乙嫁語り

登録日:2010/06/28(月) 09:31:15
更新日:2025/04/06 Sun 14:56:07
所要時間:約46分で読めます





乙嫁語り(おとよめがたり)』とは森薫のマンガ作品。
ハルタ(旧名fellows!)にて連載していたが、新創刊する青騎士に移籍。
単行本は2024年11月現在15巻まで発売中。並行して作者の肉筆に近いサイズで描かれた縦24cm×横17cmのワイド版も順次刊行されている。





【概要】

19世紀の中央アジアを舞台に、少年カルルクと嫁のアミルの二人を軸とした、異国情緒あふれまくりの部族的な生活・風習・文化等を描いた作品。
スゴくカンタンに説明すると中央アジアの新婚さんマンガ。

「部族的な生活とかどうでもいいし…」
「メイドさんいないし…」
って人もとりあえずアミルやエキゾチックな娘さん達に萌えるために読んでみるといい。
「ハタチのババァなんかいらねーし…」
「人妻とかキメーよ…」
って人はカルルクに刺されてしまえ。

なおこの時代、結婚適齢期は15・16歳だったとか。
そこで目を輝かせている大きいお兄さん、廊下に出ようか。


主役となっているのは6組の夫婦で、それぞれ便宜的に~編として紹介する。
もちろんそれぞれの物語に様々な人々が登場しており、一部の人々は複数の物語に登場する。



◆アミル編(1、2、5、6、10巻)
エイホン家のカルルク12歳の元に、ハルガル家のアミル20歳が嫁いできた事から始まる物語。
少々年の離れた夫婦となったが、お互いに相手を想い合い、理解を深めてゆく。
…その一方でカルルク達が住む地域周辺では南下するロシア帝国の影響を受けて、徐々に不穏な状況になりつつある。


◆タラス編(3、10、11、15巻)
病や事故で夫達を失い、義母とひっそりと暮らしていたタラスと、イギリスから言語学調査の為やってきたヘンリー・スミスの物語。
様々な行き違い等から一旦は離れるものの、奇跡的な再会後、二人は人生を共に旅する事に。
その旅は海を越えてロンドンへ。


◆ライラ&レイリ編(4、5、13巻)
アラル海沿岸の村ムナクに暮らす双子の姉妹の物語。
幸せな結婚を夢見つつ、家族に愛されながら騒動を巻き起こしていたが、遂にその相手が決まった。
その結婚相手と、今度は幸せな結婚生活を目指して更なる騒動を巻き起こす。


◆アニス編(7、8、12巻)
最愛の夫と不自由ない生活を送りながら孤独感を抱えていたアニスと、その姉妹妻となったシーリーンの物語。
シーリーンという友人を得て自分は寂しかったのだと認められるようになったアニス。
そのシーリーンが陥った不幸を救う為決断を下す。


◆パリヤ編(8、9巻)
アミル達と同じ街に住む娘で、結婚に憧れる年頃な娘の物語。
生意気と言われたり、刺繍が苦手だったりで理想の自分とのギャップに苦悩の日々。
更には家財と共に嫁入り道具も失ってしまい、もう結婚出来ないのではないかと塞ぎこんでしまう。


◆アゼル編(1、6、10、14巻)
アミルの兄アゼルとその仲間達の物語。
窮地に陥った一族の存続を図る為、不本意ながら父に従いアミルを連れ戻そうとするも失敗。
その後も苦闘を続ける中、草原の部族達と街の間で同盟を結ぶ話が持ち上がった。



以下、最新巻までのネタバレ注意。


【主要登場人物】


乙嫁衆

物語の中心になる乙嫁(ヒロイン)達。正式にはまだ嫁ではない人もいるけど、タイトルの通り皆既婚or婚約者である。ちくしょう!


◆アミル

第1の乙嫁。20歳の頃に嫁いできた現在21歳の人妻。愛馬はスルキーク。
良い香りがしそうな天然無敵エキゾチックお姉さんにして家事から狩りまでなんでもこなすスーパー嫁。*1
当時としては嫁き遅れと見られがちな年齢ながら嫁ぎ先のエイホン家および街の人達との関係は良好。
遊牧民と定住民の習慣の違いからたまにすっとぼけた行動を取ったりパニックに陥ったりもするが、普段とのギャップがまた可愛い。
意外と押しが強く、他人からどう思われるかなどはあまり気にせず行動するが、他の人への配慮は忘れない優しい娘さん。
ただ生死観などは遊牧民らしい厳しい一面が描かれることもあり、拾った鷹の怪我が治癒しきらず飼う事を提案されても拒否し、それくらいなら他の野生動物の餌になる方がマシだと主張したりもした。

夫であるカルルクに対してゾッコンラブ気味で、甲斐甲斐しくお世話をしたり敷物+茶飲み道具一式を持って遠乗りに出かけたりと楽し気にイチャイチャしている。
とはいえ一方的に可愛がるような訳ではなく、カルルクが冬の間兄の所で修行すると言い出した時も、その意思を尊重して見守る姿勢を見せたりもしている。
もっとも、様子を見る為に週一くらいで通っていたのでカルルクから月一くらいにしてくれと言われているが。
現在はカルルクが戻ってくるのを家で待っている。

ちょくちょくほぼ全裸の姿が描かれるが、「エロい」よりも「美しい」が先に出るほどの素晴らしい身体。やはり美乳は良いものだ。
作者曰わく「中央アジアならではのものにしたいなあ」と思ってできたキャラクターらしく、思いついた設定を清々しいまでに全部ブチ込んでいるそうです。
キョトンとした顔がかわいい。


◆タラス

第2の乙嫁。劇中トップクラスの美人であり薄幸の人。愛馬はチュバル。
過去に5人の旦那と死に別れ*2ており、カラザの町はずれで義理の母と二人で慎ましく暮らしていた若き未亡人。
放牧された羊たちがのんびりと草を食み、地平線まで見える気絶しそうなぐらい広大な草原に風が吹き抜ける中、頭のスカーフをはらりと開けて、美しくそして豊かな髪を靡かせる彼女の姿はまさに「美しい」の一言。
市場で馬泥棒の被害に合い、探していた所でスミスと出会う。その後自宅にスミスを招き、束の間生活を共にしているうちにスミスといい感じに。
周りの後押しもあり、婚約の証としてスミスから時計を贈られるものの不幸な行き違いから離れざるを得なくなり、時計も返してしまう。
しかし、新しく嫁いだ夫(ぐう聖)の協力もありアンカラでスミスと再会。再度婚約しスミスの旅に同行する事に。

ムナク村ではライラ&レイリの家に泊って初めて泳いだり、ペルシアではアニス&シーリーンと写真撮影に挑んだり。
愛しい人が傍にいる事、旅先で土地や人との出会いに触た事で薄幸な雰囲気から一転、豊かな表情を見せるようになる。

旅の最中でも針仕事を続けて出来上がった布を路銀に替えたりと尽くし、スミスの帰国と共にイギリスへ渡る。
現在はスミスと共に暮らしつつ、スコットランドで正式に結婚式を挙げる予定。


