観用少女

登録日:2013/07/31 Wed 05:27:40
更新日:2024/03/12 Tue 19:32:01
所要時間:約 22 分で読めます





- プ ラ ン ツ ・ ド ー ル -

観 用 少 女





掘り出し物でございますよお客様
十年に一度…と言ったところでございましょうか

"名人"の称号を持つ職人が丹精込めて育て上げた逸品でございます


■作品概要
観用少女(プランツ・ドール)とは、朝日ソノラマ『眠れぬ夜の奇妙な話(ネムキ)』に不定期連載されていたふしぎな世界観の漫画。
作者は川原由美子。1992年に連載を開始し、2001年発表の「冬の宮殿」を最後に現在連載休止扱い。
単行本は、眠れぬ夜の奇妙な話コミックス全4巻、朝日ソノラマ文庫全2巻、愛蔵版2冊、完全版全3巻がある。


"少女(プランツ)"の極上の微笑みとともに、
至福の時をあなたへ―。


・あらすじ
1日3回の温かなミルク、週1回程度の砂糖菓子、そして自ら選んだ者の「愛情」を栄養として生きる、
途方もなく高価な美しき生きた人形「観用少女(プランツドール)」
少女たちは、何も物を言わず、ただどうしようも無いほど無垢で可愛らしい笑顔を振りまき、ただ愛される。
そんなプランツたちとの触れ合いの中で様々な人間が、複雑な感情入り交じる様々な体験をするお話。

・作品説明
話は一話完結型のオムニバス形式を取っており、各話ごとのつながりはほとんどない。
共通するのは、プランツ・ドールを売る店とその店員くらいのもので、複数回登場するキャラクターはほとんどいない。
話の中心となるプランツ・ドール以外の登場人物には一切名前がないのが特徴(時にはプランツにすら名前がないことも)。

ホラー系作品の多いイメージのある『眠れぬ夜の奇妙な話(ネムキ)』にしては珍しく、
ハートフルだったり悲恋だったり子供の冒険を描いてみたりと話のバリエーションが非常に多い。(もちろん中にはホラーな話も)
ぶっ飛んだお話も少なく、日常に近い話を淡々と書く部分も少なくないため、派手な作品を好む人には受け入れられないかもしれない。(絵柄も完全に少女漫画だし)
ただ、観用少女(プランツ・ドール)がそれはそれはとてもカワイイので是非とも一読をオススメしておく。

なお、オタク文化的にも重要な作品らしく、
「<美少女>の現代史(ササキバラ・ゴウ、講談社現代新書、2004)」などでも取り上げられているので、
そういう観点からこの作品を読んでみるのもアリだと思われる。

ただ、この漫画はロリコンホイホイとしての機能もさることながら、
ドールという冥府魔道に読者を突き落とすことがあるのでその点だけは注意するように。
ドールの道に入って戻って来れなくなってしまっても当方は一切の責任を置いません故。


■観用少女(プランツ・ドール)とは


これだけの質(もの)になりますと"選ぶ"のでございますよ
『これ』はどうやらお客様に買って頂きたがっているようなので……


観用少女(プランツ・ドール)とは、"名人"の称号を持つ職人が丹精込めて育て上げた「生きる人形」のこと。
観用少女(プランツ・ドール)が正式名称ではあるが、若干長いためか「プランツ」という略称がよく用いられる。
(本記事でも「プランツ」という表記が多用されるので注意されたし)

プランツは基本的に長髪の幼女の姿をしており、
その美しさと笑顔は老若男女を問わずあらゆる人間の人生を変えるほどの魔性を秘めている。

そしてプランツは所有者を選び、特定の人間にしか笑顔を向けない。
このためプランツを手にするにはプランツそのものに「気に入られる」必要があり、
「気に入られる」事がない限りはどんなに大金を叩いたとしてもプランツを手にすることはできない。
逆に、滅多にいないがプランツと波長が合うために「ひと目でなつかれる」人間もいる。

