ハイパーヨーヨー

登録日:2012/01/05(木) 23:34:35
更新日:2025/03/04 Tue 01:06:05
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ハイパーヨーヨーとは、バンダイが度々展開している商品の名称。
その名の通り「性能のいいヨーヨー」なのだが、「ハイパーヨーヨー独自のヨーヨー」は実はあまり無く、
大抵が海外メーカーの輸入品をデザインを変えて出しているだけである。
勿論メーカーからの許可等はしっかり取られている。

(商標的な意味での)定義としては、代理店バンダイを通してライセンス販売されているヨーヨーがハイパーヨーヨーだと考えて概ね相違ない。
例えば、「ブレイン」「ファイヤーボール」「レイダー」等は、本家ヨメガ社が販売するオリジナル版と、バンダイがハイパーヨーヨーとして販売しているバージョンがそれぞれ存在する。
なお、製品の仕様自体は同じで、価格や(製造年等による)個体差以外の違いはなく、キャップのロゴが若干異なる程度。

伝統的なヨーヨーと比較して
  • 糸(ストリング)が軸に固定されておらず、伸び切った後に空転する(これをスリープと言う)
  • 特殊な操作をすることで軸ではなく本体に糸が引っかかり返ってくる
などの特徴がある。

・第一期(1997~2000)

漫画『超速スピナー』やイメージキャラクターの中村名人などコロコロコミックやおはスタを中心とするタイアップに恵まれ、
文字通り社会現象とも言えるブームを起こした時代。
大会なども行われた。

テレビ番組『ぐるぐるナインティナイン』でも岡村隆史が子供達とハイパーヨーヨーで対決するコーナーが2度放送された。
内容は負けた方が自身のハイパーヨーヨーを献上するのだが結果は岡村が全敗という有様であった。
ちなみにこのコーナーに中村名人が出演している。

97年頃はどんなに使いづらい機種でも入手が難しく、偽物、コピー品も大量に出回った為、
コロコロコミック誌上で「純正と偽物の見分け方」が特集ページで組まれるほどの人気であった。

……が、値段がバカみたいに高く、例えば有名な「ファイヤーボール」は当時アメリカで1000円程度で買えた物が日本国内で2000円、
最高級機種として子供たちの羨望の的だった「ハイパーレイダー」は2500円だったのが5000円であり、子供向け玩具としてはぼったくりかなり挑戦的な価格設定であった。そんな訳で万引きやカツアゲなど犯罪の温床にもなってしまった。……後に更に高いものも登場したが。

ちなみに、この2機種は未だに現役バリバリどころか世界大会の2A(Wルーピング)部門では採用率9割を超える……のも過去の話。
レイダーやファイヤーボールにナイスペ化改造を施すことでルーピングヨーヨーとして使いやすいものになる*1のだが、この改造は無理やり締め込むためヨーヨーが壊れやすかったり、不慣れな人が改造すると質が安定しなかったりする。
近年では開けポンでもルーピングがしやすい機種や、無理な改造無しで無段階ギャップ幅調整ができる機種が販売されているので、レイダー・ファイヤーボールのシェアは下がっている。


ハイパーヨーヨーブーム末期にようやく「バンダイ」ハイパーヨーヨーのオリジナルヨーヨーである「ハイパードラゴン」を、松下電器のバックアップを受けて製作・販売をした。
ハイパードラゴンは改造・パーツ組み換えというコロコロコミックの王道を取り入れた画期的なヨーヨーである。
そのように見えたのだが強度面に難があった。
試すと分かるが、特に激しい技をしなくても少し使い込むだけでボディがガタガタになって使い物にならなくなってしまうレベルであった。

この頃やっていた世代の中でブーム終了後も続けていた人達は今でも世界の第一線で超一流プレイヤーとして活躍し続け、
ヨーヨー大国・日本の基盤とも言える存在となっている。
彼らに触発された若い世代がどんどん成長して次世代の日本を担っているのだ。
が、それと同時にミニ四駆ビーダマンの様に組み立てさえすれば誰でも簡単に楽しめるわけではなく、当然技術やセンスが大きく問われるため、
安易に手を出して挫折した子供達も大勢おり、ほぼ同時期の他のブーム商品に比べるとイマイチ乗っかれなかった。

ちなみにこの頃あったプロ認定試験の技は相当難易度が高く、今の日本の地方大会・全国大会に出場している人たちでも全部一通り出来る人はかなり限られる。
どんなレベルかと言えば「ループ・ザ・ループ200回がヌルい方」と言えばお分かり頂けるだろうか?