◆ライラ&レイリ

第3の乙嫁達。アラル海の畔にあるムナク村の漁師の娘で褐色の双子姉妹。とても賑やかでパワフルで素潜り漁が得意な働き者。
性格、容姿がそっくりで常に二人で行動している。そのため何かしら行動をする際には二人で動くことが染みついている。*3
基本的に性格は素直で良く言えば自由奔放、悪く言えば落ち着きが無い。そしてかわいい。かわいい。大事なこ(ry
自分たちで理想の旦那さんを探すために魚をぶつけたり、良さげな相手にタックルかましたりと様々なトラブルを巻き起こす。
結局、幼い頃から見知った隣家の兄弟と結婚する事になったが、今度はどちらがどちらと結婚するかの問題が。
兄弟との個別デートで兄弟の気遣いと考えを知り、ライラがサームと、レイリがサーミと結婚する事で落ち着いた。

母からの短期集中花嫁修業の後、盛大に結婚式を挙行。
美味しそうなご馳走が並んでいるのに自分達は食べられないわ*4、本格的に始まるまでじっとしてなきゃならないわ*5と色々あったが無事挙式。
実家の家族との涙の別れを経て今でいうマリッジブルーに陥りかけるも、結婚祝いで新しい舟を貰ってはしゃぐ夫たちを見てそれも解消。
結婚後は互いの夫と4人で同じ家に住み、幸せな結婚生活を目指して賑やかに暮らしている。


◆アニス

第4の乙嫁。ペルシアの大富豪の妻。アニス一筋で詩人な夫とまだ赤子のハサンという息子がいる。
何不自由ないが、屋敷の奥で猫や鳥を相手に戯れるだけの、夫とマーフ以外話す相手もいない日々を送っていた折、マーフから姉妹妻という関係について聞く。
自分にもそのような存在があって欲しいと思い、マーフの勧めで出向いた風呂屋でシーリーンと出会う。
そこで自分とは違う存在であるシーリーンに憧れ、何度かの交流の後、姉妹妻となって欲しいと申し込む。

風呂屋の女性たちの祝福を受けながら姉妹妻の儀式を行うがその直後シーリーンの夫が病死したとの悲報が届く。
元々貧しく蓄えもない生活であった事から進退窮まったシーリーンを見て、姉妹妻として彼女を救う為出来るだけの事をしたいと考え、シーリーンに主人の2人目の妻になる事を提案する。
驚き拒否するシーリーンに、主人なら困った人を見捨てる事はない事、シーリーンなら2人目の奥さんになってもいいと思えた事、一生の親友の為だからと伝え、了承させる。
また主人にシーリーンを娶って欲しいと伝え、主人から自分がシーリーンの元に向かう事を受け入れられるのかと問われ、「嫌」と言いつつも、相手がシーリーンであれば構わないと答え、主人を納得させる。
その後シーリーンとその息子のマフードと義両親を屋敷に迎え入れ、共に円満に暮らしつつ2人でまた風呂屋に行く日々を送っている。

スミスがタラスを連れて再訪問した際にはタラスを奥に迎えて束の間の交流を楽しみ、スミスの希望もあって屋敷の各所の撮影も行った。
その際に主人との思い出を盛大に惚気まくっていた。

世間の感覚からズレている所はあるが間違いなく善良な性格で、シーリーンをはじめとして風呂屋で女性たちと交流をするようになった事で笑顔も口数も増えるように。


◆シーリーン

絹のように美しい黒髪と紅玉のような唇を持つ、巨乳で豊満な肢体の美女。マフードという1~2歳の息子がいる。
貧しい染物屋の妻で、時々にしか風呂屋へは出向けないのだが、そこでアニスと出会う。

アニスからの姉妹妻の申し出を受けるが、その儀式の直後に夫を失ってしまい、残された子どもと義父母を抱えて途方に暮れていたところ、アニスからアニスの夫の2人目の妻になる事を提案される。
思いもよらない提案に驚くが、アニスからシーリーンなら2人目の奥さんになってもいいと思えた事、一生の親友の為だからと説得され、了承する。
その後息子共々アニスの屋敷に入り、共に暮らしている。


◆パリヤ

第5の乙嫁であり、嫁いできたアミルの街での最初のお友達。
陶磁器を取り扱うトノゴシュ家の娘。パンを焼くのが得意で、逆に刺繍が苦手。
気が強く、思ったことがストレートに口に出てしまう良くも悪くも嘘をつけない正直な娘さん。
その為、とりあえず口調だけでもなんとかしようと思っているが、かえって相手と上手く話す事が出来なくなってしまいがち。
世の女性にとって必須スキルである針仕事も、出来ない訳ではないがすぐに飽きてしまう為なかなか続かず、出来上がりもいまいち。*6
そんなこんながあり、自分が世間一般で言われているような"よいお嫁さん"像からズレている事を気にしており、結婚できないのではないかと苦悩中。
半面、自分の得意なパンづくりや男性の目を気にしないで済む時は実に楽しそうに仕事に取り組んでおり、結局それが相手を射止める事に繋がった。

アミルとは街に設置されている窯でパンを焼こうとするアミルを案内した事がきっかけで仲良くなり、友達となった。
自分のように世間の目などに構わず自信を持って動くアミルを尊敬しており、理想の自分になると決意した際に真っ先にアミルを思い浮かべたほど。*7

年頃になってもなかなか縁談も決まらずくすぶっていたが、ハルガルの二度目の襲来で家が被災。
嫁入り支度として作りためていた布も失ってしまい、それが揃うまでは結婚も出来ない状況に陥り、更にふさぎ込んでしまう。
アミルやカモーラを見習って理想の自分になろうとするも上手く行かず、お相手候補のウマルから見限られるのではないかとメンタルはブレイク寸前。
それでもウマルと一緒にいるうちに徐々に自分の事を相手に伝えられるようになっていった事と、元々ウマル側からはパリヤの性質が好ましく映っていた事もあり、ウマルとは将来について話し合うような関係に。
人助けの為とはいえ2人で外泊してしまって以降は対外的にも許嫁として扱われるようになり、いよいよ布支度の必要に迫られている様子。


◆ジャハン・ビケ

第6の乙嫁で、遊牧民であるジャンディグ族の族長の娘の一人。愛馬はカルカシュカ。
気高く戦う草原の女で、乗馬に騎射、馬上戦闘等は男にも劣らない腕前と美貌を持つ女戦士。
自分よりも強い、本当の草原の男に嫁ぐ事を望んでおり、アゼルが自身の婿に相応しいかを証明する馬比べに臨む。
自慢の愛馬を駆って平野部では独走するも追走し続けていたアゼルに山岳部で追い抜かれ、馬比べの勝者の証となる矢を取られてしまうが、アゼルから矢を奪い取った上残りの矢を捨ててしまう。
そして自分から矢を奪い取れと挑発し、アゼルと並走しつつ剣と体術を用いた馬上格闘戦を繰り広げるもアゼルによって馬から体ごと攫われてしまい、馬比べには敗れてしまった。
その事約束通りアゼルの下に輿入れ。式後にアゼルからの告白を受け入れ、今後アゼルの妻として戦場でも共にある事を誓う。



旦那衆

嫁がいるのなら旦那もいる訳で。

◆カルルク

アミルのお婿さん。愛馬はアラクラ。
12歳で結婚し、まだ13歳の少年だが聡明で落ち着きがありなかなか人間ができている。
アミルとの歳の差婚に多少驚いてはいたものの、彼女のことを大切に想っており、彼女にも頼られるような大人の男を目指している。
年齢のためかアミルより頭二つ分ほど小さくパッと見姉弟くらいにしかみえないが、二人仲良く馬を並べて出かける姿はとても微笑ましい。