一度所有者と認めてしまった人間からはプランツは決して離れようとはしない上に、
元のなついていない状態に戻すメンテナンスの費用も時間もかかってしまう。
そのため、普段守銭奴な店員も所有者と認められた人間がプランツを買えずに困っていると、
値段を大幅に下げたり、さりげなく盗難を示唆したりするなどしてくれる。

"ドール"と呼ばれてはいるが、我々の知る人形とは根本的に異なり、
自分で動く、感情がある、育つ、枯れる、(極希に)言葉を覚える、(おそらく)有機体である、モノによっては卵生生殖が可能など、
人間とは異質の、何か別の生物と言ってよい存在である。

そういう理由もあってか、数を揃えることは容易では無いらしく、
取り扱う店はとある都会の街のどこかにある中洋折衷な装いの店のみ。
しかもプランツ一体の値段は、作中のある人物によれば「床に転がった目玉探すのに一苦労」なほど高価である。
その上、商売上手な店員のセールストークもあってか、プランツの維持費は高く付く事が多いため、
人によってはプランツを手に入れたことによって生活が破綻しかけてしまうことすらある。
そのくせ返品・下取りに出そうとすると、買った金額より格段に低くなってしまうため、
プランツとの生活がうまくいかなくなった人間はにっちもさっちも行かない袋小路に追い詰められる事も。

なお、プランツ値段の下がる理由は店員曰く「皆さん中古は買い渋られますし…」とのこと。
……色々と含みを感じるけれど、それはたぶん気のせいではないだろう。


■観用少女(プランツ・ドール)との暮らし方


選ばれた者だけが与えることのできる、
愛情は"少女(プランツ)"の最高の栄養。


さて、この観用少女(プランツ・ドール)であるが、共同生活はとーっても簡単。
なんてったって生きている上に、"名人"の称号を持つ職人がきっちりしつけてくれてあるので、
自分でお着替えもできるし、トイレとお風呂も一人でバッチリなのです!何と手のかからない存在なのでしょう。
(むしろお着替えさせたい、トイレとお風呂のしつけをしたいと思った奴、オーケーその気持ちは分かるが胸にしまっとけ)
そのため、所有者は以下の通りに育ててあげるだけで大丈夫。大した手間もなくラクチンにプランツの最高の笑顔を堪能できます。

1. 主食として特注のこれまたお高いミルクを火傷しないように温めて、日に三度与えましょう。飲み終わると極上の笑顔を見せてくれます。
2. 肥料として砂糖菓子を週に1度与えましょう。プランツの色艶が保てます。高いけど。
3. ビタミン・ミネラルを豊富に含んだ合成肥料を与えてもよいでしょう。高いけど。
4. 香り人形(ポプリ・ドール)の場合は香り玉も一緒にあげましょう。これ以上無い良い薫りを満喫出来ます。高いけど。
5. プランツによっては衣服やら食器やらシャンプーやらも厳選したものを使うと良いでしょう。高いけど。

……と、ロン毛メガネの店員さんが喜びそうなことをつらつらと書いたが、
実はプランツにとって大事なのは上記のような物質的な充足ではない。
何よりも大事なのは、心の交流……すなわち「愛」である。

大事なことなのでもう一度言おう、一番大事なのは「愛」である。

というのも、プランツたちは愛が無ければ死んでしまう(作中の用語で言えば「枯れてしまう」)のだ。

彼女たちは、自らの主の「愛情」が与えられないと次第に肌艶が悪くなり、笑顔が曇り、そして遂には「枯れてしまう」
しかしながら愛情と環境によっては、何十年も変わらない状態でいることも可能であり、
作中で最も長く生きたと思われるプランツの1体は上記のような豪華な生活などとは一切縁が無かったにもかかわらず、
所有者が死してなお「主のへの想い」だけで半世紀以上は生き永らえていた。は偉大なのである。
なお、中には愛情ではなく「絶望」を糧に生きる観用少女(プランツ・ドール)もいるので注意されたし

そのため上記では「世話は非常にラクチン」と書いたが実はそんなことは決して無い。
むしろ手を抜けば手を抜くほど、独り善がりになればなるほど、それに呼応するかのようにプランツとの関係もプランツの美しさも悪化していく。(そして最期は枯れる)
心を持つプランツはとても繊細なのだ。暖かな心の交流無くしてはしぼんでしまう。
相手のことを想うのなら、心を通わせようとするのなら、やらなければいけないことはいくらでもあるのだ。
(まるで現実の恋愛や対人関係みた……ううっ突然頭が痛み始めた……!)

