World Yo-Yo Contest

登録日:2012/05/07(月) 00:53:42
更新日:2024/05/16 Thu 16:02:57
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(本項目を閲覧される前にヨーヨーの項目をご一読下さい)


World Yo-Yo Contestとは、国際ヨーヨー連盟(IYYF)が開催する、ヨーヨーの世界大会
同業界の最大のイベントであり、かつては毎年アメリカはフロリダ州・オーランドのローゼンプラザホテルで開催されていたが2014年からは各国のヨーヨー連盟が持ち回りで開催するようになった。


概要

毎年世界中から有名・無名問わず様々なプレイヤーが本大会に出場し、
前評判どおり順当な強さを見せるプレイヤー、プレッシャーに潰されて実力を発揮できずに泣きを見るプレイヤー、
予想だにしないアクシデントで大きく順位を下げてしまったプレイヤー、
全くのノーマークから世界チャンピオンにのし上がるプレイヤーなど様々なドラマが展開される。

しかし、「世界一」を決める大会なのに、たまに他の選手とのレベルが(良い意味で)違いすぎて、
「アイツ勘違いしてやがる、ここは世界一を決める大会なのにアイツだけ宇宙一取りに来てるぜHAHAHA」
などとジョークの種になるほど凄まじいプレイヤーもごくたまに出没する。
実際、2A部門は2003〜2007まで1位と2位が同一人物(共に日本人)であり、
その間は「もう2A部門の世界チャンプは3位の奴でいいんじゃね?アイツらに勝てないし」などと言われていた程である
(ちなみに2A部門は2002年以降1位2位は全て日本人、2007年以降はトップ3が全て日本人と言う日本人無双の部門)。
あと4A部門で6度タイトルを取った日本人も存在して、その手のエキスパートでも落下による減点が絶えない4Aでありながらノーミス&100点満点での優勝という魔王っぷりを発揮している。

一般的に世界大会と言うと、各国・地域の予選を勝ち抜いた選ばれし猛者のみが参加できる大会、と言うイメージがあるが、本大会は誰でも出場する事ができる。

とはいえ、ワイルドカード・予選・準決勝・決勝と4ラウンドもあるため、決勝に出れるのは上位数名~数十名のみ*1。決勝の舞台に立つことすら並大抵の実力では叶わない。まさに魔境である。

前回大会のチャンピオンは決勝のシード権を得られるほか、各国の全国大会*2の各部門優勝者は準決勝にシードされるなど、過去のコンテストの結果に応じてシード権が与えられる。
2021年からはオンライン世界大会も始まり、こちらで優秀な成績を収めてもシード権を得ることができる。

参加国は2011年大会の時は20カ国から参加。
勿論、大抵のプレイヤーはメーカーからのバックアップを受けていないため、交通費・宿泊費など全て自腹で支払った上で参加している。
幸運にも自国開催でなければ決して安い旅行ではないが、それでも毎年幾多ものプレイヤーが世界一の称号を得るために海を渡る。

主に表彰台に登るプレイヤーが多いのは、ハイパーヨーヨーのブームで圧倒的な地力を築いた日本と、ヨーヨーの母国とも言え、多数のヨーヨーメーカーを擁するアメリカの2ヶ国。
実際に大会の結果を見てみると、大抵表彰台に登るのはこの2ヶ国の人間であるが、2005年以降続いているアジア大会で確実に実力をつけて来た東南アジアや、近年競技ヨーヨーの発達の目覚ましいヨーロッパ等の国・地域も注目されている。
現に、2011年大会で最激戦区の1A部門を2度もヨーヨーを交換しながらも圧倒的な技の難度で見事制したのはシンガポールのマーカス・コウ選手であったし、2013年にはハンガリーのヤノス・カランツ選手が同部門で栄冠を勝ち取った。

2023年大会では、AP部門でダニエル・タマリッツ選手がジャグリング用リングを使った独創的な演技で優勝し、スペイン人として初の世界チャンピオンになった。
1A部門ではMir Kimが、4A部門ではGun Ju Eomが優勝し、韓国から初めて世界チャンピオンが輩出された。

歴史

かなりの歴史を誇るヨーヨーだが、このコンテスト自体の起源は割と新しく、ヨーヨー界の重鎮であるデール・オリバー氏*3が1992年に「世界一上手いヨーヨープレイヤー決めようぜ」とプレイヤー達に呼びかけたのが本大会の起源とされている。