温厚な性格ではあるが肝が座っており、嫁のためなら武装した大人の脅迫にも退かず、戦う事も辞さない勇敢さを持っている。
アミルの実家であるハルガル族がバダン族と組んで街を襲来した時には大人に混じって槍を奮い戦っている。*8
その後街の復興作業では馬の管理等を任され、復興がなった後は妻を守れる強さを求めて一冬の間アゼルの所に住み込み、弓と狩猟を習っている。
当初は自分が強くればアミルも自分と結婚した事を喜べるのではないかと思い、早く強くなりたいと若干の焦りのようなものもあったが、アミルから成長を急ぐ事は無い事を諭された後は落ち着いて修行に励んでいる。


◆ヘンリー・スミス

中央アジアの言語文化を研究する為に旅行中のイギリス人。作中の人物からは大抵スミス、スメス、旦那など、家族や友人からはヘンリーと呼ばれている。
マイペースで疑問に思ったことをすぐに追求する研究者気質で手帳とペンは手放せない。そのせいで諜報員の疑いを掛けられたことも。*9
幼い頃から読みふけっていた旅行記などから影響を受けており、中央アジアを旅してみたかった様子。
それもあってかこの時代の西洋人ながら中央アジアの人々を見下すような事は無く、地元の習俗も驚きはしつつも受け入れる等柔軟な思考の持ち主。
その分頼りないように思われる所があり、よく周囲から釘を刺される。

物語開始時はエイホン家に居候していたが、案内人と合流する為カラザの街へ出発。
そこでタラスと出会い、お互い惹かれ合い婚約するもすれ違いの結果身を引く事に。

その後は案内人のアリを伴って各地を訪ねつつアンカラの街へ辿り着き、そこで旧友のホーキンスを訪ねる。
ホーキンスからは地域の情勢が不穏であり、これ以上悪化する前に帰国するよう勧められるが、「現地調査で資料を収集できるのは若い今の時期しかない」と主張して旅の継続を主張。
結局ホーキンスも折れて、カメラをはじめ旅に必要な用意を整えられるよう手配してくれることになった。
今まで辿った場所を再訪して写真撮影を行う事を目的とするが、その準備中にスミスを探していたタラスと再会。
どんな形でも一緒にいたいというタラスの想いに触れて、改めて婚約し、共に旅をする事を決意する。その後ホーキンスからめっちゃ詰られた。

タラスと案内人であるアリと、新たに護衛として同行してくれる事になったニコロフスキの4人で旅を進めるが、行く先々で治安が悪化している事を身近に感じられるようになっていく。
それでもカルルク達の住む街の近くまでは進めるのではないかと考えていたが、宿を取った街でロシア軍の襲撃に遭遇。
もうこれ以上は危険と判断したアリの進言を受け入れて旅を断念。タラスを連れて母国へ戻る事となった。

帰国後、タラスを家族に紹介して妻にすると告げたが、家族からは賛成は得られなかった。
それでも父と兄には「ヘンリーのやりたいようにさせたい」と思ってもらえたが母は頑なに拒否。
その際に母親がタラスの事を「野蛮な現地人、どんな病気を持っているか…」と言い出したため、スミスも今の段階での説得は諦めた様子。*10
その後ホーキンスの手配で、ホーキンス所有の別宅に移り、そこでタラスと新しい暮らしを始める。
現在は2人の立会人がいれば公的に結婚した事にする事が出来るスコットランドで結婚式を挙げるつもりで準備中。


◆サマーン&ファルサーミ

ライラ&レイリの隣に住んでいる兄弟で幼い頃から顔見知り。サマーンが兄で通称サーム、ファルサーミが弟で通称サーミ。
既に一端の漁師として働いており、実家の貧乏ぶりからか、兄弟ともかなり現実的な性格に育っている。
ライラ達の奇行を半ば呆れながら見ていたが、以前からなんとなく、こいつらと結婚するんじゃないかとは思っていた様子。
当初この結婚に乗り気ではなかったが、相手について贅沢は言っていられない事と、なんだかんだ嫌いではない事から承諾。
それでもサーミは「あの双子に惚れる自信がない」と愚痴っていたが、サームから「がっかりしているのはお互い様なんだから」と諭されて不満を収めた。

結婚に当たってどちらがどちらと結婚するかで懸念が出たが、試しにデートしてみた所わりとすんなりカップルが成立した。
結婚式でも色々姉妹に振り回されていたが、結婚祝いに親から新しい舟を2艘贈られてテンションUp。
結婚後は兄弟+双子の4人で住んでおり、協力して漁に出たり村を再訪したスミス達のもてなしに奔走したりと賑やかに過ごしている。


◆ウマル

パリヤがカラザの街で出会った青年。
カルルクやアミル、スミスらと食事をしていた茶店に偶々同席していただけが、ウマルの父がパリヤを気に入り、縁談を持ちかけた。
その後親同士で話が進んでいくが、パリヤの住んでいる街がハルガル族の襲撃を受けててんやわんやになってしまい、縁談は一旦沙汰止みに。
しかしそれに不満を持ち、父親と共に復興手伝いがてらパリヤの住む街にやってきた。

読み書きにそろばんを使った計算ができる事からすぐに重宝されるようになり、一躍街の噂に。*11
また水車に興味があり、これを改良すれば色々な事が出来るんじゃないかと考えるなど将来有望。
スミスと会わせてやれば色々捗りそう。

一人っ子で母親が病弱であった事、親戚や近所の同年代の子供たちがほぼ男だけという環境で育った事もあり、世間一般で理想とされる女性像に対してあまりこだわりはなかった。
その為元気で活発、言いたい事ははっきり言う質であるパリヤの事をかなり始めから気に入っており、パリヤが悩んでいたような所も気にしていなかった。
ただパリヤが自分に接する態度から、パリヤ自身はこの縁談に乗り気ではないのではないかと思っていた。
その後パリヤ自身と話したり一緒に出かけたりする内にパリヤの気持ちを聞いて、パリヤと一緒になる事を決意する。

婚前交渉どころか未婚の女性に接触する事すら忌避する文化が強い地域で、未婚の娘と外泊したりキスしたりと結構な剛の者。
ちなみに、上記行為がどれだけまずいかと言えば、下手すりゃ「家の名誉を汚した」として男女ともに処刑される事もあり得るくらい。今回は「元々婚約しており、若さゆえちょっと自覚が甘かった」という事で収めた。
勿論、どちらもその後両親からめっちゃ叱られた。


◆主人

アニスとシーリーンの夫。
ペルシアの大富豪で線の細い詩人ぽい人。人前では黒いフェズらしい被り物を着用している。イギリスに知人がいるらしく、その伝手でスミスを歓待した。
この頃のペルシアだとまだ石油はないので、海外貿易の仲介か何かの仕事なのかもしれない。
真面目でアニス一筋な優しい夫で、アニスが外へ出たがったりシーリーンと姉妹妻になったと聞いて驚きつつ、受け入れている。
そのアニスからシーリーンを2人目の妻にして欲しいというの懇願を聞いた時は戸惑ったが、「誰かを助けるだけの力がありながらそれを使わないのはよくない」と考えた事もあり、シーリーンを娶った。
その後はアニスとシーリーンの2人と公平に接しており、シーリーンの連れ子も自身の息子として迎えている。