そう、それとだがプランツを育てる上で決してやってはいけないことが1つだけある。
それはミルクや砂糖菓子以外のものを与えることだ。

ミルクや砂糖菓子以外のものを与えられたプランツは変質し「育って」しまうのだ。
長髪の幼女の姿をしたプランツが育って「大人」になってしまうと、
これ以上はとてもじゃないけれど恐ろしい上にネタバレになってしまうので言えないが、
所有者は「責任」を取らなくてはいけなくなってしまう。

プランツとの「禁断」を望む人間以外は、絶対にプランツにミルクや砂糖菓子以外のものを与えてしまわないように。


■観用少女(プランツ・ドール)の奇蹟


悦び、哀しみ、夢、幻、幸福、嘘……、
そして"少女(プランツ)"―。
すべてはそこでおこる奇蹟。


以上のようにふしぎな存在である観用少女(プランツ・ドール)だが、
プランツへの愛が極限まで高まった時に奇蹟が起きると実しやかに囁かれている。

ここではそんな彼女たちの2つの奇蹟「天国の涙」と「花冠(ティアラ)」について記述する。

・天国の涙

極上の少女(プランツ)を極上の環境で愛しみ育みましたとき
それはあたかも天上のざくろの実が熟れて落ちるが如くこぼれ落ちる涙(もの)
そのひとつひとつが結晶となり生まれいづる宝石―それこそが
"天国の涙"と呼ばれるものなのでございます

天国の涙、それは最高に愛された観用少女(プランツ・ドール)が流す涙が結晶となり宝石のようになった物。
上述のセリフのように店員さんはちゃっかり「極上の環境が必要」と言っているが、実際にはそんなことはない。
むしろ作中で登場した天国の涙は、どれもあまり良くない環境で育てられたプランツが流したものである。
(もちろん、所有者が物質的な貧しさを補って余りある愛情をプランツに注いでいたことは言うまでもない)
そのためとにかく必要な物は愛情であり、金をかけて環境を作ればいいってものではない。

この天国の涙は非常に希少であり、多くの場合少女本体よりも高価に取引される。
どれくらい希少かと言うと成功を収めている腕利きの宝石商ですら名前を知らないレベル

色は様々で、少女が最後に見た光景を映すことが多い。
作中で登場した天国の涙は3種類あり、色が判明しているものは2種類。
所有者の尽きせぬ愛を受け、その死を看取ったプランツはきれいな空色の涙を流し、
自分が「愛されていた」事を思い出したプランツは血のように鮮やかな牡丹の紅の涙を流した。

・花冠(ティアラ)

"花冠(ティアラ)"が枯れる頃には
少女(プランツ)も枯れるということです

花冠(ティアラ)とは一種の寄生植物であり、観用少女(プランツ・ドール)を宿主としてのみ育つ。
珍種中の珍種であり、発見例もごくわずかしかない。

基本的に観用少女の頭部に寄生し、プランツの身体の栄養をもらい美しき花を咲かせる。
この頭部で美しい花を育てるというところから"花冠(ティアラ)"と名付けられている。
もちろんプランツの栄養を吸うため、プランツそのものが満ち足りていないといけない。
これはつまりプランツに十分な愛情を注がなくてはいけないということであり、この点が珍種中の珍種たる理由である。
(これはプランツそのものの数が少なく一般には出回らない上に、そもそも愛情たっぷりに育てる時点でたいへん難しいことに由来する) 