・第二期(2003~2004)

一応復活したハイパーヨーヨーだが、商品ラインナップもおざなりで、特にタイアップもせずに宣伝も力を要れず……。
と、明らかにやる気のない売り方であったため、当然のようにすぐに撤退してしまった。

<ロンチ機種>
  • ファイヤーボール(約1,500円。言わずもがな第一次の大人気機種)
  • ハイパーレイダー(約2,500円。第一次にはハイエンド機種。)
  • フリーハンド(約3,500円。ストリングスプレイに特化し、 ヨーヨーの歴史を変えた 当時のハイエンド機種。)

<シーズン2>
  • 固定軸 のヨーヨー各種(約750円。第一次のインペリアルやバタフライ相当で、ぶっちゃけ噛ませ犬扱い)

何故か性能を下げるという暴挙 を行い、第一次の燻りすら打ち消してしまった。
だがこの頃復帰した世代の中で、今現在日本・世界で脚光を浴びているプレイヤーも決して少なくはない。
またこの迷走によるヨーヨーの終焉を憂いたプレイヤーやメーカーが自ら互助会を開設し、定期的な情報提供や大会を設ける活動を出すようになった。
その為、全く意味のない時代だった………というわけではないのである。

ちなみにヨーヨー自体は第一次ブームの頃と殆ど変わらないが、なぜか製造元をアメリカから中国に変更。
そして様々な変更が加えられたことで、デザイン・性能ともにオリジナルに大きく劣るようになってしまった為、
今現在でも殆ど見向きもされないヨーヨーばかりになってしまっている。

最初期に出た筈なのに最上位機種の「フリーハンド」のみは純粋に高い性能を誇る。
ロングスリープヨーヨーとして特化していたため(ループは難しい)、当時世界大会で使用し見事優勝に輝いた選手が居たほど。
海外からも金型破損による販売中止になった初期型フリーハンドがまさかの当時そのまま再現した!と話を聞きつけ、注文が相次いだという。

・第三期(2010~2014)

前回のあまりにも適当なタイアップから反省したのか、今度はタイアップにかなりの力を注いでの復活となり、 流石に第一期には及ばないが、大盛況を迎えた。

メーカーも従来のヨメガ・ダンカンだけではなく、近年急成長した海外メーカー「ヨーヨーファクトリー」を迎え入れ、
それらのメーカーのプラスティック機種で高い評価を得ている機種を積極的に採用・廉価で販売するなど、かなり力を入れている。

だが玩具としての安全性のためか、ファイヤーボール(現・スピンフェニックス)や、
ハイパーレイダー(現・ストームタイガー)は更なる改悪が加えられて旧ユーザーを嘆かせた。(当然ながら既述のナイスペ改造は出来ない。とはいえ、それこそ超人達の出るような大会では使えない、と言うだけの話でハイパーヨーヨーレベルの技をやる分なら十二分な性能ではあるが)


また、第一期の「ハイパードラゴン」の再来とも言うべき「ハイパークラスター」を独自に製作・販売している。
テクニックに応じたパーツ組み換えが可能なヨーヨーであり、多数のバリエーションが生まれた。
生産が終わった今では、一部の機種が高額で取引されるなどしている。

なぜか精度が微妙に悪いという欠点まで再現してしまっている。
特に、タイアップ漫画『キメルのYOYO!』で主人公・キメルの操るサンダードレイクは、
ロングスリーパーをするだけでボディがカタカタ鳴る、という問題外の出来になってしまった。

その一方でスターフライギャラクシーフライと言った、
初心者から(改造して遊ぶ)上級者まで幅広く使えるヨーヨーが安価で購入できる事を歓迎している声も多い。
またディヴァルトはちょっと軽いプロトスターで、エースラッシュに至っては色違いのLoop1080だったので、この2機種に関してはガチ使用にも耐えるレベルだった。

更に末期にはなんとプレミアムバンダイで三メーカー三種のメタルヨーヨーまで取り扱ったこともあった。金属性(アルミ合金)のブツであまりに子供向けではないガチ仕様は当時のプレイヤーを驚かせた。当然ながら今では取り扱ってない為、未使用の新品にプレミア価格が設けられている。

・スタヴィティー
ヨメガ産。色は赤。ブレイン・レイダー・ファイアーボールの御三家で一躍最大手の名を得たが、当時はその三種以外はイマイチという呪縛のような印象を受けたヨメガ。そこで開発したメタル機種『マーヴェリック』であるが、やや小ぶりかつ回転力が控えめで競技向けプレイヤーからは見向きもされなかった。そこで敢えて引き戻し用ベアリングに変える事で価格を抑えて初心者向けメタルとしてイメチェンをした事で意外なヒットを飛ばすことに成功。その『マーヴェリック』を基にしただけあり、三機種唯一の引き戻し対応ヨーヨーで、小さく軽い分価格も3,500円と一番敷居の低い機種に仕上がっている。

