SIREN

登録日:2010/02/26 Fri 12:43:22
更新日:2025/04/16 Wed 12:44:55
所要時間:約 24 分で読めます






どうあがいても、絶望。


2003年11月6日発売。
SCEから発売されたホラーアクションゲーム。
オーディオメーカーにも同名の会社があるが、この項目ではそちらについては扱わない。

2006年に続編となるSIREN2が、2008年にリメイク版「SIREN:New Translation」が発売された。




【あらすじ】

0:00、赤い海からサイレンが響き、一つの村が消えた。
その村にいた人々は、自分たちが謎の赤い海に囲まれた異界に取り込まれたことに気付く。
そこは、『屍人』と呼ばれる怪物たちが支配する世界。
絶望的な状況に追い込まれた人々は、果たして異界から脱出することができるのか…。


【概要】

キャッチコピーは「どうあがいても絶望」

テクモ(現コーエーテクモゲームス)の『零』シリーズと並び、当時のホラーアクションアドベンチャーゲームでは珍しい和風テイストを打ち出したビジュアルが特徴。
ただし、本シリーズでは実際の役者をモデルにした、より生々しいキャラクター造形や、和風ホラーだが敵として出てくるのは幽霊ではない*1
基本的に敵は倒されても時間が経つと復活してしまう等、当時の同系統のゲームや一般的なイメージからは色々と外れた独自性が打ち出されている。

内容についても、世界観の核にクトゥルフ神話を彷彿とさせる設定が見られることを始めとして、
東西の名作ホラー、諸星大二郎や伊藤潤二の漫画作品から引用、あるいはインスパイアされたと想像される部分が多く見られ、
そのテの作品が好きな人間だとニヤリとさせられるのは間違いない。
また、和風ホラーを代表する作品と捉えられている一方で、作中に登場してくる眞魚教のイメージやゲーム内の設定、用語の多くを聖書伝説から引用されているのも特徴。
登場人物の容姿や風俗、建物といった舞台は昭和〜平成時代の日本らしさが強いのに、何処となく歪んだ異国感も混在しているという歪な印象を受ける世界観が特徴である。
舞台となる羽生蛇村の無理くさい名前はバミューダトライアングルに由来する等、恐らくは意図的にシリアスな笑いも込められている。


物語の構造としては、いわゆる群像劇として描かれており、須田恭也がゲーム上では主人公として扱われるものの、
彼以外にも操作できる登場人物が複数人存在し、彼らを操作するステージでは物語もその人物の視点で描かれるため、
宮田司郎を筆頭に、須田以外にも主人公と呼べる登場人物は複数いる。
むしろ、須田は立場的には「村の因習に巻き込まれた一般人」なので、序盤と終盤以外はそこまで活躍していなかったり。

ストーリーについては、初見ではまず理解しきれないと思われるが、ループ構造に陥ってしまった、閉ざされた繰り返しの世界が舞台となっており、
主人公となる(操作できる)キャラクターが何かしらの結末を迎える度に時間が巻き戻り、再び冒頭の展開から始まる……という構造となっている。
ゲームでは何度も同じステージを選択・プレイできるのだが、物語の構造を考えれば、主人公たちもプレイヤーと同じく、何度も同じ時間を繰り返していると言えるのだ。


ゲームにおいては、プレイヤーは各ステージの主人公となるキャラクターを操作し、設定された終了条件を満たしながらゲームを進めていくことになる。
この終了条件には、如何にもゲーム的な…というか、現実的に考えても置かれた状況から脱するのに当然と思われる行動を取る“終了条件1”と、
危機的な状況にも関わらず、水に濡れたタオルを冷凍庫に入れて凍らせたり、草むらに埋もれている石碑を見つけ出して起動させるなど、
現在の追い詰められた状況を脱するのには無関係としか思えない謎行動を取らされる“終了条件2”がある。
後述のように、実はゲーム中での重要行動となるのは“終了条件2”の方であり、
これは先に述べた通り“終了条件2”がループして閉ざされた世界からの脱出を目指した行動として設定されているため。
そのため、ゲーム的にも最初は“終了条件2”のフラグが解禁されておらず、各登場人物が“終了条件1”を積み重ねた先、
言い換えれば「各々が当たり前の行動を取っていった結果」である、閉ざされた時間軸の果ての(どうあがいても絶望の)結末を見た後に、
ようやく提示された“終了条件2”の行動を各登場人物たちが積み重ねていくことで、決められた物語・結末に抗っていく展開となっている。

しかし、だからといって登場人物全員が生存してハッピーエンド…なんてものを迎えられるというわけではない。
どちらの行動を取っても死亡する運命を避けられない登場人物は数多く存在するが、それでも各々が出来得る限りの可能性を紡いだ結果、
それが最後まで生き残った者たちにバトンとして繋がれ、彼らが閉ざされた世界から脱出する力となるのである。