ちなみにイスラム教では夫は4人まで妻を持てるが、これは戦や病で夫を失って困窮した未亡人等への救済を想定したものとされており、作中の主人の行動もそれに添ったもの。
おそらく主人の周りからの評判も上がったのではないだろうか。


◆アゼル

アミルの兄。愛馬はアルキルク。
寡黙で生真面目なイケメン。遊牧民として必須の騎乗、狩猟、放牧のどれにも長けており、頭も切れるハルガル族の次期当主。
この時代の常識をわきまえ言葉遣いも丁寧で*12相手への配慮も忘れない男だが、結構短気なところがあるのが玉に傷。
それが原因で相手を怒らせたり煽るような物言いになる事もある為、交渉に際しては従兄のバイマトに頼る事も多い。

基本的には理不尽な暴力を振るったりするような性格ではないが、この時代の遊牧民らしく「必要ならある所から奪えばよい」という考え方を良しとしており、襲撃や略奪等を否定はしていない。
半面そういった事は自分の力でやるものだとも考えており、誰かの力を借りたり手先になったりするような事を非常に嫌う。
その為バダン族が出した好条件に釣られている一族に対しても、内心「皆殺しにしてやりたい」と憤ったりもしていた。

物語には父親からの命令でアミルを他の家に嫁がせるため連れ戻しにきた場面で初登場。
父や年嵩の一族の命令に忠実に行動していたが、本心では彼等のやり方に同調しておらず、積極的に連れ戻すつもりはなかった。*13
バダン族と手を組むという父の考えにも反対し、父にもその事を進言したが聞き入れられなかった為、独自にバダン族の動きを警戒していた。*14
襲撃時にバダン族が裏切って街もろともハルガル族を攻撃し出した後は、ハルガル族の者たちを逃がしつつ、バダン族の族長を暗殺。
その後もバダン族とは戦い、街の者は追い返したりすれ違いざまに助けたりしていたが、その混乱の中で父とカルルクが戦っている所に遭遇。
手助けしようとしたが一足先にアミルが突撃して父を殺す寸前まで追い詰める。それを見てアミルに父殺しをさせないために介入、直後の砲撃からアミルとカルルクを救出してる。

襲撃後、ベルクワトの死が確認された事から族長に選出される。
族長に就任後は街から提示された、ロシアとの国境地帯にある新たな牧草地での生活の為に奮闘しつつ、修行のために訪れたカルルクを迎え入れて狩猟や弓の稽古をつけて過ごす。
その後定住民と遊牧民との間で対ロシア同盟を結ぶ話が持ち上がり、その中で遊牧民側がまとまるためハルガル族とジャンディグ族の間で婚姻を行ってはという提案があった。
ジャンディグ族がハルガル族について懸念を示したため、馬比べによって実力を示す事に。
そこでジャンディグ族の娘ジャハン・ビケとの接戦を制して勝利した事でジャンディグ族も納得。
正式にジャハン・ビケを嫁に迎え、一族の存続と来るロシアとの戦いに勝利する事を誓う。



家族・氏族

嫁、旦那それぞれに家があり、一族が連なっている。

エイホン家

カルルクの実家でアミルの嫁ぎ先。
数代前に街に定住した一族で、高祖母がハルガル族出身であった縁で今回ハルガル族のアミルを迎えた。
カルルクからすると祖父母、両親、姉夫婦、甥っ子姪っ子が同居するにぎやかな家。
スミスを釈放する際に家の名前を出して彼の身元を保証し、それを役人も疑っていない事などから、街でも有力な家あるいは周辺でも知られた富豪なのかもしれない。
ちなみに当時の家督相続は末子相続制の為、カルルクが次期当主になる予定。
物語開始時点ではスミスが寄宿していた。また、街が復興するまでの一時期トゴノシュ家が居候していた。


◆バルキルシュ
カルルクの祖母。
バルキルシュの祖母がハルガル一族であった事から、エイホン家とハルガル族を繋ぐ縁母となっている。
孫嫁であるアミルやその友人のパリヤ達を気に入っており、カルルクの病気に動揺するアミルを諭したりパリヤに針仕事の指南を買って出ている。
その一方、アミルを連れ戻そうとするアゼルに矢を撃ち掛けつつ縁切りを宣言したり、山羊に乗って崖から転落しそうになっている子供を救出したりと、今も衰えない女傑。
さすが乙嫁の大先輩。


◆マハトベク
カルルクの祖父。
物語の中では影が薄いが穏やかな雰囲気を持つ一族の長老。


◆アクンベク
カルルクの父。
エイホン家の現当主で落ち着いた雰囲気の男性。地域柄当然なのだがヒゲオヤジ。
ティケレの布支度に使う生地は必要なだけ買えと指示したり、家を失ったトゴノシュ家を自宅に迎え入れるなど度量の大きい所を見せている。
妻との仲も良好で、妻が寝込んだ際には自分から看病を行っている。
それにしても、あんなにかわいいカルルクきゅんもいつかこうなる日が来るのだろうか・・・


◆サニラ
カルルクの母。
落ち着いた雰囲気の美女で、トゴノシュ家を自宅に迎えた際にトゴノシュ家の人々を慰めていた。
結構な年齢の筈だが若い頃の美貌を保ち続けている。


◆セイレケ
カルルクの姉の一人。*15
母の面影を受け継ぎつつ明るい性格。
母や祖母の手伝いをしつつ子供達にも気を配り、厳しくしつけようとするものの陰でやりすぎたのではないかと心配したりもしている。
夫とは今もラブラブで、寝室では髪を解いて夫とイチャついている。


◆ユスフ
セイレケの夫でカルルクの義兄。
若いながら大した父親ぶりをみせるしっかり者。
エイホン家の次期当主であるカルルクがまだ幼い為、代わって家の仕事も行っていると思われる。
街の人達からも受け入れられており、襲撃後の街の復興作業では現地で作業指揮を取っている。
割と直接的な言動をするようで、アミルを連れ戻そうと来訪したアゼルとは激しい言葉を交えて止めようとしてた。


◆ティケレ
セイレケとユスフの娘でカルルクの姪。
下記3兄弟よりは年上だがカルルクより年下。
弟たちを引き連れてお客さんへ挨拶にでるなどなかなかのしっかり者。無垢なつり目の笑顔がまぶしい。
かなりの鷹好きで、彫刻や刺繍のモチーフは鷹一択。


◆トルカン
セイレケとユスフの息子でカルルクの甥。
3人いる兄弟の一番上で馬を買ってもらった。


◆チャルグ
セイレケとユスフの息子でカルルクの甥。
3人いる兄弟の真ん中。よく兄と一緒に弟をからかったりしているが、今のところ影が薄い。


◆ロステム
セイレケとユスフの息子でカルルクの甥。
3人いる兄弟の一番下で、まだ夜中に一人でトイレに行けないお年頃。
近所の木工職人の仕事を見るのが好きで、言いつけられた仕事を放り出して見に行ってはセイレケに叱られたりしている。
ヤギ好き。