しかも困ったことに、開花からわずか1日足らずで、プランツ共々枯れてしまう。つまり花冠が咲いたが最期プランツは死ぬ。 
幻の花と言われている理由の1つはこのプランツの生命を吸うという点にある。
大抵の場合、愛情たっぷりの所有者であればあるほど、自分のプランツが可愛くて仕方がなくなるため、
たとえ花冠(ティアラ)が寄生してもウチの子を枯らすようなことさせるわけねーだろ!と処分してしまうのだ。
(花冠(ティアラ)は開花本能は強いものの、1つの花を咲かせることに全力を注ぐため、茎を切ってしまえば簡単に始末できる)
逆に言えば、愛情たっぷりに育てた上で、あえてその子を殺すような矛盾を孕んだ精神性を持つ者にしか花冠(ティアラ)は咲かせられないのだ。

作中では珊瑚色の花と青い花の2種類の花冠(ティアラ)が登場した。
こちらも天国の涙同様にプランツの精神性に花の色が大きく影響する。
作中での説明によれば、
珊瑚色の花は十分に愛を受けて育った少女を栄養源にすると咲き、
青い花は甘美な憂鬱を受けて育った少女を宿主にすると咲くと言われている。
また、上記の花冠(ティアラ)と共に枯れる現象は珊瑚色の花でしか観測されていない。




でもみんな笑ってくれるわよ
観用少女(プランツ・ドール)の栄養は愛情だってのは嘘じゃなかったんだって




■観用少女(プランツ・ドール)各話のあらすじ

注意:完全版準拠で並べています。

・食卓のミルク
ああ、だけどあの笑顔は抗えないほど素晴らしかったのだ!!
記念すべき第1話。
仕事で失敗した男が観用少女(プランツ・ドール)と出会う、そして…

・スノウホワイトPart.1
オレが選んだんだ
生まれて初めて女の子のために…白雪に似合うようにって

観用少女(プランツ・ドール)から摂れるという天国の涙。
その宝石を求めて、宝石商の男は「白雪」という観用少女の下に訪れる。

・スノウホワイトPart.2
オレを、初めて必要としてくれたんだ…
ある理由から仕事を失った青年がいた。そしてそんな彼がある観用少女(プランツ・ドール)に選ばれ…

・空中庭園
ずっと、どっかで知ってると思ったのよ
うちの一番のやんちゃ小僧の弟がなにか企んでいる時とおんなじ目
少女がメイドの仕事で訪れたのはビルの最上階。
そこには荒れ果てた空中庭園と1人のいけ好かない男、そして観用少女(プランツ・ドール)がいた。

・宝石姫
…だからぼくは平気だってば…
ぼくはおねえちゃんが大好きだったし…
姉を失い、精神を病んだ母のために健気にも姉のふりをする少年。
そんなとき、死んだ姉そっくりの観用少女(プランツ・ドール)が家へとやって来る。

・天使の役作り
観用少女(プランツ・ドール)と暮らし始めてわかったこといっぱいある
迎える側の笑顔の重さ、その大切さ
ある日の朝、突然離婚を宣告されたモデルの女性がいた。
仕事も私生活もボロボロになりかけた彼女はある日観用少女(プランツ・ドール)と出会う。

・桃源郷
…僕も、…こんなに喜んでもらえるのは初めてですよ
いずれ木になってしまうという奇病にかかってしまった青年は、山奥にある研究所へと連れて来られた。
そこには同じ病を背負うというご老人たちと花園のような薫りを漂わす3人の観用少女(プランツ・ドール)がいた。

・サークル
"共犯者"というのは実に甘美な響きだった
観用少女(プランツ・ドール)に興味を持つも、あまりの値段から購入を断念する男性がいた。
落ち込む彼に声をかけたのは、観用少女を共同購入して共同管理するというサークルの主催者だった。

・蜜月
認めたくはないけど認めざるをえないわ!!
だって観用少女(プランツ・ドール)は街中の変態(ロリコン)の垂涎の的なんだもの!
ロリコン趣味で娘を溺愛していた俳優が、ある日娘そっくりの観用少女(プランツ・ドール)を買って来る。
自分ではなく人形に傾倒し始める父親になんとか昔みたいに溺愛してもらうべく、13歳になった女の子は奮闘する。
ロリコンの方々は是非読もう

