殴打頭蓋/Batterskull(MtG)

登録日:2011/05/17 Tue 12:25:47
更新日:2024/09/07 Sat 20:49:09
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殴打頭蓋は新たなるファイレクシアに収録されたアーティファクトであり、装備品。レアリティは神話レア。


殴打頭蓋/Batterskull (5)
アーティファクト - 装備品
生体武器(この装備品が戦場に出たとき、黒の0/0の細菌・クリーチャー・トークンを1体戦場に出し、その後これをそれにつける。)装備しているクリーチャーは+4/+4の修整を受けるとともに警戒と絆魂を持つ。
(3):殴打頭蓋をオーナーの手札に戻す。
装備(5)


概要

ミラディンの傷跡ブロックにて新しく追加された生体兵器のギミックを内蔵しており、戦場に出る際、黒の0/0細菌クリーチャートークンに装備された状態で登場する。

つまり5マナで4/4、絆魂、警戒、3マナ支払うと手札に戻るクリーチャーとしても運用出来る装備品ということになる。
このシステムは、装備品を出しても肝心の装備対象が不在であった場合置物になるという装備品の弱点を解消したものであり非常に画期的なシステムと言える。

3マナで手札に戻るというのも、たびたび「再利用」の面ばかりが言われるが、このカードの恐ろしさはそこではない。
3マナさえ立っていれば、ほとんどの除去からでも逃げることができるということだ*1。そして4/4警戒絆魂としてまた戦場に出てくる。
4/4より大きなクリーチャーを出せばある程度対処は可能なのだが、そうすると今度は「別のクリーチャーに装備」という手段を取られてしまう。
この手の強力な装備品は《真髄の針》で指定することで装備能力を封じることで対処ができるが、「生体武器」の性質上最低限の仕事はされてしまう。
つまり適切な対処手段がかなり少ないカードで、コントロールデッキのフィニッシャーとしてはかなり優秀な部類に入る。

しかしこうして見てみても5マナが重い。擬似除去耐性があるとはいえ、3マナのキープが必須なため、運用は難しいと言わざるを得ない。
当時はまだ別の優秀なクリーチャーもたくさんいたわけだし、特にあと1マナ支払うだけで優秀な選択肢が腐るほどあったような時代なのだから。


そう…
こいつがいなければ。

石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic (1)(白)
クリーチャー - コー・工匠
石鍛冶の神秘家が戦場に出たとき、あなたは「あなたのライブラリーから装備品カードを1枚探し、それを公開し、あなたの手札に加える。その後、あなたのライブラリーを切り直す」ことを選んでもよい。
(1)(白),(T):あなたは、あなたの手札にある装備品カード1枚を戦場に出してもよい。
1/2

石鍛冶で殴打頭蓋をサーチして場に出す。つまり3ターン目から4/4警戒絆魂が出てくるのである。

石鍛冶の能力で登場する際は「唱えているわけではない」ため、打ち消しを受け付けないので非常に厄介な存在であり、
たとえ《もみ消し》たとしても、次のターンにもう一度起動されるだけなので時間稼ぎにしかならない。
殴打頭蓋は装備品であるため手札に戻さずとも普通にクリーチャーに装備すれば+4/+4、絆魂、警戒でフィニッシャーを作る事も出来る。


さらに、環境が悪かった。
「石鍛冶」と「殴打頭蓋」のどちらも無理なく投入出来るデッキが環境に存在した。
Caw-Bladeである。

その英名から「バター」の名で恐れられ、「石鍛冶のバター犬」という蔑称まで付けられた。
たびたび「石鍛冶さえいなければ適正」と言われるが、無色5マナでこれはさすがにスタンダードで出していい性能ではない

しかし、7月1日付けで石鍛冶の神秘家がついにスタンダードで禁止に。続いてエクステンデッドでも禁止され、モダンでも制定当初から禁止。
これにより、殴打頭蓋含む装備品は相対的に弱体化してしまった。
モダンでは装備品をまともに用いるデッキは二線級止まりという時代が長く続いた*2

特にこいつは生体武器や重めのマナ・コストから石鍛冶の恩恵が大きかっただけに、これまでと評価が一変することになる。
モダンでも細々と使われていたが、やはり主流になることはできなかった。逆に規制がかからなかったレガシーでは、石鍛冶が入ったデッキには必ず投入されていた。

モダンで石鍛冶が禁止解除されたことで、再びこいつの姿を見ることも多くなった。
当時は「これで剣サイクルをはじめとした装備品が使いやすくなる」と言われ、往時の名カードが研究されたが、
「石鍛冶は殴打頭蓋だけサーチしていればいい」という結論を出したプレイヤーも多く、「石鍛冶サーチ先が殴打頭蓋1~2枚のみ」という構築もたびたび見受けられた。
その後環境も変化し、同じく優秀な装備品である《スカイクレイブの大槌》などが登場したことで状況は変わってきている。

さて、石鍛冶が解禁された当時は《王冠泥棒、オーコ》の活躍した時代でもある。
当然オーコと相性のいいデッキが環境を席巻しており、「バント石鍛冶」もそのうちのひとつだった。
オーコの鹿化能力は、殴打頭蓋との相性が良しあしだった。

自分に使う場合、0/0の細菌トークンを3/3に変えることで、7/7のクリーチャーとして打点を一気に強化できる。
相手に使う場合、《殴打頭蓋》の本体そのものを3/3バニラの鹿に変えることで、手札に戻す能力すら無力化できる。

つまり殴打頭蓋対策にもなるし、殴打頭蓋強化にもなるというわけ
先に「石鍛冶のバター犬」という蔑称があると言われていたが、オーコも気に入ったガラクを犬呼ばわりして可愛がっていたし、つまりそういうことなんだろう


-Φ-追記・修正は、生皮を剥がされ機械の体を手に入れて「完成」した方のみお願いします。-Φ-

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最終更新:2024年09月07日 20:49

*1 これ以上の呪文と起動型能力のスタックを封じる「刹那」付きアーティファクト破壊である《クローサの掌握》からは流石に逃げにくいが…

*2 純鋼ストームやソプターコンボなど、コンボパーツとして装備品を使うデッキはあったが、スタンダードで猛威を振るった殴打頭蓋や剣サイクルなどはほとんど活躍できなかった