Caw-Blade(MTG)

登録日:2011/03/27 (日) 22:47:02
更新日:2024/11/26 Tue 11:02:57
所要時間:約 4 分で読めます




Caw-Bladeとは、マジック:ザ・ギャザリングのデッキ。プロツアーパリ2011で見事優勝を飾った。

戦隊の鷹/Squadron Hawk (1)(白)
クリーチャー — 鳥(Bird)
飛行
戦隊の鷹が戦場に出たとき、あなたはあなたのライブラリーから「戦隊の鷹」という名前のカードを最大3枚まで探してもよい。そうしたなら、それらを公開してあなたの手札に加え、その後あなたのライブラリーを切り直す。
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石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic (1)(白)
クリーチャー — コー(Kor) 工匠(Artificer)
石鍛冶の神秘家が戦場に出たとき、あなたは「あなたのライブラリーから装備品カードを1枚探し、それを公開し、あなたの手札に加える。その後、あなたのライブラリーを切り直す」ことを選んでもよい。
(1)(白),(T):あなたは、あなたの手札にある装備品カード1枚を戦場に出してもよい。
1/2

饗宴と飢餓の剣/Sword of Feast and Famine (3)
アーティファクト — 装備品(Equipment)
装備しているクリーチャーは+2/+2の修整を受けるとともにプロテクション(黒)とプロテクション(緑)を持つ。
装備しているクリーチャーがいずれかのプレイヤーに戦闘ダメージを与えるたび、そのプレイヤーはカードを1枚捨て、あなたはあなたがコントロールする土地をすべてアンタップする。
装備(2)

概要

動きは単純。石鍛冶の神秘家を出す。状況に応じて装備品をサーチする。石鍛冶の能力で装備品を戦場に出す。戦隊の鷹に装備してビートダウン。

結果、相手は死ぬ。

なぜそれだけで死ぬのか。それはこの流れの中に、莫大なアドバンテージを稼ぐギミックが内蔵されているからである。

まず戦隊の鷹。出すだけで最大手札が3枚増え、デッキ圧縮にもなる。

石鍛冶の神秘家
出しただけで強力な装備品をサーチする事が出来る上に、次のターンまで生き残りさえすればその装備品を本来のマナ・コストを無視してたったの2マナで打ち消しも食らわず戦場に出すことが出来る。

饗宴と飢餓の剣
黒緑剣。アタックが通れば相手はハンド-1。更に自分の土地が全てアンタップ。
基本飛行持ちの鷹に装備するため非常によくアタックが通ってしまう。またプロテクション2色なため飛行がいても回避しやすい。

ちなみにこのデッキ、「ミラディン包囲戦」で黒緑剣が登場したことで誕生した青白のクロック・パーミッションである。である。大事なことなんで2回言いました。
つまり、黒緑剣の能力によりクロック・パーミッションの理想である、自分の場を整えつつも大量のマナとカウンターを含んだ手札を残して、相手にターンを譲るということが出来てしまう。青系のデッキに土地をアンタップする手段を与えてはいけない(戒め)
で、当時のスタンダードにはカンスペこそいないがこいつらがいた。

マナ漏出/Mana Leak (1)(青)
インスタント
呪文1つを対象とする。それのコントローラーが(3)を支払わないかぎり、それを打ち消す。

呪文貫き/Spell Pierce (青)
インスタント
クリーチャーでない呪文1つを対象とする。それのコントローラーが(2)を支払わないかぎり、それを打ち消す。

こいつらのおかげで、「稲妻?はいはいマナリーク。まだあるの?んじゃスペルピアス」といった感じで鷹や石鍛冶を守ることができる。当然ながら、相手の勝ち筋となる呪文を打ち消す動きも強い。
さらにさらに、この時期の青のデッキといえばこいつらを忘れてはいけない。

精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor (2)(青)(青)
伝説のプレインズウォーカー-ジェイス(Jace)
[+2]:プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーのライブラリーの一番上のカードを見る。あなたはそのカードを、そのプレイヤーのライブラリーの一番下に置いてもよい。
[0]:カードを3枚引く。その後、あなたの手札のカード2枚をあなたのライブラリーの一番上に望む順番で置く。
[-1]:クリーチャー1体を対象とし、それをオーナーの手札に戻す。
[-12]:プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーのライブラリーからすべてのカードを追放する。その後、そのプレイヤーは自分の手札を自分のライブラリーに加えて切り直す。
初期忠誠度:3

定業/Preordain (青)
ソーサリー
占術2を行い、その後カードを1枚引く。(占術2を行うには、あなたのライブラリーの一番上から2枚のカードを見て、そのうちの望む枚数のカードを望む順番で一番下に置き、残りを望む順番で一番上に置く。)

神ジェイスはフィニッシャー兼デッキのアドバンテージエンジンとして機能。
[0]能力で3枚ドローして手札の鷹や装備品をライブラリーの上に置いて鷹・石鍛冶でそれらを手札に加えるムーブをかましており、能力のアド稼ぎ&デッキ戻しが戦隊の鷹と噛み合いすぎていた。
他の能力も強力であり、[-1]能力は除去以外に自分のクリーチャーのETBを再利用するのに使え、また[+2]能力は相手をソフトロックしつつ、追加の勝ち筋となる[-12]能力へとつなげることができる。
定業は1マナのドロー呪文という時点でありがたいが、ドローの前に占術2がついてくるので、不要牌を弾きつつ必要なカードを即座に手に入れることができる。
これらのおかげで、長期戦になっても青白コンのように動くプランが可能であり、かつてのカウンターポストよろしく継続的にアドバンテージを稼げるというわけだ。