シナリオ以外の本作の大きな特徴としては『視界ジャック』が挙げられる。
これは、ステージ内にいる敵味方の視界を盗み見ることができるシステムである。
本作における主な敵である「屍人」は、不死身という設定故に一度倒しても一定時間が経過すると復活する仕様になっている上に、
屍人の種類や所持している武器、操作キャラクターの耐久力にもよるが攻撃力も高めで、場合によっては一撃でゲームオーバーになることもあるため、
こちらが丸腰の時に襲われたり、複数体の敵に同時に見つかったり、銃を持っている敵に発見されるとほぼゲームオーバーと言っても過言ではない。
そのため、視界ジャックを使って周囲の屍人の動きや位置を確認しつつ、彼らに見つからないように移動するのが基本となる。
さらには、屍人が見ているものや独り言の内容、平常時の行動パターンが謎解きに関わってくることもあるため、これを使いこなさないとまずクリアできない。

また、本作は、

  • ずっと走らせているとキャラクターが息切れを起こして移動速度が遅くなり、それでも走るとやがて立ち止まって息が整うまで行動不能となる。
    • そのため敵の目を盗みながら慎重に進むことを余儀なくされる。
  • 手に入る武器はバールのようなものや火かき棒などの日常用品が多く、攻撃力も低く設定されておりゴリ押しプレイは困難。
    • 武器を持つことすら出来ない(人を殴れない)操作キャラもいる。なお、素手で殴ったりは(ゲーム中は)できない。
    • 敵は倒しても一定時間経過で復活するため、武器が弱いのもあって、これまでのホラーゲームのような「敵を全滅させながら進む」プレイングは実質不可能。
  • 操作キャラの耐久力は低く、攻撃力の高い敵であればワンパンで死んだりする。とあるキャラクターは敵に触られた時点でゲームオーバーに。
  • 銃は強力な分弾数が少ないが、敵には弾数制限は存在しないため、射程が長い猟銃を持った敵が登場するステージは例外なく難関。
  • 地図は表示されているが、操作キャラや敵の位置などは表示されない。建物などの配置も複雑で、敵やアイテムの位置を暗記していないとひたすらぐるぐる歩かされる羽目に。
  • 終了条件(クリア条件)はほとんどノーヒント。特に第2終了条件に関しては「わかるかんなもん!」「いや、それ何処にあるんだよ…」とキレても仕方ないくらいにヒントが乏しい。

……等々、それまでの同ジャンルのタイトルと比較しても類を見ない難易度の高さを誇り*2、多くのプレイヤーを絶望させたマゾゲーとして有名。

しかし、前述の通りの緻密な世界観・設定や多くの伏線を張りながらも謎を残して終わるシナリオが話題となり、根強いファンを生み出した。
ただゲームをクリアしただけではシナリオの全てを理解することはできないし、考察や解説を見たところで理解しきれるとは言わないが、
それが逆にファンの想像力を掻き立て、発売当時には公式でも宣伝に利用していたこともあってか、普及し始めていたインターネットでも白熱した議論が交わされていた。

上記の謎の終了条件や攻略の難しさも(公式がネット上でのみ前日譚やSDKの書き込みといった裏設定的なものを公開していたこともあってか)それを踏まえたものとも考えられるし、
そうなることを見越してそういう仕様にしたと考えても、世界観・設定的に納得できるものだったりする。プレイヤーの腕前を上げることは必要だが。

また、前述した通りかなり難易度が高いものの、絶対にクリアできない難易度というわけではなく、
やり込むとクセこそ強いものの、慣れが必要なタイプのゲームなのだと解ってくる。
特に、一般人故に強力な武器を持たず、腕力などが優れているわけでもないという操作キャラクターの特徴から、
敵を倒して進めていくゲームではなく、敵の目を掻い潜って進めていくゲームであることを意識するだけでも違ってくるだろう。


前述のように、ストーリーや世界観やキャラクターなどの作り込みがしっかりなされていることもあり、
『SIREN』が無限にループさせられている世界を描いた物語であるという舞台設定やら、
謎の終了条件2も、その円環に閉ざされた世界から抜け出そうとする人々によって繋がれた微かな希望のバトンであることなどを理解することで、
プレイヤーが制作陣の作りこみの深さを称賛したり、ストーリーなどの奥深い考察にのめり込むという現象が起こったのである。

なので、諸々の作品構造への理解が深まりゲームのシステムに慣れたプレイヤーからは、
「クリアできない=クソゲー」と極端な思考をする人を含む一部プレイヤーを除けば、クソゲーと言われることはほとんどなく、
むしろホラゲーの歴史に欠かせない傑作と評価する人も非常に多い。中にはディスクが擦り切れるまでやったなんて人も。

関連書籍として、公式から様々な用語を解説したムック本『SIRENマニアックス』が出版されている。
全てが解説されているというわけではなく、細かな謎は残っているが、SIRENファン必携の一冊であることは間違いない。
単純に読み物としても面白い一冊だが、その分入手しづらいのが難点。

2018年に本作の実質的なリブート版である漫画『SIREN ReBIRTH』が連載されている。
当初の漫画化リメイク企画が前任者の体調不良により頓挫した後に引き継がれる形での再始動になるという紆余曲折はあったものの、ゲームからの設定を再編しつつ無事に完結させた。


【登場人物】

須田恭也(すだきょうや)