・空をとぶ夢
最低だよな、名前つけるって段階すらまだクリアーしてなかった
俺ってほんとだめなやつだな
三文小説家の男は、自分の担当の女性にイイトコロを見せつつ一緒にいる時間を増やすべく観用少女(プランツ・ドール)を購入する。
しかし、その数日後その女性はできちゃった婚でいなくなってしまい…

・嵐
信じることが力なの
自分で選ぶことが大切なのよね
生まれたばかりの頃に誘拐され、占い師として世界を巡った女の子がいた。
そんな彼女にとって、「本当」の両親や観用少女(プランツ・ドール)、家庭教師との平穏な生活は少しばかり窮屈すぎるのであった。


・流砂
…ねぇパパ。この匂いなんだ。
ぼく、この匂いと音で元気になるんだよ。
夢で会った水色の瞳の観用少女(プランツ・ドール)を少年は両親から買ってもらった。
元々身体の弱い彼だったが、観用少女との出会いは彼に元気を与え、そして…

・"プレゼント"
天使なんかくそくらえだ
巷では天使が大ブーム。そんなとき、ゴミの山でジャンクを漁る男たちは観用少女(プランツ・ドール)の入ったトランクを見つける。
この出会いを皮切りに、観用少女(プランツ・ドール)を天使にするという計画に男たちは関与することに。

・珊瑚
そしたらどこかのプールに行ってぷかぷかしてればいいわと思ったらうっとりしたけど
さすがに口には出さなかった
ある日、酔っ払った父親が買ってきた"アクアプラン虫"なる謎の生物。それは珊瑚の空に入った生きた人形だった。
少女はその人形が大きく育つことを夢見て街を奔走する。

・ユメデアウマナザシ
人魚姫の物語だってはたから見れば王子は ばかだ
でも仕方がない
心の帳尻はそううまく合うもんじゃない
ほんの軽い気持ちで観用少女(プランツ・ドール)を見に来た青年はある少女を目覚めさせてしまう。
購入すること無く彼は帰るのだが、後日また店へと行くとそこにはメンテナンスをしたにも関わらず再び目覚める少女の姿があった。

・ポプリ・ドール
悪臭が、ますますひどくなる
気分が悪い
街中に香る生臭い悪臭に悩まされる男がいた。男はある夜、自分の娘にその子と瓜二つの観用少女(プランツ・ドール)を購入する。
観用少女がやって来て賑やかになる屋敷の中とは対照的に、男の感じる悪臭はどんどん強いものになっていく。

・RAINYMOON
信じられるかい?あのじじい生まれて初めて恋をしたんだよ
しかも、人形にね
"雨に濡れた月"という観用少女(プランツ・ドール)に恋をした老人の半ば勝手な依頼で、"雨に濡れた月"の絵を描くことになった貧乏画家。
しかし彼の書く絵は、書いたモデルの生命を奪うというジンクスがあった。

・ラッキードール
この穢れを知らない笑顔だけで
もう他には何も要らない気分にならないか?
霊感商法にいとも簡単に引っ掛かるわ、毎夜ギャンブルに興じるわのどーしょーもない男がいた。
しかし、観用少女(プランツ・ドール)を手にした日依頼、彼は突然ツキ始める。それは彼を慕うある女性の嫉妬を呼び…。

・ブルードール
人形がみんな哀しい顔
…してるわけじゃないんだ
借金の取り立てに行くもすでに夜逃げされた後で地団駄を踏む金貸しとその部下。
しかし、そんなとき彼らは置き去りにされた観用少女(プランツ・ドール)を発見する。

・ミッシング・ドール
ああ…なんて幸せな光景なんだろう
これから毎日が天国のような生活だ
祖父に頼まれて、昔祖父の愛した女性の孫を迎えに行った男。
しかし、女性の孫はそれを取り合わず、「あの子を探して欲しい」と男に頼むだけ。
あの子…それは女性に心から愛されていた観用少女(プランツ・ドール)のことであった。

