ファランクス(CIWS・艦載用接近防御火器システム)

登録日:2011/06/19(日) 18:03:02
更新日:2023/07/11 Tue 10:41:42
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「敵機ミサイル発射!ファランクス、撃ち方始め!!」

Mk.15 ファランクス Block0(最初期モデル)カタログデータ
重量 6t
口径 20mm×102
弾倉容量 989発
発射速度 3000発/分
最大射程 4,500m
有効射程 1,500
有効迎撃距離 550m
製造 レイセオン・システムズ社(アメリカ)

「ファランクス」とはアメリカのレイセオン・システムズ社製の艦載用接近防御火器システム(CIWS・Close in Wepon System)Mk.15の名称。
ゼネラル・エレクトリック社製のガトリング砲バルカンを用い、捜索・追跡レーダーと火器管制システムを一体化した完全自動の防空システムであり、
主に対艦ミサイルからの防御を主目的としている。




○開発の経緯
第三次中東戦争後の1967年10月21日のエジプト沖合、イスラエルのエイラート駆逐艦がエジプト軍のミサイル艇に撃沈されるという事件が起きた。
小さな戦闘艦が大きな対象を撃沈しうる力を有していることが実証され、西側諸国は今まで重要視していなかった対艦ミサイルに大きな衝撃を受け、
ミサイルの開発や対応策を模索し始めるのだった。
開発が始められたのは1969年、翌年にはプロトタイプの実験が行われた。
1976年の評価試験の後、1980年にミッドウェイ級航空母艦「コーラル・シー」に搭載された。

「ファランクス(Phalanx)」という呼び名は槍を構えた歩兵が密集して隊列を組む戦法または陣形のことで、日本語ではよく「槍衾(やりぶすま)」と翻訳される。




○Q.どんなの?
白い部分の上部には捜索レーダーが収められ、円柱状の部分には追跡レーダーが収まっている。

GE社のガトリング砲が搭載されている。連射速度は3000発/分に落とされているが、口径は変わらず20mm×102でバルカンと同じ。というかバルカン。これがバルカン
弾倉は989発。詳しくはそれぞれの項目で。

以上の砲とレーダーを含めた全てが俯仰し、マウントがぐ~るぐ~る回る。
動力配線を別にすればファランクスの構成要素が全てマウント上に配置されるようになっている。
つまり「設置の際に配線の穴を開けなくておけ」ということ。
甲板の強度を考え、重心を崩さなければどこにでも設置可能なのである。
前も後ろもどこでもOK。
既存の艦船にも「後載せサクサク」がとても容易で各国に普及した大きな理由と言える。




○改良型
  • Block1
1988年から製造。
▽発射速度が向上(3000⇒4500発/分)
▽弾倉の大型化(989⇒1,500発)
このBlock1の登場で初期モデルはBlock0と呼ばれるようになる。

  • Block1A
Block1のコンピュータシステムの変更。

  • Block1B

▽新型レーダーに改良
▽赤外線センサの搭載(レーダー右側)
▽弾薬の改良
▽砲身の延長
▽手動操作モードの追加
▽マウントの改良より俯角を大きくした(-20°~+80°)
以上の改良により、小型の水上目標(体当たりしてくる自爆ボート)や低速低高度の目標に対処できるようになり、射撃精度・有効射程も向上。




○配備状況
  • アメリカ海軍
ニミッツ級航空母艦に配備されているが、RAM近接防空システムに押され気味。
空母ロナルド・レーガンはRAMだが、同じニミッツ級でもファランクスのみ、RAMのみ、両方とも搭載と統一されていない。
が、次世代の航空母艦や強襲揚陸艇では両方が搭載される予定で、試行錯誤の段階と言える。

  • 海上自衛隊
高性能20ミリ機関砲として採用。
1981年に護衛艦「くらま」に搭載されて以降、様々な護衛艦、イージス護衛艦*1に搭載。
1996年の環太平洋合同演習で汎用護衛艦「ゆうぎり」が標的曳航中のA-6艦上攻撃機を誤射し撃墜している。パイロットは脱出して救助された。
長らく海自CIWSとしての役割を果たしてきたが、いずも型ではSeaRAMと混載、もがみ型はSeaRAMのみとなったため、今後その地位を取って代わられる可能性がある。

  • イギリス海軍
アルゼンチン産対艦味噌が口に合わなかった経験からインヴィンシブル軽空母に採用。が、後にアヴェンジャーを使用したCIWS「ゴールキーパー」に更新。
最新鋭の駆逐艦にはファランクスを採用している。

  • オーシア海軍
2010年に戦没したが、第三艦隊所属のヒューバート級航空母艦7番艦「ケストレル」にも採用されている。




○欠点・短所
改良を加えたファランクスだが、欠点がいくつかある。
▽射程が短い
▽20mm機銃の破壊力の小ささ
▽多数目標への同時対処能力の不足
▽数十秒で弾切れになる
などの問題点のため、最新鋭のミサイルの場合は破壊しきれずにそのまま(又はその破片)突っ込んでくる場合もある。

しかし、破壊力等の能力向上は重量増を招くことから大口径版のBlock2等は計画のみでお流れとなっている。
しかし、問題点を無視することは出来ないので、RAMのような近接防御ミサイル等の次世代CIWSが採用されつつある。




○優しいデザイン
ユニバーサルデザイン賞やグッドデザイン賞を受賞している……わけではない。
ドームと筒とガトリングと台座で構成されているので、
「ふぁらんくすってどんなの?」
と可愛い幼女に聞かれた場合に手早く書く事が出来るのである。ぐふふ
こんな感じ


お情け込みで美術の成績が3の私だと設置型騎乗位バイブに見えなくもないが、皆さんならもっと上手に描けるであろう。
チャレンジしてみよう!




○余談
  • 勇ましいお姿はネットで観られるが、射撃速度が速すぎる為、煙を吐いているようにしか見えないものもある。





































  • ちょっと頑張った///


追記・修正は上手に描ける人のみお願いします。

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最終更新:2023年07月11日 10:41

*1 イージス艦の本場アメリカでは一時期駆逐艦から省かれていたが、日本では一貫して搭載している