その後、日本で起きたハイパーヨーヨーブームにより、世界で戦える日本人プレイヤー達が台頭してきた1999年に最大規模の大会がハワイで開催。
この時期を最後に大会は多少の縮小を迎えたが、プレイヤー達のレベルそのものは比較にならないほど進歩している。

現在の大会形式になったのは2001年からと、実はまだ20年程度の歴史しか無い。
しかしヨーヨーファンの間からは既に名実共に世界最高の大会として認知されている。

開催部門

  • フリースタイル
プレイスタイルごとに、1A~5Aの5部門に分かれて行われる。
各スタイルの詳細はヨーヨーを参照。

音楽に合わせて3分間*4の演技をして、ヨーヨーの技術を競う。
ヨーヨーが止まったり、紐が絡まって交換したりすると減点を食らうほか、客席にヨーヨーが飛び込んだりすると失格になる。

使う音楽は自由だが、卑猥な言葉を含んでいると一発アウトで、実際に失格になった人もいる。

  • Art & Performance
およそヨーヨーを使う意味さえあれば何でもあり。複数人で演技してもよいし、ヨーヨー以外の道具を使うのも自由。
あまりにも自由すぎて採点も難しいので、順位付けはせず、エンターテインメント・アート・クリエイティビティの3つの観点から総合的な評価をする。
場合によっては優勝者なしのこともあるなど、フリースタイルとはまた違った厳しさがある。

雰囲気

世界一を決める大会に来るだけあって、観客もかなりノリが良い。
試しにYoutube等で優勝者のビデオを見ると分かるが、とにかく叫ぶ。歓声で曲が聞こえないなど日常茶飯事。
「YEAHHHHHHH!!」「FOOOOOOO!!」など、アメリカの大会であることを如実に表すような叫び声から
「ヤバーイ!!」「いけいけいけ!!」「いいよー!!」と言った日本語もよく聞こえる。
ちなみに、「ヤバイ」は日本人が国内・国際問わず大体の大会で発する奇声のため、ヨーヨー界で「ヤバイ」は「とりあえず凄かったら言えば良い単語」として海外の人からも周知されているとか。

叫び声だけでなく、フリースタイルが始まってある程度たつと曲に合わせて手拍子もよく起きる。
誤解されるかもしれないが、手拍子も歓声も大抵のプレイヤーにとっては邪魔ではなく、むしろありがたい事。
プレイヤーが口を揃えて言う事は「無反応が一番つらい」であり、会場が自分の技術で沸き立つのはプレイヤーにとっては誇らしい事以外の何物でもない。
ただ、あまりにも節度を弁えて無さ過ぎると迷惑行為以外の何物でもない。

日本の大会ではどれだけ素晴らしい演技をしてもめったにスタンディングオベーションが起きないが、この大会では毎年少ないながらもスタンディングオベーションを受けるプレイヤーが出てくる。
この差はプレイヤーのレベルの差ではなく、単純に日本人が国民性としてスタンディングオベーションを殆どしないため。
当然スタンディングオベーションを受けたプレイヤーは大抵優勝、そうでなくとも上位入賞が殆どだが、順位はさほどではなくてもあまりにも技が常軌を逸していた為にスタンディングオベーションを受けた例もある。

…が、あまりにも演技がお粗末だったり、ミスばかりでロクに技が成功しないと会場の空気はかなり冷え込む。
こればかりは世界共通で、俗に「公開処刑」と呼ばれることも。

年齢層

本大会は出場に当たって、年齢・国籍・性別などの差別は一切成されない。
それ故、どんなに小さな子供やおっさんでもステージの上では対等に戦う事となる。
だが出場の年齢層は非常に幅広く、下は小学生から上は中年までかなりの層が居る。
という事は大人が強いのか、と言うと決してそんなことは無く、小学生で世界チャンピオンになった人もチラホラいる程。
実際子供ほど練習時間が確保しやすいので有利といえば有利ではある。


追記・修正は世界大会に挑む覚悟ができてからお願いします。

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最終更新:2024年05月16日 16:02

*1 全体の参加人数で変動する。

*2 住んでいる国で全国大会がない場合は、ヨーロッパ大会やアジア大会

*3 ロケット(指から紐を外してヨーヨーを上に放り投げてキャッチする技)の高さを競う大会で、紐とヨーヨーを分離して回転しているヨーヨーを放り投げたエピソードが有名。

*4 決勝のみ。他はもっと短い。