オカルト好きが高じて、ネット掲示板で仕入れた情報をもとに羽生蛇村にやってきた高校生。
自転車がパンクして山を彷徨っていたところで、村人たちによる怪しい儀式を目撃した彼は静かに立ち去ろうとするが、
物音を察知した淳に見つかって追跡され、彼らから逃げ回るうちに美耶子と遭遇する。
何か事情がありそうな上、盲目な彼女を放っておけずに犬の代わりに彼女と共に村の追っ手から逃げようとするが…。
通称SDK。武器は火かき棒と拳銃、狩猟銃、日本刀、宇理炎。後に異界ジェノサイダーに転職する。
「THE BUSTER!」

神代美耶子(かじろみやこ)

須田が山中で遭遇した盲目の美少女。
尊大な口調で話し、同行してしばらくは「ぐーず☆」を初めとする罵倒の数々で一部のプレイヤーを興奮させる。
盲目ながら生まれつき視界ジャックを可能とする程の強い霊的能力を持ち、普段は愛犬のケルブの視界をジャックして『目』になってもらっていた。
だが異界入りした直後にケルブと死別してしまい、以降はその直後に出会った、自分に強い印象を残していた須田に助けられることになる。
その後、一緒に行動するうちに須田に信頼を寄せるようになり、デレを見せ始めるツンデレヒロイン
須田は知る由も無かったが、実は村の暗部に深く関わる人物であり、人としての戸籍が存在しない
「美耶子」という名前も、神代家に生まれ、いずれ「神の花嫁」となる役目を負わされた娘に代々に引き継がれ続けてきた名前である。
彼女は「神の花嫁」として幼少期から村では神聖視されており、たとえ村の中であろうと、事情を知らない人間にはその存在は秘せられていた。
しかし、「神の花嫁」としての役割を(導きに従い)自らそれを拒絶した彼女は、儀式に必要なとあるモノを破壊して逃げ出し、
逃げている最中に偶然出会った、村の外部の人間である須田を頼り、彼に村から連れ出してもらおうとする。
歴代の『美耶子』の中でも特に強い力を持つらしく、それ故にか黒幕にとっては儀式を完遂させ得る存在として期待をかけられていたらしい。
因みに、中の人はガチの霊感少女だったらしく、撮影中は頻繁に「見える」を連発してたらしい……。


竹内多聞(たけうちたもん)

大学で民俗学を教えている助教授。
羽生蛇村出身で幼少時代に地震で両親を亡くした過去を持つ。
強い霊感の持ち主で幽霊の類を見慣れているため、化け物だらけの異界でも基本的に冷静*3
銃の不法所持(確実)とヅラの疑惑(嫌疑)あり。志村じいちゃんと知り合いらしい。
村を離れていたこともあってか、羽生蛇村についてのかなり正確な情報を集めることが出来ており、
彼が集めた情報を記していた手帳は最終決戦に臨んだ恭也の大きな助けになった。
なお、当人は知らなかっただろうが、実は父(臣人)も郷土史家で羽生蛇村の研究成果を実費で出版していた。
某千の風の人にそっくり。

宮田司郎(みやたしろう)

通称撲殺天使みやたん。
村にある宮田医院の若き院長で、どこか影がある人物。
ネイルハンマーを持たせたら右に出る者はいない。スパナ様?え?誰ですか?それ?
春海の内緒の友達という「みやちゃん」も彼ではない。
今作の裏主人公と言える存在。

牧野慶(まきのけい)

通称ヘタレ求道師あるいは丸腰牧師。
村の土着宗教で、キリスト教を彷彿とさせる眞魚(まな)教の求道師。ホラーゲーム界屈指のキングオブヘタレ。
求道女である後述の八尾に精神的に依存しており、単独行動中はうるさいほどに「八尾さん」と口にする。
また、荒事に慣れていないせいか、それとも精神的な問題か、大人の操作キャラクターの中では唯一武器を「持てない」仕様になっており、
この仕様と、前述した精神的な脆さが目立つことから、プレイヤーからは「ヘタレ」扱いされることが多い。
物語終盤にはこの仕様が無くなり、平然と拳銃を扱い、とてもかっこいいリロードまで見せるようになるが…。

四方田春海(よもだはるみ)

観測会にただ一人来ていた小学生。
両親を事故で亡くした影響でふさぎこみがちになり、クラスでも孤立することが多かったという。
ゾンビの街とか霧の深い街とかを平気で歩き回る幼女たちに比べるとごく普通に非力な幼女で、
ゲーム的な事情もあり、彼女が主役となるシナリオの難易度は非常に高くなっている。
いろいろストーカーされて大変な子。
生き延びる為に策を弄する必要があるため、伝説の軍師「四方田春海( しほうでんしゅんかい )」扱いされることもある。
ただ出典の関係から「しほうでんしゅんかい」と呼ぶと「ニコ厨死ね」と言われることもあるため注意。
様々な偶然や幸運が重なり、登場人物たちの中で唯一現実世界に帰還したが、彼女を救助した自衛官は……。

八尾比沙子(やおひさこ)