スミス家

ロンドン市内に居を構える裕福な家で、父親が下院議員を務める名家。*16
ちなみにロンドンの家は仕事兼社交用の家で実家は別にある様子。


◆スミス父
メガネを掛けた初老の紳士。
ヘンリーの唐突な行動に困惑させられつつも自由にやらせていたが、帰国と同時にタラスを妻にするという発言をどう扱うべきか決めかねている。
それでもヘンリーのしたいようにさせてやりたいと考えており、内縁関係に留めておいてはどうかと提案したりしている。


◆エドワード
スミスの兄。なんだかんだ、スミスに甘い人その1。
イギリスの上流階級に属する紳士らしい身なりで、自分の子供達と共にロンドンに住んでいる。
父共々スミスに不利益がないよう計らいたいと考えていて、父と共に助言するが逆に結婚式に立ち会って欲しいと頼まれ、承諾している。


◆スミス母
昔から少々人とは違った行動をするスミスの事を心配していたが、帰国と同時に現地民を妻にしたいと言い出されて非常なショックを受ける。
その後の話し合いでスミスの意思が硬い事を思い知り、スミスを無視するようになってしまった。


◆エリオット&アンナ
エドワードの子供達。
スミスに懐いており、特にエリオットはスミスの土産話を聞きたがっていた。


タラス家

◆タラス義母
元々夫と5人の息子達と共に暮らしており、その長男の嫁としてタラスを迎えた。
その後病や事故で夫と息子達が先立ってしまい、タラスとひっそりと暮らしていた。
以前からまだ若いタラスを自分に縛り付けている形になっている事を悔やんでおり、偶々訪れたスミスにタラスを連れて行ってくれるよう頼み込む。
その為にタラスの義叔父と自分が結婚する事でタラスを自由にしようとするも上手く行かず、タラスをスミスのもとに送り出せなくなった事を詫びる事に。

その後、今度こそ幸せになってほしいとタラスを嫁に出すが、再婚した先でタラスが病死したと知らされる。
あの時自分が引き留めていなければと悲嘆に暮れつつ過ごしていたが、改めてタラス夫から真相を聞かされ、義娘が生きて幸せをつかんだ事を知り安堵。


◆タラス義叔父
タラス義母の夫の弟でタラスの義叔父。
自身の息子の嫁としてタラスを望んでいたが、タラスの義母に断られ続けていた。*17
その為スミスの存在を街の役人に密告し、その間にタラスを奪おうとするも、タラスの義母と自身が結婚し、タラスを義理の娘とする事で納得した。
その後嫁がせたタラスが死に、結納金を返す羽目になった事を愚痴っていた。


ムナク村

◆ライラ&レイリの父
ムナク村で漁師を営む大柄な男性。
すべてにおいて直截的で、娘たちのいたずらに対して全力で叱りつけ、鉄拳制裁も躊躇いない親父さん。
ただ手のかかる子ほどかわいいのか、娘達が家を出る時には全力で抱きしめ涙を流していた。


◆ライラ&レイリの祖父
年の割にはいかつい体格の祖父。
肩を痛めて以来動きが悪くなっていたのだが、スミスの治療もどきを受けて復活。


◆ライラ&レイリの祖母
温厚な一家のお祖母ちゃん。若い頃は結構な美少女で恋愛上手だったとか。
ライラ&レイリからも慕われており、やかましく喋りまくる双子をいなしつつ、様々な恋愛の手管を教えていく。


◆ミナ
ライラ&レイリの母。
双子の娘を可愛がりつつも、どこに出しても恥じる事のないよう厳しく教育してきたつもりだが、今一つ不安な仕上がりになってしまった事が気がかりでいた。
そこで結婚が決まったのを機に短期集中花嫁修業を敢行し、娘たちに一家の主婦たる心構えを叩き込んだ。


◆サマーン&ファルサーミの父
同じくムナク村で漁師をしており、ライラ&レイリの父とも昔なじみの友人。
「海水よりしょっぺえ」家計であっても息子達の結婚に出来る限りの事をしてやりたいと考え、親族を引き連れてライラ&レイリの父と結納金の額を巡って激論を交わす。


◆サマーン&ファルサーミの母
同じくムナク村で漁師をしており、ライラ&レイリの母とも昔からの友人。
結納金の額を巡って争う男たちを余所に、自分の息子達と友人の娘達が結婚する事を喜んでいた。



トゴノシュ家

◆トゴノシュ
アミルやパリヤが住む街で陶器工房を営む職人兼商人。
なかなか愛想のよい陽気なオッサンで、お客さんにも笑顔で楽し気に応対している。
自宅の修復よりも街の復興に必要な窯の再開と生産を優先し、結局自宅の修復がなったのは最後になってしまった。

年頃の娘の縁談が上手く行かない事に頭を抱えてはいるが娘の事は大事にしているようで、娘の殊勝な言葉を聞いて感動したりと若干親バカ風味。
いずれよい相手と結婚してくれると考えている様子。


◆パリヤ母
ちょっと気弱風な線の細い女性。
娘の縁談が上手く行かない事、布支度が進んでいない事に気を揉んでいたが、やればできる娘と信じている。



ウマル家

◆ウマル父
カラザの街の近くに住んでいてウマルと2人暮らしをしている。
偶々知り合ったパリヤを気に入り、縁談を進めていたが諸事情により沙汰止みに。
それに不満をもつウマルの様子を見かねて、見舞いと復興手伝いの為にパリヤの住む街へ連れて来た。
パリヤを気に入った理由を聞かれ、パリヤを生命力の塊のようで息子とも気が合うのではないかと思ったと返答している。


◆ウマル母
故人。
元々体が弱かったらしく、ウマルの女性観にも影響を与えた。



ハルガル族

◆バイマト
アゼルの父方の従兄。
寡黙かつ厳つい風貌だが周囲への気配りの利く温厚な男。
その穏やかっぷりは、怒った事があるのかと問われて怒った場面を思い出せない程。
アゼルより年上であるがその実力を認めており、アゼルと一族の年配者達との間に入ったり、アゼルに代わって対外的な交渉を行ったりしている。
アゼルがジャハン・ビケを娶った際に、その妹の1人であるアイグルを嫁に迎えた。


◆ジョルク
アゼルの母方の従弟。
アゼル、バイマトと連れだって動くことが多く、2人に比べて軽く見られがちだが良識を備えたいっぱしの男。
寡黙な2人に比べればおしゃべりかつ食いしん坊で、いろいろ話しかけてはアゼル達の考え等を引き出している。
アゼルがジャハン・ビケを娶った際に、その妹の1人であるリャザットを嫁に迎えさせられた。


◆ベルクワト
アゼル、アミルの父でハルガル族長。
ヌマジ族に嫁がせていた娘達が死んで恩恵が受けられなくなった為、カルルクに嫁がせたアミルを改めてヌマジ族に嫁がせる事を企て、アゼル達をエイホン家に遣わした。
父からの命令を伝えれば済むと考えていたが、アミルがエイホン家および街の人達に受け入れられていた事、アゼルが反発して命令を半ば無視した事などから企ては失敗。

