ガトリング砲

登録日:2011/06/12(日) 18:06:11
更新日:2025/05/21 Wed 23:26:13
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てめえか‥‥パイク達をかわいがってくれたのは‥‥
かわいい子分が世話になったとあっちゃ たっぷりと礼をしないとな‥‥
受け取れ‥‥
このガトリング銃のタマをな!!

回転式多銃身型機関銃(又は機関砲)のこと。1862年にアメリカの医者「リチャード・ジョーダン・ガトリング氏」が発明したため、この名がついた
日本語では、銃と砲の区別が曖昧なので銃と呼ぼうが砲と呼ぼうが構わないが、響きや語呂がいいのは「砲」だろう。
「バルカン砲」と呼ぶ人もいるが、「バルカン」は「M61 20mmガトリング砲」の愛称なので間違えないように。バズーカ同様、発射方式や原理に由来する名前では無い。

またチェーンガンと呼ぶ人もいるがチェーンガンは単砲身で、チェーンを使った作動方式を採用した機関銃のことであり、ガトリング砲とはまったくの別物である。

間違えて「あれはね、バルカン砲だよ」なんて言うとA-10が襲来します。
機関銃の中にガトリング砲が含まれ、その種類のうちの一つがバルカン、ということ。




概要

複数の銃身(又は砲身、多くは3~6本)を束ねて外部の動力で回転させながら、弾薬の装填・発射・排莢を連続的に行うのが基本的な原理。
薬室も銃身と同じ数あるため、多数の銃を束ねたものとも言える。
南北戦争で北軍にも採用されており、西部劇や南北戦争を取り扱った映画などでは「定番アイテム」の一つでもある。


メリットとデメリット


利点
  • 外部動力のため、不発が発生しても強制排莢して射撃が継続できジャムが少ない
  • 銃身一本当たりの発射頻度が少なく寿命が長い(過熱やライフリングの摩耗による動作不良に強い)
  • 並外れた連射速度


欠点
  • 多砲身のため重い
  • 小型の大砲並のサイズで軽便さに欠け、設置・操作には複数の兵士が必要
  • 一定の速度で回さないと給弾不良を起こす
  • 外部モーターを付けるとさらに重くなる
  • 構造が複雑で整備性が悪い
  • 始動から発射までに僅かながらタイムラグが生じる
  • 弾薬の消費が激しい



威力

最初期のガトリング砲(手回し式)ですら人間をあっという間にミンチにする程度の能力がある。

アヴェンジャー様に至っては、一発掠っただけで人間を血煙にする。特性上大口径化しにくいが、小口径の火砲では最強クラスの破壊力を誇る。

どんなに鍛え挙げられた「鋼の筋肉」の持ち主でも
コーラ瓶をマッハ3で毎分3900発連射してくる鬼畜兵器」には勝てない。
勝てる御仁は「流派東方不敗の伝承者ぐらいだろう



ガトリングの歴史


開発

銃が開発された頃から多数の銃身を並べて斉射(一斉射撃)するというアイディアはあり、ミトライェーズ砲などの多砲身斉射砲が存在していた。
当時のアメリカは軍事的後進国であり、歩兵は「密集して突撃してくる存在」と認識されていた。
そこでガトリング氏は斉射ではなく連射機能を持った銃器を発明する。
南北戦争当時はまだ前装式小銃が主流だったため毎分200発の連射速度は脅威であり、セールスマンが実戦に参加しながら宣伝(南軍を射撃)したとか。

日本でも戊辰戦争において越後長岡牧野家が太政官の越後口総督府軍に対し使用したという記録や宮古湾海戦で太政官海軍の甲鉄が箱館政府海軍に対して使用している記録が残っている。

映画「ラストサムライ」にも登場するが、史実では、日本に三門あったうちの二門を越後長岡牧野家が所有。

この時、長岡城攻防戦で太政官軍に向けて発射した。

宮古湾海戦では、甲鉄に乗り込んだ箱館政府海軍を撃退するのに一役買っている。



フィーバーと衰退

アメリカ以外でも各国で改良型やバリエーションが作られ、拠点防衛に活躍したり、軍艦の側面に取り付けられたりとフィーバーしたのだが、その特性から野戦では使いづらく、歩兵銃の発展・高性能化により歩兵が「密集して突撃してくる存在」ではなくなり欠点が目立つようになる。
さらにブラウニング・マキシムらの発明した単銃身で軽量な機関銃の登場にシェアを奪われ、ほぼ廃れてしまう。


現在のガトリング砲

一度は衰退してしまったガトリング砲だが、1950年代に航空機用機関砲として復活。
航空機が高速化高機動化しても人間の反射神経は変わらず、毎分1200~1500発のリボルバーカノン(単銃身+回転薬室)では弾幕の密度が足りず、それを補おうと機関砲の多数搭載に頼ると重量増により機動性が低下してしまう。
大口径砲は火力があるものの弾速が遅く尚更命中率が低くなってしまう。
その為、博物館に眠っていた元祖ガトリング砲に電気モーターを取り付けたところ発射速度と絶大な破壊力が評価され、現在に至っている。
先述の利点は航空機にとってはうってつけであり、欠点も許容範囲内のものだったのだ。