村の土着信仰である眞魚教の求道女。
聖職者らしく慈愛に満ちた女性で、よそ者である須田の怪我を心配したり、逃がそうとしたりと優しい人物。
ゲーム中でも(メタ的にも)プレイヤーは彼女に最初に助けられることになる。
しかし、意図の読めない謎めいた言動や、村の暗部について知っているような素振りを見せるなど、怪しい人物でもある。
……虚母ろ主であり、始まりにして終わりの存在。

安野依子(あんのよりこ)

竹内の生徒で、彼を慕って勝手についてきた女子大生。
異界に迷い込んでもあまり危機感を持っているようには見えず、「待て」と言われても待たなかったり、
ラジオを使った陽動作戦を行おうとする竹内に「こんなガラクタ拾ってどうするんですか?」と水を差してきたり、
迂闊な行動をしかけて竹内に制止されるなど、良く言えばマイペース、悪く言えば空気の読めない言動が目立つ。
おかげで彼女を「ウザ子」「クズ子」等の心無いあだ名で呼ぶプレイヤーもいるが、後半はそのマイペースさが癒しにもなる。*4
実際のところ、上述の危機感のない言動は、竹内と違って彼女は羽生蛇村の事情を知らないが故のものであり、
一人になってからもマイペースを貫き、時には勇気ある行動や度胸を見せる肝の据わりようは称賛に値するだろう。
エンディングでの竹内との立場の逆転ぶりも語り種。

志村晃(しむらあきら)

羽生蛇村に住む猟師。70歳。
誰が見ても猟師と分かるような服装・装備と風貌のナイスシルバー。
彼のステージはもはやゴルゴゲーも同然である。
彼の一族は代々「勘」の鋭い者が多く、晃自身も八尾の異常性に気付いている稀有な人物の一人だが、
過去のとある事情から、その異常性を表立って主張したりはせず、むしろ固く口を閉ざして生きてきた。
妻や子を早くに亡くし、従兄弟の貴文も村の暗部を探って『行方不明』となった*5ことで厭世的になっており、
異界入りした後、どうあっても異界から抜け出せないことを悟り、「化け物(=屍人)」にならないよう自らの猟銃を使って自殺するが…。

前田知子(まえだともこ)

両親と喧嘩してプチ家出中に巻き込まれた女子中学生。
尚、家出の原因はアイドルにハマりすぎて成績を落としてしまっており、それを心配していた真由美に日記を盗み見られたことに気づいて大喧嘩したのがきっかけ。
異界をさ迷い歩いているうちに牧野と合流するが、事故というより狙撃手のせいで牧野とはぐれてしまい、一人で散々屍人に追いかけられるはめに。
ようやく両親の下にたどり着いた時には、両親(と該当シーンが採用されたCMを見た視聴者)を恐怖のドン底に叩き込む姿になっていた。
その後は仲直りして一家で仲良く暮らしている。ミス裏の顔。

石田徹雄(いしだてつお)

村の警官。
一番最初に出てくる屍人*6であり、銃を持っていることもあって初見で訳も分からないまま彼に射殺されたプレイヤーは多い。
終盤では羽根屍人となってプレイヤーを苦しめるが、生来の酒好きと電気を利用したトラップにかかり拳銃を奪われる羽目に。
「了解…射殺します」

演じたのはゲーム実況プレイヤーの「えどさん」こと江戸清仁。

恩田美奈(おんだみな)

宮田医院に務めていた看護師。
生前は宮田と交際関係であったが、物語開始時点で既に死亡しており、本編では最初から頭脳屍人化した状態で登場する。
恋人の宮田との理沙に執着しており、彼らを執拗に付け狙う。細い身体に見合わず異様にタフ。
劇中では遭遇した理沙に赤い水を飲ませよう(屍人化させよう)とせず、意識を同調させるなど、他の屍人とは若干異なる行動を取るが、
マニアックスによると、これは美奈が臨死状態…つまり生と死の境を彷徨っているような状態で屍人化した影響とされている。

なお、美奈は最初から屍人化しているので生前の人格をゲーム内で知ることは出来ず、事実上裏設定のようなものになっているが、
実は彼女は非常に執着心が強い、尽くす女タイプのヤンデレ気質持ち(意訳)であり、屍人化後も宮田に付き纏っているのは屍人となることの素晴らしさを分かってもらうため*7
理沙と意識を同調したのも、妹に対する姉としての強い愛情が元で、「半身である妹と一緒の状態になりたい」という理由からだとされる。
まあその結果理沙は姉に洗脳されたような状態になり、第二の美奈として行動する羽目になったのだが
ちなみに、美奈のこういった設定をゲームに活かせなかったことへの反省なのか、恩田姉妹をモデルに設定された『SIREN:NT』の河辺幸江は、
ゲーム内で生前の恋人である犀賀省悟に想いが高じすぎてストーカー的行為をしていたこと等が語られている。

余談だが、何故か屍人化した彼女は「かごめかごめ」を口ずさんでおり、その理由についてプレイヤー間で考察されることも*8
ラスト近くの坑道では妹同様ノックバックしない。妹と共に待ち構えていたが━━撲殺天使には勝てなかったよ……。

恩田理沙(おんだりさ)