困窮の末、遠縁であるバダン族の力を借りて街を襲撃する事と、そのついでにアミルを連れ戻す事を思いつく。
バダン族を警戒し反対するアゼルの進言を無視してバダン族の協力を得る事に成功。街への襲撃を行うがそこでバダン族の裏切りに合い襲撃は失敗。
混戦の中カルルクと交戦するがアミルの反抗によって退けられ、更にアミルによって殺されそうになるも、アゼルの介入によって窮地を脱する。
しかしその直後に銃撃を受けて負傷。街を離脱して再起を図ろうとするも、街の郊外で追ってきたバルキルシュの一矢を受けて死亡。

アミルを連れ戻そうとしたのは窮地に陥った一族を救う為の行動ではあったが、家父長の権限が絶大だった当時の常識からしてもやり方が強引に過ぎた事と、一度撃退された事への復讐心からかバダン族の目論みを見抜けなかった事が自身の破滅に繋がった。
ただ、バダン族を頼る事に反対するアゼルの進言を頭ごなしに封じたり、街への襲撃時にバダン族が裏切っている事を認識していないようなセリフもあったりと、かなり自己中心的な考え方をしていたようでもある。
そもそもいい年をした跡継ぎ息子に嫁がいなかったり、娘の嫁ぎ先を分散していなかったっぽいと族長としての能力にいささか疑問符がつく御仁。*18



ジャンディグ族

◆ジャハン
ジャンディグの族長でジャハン・ビケ達の娘。
近隣でも知られた豪族で街が呼びかけた同盟話に最初に応じた部族の一つ。
遊牧民の間での結束を固める為ハルガル族との婚姻を提案され、当初はハルガル族の暮らしぶりを理由に難色を示したが、アゼルが馬比べて勝利した事で了承。
娘たちをアゼル達に嫁がせた。


◆リャザット
ジャハンの娘でジャハン・ビケを姉様と慕っている。
馬比べに随伴している最中にジョルクを気に入り、その後ジョルクの下に嫁ぐ。


◆アイグル
ジャハンの娘で一度他家へ嫁に出たが、嫁ぎ先での扱いがあまりに悪かったため連れ戻した。
馬比べ後に事情を聞いたバイマトから請われてバイマトに嫁ぐ。



その他の人達

嫁、旦那の友人や、物語の中で関わった人達。

アミル編

◆木工職人
カルルク家の近所に住んでいる職人のお爺さん。
木を削る様子を見るのが好きなロステムがよく忍び込んでおり、それが縁でエイホン家の子供たちにお守りを作らされた。


◆街の住人達
カルルク達が住んでいる街の住人達。
エイホン家のアミルが無理に連れ去られようとしていると聞いて即座に町全体で反撃に移り、ハルガルの最初の襲撃を撃退している。

エイホン家の問題で何故街全体が動いたかと言えば、「町内の問題はみんなの問題」、「よそ者に好き勝手されたとあっては町会の名折れ」というセリフもある通り、
エイホン家が特別云々ではなく、外部からの干渉には街ぐるみで反撃しなければ他からも襲われるという危機感があると思われる。
ただでさえ「ある所から奪う」事を良しとする遊牧民が多い土地であり、更にロシアの南下の煽りを受けて治安が悪化している情勢である以上、
「あの街は襲っても反撃されないor反撃が弱い」などと思われてはたまったものではないのだろう。
ハルガルがらみのゴタゴタ中やその後も、原因の一因であるエイホン家やアミルに対して責めるような描写がないのもそれを裏付けているように思われる。

その後は街の復興を進めつつ、周辺の遊牧民と同盟を結んでロシアの南下に対抗しようとしている。
ちなみに設定としてはブハラの近くの街という事になっている。現代ではウズベキスタンにあたる地域のどこかになる。



タラス編

◆アリ
スミスの旅の案内人としてホーキンスが雇ったガイドの青年。
サバサバして物怖じしない性格で、若いが充分な経験を積んだベテラン。常に身長よりも長い銃身のマスケット銃を携帯している。
カラザの町で諜報員の疑いを掛けられて抑留されていたスミスを、地元の族長の保証書をもって釈放させたのが最初。
当初は西洋人からの仕事という事であまり気乗りしておらず、多額の報酬目当てに仕事を請け負ったのだが、偉ぶった所のないスミスの性格を気に入り、親身になって道中のトラブル解決に活躍した。
特に学がある訳ではないようだが地理や各地の方言習俗に詳しく、都度スミスに解説してスミスの理解を助けた。

読み書き計算は問題なくこなし、道中で発生しがちなトラブルについても経験豊富で、その上役人や商人との交渉にも長けているという優秀なガイド。
隊商の護衛もしていたとの事で荒事にも慣れており、素人の物取り程度ならものともしない。
その為スミスもアリを信頼し、指示には素直に従ったり旅を打ち切るべきタイミングを見計らって欲しいと頼んでいたりしていた。

スミスの帰国後、貰った報酬で買った贈り物とその残金を持って郷里のタブリーズへ戻り、幼馴染であるマディナの求婚を受けて結婚。
スミスの事はいい奴だったと評しており、子供の一人にヘンリという名前をつけるつもり。


◆ホーキンス
スミスのパブリックスクール時代からの友人。なんだかんだ、スミスに甘い人その2。
スミスの突飛な行動には慣れているが、それでも「常識を考えろ」と忠告せざるを得ない苦労人。
アンカラにある官舎に住んでいて地域の情勢に詳しく、ロシアがらみで治安が悪化している事からスミスに帰国を勧めるもやっぱり説得は叶わず。
その後はスミスの旅が安全に遂行できるよう様々な支援を与えつつ、スミス母へ手紙で消息を伝えていた。
もっとも、スミスがタラスを連れて来た時は随分な荒れ様だったが。

スミスの帰国後、自身もロンドンに戻りスミスと再会。
タラスの扱いについてスミスとスミス母が口論している所に居合わせてしまった為、白々しい演技の上でスミスを連れ出して口論を打ち切らせた。
そのまま口論させていたらスミスとスミス母の間で決定的な亀裂が入りかねなかったのでGJ。

その後スミス家にいられなくなったスミスとタラスを、所有する別宅に住まわせるよう手配した。
理由を付けて様子を見に来たり、結婚式の立会人を承知したりと、なんやかやスミスの面倒を見ている様子。


◆ニコロフスキ
ホーキンスの仕事を手伝っている壮年の大男。
元々クリミア戦争当時に、従軍していたホーキンスの部隊に通訳兼道案内として雇われていたが、その際に受けた恩を返すため、無償でホーキンスの仕事を引き受けている。
その一環でスミスに手紙を届けたり、スミスの旅に護衛として同行する。ちなみにスミスの事は"スメスさん"と呼んでいる。
護衛としては非常に腕が立ち、襲撃してきたロシア軍の小隊をほぼ一人で撃退する程。

私人としては5人の娘を持つ父親で、きちんと布支度を済ませて全員を嫁に送り出したよき父親である。
スミスの帰国を見届けた後ホーキンスへ報告。その後ホーキンスの帰国に合わせてアンカラの屋敷を譲り受けた様子。


◆タラス夫
タラス義母がタラス義叔父と結婚した後、タラスが嫁いだ新しい夫。
タラスが再婚の身である事は知っていたが、式の当日にタラスに想い人がいる事等を聞いてしまう。
自身も先妻と死別して再婚の身であった事もあってその境遇に同情し、その人に会わせられるのなら会わせてやりたいと考え、タラスを連れてアンカラへ旅立つ。
無事スミスと再会できた後、事情を説明して自身は一人家に戻った。
その際、スミスからそこまでした理由を聞かれ、「ままならない世の中だけどさ、女の人でも幸せに生きた方がいい」と話している。