・トルケーヴ
ダンカン産。色は黒。『フリーハンド』の特大ヒットで実績を奪還したダンカンだが、親会社の都合で今までメタルヨーヨーの取り扱いは出遅れていた。そこで初のフルメタル機種『バラクーダ』を開発し、無事に大ヒット。第二弾は『トルク』という基本に忠実なフルメタル機種を販売する……予定だったが先に日本版である『トルケーヴ』の方が先に販売する事になった。今回の件で需要の検討とノウハウ吸収をし改めてメタルヨーヨーを開発・販売するようになった。中でも『メタルドリフター』は競技ヨーヨーにまだ早いカジュアル層からの購入が相次ぎベストセラーになったという。価格は5,500円。性能も価格もまさに中間層。

・アクロナイザー
ヨーヨーファクトリー産。色は青。既に当時から初心者向けのプラ機種から競技用のフルメタル機種まで盤石の体勢を仕上げており、当時大人気である『スーパースター』を基にしている。競技用ヨーヨーを参考にしただけあり、重量もあり更にバインド専用と完全に玩具の範疇を超えた機種。
価格はハイパーヨーヨー系では最高額の8,000円。間違いなく高価だがそれでも基の『スーパースター』が10,000円であったこと、一定以上の腕前があればコレだけで末長く楽しめるからかえって安上がりだ、なんて意見すらあった程。


残念ながら第三期をもってハイパーヨーヨー自体は活動を終了した。ブームも全盛期に比べたらあまりに静かなものだが、それでも日本にヨーヨーの血脈を残したのは確かである。

・第四期(2024~現在)

しかし2024年6月14日、バンダイが唐突に11年ぶりのハイパーヨーヨー復活を告知。2024年7月1日にその全容が明かされ、名称がハイパーヨーヨーアクセルであると発表、ストリングを強く引っ張ることでヨーヨーの内部が回転するアクセルスピンと呼ばれる機能が搭載され、これによりマスターするのに多少時間がかかっていたストリングトリックをアレンジした形で実現しやすくなった。その第1弾商品として登場したのはアクセルオリジンで、『超速スピナー』のアニメ版で瞬一が初めて手にしたヨーヨーのハイパーラッセルと同じ形状*2をしたデザインとなっている。
既存の競技用ヨーヨーにも、側面に独立して空転する「ハブスタック」と呼ばれる機構を備えたものは存在したが、アクセルオリジンはそれを更に先鋭化させたものであり、幅の薄いノーマル型ボディと相まって、ヨーヨーを手で持ったままトリックを行う「アクセルトリック」というスタイルが公式から紹介されている。
一方で、その独特な機構が逆に欠点となりルーピングトリックは返しが安定しなかったり、そもそも幅が狭いノーマルボディ故にストリングトリックが困難だったりと、既存のトリックには向かないという、クセの強いヨーヨーとなっている。第3期の頃は、「ハイパーヨーヨーでヨーヨーにハマった人ほど、自分でヨーヨーについて調べる中で本格的な競技用ヨーヨーへと『卒業』していく」という現象が起こっていたことから、あえて第4期では既存のヨーヨーとはスタイルが被らない、独自路線を開拓しているのかもしれない。

2024年は
  • 子供向け、初心者向けの入門機 アクセルオリジン
  • ウイング形状になりストリングトリックがやりやすくなった アクセルウイング 
  • アクセルオリジンから一回り大きく、重くなりスリープ時間の伸びた アクセルラウンド
の三種類がリリースされた。

・余談

全ての世代に共通して言えることが
「ストリングの値段が高すぎる」
という事である。
そのお値段、5本で500円。1本100円の超高級ストリングである。四期のストリング(アクセルストリング)に至っては3本で税込660円=実質的に1本200円という凄い価格に。*3
ちなみに品質では全く変わらない物が、国内のヨーヨーショップで大体100本2000円くらいで普通に買える。また、第一期展開時にはコロコロコミックでランダムな色のストリングが一本のみではあるが付録として付いてきたこともあった。

断っておくが、ヨーヨーのストリングは消耗品。
早めに交換しないでプレイ中に切れたりすると、本人は元より周囲に被害が及ぶ事も珍しくない。
また、すぐにストリングがへたって感触が変わるので早めの交換は常識である(激しい技を多用する上級者だと10分ほどで交換する事も珍しくない)。

最悪のタイミングでストリングが外れたり破れたら自身の怪我やヨーヨー自体の破壊、最悪傷害罪や器物損壊罪も適用されうるのでこまめな点検や整備は欠かさずに。勿論ヨーヨーの長持ちする上でも大事。

1本100円で買うくらいなら通販で安いストリングを大量に買ったほうがはるかに良い。(品質も同じくらいだし)


たこ糸は、指とヨーヨーを痛めるZE☆





追記・修正はストリングプレイスパイダーベイビーをマスターしてからお願いします。

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最終更新:2025年03月04日 01:06

*1 その代わりスリープ力は無くなる。

*2 ノーマル型と呼ばれる、昔からある円盤型のボディ。おっさんには「コカコーラのヨーヨーの形状」といえば伝わりやすいかもしれない。

*3 一時期は同価格で期間限定4本セットだったこともあったが、そういう問題ではないというか…。