ヴィクティム(サイレントヒル)

登録日:2010/12/17(金) 18:46:48
更新日:2024/12/12 Thu 20:31:54
所要時間:約 6 分で読めます




『ヴィクティム(VICTIM)』はゲーム『サイレントヒル4 ザ・ルーム』に登場して来る敵=ゴーストである。

サイレントヒル』シリーズの敵と云えば怪物=生理的嫌悪感を齎すデザインの悍ましいクリーチャーが存在していたが、それらとも違う別の存在。

属性・能力は“ゴースト”のイメージ通りの典型的な“幽霊”のそれであり、生前の人間の姿をしているのが特徴。
肌は真っ白で、身体のあちこちから血を流し、呻き声を発しながら空中を浮遊している。
ゲーム中では裏世界(異世界)の壁の穴から出現した後、障害はおろか壁すら物ともせずにヘンリー(プレイヤー)を追跡してくる。
それどころか世界すら跨いで出現してくる執拗さ。

直接的に攻撃を加えてくるばかりか、負の波動により近付くだけでダメージを与えてくる。
これだけでも厄介なのだが、何しろ“幽霊”だけに完全に倒す事が不可能な仕様となっており、此れが非常に厄介
……いや、厄介というかウザい
今作のアクションの難易度の高さもあってか、ライフの管理が非常にシビアなのに、ゴーストは好き放題襲ってくる。
プレイヤーは容赦なく減らされるライフの残量に怯えながら、這々の体で逃げつつ謎解きをしなければいけないハメになる。
勿論、ちゃんと攻略の手順が解っていれば“緊張感のある要素”と見ることも出来るのだが……。
従来のシリーズのように何とかクリーチャーを倒してしまえば落ち着いて謎解きが出来た事が、本作では不可能になった。
特に悍ましくも魅力的な“サイレントヒル”の世界観をじっくりと探索出来なくなったのは大きなマイナス要素。
それゆえ本作の評判を落としてしまうことになった。
(賛否両論が多いとか「失敗作」とまで言われることもある『4』だが、大抵はゴーストの存在が理由として挙げられる。)

一応、この厄介なゴーストの動きを完全に止める手段もゲーム中には用意されている。
それは攻撃を加え続けてダウンさせた後に特殊アイテムの「帰服の剣」を使用することである。
逆に「帰服の剣」で縫い止める以外に、真の意味での撃退は不能。ゴーストはダウンさせても程なく起き上がってきてしまう。
この辺は『SIREN』の屍人にも似ているが、前述のゴーストの特徴もあってか、遥かに攻撃手段に恵まれてるにもかかわらず、ウザさのレベルが段違い。*1
「セントメダリオン」を装備していれば、近くにいるだけでダメージを受ける「負の波動」は抑えられる。……まぁ、割と直ぐに壊れるんだけどね。

しかも、この「帰服の剣」はゴーストの数だけ用意されていない。
なんとゲーム中で入手できる最大数は5本のみ
後述に登場する“ゴースト”を挙げているが、とても足りないのがお解かりいただけるだろう。

勿論、攻略を突き詰めた腕利きプレイヤーやRTA走者やTASさんなら「帰服の剣」に頼らずとも攻略は可能。
だが、通常プレイでは特に“ボスゴースト”を一体でも放置することのリスクの恐ろしさが解ろうというもの。
理不尽すぎる難易度に一役も二役も買っており、本作の不評の原因となっている。

……以上の特徴から、従来のファンからは余計な要素として嫌われる向きもある一方で、本作の個性として受け入れる人も少なくはない。
シリーズ中でもオリジナル要素の強い『4』の物語に深く関わる存在である事から、同作に肯定的なプレイヤーからの評価は決して低くは無かったり。
実際、確かにウザいはウザいがボスゴースト以外なら案外と振り切るのも難しくはないし被ダメージも多くはない。
ゲームの雰囲気や攻略に慣れてしまえば……という要素の一つではある。
だがやっぱりウザいもんはウザい。


※以下、一部ネタバレ注意。






【21の秘跡】

ある目的の為に『4』の異変の黒幕であるウォルター・サリバンが行った「聖母派」の秘術。
以下に秘術による生贄(犠牲者)を挙げる。
「※ゴースト:」とある者はゲーム中で敵として出現した場合の名称。



【第一の啓示】

■1.ジミー・ストーン

「十の心臓」
赤い悪魔と呼ばれた「教団」の「ヴァルティエル派」司教。
希望の家一階でウォルターに後頭部を撃ち抜かれて死亡。
※ゴースト:VICTIM Old Type
黒いボロボロの服を着たハゲ。様々な場所に現れるが、素手なのでそこまで強くないのが救い。