羽生蛇村から就職のために都会へ出て、スーパーで働いていた美奈の双子の妹。21歳。
だが職場に馴染めずにいたところ、怪しい業界の人に危うく騙されかけたことで傷心し、実家に戻ってきた。
これらの背景からも分かるようにかなりの不幸体質であり、物語に登場してからも徹頭徹尾運が悪い不憫な子。
異界入り後は姉からの手紙にあった宮田医院に向かい、そこで会った宮田としばらく行動を共にするが、
彼とはぐれたところで、既に死亡し、屍人化していた姉の美奈と不幸な再会を果たしてしまう。
変わり果てた姉に殺されるかと思いきや、理沙は彼女と意識を同調させられて*9ナース服を身に纏い、
第二の美奈となって宮田に迫った結果、彼に絞殺されて屍人化。以降は美奈と姉妹で宮田を執拗に追跡するようになる。
しかし持っている武器は。お察しの通り最弱武器。叫び声が非常に耳に刺さってうるさい。
名前の元ネタは本作の中核スタッフであるプロデューサーの外山圭一郎とシナリオの佐藤直子がコナミ時代に出掛け、
本作にも強い影響を残した初代サイレントヒルに登場する看護婦リサ・ガーランドから*10

前田 隆信(まえだ たかのぶ)真由美(まゆみ)

前述した知子のご両親。
真由美は主婦で隆信は役場の職員。(写真が得意で村の広報に載ってる写真は隆信によるもの。)
プチ家出した娘を探しに八尾のいる教会へとやって来た。
はっきり言うとストーリーの本筋には関わらない登場人物であるが、
とあるステージで登場した際のインパクトの強さから、プレイヤー達に強い印象を残した。
母の爆笑エアクッキングは一見の価値あり。父のエア芸も必見。いやはや芸達者な家族である。
詳しくは実際にプレイ、又はプレイ動画にてご確認下さい。

美浜 奈保子(みはま なほこ)

かつては人気を博したアイドルだが、年を重ねる毎に人気が低迷。今は落ち目のタレント。
将来への不安からかヒステリックな言動が多い。天の川を「てんのかわ」と読むなど頭も悪い。
オカルト番組のレポーターとして村に来ていたところ、異変に巻き込まれる。
途中で拳銃を入手するが、一般人のはずなのに拳銃の扱いがうまい。恐らく自身の出演ドラマ「ヒットマンは雌豹」で学んだと思われる。
赤い水が永遠の若さをもたらしてくれると思い込んで入水するが、そのために皮肉な末路を辿ることになる。(元ネタは間違いなく諸星大二郎の名作『暗黒神話』)

高遠玲子(たかとおれいこ)

村の分校の先生。武器はバール。上の傘よりは使いやすい。
天体観測会の引率として学校に来ていたところ、異界に巻き込まれた。
元来生徒想いの優しい先生であったことに加え、かつて娘を亡くしたことがきっかけで離婚してしまった過去から、
クラスで孤立しがちだった春海を、まるで母親のように普段から気にかけていた。
その優しさは春海と共に異界に巻き込まれてからも変わらず、文字通り命をかけて春海を守ろうとする。
終盤にはアフロになったりクチビルゲになったりするが、春海を想う気持ちはずっと持ち続けていた。
最後はのガソリンに火をつけて…

名越栄治(なごしえいじ)

村の分校の校長。
優しい校長先生で生徒からも信頼されていたというが、屍人化後の「はるみちゃんのにおいがするよぉ」の失言でロリコン疑惑を掛けられる羽目に。
イベントで見せたさわやかな校長スマイルで有名。後にヒトデに進化した。
登場する屍人の中でも異様なタフさを誇り、倒してもすぐ復活してしまうため、登場するステージではかなりの難敵。

神代亜矢子(かじろあやこ)

美耶子の実の姉。美少女である美耶子と比べると良くも悪くも普通の顔。ちょっと眉毛が濃い。
代々神代家には必ず二人の姉妹が産まれ、妹は「神の花嫁」となり、姉は婿を取って次の世代を産むのが役目と定められており、
亜矢子もまたその役目に従い、婚約者として後述の神代淳を迎えている。
自分と違って「神の花嫁」として幼い頃から周囲の人々に神聖視され、思いを寄せる婚約者まで執心していることから、妹の美耶子を疎んでいるが、
これは亜矢子自身が神代家の『闇』を何も知らされておらず、美耶子の境遇をほとんど知らないのも原因である。
一応「儀式の際に人身御供となる」ことは知っているのだが、幼い頃から妹ばかりが重んじられてきたことへの鬱屈からか、
人身御供となるその時が近づいている妹やその境遇に同情することなく、自分の事しか考えていない。
一方の美耶子は、村の暗部や真実を知っていて達観しており、亜矢子の方がある意味自分より哀れな境遇にいることも察しているため、
亜矢子の嫌味や敵意を全く意に介さず、むしろその本心を見抜いて内心哀れみさえ向けているなど、亜矢子は一人で空回っているような状況にある。

そんな状況だったため、訳も分からないまま異変に巻き込まれて異界入りし、終盤までなんとか生き残っていたのだが、
「完璧な実」と見込んでいた美耶子を捧げたことで儀式の完遂を確信し、「次の花嫁は必要ない」と判断した黒幕にあっさりと焼殺された。