その後は別の女性と再度再婚。
その際にタラス義母に事の真相を告げ、「肩の荷が下りたよ」と安堵している。


◆土地の人々
基本的に細かい事はあまり気にせず、明るくノリのいい皆さま。
余所で買った肉を焼かせてくれたり、ごく普通の食事の筈が匂いに釣られて入ってきた人が持ち込んだ食材で豪華になり、気がつけば大宴会なんて事もよくある事。
宗教的にはイスラム教徒が多いと思われるが、時計なんかもないので礼拝の時間も結構テキトー。諸々の戒律の扱いも地域によって厳格だったりいい加減だったり。

他にもお祝い事があると道行く無関係の人々を引っ張りこんでお祝いしてもらったり、その礼にご馳走を振舞ったりもありがち。*19
旅人が着くとどの家がおもてなしをするかで口論になったり、旅の面白い話をせがんだり。あるいは真面目に余所の情勢を聞き入ったり。
ただロシアの南下に伴う治安の悪化に神経をとがらせている人達も多く、西欧人であるスミスに当たりが強かったり疑いの目を向ける人もいる。



アニス編

◆マーフ
アニスの付き人。
アニスを事を奥様と呼び、基本的に屋敷の奥にいるアニスの身の回りの世話や買い物、余所への使いを務めるなど親身に世話している。
年若いアニスが奥で1人でいる事をかねて心配していたが、ある日ふとしたことから、アニスには姉妹妻のような存在が必要である事を話して風呂屋へ案内した事がアニス編の始まりとなった。
何かと世間離れした感性をもつアニスや主人の言動に驚きつつも協力し、シーリーンにも誠意をもって仕えてる日々を送っている。


◆風呂屋の女性たち
アニスが住んでいる街にある風呂屋に通う女性たち。
既婚/未婚問わず集まっており、日頃の束縛を解いて同性どうしの気軽なおしゃべりに興じている。
そのおしゃべりの中で夫の評判や噂が共有されたり、縁談のきっかけが出来たりと油断ならない面もあるが、その辺りは洋の東西を問わないのだろう。
アニスの事は以前からお屋敷の奥様として知られていたようだが、実際に会ってみていよいよ気に入り、いわゆる「裸の付き合い」を楽しんでいる


パリヤ編

◆カモーラ&友人ズ
パリヤの少し年下の友人達。
特にカモーラは街の人達からもよくできた娘さんと評判で、パリヤも態度等を見習おうとした程。
カモーラもパリヤの事を「言いたい事をはっきりといえる」と尊敬していたので、若干のすれ違いがあった後友達となった。
その後はカモーラの友人達と共に刺繍に励みつつ雑談したりとそれなりの交流を持っている。
パリヤからすると少し年下の娘さんばかりなので、パリヤの縁談の様子などに大変興味を持っており、話のネタにされる事もあるが。


アゼル編

◆ヌマジ族
元々ハルガル族が婚姻を結んでいた部族。
富裕な部族だったようでハルガル族もその恩恵を受けていたが、ヌマジ族に嫁いでいたアミルの妹達が死んだため関係が切れてしまった。
そもそも女性の扱いが悪いこの時代でも輪をかけて扱いが悪いらしく、ジョルクなどは「縁戚になりたくない」と愚痴る程。


◆オル・タムス
バダン族の族長。
それなりの規模の部族であるがロシアと通じており、大量の武器弾薬を保有する事に成功していた。
頼ってきたベルクワトを遠縁にあたるからと受け入れ、彼が提案する街への襲撃にも協力を約束するが、その実、街をハルガル族諸共攻撃し利を得ようと企んでいた。
街への襲撃もロシア製の大砲を利用して優位に進めていたが、バダン族の動きを警戒していたアゼルによって射殺される。


◆ハルガル一族衆
この時代であってもかなり乱暴なベルクワトの決定に同調し、アミルの住む街までやってきた人達。
アゼルがアミルを連れ戻す事に失敗した事に腹を立て、エイホン家への襲撃を行うが町ぐるみの反撃にあって捉えられ、馬の尻尾を切られるという屈辱を受ける。
その後も困窮したとしても牧草を買う事を恥と考えたり、あからさまに怪しいバダン族の真意を見抜けず、裏切りにあっても狼狽えるばかりといささか器の小さい面を晒してしまう。

街への襲撃が失敗した後はアゼルに従って新しい牧草地に移動し、そこで新たに生活を始めている。
アゼルが馬比べに勝利して嫁を取った際には「これで一族も途絶えなくて済む」と安堵していた。



人以外

人以外にも印象的なもの

◆日干しレンガ

泥と藁を混ぜて型に入れ、乾かして成型したもの。
砂場とかでよくやる原理で作成可能な割に結構丈夫。
作中に登場する地域で一般的な建材であり、非常時以外に人に投げつけるのはやめましょう。


◆馬

中央アジアの主要な交通手段であり、財産であり、パートナーでもある馬。
登場人物たちも遊牧民系の人々はもちろん、街の住人達も自分の馬を持ち、自在に乗りこなしている。*20
特に遊牧民系の人々の馬愛は激しく、馬の放牧の様子を見ているだけで1日を楽しく過ごせるほど。
また馬の品定めも好きで、よい馬がいればその周りに集まっては「あの胸板が」「たてがみが」「首が」と騒いでいる。
ちなみにイギリスにも同様の馬マニア達がいるようで、タラスが連れて来たチュバルを囲んで「このうなじが」「足が」とやっていた。
競馬発祥の地の紳士たちならさもありなん。


◆鷹/鷹狩り

街に定住している人達の間ではほぼ廃れているが、遊牧民系の人達や一部の旅人達の間では今も鷹を使った狩りが行われている。

鷹狩りに使用する鷹は、基本的には雌のイヌワシが使われている。
巣立ち前の若鳥を餌付けして慣れさせ、数か月かけて狩りの訓練や狩りの後腕に戻ってくる事などを仕込む。
その後数年狩りで使用してから山に返すのが流儀。そうして山へ返した鷲は尊敬を込めて母親(アナ)と呼ばれるのだとか。

遊牧民の鷹狩りは基本冬に行うもので、特によく雪の積もった晴れた日がよいとされている。
5,6Kgはある鷹を腕に据えて徒歩で移動は無理なため、必然的に馬に乗ったまま狩りを行う事になる。
分厚い防寒着を着て荷物を背負い、片方の腕に鷹を据えつつもう片方の腕で手綱を取り、雪の中馬を進ませる事になるので、非常な重労働。
それを苦もなくこなすカルルク。逞しくなったなぁ。


◆弓

既に軍隊ではライフル銃、民間でもマスケット銃が広く使われている時代だが、遊牧民の間では弓も現役。
アミルやアゼル達の射撃の腕前は度々披露されていて、その都度馬上から動いている小動物や人を射貫いている。

使われている弓は動物の角や腱と木板を組み合わせたいわゆる合成弓。
コンパクトで馬上での取り回しが良いうえ、射手の力や熟練度次第では同時代の銃に劣らない威力を持つ一品である。