■2.ボビー・ランドルフ

「十の心臓」
オカルト好きの巨漢少年でジャスパーの友人。
友達とサイレントヒル観光をしている際に耳にした噂話に、興味本位で首を突っ込んだのが運のつき。

■3.セイン・マーティン

「十の心臓」
ジャスパーの友人で、やはりオカルト好きの少年。ガリの方。
ボビーと同時に殺されたかは不明。2人はヴィクティムではなく車椅子のザコ敵ホイールチェアと化した。

■4.スティーブ・ガーランド

「十の心臓」
ゲーム中に登場して来るペットショップの主。
シリーズに同姓の登場人物が居るが、おそらくは無関係。
ウォルターに胸以外をサブマシンガンで撃ち抜かれ、店のペット達共々死亡。
※ゴースト:VICTIM 04
生前から使っていたシャベルを武器として所持している。
体力も一般ゴーストの中では高く、厄介な相手。

■5.リック・アルバート

「十の心臓」
ゲーム中に登場するスポーツ店の主。
スティーブ・ガーランド殺害の直後にウォルターにゴルフクラブで殴られて死亡。
車椅子ホイールチェアとなって彷徨う。

■6.ジョージ・ロステン

「十の心臓」
「教団」の「ヴァルティエル派」司祭。聖母派の管理を任されていた人物。
ジミー・ストーンの右腕であり、彼の命令でウォルターを術者として育て上げた。
希望の家地下祭壇室でウォルターに鉄パイプで殴られて死亡。
車椅子ホイールチェアとなって彷徨う。

■7.ビリー・ロケイン

「十の心臓」
サイレントヒルに住む小学生男児。

■8.ミリアム・ロケイン

「十の心臓」
サイレントヒルに住む小学生女児。
サイレントヒル2』で言及されていた「ウォルター・サリバン事件」の犠牲となった双子の兄妹。
2人とも自宅前で遊んでいるところをウォルターに斧で殴られて死亡。
〝ある理由〟から『4』の裏世界に於て異形の怪物と化した。
※クリーチャー:VICTIM 07+08
黒い布を纏った大柄な体躯に幼児の頭が横並びに二つ、下半身は無くそれを補うように異様に長い両腕を持つ化け物。
他の犠牲者達と異なりゴーストではなくクリーチャーと化している為、倒すことが出来る。その代わりいっぱい出てくる。

■9.ウィリアム・グレゴリー

「十の心臓」
時計屋の主で、生前は腕利きの時計職人だった老人。
ゲーム中で重要なメッセージとなる日記を残している人物。
ウォルターにマイナスドライバーで喉を刺されて死亡。
車椅子ホイールチェアと化した。

■10.エリック・ウォルシュ

「十の心臓」
ゲーム中に登場するバーのバーテンダー。
誕生日に帰宅した所に待ち伏せていたウォルターに顔面を撃ち抜かれて死亡。
彼のゴーストは「帰服の剣」で縫い止められていた。
※ゴースト:VICTIM 10





■11.ウォルター・サリバン

「解放」
「21の秘跡」の術者。十年前ビリー、ミリアム兄妹の殺害により逮捕される。
勾留された後に、留置場で自らの喉をスプーンで突き刺し自殺した筈だが…?

『2』においても名前だけ登場している。




【第ニの啓示】


■12.ピーター・ウォールズ

「虚無」
ジャンキーの高校生で、赤いジャージを着てニット帽を被っている。
小心者でヤクをキメてハイになってる最中、「神を見た!」と叫び突然行方不明となる。
「ウォルター・サリバン事件」から2年半後に殺害(●●●●●●●)された。
※ゴースト:VICTIM 12
「建物乱立の世界」を徘徊…もとい放浪している。
他のゴーストより少し体力が多く素早い。

■13.シャロン・ブレイク

「暗黒」
教団信者の母親で、黒い帽子をかぶった背の曲がった老婆。
教団に息子を返すよう直談判しに希望の家へ向かう途中で、その息子の墓を見つけてしまう。
「ウォルター・サリバン事件」から3年後に殺害
※ゴースト:VICTIM 13
全ゴーストの中でも最弱の存在。死んだ息子を探して徘徊している。

■14.トビー・アーチボルド

「憂鬱」
「教団」の「聖母派」司祭。ロリコン。
揺らぐ教団を立て直すためにマリファナの密売などで資金を得る。
そして希望の家を再開させるなどして市議会議員にまで上り詰めた。
「ウォルター・サリバン事件」から7年後に殺害
※ゴースト:VICTIM 14
後頭部が血まみれのゴーストで、結構強い。



■15.ジョセフ・シュライバー

「絶望」
主人公ヘンリーの住む302号室の以前の住人
フリーランスの事件記者であり、独自に「ウォルター・サリバン事件」の真実を追うも闇に捉われて現世から姿を消した。
名前と記事は『3』の時点から登場していた。
ヘンリーに届く「赤いメモ」を残した人物。