…と、徹頭徹尾蚊帳の外のままで本編でも何をしていたかほとんど描写されず、さらに登場したデモシナリオも3つ程度と相当少ない。
そのうえ敵として出てくることもないため、登場人物の中では忘れられても全くおかしくない程一番影が薄い。
さらに言えば、黒幕の思惑に反して儀式は完遂できなかったため、実際には生かしておくべきだったのに早合点で殺されてしまったという、
亜矢子にとっては殺され損もいいところな幕切れであった。

ちなみに彼女も美耶子と同じく不完全ながら不死の命を持っている。
よって自らを焼き殺したあの炎が特別なものであったりしなければ、肉体が死んでも精神は死んでいないことになる。
その場合、死後も精神体として一人で異界を彷徨っていると思われる。

神代淳(かじろじゅん)

亜矢子の婚約者で入り婿。元々は神代の家とはなんら血縁関係のない家柄らしい。
厨二病臭い言動からも窺えるが選民思想でもあったのか、楽園に導かれるという大嘘を吐かれていたせいもあるが、
儀式を成功させたところで得するのは八尾だけで、淳や神代家にも“利”はないにもかかわらず、
色々と闇深い神代家の真実を勘違いした末にノリノリで儀式に協力している道化。
こういった事情もあり、婚約者である亜矢子よりも「神の花嫁」である美耶子の方に興味を持っているのだが、
彼女が人身御供であることも理解しており、亜矢子を嫉妬させる目的も込みで執着する素振りを見せているというサド気質。
半ば意地になっていたのか、はたまた何も考えていなかったのか、異常な事態の中でも空気を読まずに美耶子を追い続け須田を銃撃。
二人が永遠に(人としては)別れる直接の原因となる。

最終的には都合よく黒幕に使われ、気圧されるままに儀式を手伝わされた挙句、
不完全状態で復活した、正体も知らぬままに降臨を待ち望んでいた神=堕辰子の暴走に巻き込まれ、あっけなく命を落としてしまった。
人としては死んだものの亡骸が堕辰子が逃げ込んだ“いんふぇるの”*11に堕ちており、そこで半屍人化。
「全てを終わらせてほしい」という美耶子の願いを受けて“いんふぇるの”に到達してきた須田の前に立ち塞がった。笑い声がムカつく。
序盤は狙撃銃を使った銃撃戦。ある程度ダメージを与えると、銃を捨て斬鉄剣と似た設定の日本刀「焔薙」を使って切りかかってくる。
尚、ここでゲームオーバーになると、上記の厨二病全開の高笑いをする。
ラスボス直前ながら、敵としての強さ(厄介さ)は後に控えるラスボス並である。

最後には常世の存在をも滅することが出来る『宇理炎』の炎によって滅ぼされ、遺された彼の『焔薙』が以降の須田の武器となる。
更に、終了条件2では円環から抜け出すべく導かれた人々により紡がれた『木る伝』が宿り、堕辰子の首を落として真の止めを刺す力になることに。

リブート版のコミック『SIREN ReBIRTH』では、神代姉妹の従兄弟兼幼馴染(つまり神代家の分家の出身)にあたる人物になっている。



【クリーチャー】

屍人(しびと)

村を闊歩する怪物。
元は普通の人間であったが、異界に溢れる「赤い水」を摂取した上で死亡したり、
あるいは「赤い水」を一定量摂取したことで、不死の怪物として蘇った(あるいは変異した)存在。
屍人化した直後の「半屍人」状態では、まだ人間だったころの記憶や精神性を有している者もいるが、
屍人化の段階が進み、より異様な姿に変異していくと共にそれらも薄れ、文字通りの化け物となっていく。
プレイヤーを恐怖のどん底に叩き落す敵だが、憎めない一面を見せることもあり、愛されキャラ扱いされることも。
詳しくはリンク先へ。

堕辰子(だたつし)

遥か昔、空から羽生蛇村に堕ちて来たと言われる『常世』の存在。
眞魚教の言う御主とは堕辰子のこと。伝承では翼を持つ蛇として描かれている。
しかし、実際にはそんな格好いいものではなくモチーフはタツノオトシゴである。*12

+ 以下ネタバレ注意
本作のラスボス。
人格が入れ替わった八尾によって行われた儀式によって現世に現れるが、
美耶子が実として不完全だったために儀式は失敗し、これにより理性を失った堕辰子は暴走。
教会の中を暴れ回った後、宮田がダムを爆破して引き起こされた洪水によって屍人の巣が破壊され、
弱点である陽の光を浴びて現世と常世の境目である「いんふぇるの」へと逃げ込む。
恭也は美耶子の導きによって堕辰子を追って「いんふぇるの」へと突入。
立ちはだかった屍人と化した淳を「宇理炎」で滅殺した後、堕辰子とのバトルになる。

堕辰子は普通に目視する事が出来ない透明の状態で、こちらに接近すると腹部にある口で食らいついてくる。
ダメージは数発は耐えられる程度だが、対処法を見つけなければ成す術なくやられてしまう。