更に、レオニンの遺物囲いや神への捧げ物などのメタ能力を持つカードや、審判の日(再生可能なラスゴ)やギデオン・ジュラといったビートダウン対策も完備している白が脇をしっかりと固めている。

……なにこの地獄絵図。

とまあここまで述べてきたように、このデッキには
  • 鷹や石鍛冶のCIP能力によるボードアドバンテージ
  • シルバーバレットされた各種剣の誘発能力と耐性によるアドバンテージ
  • 神ジェイスによりもたらされるコントロールアドバンテージ
という3段構えのアドバンテージ源が存在することに。
対戦相手は無視して殴り合うこともできず、かと言ってマトモに対処しようとしてもジリ貧になるばかりである。
どうしろと?
後に公式ブログにて「歴代のクロック・パーミッションの中でもダントツの完成度・デッキパワーを誇る」とまで言わしめている。

ちなみに当時の基本構築は
  • 精神を刻む者ジェイス(約10000円)×4
  • ギデオン・ジュラ(約3000円)×3
  • 石鍛冶の神秘家(約2500円)×4
  • 太陽のタイタン(約1000円)×1〜2
  • 饗宴と飢餓の剣(約2500円)×2
  • 肉体と精神の剣(約2200円)×2
  • 審判の日(約500円)×4
  • 漸増爆弾(約1000円)×4
他にも一枚700〜800円ほどするレア土地を14〜16枚投入する。ちなみに各剣の1枚ずつと爆弾はサイドデッキに入る。
つまりメインだけでなくサイドデッキまで高価な札束デッキなのである。マジふざけんな
救いは戦隊の鷹がコモンであり、一枚50円〜であるということだろうか。 

また当時のスタンはミラディンの傷跡ブロック。どんどん新しい装備品が生まれる…つまりもう十分強いこのデッキがさらに強化されてしまうということが予想されていた。
そして最終エキスパンション、「新たなるファイレクシア」においてその予想は現実となってしまう。

戦争と平和の剣/Sword of War and Peace (3)
アーティファクト — 装備品(Equipment)
装備しているクリーチャーは+2/+2の修整を受けるとともにプロテクション(赤)とプロテクション(白)を持つ。
装備しているクリーチャーがプレイヤー1人に戦闘ダメージを与えるたび、戦争と平和の剣はそのプレイヤーに、そのプレイヤーの手札にあるカードの枚数に等しい点数のダメージを与え、あなたはあなたの手札にあるカード1枚につき1点のライフを得る。
装備(2)

殴打頭蓋/Batterskull (5)
アーティファクト — 装備品(Equipment)
生体武器(この装備品(Equipment)が戦場に出たとき、黒の0/0のファイレクシアン(Phyrexian)・細菌(Germ)クリーチャー・トークンを1体生成し、その後これをそれにつける。)
装備しているクリーチャーは+4/+4の修整を受けるとともに警戒と絆魂を持つ。
(3):殴打頭蓋をオーナーの手札に戻す。
装備(5)

戦争と平和の剣
赤白剣。アタックが通れば相手はハンドの枚数分ダメージ、自分はハンドの枚数分ゲイン。
単体除去がたくさんある赤と白へのプロテクションは強力であり、また手札を増やしやすいので大量ゲインもしやすく、高速デッキへの耐性が増した。

殴打頭蓋
おそらくこのデッキの為のオリカである。
…冗談はさておき、4/4警戒絆魂というダメージレースを否定してくるクリーチャーが、石鍛冶を経由してインスタント・タイミングに2マナ打ち消し不能で出てきてしまう。終わっている。
また黒緑剣の土地アンタップ能力のおかげで、除去が飛んできても3マナの自己バウンス能力の起動を狙いやすいというように、防御面でのシナジーも万全である。

ちなみにこいつらも高い。どちらも2000円は超える。

と、ここまで見てきたように強さがいよいよ危険な領域に突入したCaw-Bladeを弱体化させるため、遂に神ジェイスと石鍛冶の神秘家がスタンダードで約6年振りの禁止カードとなり、崩壊が決定的となった。


と思われたが鷹に剣を乗っけて殴りつつコントロールするという戦略は生きており、全盛期のインチキ臭い強さは失ったもののその後の国別選手権などで活躍した。

弱点(?)

唯一といっていい弱点は「紅蓮地獄」「金屑の嵐」などの赤得意の軽量全体火力、もしくはゴブナイト等の超速攻型ビートダウン。

が、全体火力は1マナカウンターのスペルピアスで貫かれるし、たとえ焼けても手札には後続の鷹が控えている。ビートダウンもたとえクリーチャーを並べるのに成功したとしても審判の日やサイドからの漸増爆弾で全滅である。
そもそもマナリークのような軽量カウンターや乱動への突入といった軽量除去もガッツリ入ってるため並べることすら難しいが。
もたもたしていていれば3ターン目に殴打頭蓋が着地、絆魂でダメージレースすらさせてくれないし、裏択の赤白剣も凶悪である。

万が一大型クリーチャーが着地しても、「転倒の磁石」で3ターンはお茶を濁せる。そのうち乱動への突入でバウンスされて打ち消されるのがオチであろう。新たなるファイレクシア後は1マナの除去として四肢切断なんかも増えた。

苦労して剣などを破壊しても太陽のタイタンで回収されるなんてのもザラである。

まあ、伊達にプロツアーで優勝してませんよね……。



追記、修正はアドバンテージを得てからお願いします。


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最終更新:2024年11月26日 11:02