※以下はゲーム中に登場する重要人物。
上記四人は通称で“ボスゴースト”と呼ばれる強大な障害となる。



【第三の啓示】


■16.シンシア・ベラスケス

「誘惑」
ヘンリーが地下鉄の世界で出会う魅惑的な女性。異世界を自分が見ている夢だと思い込んでいる。
ジュニアハイスクール時代にウォルターと出会い、ウォルターの綺麗な顔に興味を持つも、その時の奇妙な態度からウォルターを罵っていた。
地下鉄でヘンリーと別れた後にウォルターにナイフで滅多刺しに惨殺され、そして…。

※ゴースト:VICTIM 16

通称・シンシアゴースト
長い髪と巨大な口が不気味なゴースト。
四つん這いで高速移動する他、飛行して髪の毛を巻き付けて来る。
宣伝用のビジュアルにも多く使用されていた。


■17.ジャスパー・ゲイン

「起源」
ヘンリーが森の世界で出会うオカルト好きの青年……というか中年?吃音症持ちで独り言が多い。
10年前に友人を〝悪魔〟に殺害され、畏れながらも彼に憧れていたイカれ野郎。
自身も殺されそうになるが間一髪で逃げ出したものの、結局悪魔の事が忘れられずに戻ってきた。
希望の家に訪れた際に自ら炎に包まれ、衝撃的な死を迎える。

※ゴースト:VICTIM 17

通称・ジャスパーゴースト
死亡時と同様に炎に包まれた姿で登場。武器として燭台を手に持っている。
耐久力、回復力は全ゴースト中で最高。劇中最強のゴーストと言っても良い。



■18.アンドリュー・デサルヴォ

「監視」
ヘンリーが水牢の世界で出会う冴えないデブの中年男。
無類の酒好きで暴力アル中。牢に捕らえられ、ウォルターを畏れ続けていた。
「教団」の管理する水牢の監視員として雇われ、子供達を虐待していたらしい。
幼少期のウォルターにも暴力を振るっていた。
その為、水牢に囚われている子供達からも相当恨まれており、ある者は殺害計画を立てていた。
子供たちの間でついたあだ名は「デブオーガ」。
ヘンリーによって牢から出られたが、結局拷問部屋でウォルターに惨殺される。

※ゴースト:VICTIM 18

通称・アンドリューゴースト
水牢の狭い通路内に出現。上半身裸で、腹から出血している。
生前の怯えた様子は何処へ行ったのか、歌を歌いながら現れる。
回転しながら体当たりを仕掛けて来るなど、まともに戦えば強いが…。
倒した時に下に落ちない様に注意。
ボスゴーストの中で唯一倒さないと先に進めない。


■19.リチャード・ブレインツリー

「混沌」
ヘンリーの住むアパートの住人。「建物乱立の世界」で出会った、スーツを着た中年男性。
穏やかそうに見えるが、実は気に入らない事があればすぐに怒鳴り散らし、挙句に暴力行為も加える危険人物。
リボルバーを携帯しており、異世界でクリーチャーと戦っていた。
彼が所有していたリボルバーは後にヘンリーの力となる…。
電気イスにより感電させられると云う末路を迎える。

※ゴースト:VICTIM 19

通称・リチャードゴースト
感電死からか全身や衣服が黒焦げていて、武器としてバールを持っている。
ゴーストでは珍しい歩行型だが、巻き戻しの様な奇妙な動きや瞬間移動をして来る。





【最期の啓示】

■20.アイリーン・ガルビン

「母体」
303号室に住む若い女性で、ストーリー最後で生死が決まるのでゴーストとしての登場はない。
本作のヒロインともいえ、幼少時にウォルターと出会っている。
彼が孤独と寒さをしのげるようにと人形をあげたが、その人形はウォルターの負の力を吸収し呪いの人形と化した。


■21.ヘンリー・タウンゼント

「知恵」
本作の主人公。
ゲーム終盤の怪奇現象の一つとして、ヘンリーは殺害された己の姿を見る事も…。






※ゴースト:VICTIM 11

偶像の肉体。





【帰服の剣】

ゲーム中で僅か数本のみが登場する特殊な剣。
武器としての使用は出来ないが止どめを刺した後に使用する事で、ゴーストをそこに縫い止める事が出来る。
数に限りがあるので、ボスゴーストに対して〝登場直後〟に使用しておくのが有効で、そうしないと攻略中や最終ステージで「地獄」を見せられる事になる。






【余談】

ウォルター・サリバンの名が最初に登場したのは『サイレントヒル2』だが、その当時は「教団」の設定は出来ておらず、記事に出て来る「赤い悪魔」=「三角頭」であると思われていたが、上記の様にウォルターを指導した「教団」司祭(ジミー・ストーン)の異名だったとして改められた。









追記、修正は21の秘跡を阻止してからお願いします。

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最終更新:2024年12月12日 20:31

*1 屍人はダウンさせた後に移動した後は存在をスルーできる場合が多いが、ゴーストは範囲内ならアクティブに追跡してくるし直接に接していくなくてもダメージを受けるのでストレスの度合いが段違いに高い。