鍵となるのは視界ジャック。これだけでもおおよその位置を把握する事は出来るが、恭也に接近するとある方向を指差す美耶子の姿が共に映る。
これを追っていくと、やがて巨大な眞魚岩がそびえ立つ場所があり、そこには視界ジャックを使わずとも堕辰子の姿が映し出される。

最後は居場所を見破る方法を看破した恭也によって「宇理炎」でその身を焼かれ、「木る伝」が宿った「焔薙」で首を斬り落とされた。
その首は八尾によって抱えられたまま共に次元の狭間へと落ちていき、堕辰子の首を探す別次元の八尾へと手渡される事を繰り返す「虚母ろ主の輪」が完成するのだった…




【用語】

  • 赤い水
異界のそこかしこに見られる謎の赤い液体。
現実世界には存在しないもので、現実世界の水(雨なども含む)は異界ではほとんどこれに置き換わっている。
これをなんらかの形で体内に取り込むと、たとえ致命傷に近い傷であっても治ったり、体力が回復したりする他、
登場人物の大半が異界入りした後に「幻視」を使えるのは、少量でも体内に赤い水を取り込んだ影響とされている*13が、摂取量が一定量を超えると屍人化する。
また、取り込んでしまった時点で日本神話における『黄泉戸喫(よもつへぐい)』の原理により、現実世界に帰ることが叶わなくなる。
その正体は堕辰子の血であり、劇中に登場する屍人がみな目から血涙を流しているのは、赤い水の代わりに自身の血液を排出しているためである。
また、異界の羽生蛇村の周囲にある『赤い海』は全てこの赤い水であり、屍人は『海送り・海還り』を繰り返した後、これと一体化すると言われる。

  • 海送り/海還り
屍人と化した人間が日に四度、村に響き渡るサイレンに誘われて『赤い海』に向かい、そしてさらに異形化が進んで帰ってくること。
ゲーム中のムービーでその様子を見ることができる。尚、サイレンのように聞こえる音は堕辰子の叫び声。
上記の通り『赤い海』とは堕辰子の血であり、屍人は最終的にはこれと一体化するのであるが、一度の『海送り』で一体化することはまずなく、
たいていはまだ一体化する段階ではないとして、異形化が進んだ上で村に帰ってくることになる。
ストーリーが進むにつれて異形化が進んだ屍人が増えるのもこれによるもの。
現実世界の村でもおそらくこれを基にしたと思われる民俗行事(当然屍人になったりはしない)が伝わっているとか。

  • 神代の呪い
神代の血に掛けられた呪い。
作中では神代に属する美耶子・亜矢子の他、須田が美耶子の血を取り込むことでこの呪いを受けている。
神代家の者(直系に限る)は先祖が犯したとある罪の影響で、「神=堕辰子」に近付くことを拒絶される呪いを受けている。
これにより赤い水の影響を受けず、屍人にもならない他、神代家に生まれる子供は例外なく女の子となる。
尚、入り婿である淳や美耶子の父親などは元々外部の人間なので呪いを受けていない。
本来一度発症すると止めることができない屍人化も、神代の血(呪い)を取り込むことで進行が食い止められる。
そのため美耶子は須田の屍人化を防ぐべく血を与えた。

+ 以下ネタバレ注意
大本になった呪いは、神代の先祖である八尾に掛けられた不老不死の呪い。
八尾はこの呪いにより、実に1000年以上もの年月を、今の姿のまま生き続けてきている。

その子孫である神代家直系の女性もその影響で、不死となっている。
だが呪いを受けた本人ではないためか呪いの効力も不完全であり、不死なのはその精神(魂)だけ。
よって身体が老いたり朽ちたとしても、魂のみが「精神体」として永遠に現世に囚われ続けることになる。
更に肉体の方も完全に消滅させられない限りは腐るでもなく朽ちたような状態で残るので、想像だに出来ない苦しみを味わわされる。
肉体的には(おそらくは)健康体のままの八尾も、あまりにも永い間生き続けた結果、別人格が生まれるほどに精神的に疲弊していることを考慮すると、
先祖が犯した禁忌のせいで、死ぬことも出来ず、朽ちた身体のまま永遠に生き続けなければならない彼女たちの境遇は、哀れとしか言いようがない。

また、外伝小説『羽生蛇村異聞』の二章にて、先代の神代美耶子が神代家の屋敷の地下道で、
苦しげなうめき声をあげながら這いずる異形の存在を(視界ジャックで)目撃し、恐怖感に駆られて絶叫する場面があるが、
その異形の正体は、神代家の直系で、かつ、『神の花嫁』に選ばれなかった者たちの成れの果てである。

今代の美耶子の姉である亜矢子も、彼女の望み通りにつつがなく妹が『神の花嫁』となっていればいずれはそうなる運命にあったが、
彼女の望みに反して儀式は失敗し、彼女自身も異界に巻き込まれ、彷徨った後に、何も知らないままに八尾に焼き殺される末路を迎えた。
徹頭徹尾蚊帳の外だったこともあり、亜矢子は神代家の宿命などを知る機会もなく、八尾に「用済み」として殺されることになったが、
歴代の神代家の人間のように生き地獄に堕とされることなく死ねたのは、むしろ幸運だったのかもしれない。