戦闘機の他にAC-130ガンシップやヘリコプターの搭載機銃、艦船の近距離迎撃システム(CIWS)にも使用され、配備・運用する国自体は多数に上る。
しかし、現在に至っても先に述べた欠点が完全に克服された訳ではなく*1、アメリカとロシア以外はあまり積極的に開発していない。
航空機用でも欧州などはリボルバーカノンが未だに主流となっている。



フィクションでのガトリング砲

フィクションでは見た目の派手さも手伝い、小型のガトリング砲を一人で担いで運用するツワモノもよく出てくる。
しかし本体と電源や弾薬(4000発でワンセット)だけで最低でも数十kgを超え、実際に撃つとなれば更に凄まじい反動が加わる。要するに人力では持ち運ぶだけでも一苦労。そこから構えて目標を撃つとなればそれこそパワードスーツ着用かサイボーグでもないと無理である。その為、多くの場合使い手のほうが人外か、それに類する設定を与えられている*2

ロボットアニメでも「いかにも強そう」な見た目から人気が高い。
主に火力を重視した機体に採用され、身体能力の問題がないからか二丁ガトリングなども少なくない。この辺は大剣などと同じ。
余談ながら、古い作品だと公式でも「多連装」と「多銃身」を混同していると思われる例がよくあった。

ゲーム等ではおそらくはバランス調整のため、トリガーを引いてから発射されるまでにタイムラグがあるという欠点を持たされている事が多い。*3
トリガーを引くと銃身が1秒前後ほど空転し、それからやっと弾丸が発射されるというのである。
上述の通りガトリング砲はトリガーを引いてからから発砲されるまでにラグがあるのは事実であるが、
それは実際にはコンマ数秒程度であり、1秒以上も待たされることは現実にはない。

なお、異世界を舞台にしたファンタジーやSF作品でも、これに類する兵器が登場することがある。
そのこと自体は良いのだが、問題はそれが「ガトリング○○」というネーミングだった場合である。
語感の良さから好んで使われがちだが、冒頭部で述べた通り現実の発明者の名前が由来となっているため、冷静に考えればおかしなことになってしまう。
創作上、もし異世界にガトリングと名の付くモノを出したいなら、
「実は現代から何世紀も経過している未来の世界だから」「現実世界から異世界に持ち込まれた兵器だから」「その世界でもガトリング氏が発明したから」
「『日本語(我々の世界の言語)』で表記・表音した結果『ガトリング』と訳されただけに過ぎない」
……などのように、多少強引でもフォローできるような設定を敷いておけば多少は不自然さは緩和される。

尤もこれはガトリング砲に限らずエポニム全体に言える事である。
ガトリングに限っても毎回毎回律儀に「多銃身回転式機関砲」と呼称・表記するなど庵野秀明フォロワーでもなければやってられないし、テンポも悪くなる。
異世界モノ人工言語の項目にもある通り、全く別の名前を付けてしまうのが一番自然であるが、
そうすると固有名詞が必要以上に増えてしまい受け手を混乱させる要因となる。
更に言えば「駄目」「打ち合わせ」といった今日では当たり前に使われている言葉一つ一つを取っても異世界に囲碁や雅楽が存在する必要が出て来るため、
余程目に余るレベルでもなければ「そういうもの」と無視してしまうのが良いだろう。


主な実在のガトリング砲

多分固有名詞としては一番有名なガトリング砲。詳細は個別項目へ。

「M134」はアメリカ陸軍の呼称で、空軍では「GAU-2B/A」、海軍では「GAU-17/A」と呼ばれる。
詳細は個別項目へ。

こちらは「一番カルト的に人気なガトリング砲」。
詳細は個別項目へ。

  • GE GAU-12「イコライザー」
ハリアーやAC-130などに搭載されている、25mm5砲身のガトリング砲。
派生型としてF-35用に軽量化した「GAU-22/A」がある。

  • GSh-6-30
ソ連版30mmガトリング砲。こちらは6砲身。型番を見た通りで非常に分かりやすい。
アヴェンジャーと比べれば多少スリムだがそれでもやはりデカくて重い。
搭載例はMiG-27など。


余談

  • 現実で映画の真似をしたいのなら、CAW社のM134(電動ガン)を買うのも一つの手。資金(込み込み50万前後+すんごい弾代)と体力(全部で30kg位)が有り余ってる豪気な漢は、やってみてもいいかも。

  • 電動ガンを所有している人をサバゲーで見かける事が稀にあるが、数ゲームで使わなくなる事が殆ど(主に体力的な問題で)。だが、持っていけば間違いなく注目の的。正しく運用できれば戦術的にも脅威的で、据え付けての弾幕は凄まじいものとなる。

  • アメリカの場合、手回し式なら州によっては法的に規制される自動火器に区分されないので、.22LR弾を用いたミニチュアのガトリング砲も市販されている。電動ガンに飽きたらどうぞ。




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最終更新:2025年05月21日 23:26

*1 A-10のアヴェンジャーはトラック並(6.4m)のサイズで弾薬や給弾機構を含めると2t超にもなる

*2 「バイオハザード」シリーズや「プレデター」などはそうした設定がない例

*3 この記事の冒頭にある「このガトリング銃のタマをな!!」と叫ぶキャラはゲームLIVE A LIVE」の西部編ラストボスO・ディオだが、ガトリング砲で味方キャラを一撃で葬ってくる代わりに、バカスカ連射できないよう設定されている(オリジナルのSFC版は行動異常で制御、リメイク版は発動まで溜め時間が必要)