・楽園の果実
天使の歌声ってこんなかな…って
…本当に、この世のものとは思われないくらい…
世にも珍しい歌う観用少女(プランツ・ドール)"オランピア"。それを探し求めていた男はすぐにそれを購入した。
しかし、オランピアは歌うことを忘れていた。そして男はオランピアの来た日以来、生々しい夢に悩まされることに。


・翠玉
俺があの人形手に入れようとガンバルだけですでに
あんたのお好みの男じゃなくなるってことなんだ
お金持ちのオクサマと、それに犬のように仕えるアタマのカルーイ男がいた。
二人の不倫という関係は、翠玉という観用少女(プランツ・ドール)に男が恋をしたことで徐々に変化していく。

・ムーンライト・シャドウ
だけど観用少女(プランツ・ドール)っていう奇蹟が現実にあるこの街なら
いずれおとぎ話も本当のことになるのかもしれないわ
そしたらそれは、とても楽しいことだわね
幼い頃、観用少女(プランツ・ドール)の種を買ったという女性がいた。
彼女がそれをネタに店員と話していると、かつて"白雪"を買った宝石商が観用少女の種の情報を聞きにやってきて…

・オーロラ姫
でも、きっとお母様を見つめたおじいさまの瞳も
あんなふうだったにちがいないわ…
祖父から花嫁姿を見たいとせがまれた孫娘は、母が消えて以来笑わずにいる観用少女(プランツ・ドール)を笑わせた者と結婚すると言いパーティを開く。
そのパーティにはその観用少女の笑った姿を知った青年がいた。

・神様の盃
でも、この名前は僕しか知らない、僕だけが呼べる本当の名前
だからずっと、きれいなままでいるんだよ
店員不在のあるとき、かつての貧乏画家が店番をしていると少年が店へとやってきた。
どうやら彼にはどうしても手に入れたい観用少女(プランツ・ドール)があるようで…
建て主的にはこの話のエリクシールちゃんがとってもお気に入りです。

・メランコリィの花冠
僕はずっと、待っていたような気がした
運命という言葉は、とても感傷的にすぎるけれど
観用少女(プランツ・ドール)にのみ咲くといわれる花冠(ティアラ)の中でも、青い花冠を見たいと願う大富豪がいた。
何でも屋の姉と弟は、弟になついた「月華」に青い花冠咲かせようと考えるが、同時に花冠は観用少女の生命と引き換えであること知る。
どうにかして月華を助けたいと思う姉弟だったが、弟には次第に心境の変化が徐々に生まれて行き…
え、月華ちゃんにトキメいちゃったって?HAHAHA、そりゃ月華ちゃんだから仕方ない

・夜来香
夢の中で僕は、密林の中で彼女と愛を交わしていた
あの香りに包まれながら………
市街地から離れた寂れた宿を取った男は、その宿で働く良い香りの女性に一目惚れをする。
なんとかしてその女性を射止めようとした男性は宿に数日間とどまり、観用少女(プランツ・ドール)に関わる不思議な体験をすることに。

・御喋りな墓標
あたしがうんとお金持ちだったら
この邸をこのまま、綺麗なまま残しておけるのになあ…
離れ小島に眠りについた観用少女(プランツ・ドール)とユーレイしか住むものがいない邸があった。
いつものように少女がその邸を掃除しに行くと、顔も名も知らぬ謎の男性と出会い…

・冬の宮殿
…そうじゃないんだ、ほんとは
誰よりも早く、見たいだけ
この街の、はじめての雪を…
雪の降らない街に、雪を降らせるアミューズメントパーク「冬の宮殿」が誕生した。
そして、開演のイベントとしてそこに眠る観用少女(プランツ・ドール)「雪の女王」を目覚めさせた者に賞金が出ることに。
そんな中、街に住むある小さな兄妹も、このイベントへの参加を心待ちにしていた。

以降、新作はなし。


さぁ…ふしぎでございますねぇ…
でも
あなたに追記・修正してもらえて少女(プランツ)がとても喜んでいますよ

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最終更新:2024年03月12日 19:32