため、NPBは少しでも試合時間を短くすべく登場曲の短縮や飛ばないボールなどあらゆる策を講じており、MLBで採用されているピッチクロック*19やタイブレーク*20を導入しようという流れもある。
放送メディアでは特にこれが足かせになっており、全国放送のテレビでは2000年代後半以降中継が大幅に削減された。ラジオでも2010年代後半以降から中継数が減少傾向にある。
テレビ中継される時、延長オプションがつく場合があるため、ドラマやアニメの予約録画には注意。ほぼ一局に絞られるのは内緒。最近は地上波よりもCSなどの専門チャンネルでの放送が増えたため、延長を気にする必要は少なくなった。



追記・修正は贔屓球団にこめている愛情をたっぷり注ぎながらお願いします。

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最終更新:2025年07月16日 16:57

*1 ただし表向きは毎日と大映の対等合併で毎日球団が存続球団ということにはなっているが、経営的には大映の方がメインで毎日新聞はその後運営から手を引いているというややこしい事態になっている。

*2 当然ながら大半のファンが良識的なのは言うまでもなく、悪質なファンは何も阪神だけの問題ではない点には留意してほしい。

*3 さらに歴史を遡ると後楽園球場→駒澤野球場→神宮を経て後楽園球場に帰還している。

*4 これは冬季の北海道では雪のため、オフシーズンの練習がまともにできないという地理的事情もある。

*5 東京都→仙台市→川崎市。

*6 毎日新聞社→毎日新聞社・大映共同経営→大映→ロッテ。

*7 この年のパ・リーグはシーズンを前期と後期に分けた日程であるため、純粋な1シーズン制では1970年が最後である。

*8 一部の二軍チームは鹿児島県や高知県で行う球団もある。

*9 ただし、同球場はあくまでもオリックスの本拠地であるため、近年ではあちらも開幕権を保有している場合は阪神が返上してビジターにならざるを得ないことが多いが(4位のチームが繰り上がりで開幕権を獲得)、過去には2010年のようにパ・リーグの開幕カードを1週間前倒しする形で解決したケースもある。開幕権を有していない年でも翌週の本拠地開幕戦は京セラドームを使用する。

*10 日没までに試合が終わらなかった場合、日没サスペンデッドとしてコールドゲームになる。

*11 かつてはテレビ東京を除く民放各局持ち回りで放送しており、年によっては2系列局で同時放送したこともある。

*12 逆に言えばMLBで記録をスタートさせた場合は資格外。便宜上「米日通算」と区別されることがあり、このケースに当てはまる選手は元巨人のウォーレン・クロマティ、元楽天のアンドリュー・ジョーンズなどがいる。

*13 MLB時代にも86安打を記録しているが、これを除いたものである。

*14 あくまでNPBとMLBのみが対象であり、韓国・台湾・メキシコなどといった日米以外の国や独立リーグでの記録は含まれない。

*15 日本時代は広島、MLB時代はニューヨーク・ヤンキースやシカゴ・カブスなどに在籍。

*16 2021年以降はどちらかを4人にした後でも内訳の変更が認められるようになった。

*17 育成契約初年度の段階で26歳以上の外国人選手は3月末まで。逆にシーズン中の支配下選手の育成降格は2008年以降できなくなっている。

*18 金メダル16枚は1964年東京以来、メダル数37枚と当時の日本新記録を達成している。

*19 投手・打者ともにプレーに一定の制限時間を設けるもの。投手はボールを受け取ってから規定の時間内に投球動作に入らなければ1ボール、打者も規定の時間内に打つ準備をしなければ1ストライクがそれぞれ自動的に追加される。

*20 延長戦で一・二塁か二塁に走者を置いた状態で始めること。