◆布/布支度

作中の女性たちが時間があれば縫っている布で、基本的には木綿や絹の布に、染色した木綿や絹の糸を使って様々な刺繍が施されている。
刺繍には特定の家柄を示すものや、贈る相手への祝福、使う人に加護があるように等との願いを込めて縫い込まれる。
これらは一定のパターンがあるが、それとは別にある家に伝わるモチーフや縫い方もあり、それらは年長者から若者達に口伝と現物をもって受け継がれている。
バルキルシュお婆様などは自身の曾祖母以前の代から自身の孫世代までのモチーフや作風と共にその刺繍を縫った人の人柄も覚えている程。

また、この時代の中央アジアでは布支度という慣習がある。
結婚する女性は新生活で使う布製品を自分で作って持っていくというもので、もちろんそれら一つ一つに上記のような刺繍を入れていく事になる。
その出来栄えによって縁談の相手や嫁としての評価も決まってくるほど重視されており、この支度が整わない事にはお嫁にも行けない。
その為子供の頃から少しずつ作っていくもので、親も出来る限りの用意をするのが当然視されている。
とはいえその負担はかなりのもので、娘が5人いたニコロフスキは「娘たちを送り出したら何も残らなかった」とか。


◆結納金

結婚の際に婿家から嫁家に贈られる財産。お金の場合もあれば家畜等の場合もあるが、お嫁さんの一生の財産になる為非常に高い。*21
婿家側の見栄の張りどころだが、これに加えて結婚式の費用も出して当面の生活の為の資金も確保する必要があるので大変な負担。
アリが結納金を稼ぐためにスミスのガイドを引き受けたり、サーム&サーミ兄弟の父が「結納金まけろ」と迫るのもむべなるかな。


◆廟

元々は聖人や殉教者あるいは領主等の墓所だが、周辺住民の尊敬を受けた人を祭って信仰の対象になる事も多い。
作中ではホルキアをいう女性を祭った廟が登場している。この方は死ぬまでに40人の子供を設けた女性だったとの事で、子宝祈願、安産祈願のため遠方から参詣する女性もいるとか。
(夭逝した子もいるだろうとはいえ)それだけの子をもうけ、養育費と布支度及び結納金を準備した彼女の夫も相当の大人物である。廟があったらお参りしたいものだ。
その他ちょっとした旅行を楽しむ為、廟参りと称して出かける事も多い様子。日本でも伊勢参りと称して京大坂を回ったりしてたし、どこも同じか。


◆姉妹妻

縁組姉妹とも呼ばれている風習で、結婚して子供がいる女性同士の間で結ぶもう一つの結婚とも呼べる関係。
基本的にはお互いを自身の一番の親友として助け合う事を誓うようで、お互いの同意の下、然るべき手順で儀式を上げる必要があった様子。
イスラムの教えが浸透している地域では女性が男性の前に出る事は少なく、家族あるいは女性同士以外で話をする事もないのが一般的だったという背景があると思われている。
ちなみにだいたい17世紀~19世紀頃まであった風習のようで今は存在しないとの事。ひょっとするとアニスとシーリーンの事例が姉妹妻の最後の事例になるのかも。


◆時計

スミスが所持していた、表にスミス家の家紋が入っている懐中時計。
婚約の証としてスミスからタラスに贈ったものだが、すれ違いの果てにタラスの義母から返される事になった。
傷心のスミスはその時計を暗闇の中に投げ捨てて、タラスへの想いも断ち切ろうとしていた。



◆カメラ

スミスがアンカラで手に入れたカメラ。
湿板写真と呼ばれているタイプでそれ以前のタイプに比べると取り回しがよくなり、屋外での撮影も楽に出来るようになった。
とはいえカメラ本体+撮影時に使う毒性のある薬品類+フィルム代わりのガラス板+諸々とあり、ラクダ2頭分ほどの荷物になる。

ちなみに同様のカメラは日本でも幕末~明治期に入ってきており、教科書などで維新志士の写真等として紹介されているような白黒写真が撮れる。
現在では過去の遺物ではあるが、独特の味があるとの事で今も愛好家がいる模様。



【あとがき】

単行本には今までの森漫画と同じく、森先生&マメたんが登場する「あとがきちゃんちゃらマンガ」がついており、作品への解説やこだわりが語られている。
現地取材の感想やら飼ってる動物の話やら、なんというか相変わらず。デルタ隊形でさようなら!
余談ではあるが、各巻にはオリジナルのアンケートハガキが同封されているが、イラストが可愛すぎて使えない…。大人しく市販のハガキやレターセットを使おう。




作者である森薫先生のこだわりと画力の高さもあいまって、各話の絵の描き込み方が凄まじい。
風景をそのまま切り取ったような絵は読む人を夢中にさせ、引きずり込ませる魅力を持っている。
特に刺繍の絵はもはや絵画レベルのクオリティ。これを毎回の如く描いてる森先生は本物の変態(褒め言葉)だと思う。

それもあってか単行本の装丁が少し豪華である。そのため、少々値段が高い。
しかし、一読すれば、その価値はあったと思えるほどに丁寧に作りこまれた作品であるので、興味があったら手にとってみてはどうだろうか。


追記・修正は飛ぶ鳥を弓で撃ち落としながらお願いします。



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最終更新:2025年04月06日 14:56

*1 エイホン家自体元遊牧民であった事と、カルルクの高祖母がハルガル族出身であった縁による

*2 当初は5人兄弟の長男に嫁いだが死別後、地域の慣習に従ってその弟と結婚、を繰り返していた。最後の5男は結婚当時まだ少年であった

*3 「いつも一緒だろ?」と言われ、一人で行動した時をほとんど思い出せない程

*4 サームとサーミに取ってこさせた

*5 結局抜け出してサーム、サーミと踊った

*6 バルキルシュ曰く「やり方が雑で力任せでせっかちでこらえ性がない」

*7 「ハードルが高すぎる」としてすぐに撤回したが

*8 何の因果か義父であるベルクワトと遭遇し、敵わなかったものの相手の一撃を凌いでいる

*9 釈放後は医師を装い、人前でメモは取らないようにして疑惑の目を避けていた。

*10 その発言を聞いたスミスは真顔で反論しようとしたが、ホーキンスが訪ねてきたためうやむやになった。

*11 学校で学んだ訳ではなく、以前父がやっていた隊商宿の客たちから教わった

*12 カルルクに対しても当初は婿殿と呼びかけていた。

*13 バルキルシュもそれを見越してわざと強めの言葉を使って引き下がらせている

*14 バダン・ハルガル連合が街を襲撃したその日の内に治安部隊が到着しているので、アゼル達が何か手配したのかも知れない

*15 カルルクの兄弟はもっと多いのだが現在エイホン家に住んでいるのはセイレケのみ

*16 数代遡れば城持ちの領主だった家系の様子

*17 嫁という建前で召使同然に使われる事を危惧したため

*18 もしアゼルに嫁が居ればそちらの縁を頼る事も出来たかもしれないし、それこそアミルの縁を頼って街から必要な物の購入等も出来たかもしれないのに。

*19 アリ曰く「「それはめでたい、おめでとう!」と言いながら喰ってりゃいい」との事

*20 作中の主要人物で馬に乗れなさそうなのはアニスとシーリーン位かも?

*21 作中の地域では夫婦といえど財布は別、が基本