【余談】


羽生蛇村のモデルは埼玉県の廃村。
廃墟、心霊スポット巡りブームの中で『SIREN』のモデルになった場所として人気になっている。

ストーリーやシステムで某静岡の一作目に似ている部分があるのは、プロデューサーと脚本が同じ人だから。

CMが怖すぎると抗議され放送中止になっているが、たった7件なので宣伝戦略ではないかと思われる。

割と多くのプレイ動画が動画投稿サイトに投稿されており、解説プレイや攻略プレイと様々なものが上がっているため、
プレイしたけど攻略できない、怖すぎて自分じゃプレイできる気がしないがストーリーは知りたい、というような方は一度探してみるのもいいかもしれない。

2013年8月にはツイッターにて当時のスタッフや出演者がつぶやく10周年イベントが行われた。
収録風景やラフスケッチなど秘蔵の写真もアップされているので、気になった方は「SIREN2013」でググっていただきたい。

2014年には「SIREN -赤イ海ノ呼ビ声-」のタイトルで漫画化。
コミカライズ版として原作に忠実な形で進行していたが、掲載紙の休刊と作者の体調不良が重なり途中で連載休止に。
公式サイトから再開を断念する告知が行われる有様となった。
コミカライズ版と入れ替わる形でweb漫画サイト「Z」の新作漫画として連載されたリブート版に関しては『SIREN ReBIRTH』を参照。

+ どうあがいても(もう少し詳しい)ネタバレ
1300年程も昔、後の羽生蛇村となる村を大飢饉が襲い次々と村人が倒れていった。
村人達は雨乞いを行うも効果は無かった……と思われていたが、それから一月程の後、
流星と共に空から奇怪な形をした岩(後に眞魚岩=別名「天降りの神石」と呼ばれることになる隕石)と、
大きな魚のような姿をした常世の存在、堕辰子の幼体が落ちてきた。

平時であれば、異常な出現をした異形の存在を怪しみこそすれ、食べようなどと思う者はまずいないであろうが、
先に述べたように、この時村は大飢饉に襲われており、生き残った者たちも飢餓に苦しんでいたため、
飢えに耐えきれなかった、あるいは腹の子の為に生きねばならないと思っていた3人の村人は、
上述したように大きな魚にも見える幼体の堕辰子に群がると、その身を食べてしまった。
だが、人間よりも上位に位置する「常世」の存在、言い換えれば“神”とも言える堕辰子の肉を、
その人間である村人たちが喰らうという行為は禁忌に値し、それを犯した村人たちは“呪い”が掛けられてしまった。
人間にその身を貪られた堕辰子がサイレンのように鳴り響く断末魔の叫び声を上げた瞬間、
たちまち堕辰子の肉を口にしていた村人たちは1人の女を残して死んでしまい、それ以外の村人達も程なくして飢饉で死に絶えた。

この時に堕辰子の肉を口にしながらもただ1人生き残った女というのが、
先の通りで生まれてくる子のためにもと堕辰子の身を必死で口にした、後に「八尾比沙子」と名乗るようになった女であった。
しかし、これは許されたから生き残ったなどということではもちろんなく、
生きてはいたものの彼女は常世の存在より“呪い”をかけられており、それは、死した魂の行きつく先でもある常世へと渡ることを拒まれる…、
すなわち、死の安らぎを与えられることなく永遠に現世を彷徨う“不老不死の呪い”を掛けられた……ということであった。
ちなみに、何故彼女だけこのような仕打ち(呪い)を受けたのかは定かではなく、一説には妊娠していたためとも。
なお、「末代まで祟ってやる」というのが、このテの「呪い」が絡むホラーではよくあるフレーズではあるが、
八尾が掛けられた呪いに関しても、八尾当人のみならず、彼女の直系の子孫たちも不完全な“不死の呪い”を受け継ぐ羽目になっている。

八尾はこの時堕辰子の血肉を口にしていたことで、堕辰子とは血肉を分けた同位体・分身体とも呼べる存在になっており、
“不老不死の呪い”によって永く現世を彷徨い続けた後に、八尾は堕辰子に許しを乞うべく、
自らの血族である子孫を堕辰子に生贄に捧げるという形で、間接的に自らの血肉…つまりは『実』を捧げる贖罪を思いつく。

そうして、八尾は呪いによって必ず姉妹で生まれてくる自らの家系に連なる子孫の内、
妹の方を今代の「神の花嫁」…つまりは『実』として堕辰子に捧げ、
姉の方には次代の「神の花嫁」とその次を産む子を産ませるべく、婿を取らせて自身の直系の家系を続かせるようになる。

これを繰り返すことで、いずれ自らの原罪を贖い、“呪い”を解いてもらう。
これこそが、羽生蛇村で行われている儀式の原点であり、八尾の目指す目標である。

儀式の中心となる神代家とは、即ち八尾の直系となる家系のことであり、この家に生まれた女*14は、
“呪い”をかけられた本人ではなくその子孫という関係からか、八尾と比べると不完全な“呪い”を生まれながらにかけられており、
いうなれば“不死の呪い”とでもいうべきその“呪い”によって、肉体がいずれ朽ちても精神だけが永遠に現世に留まることになる。
また、生まれた姉妹の内、妹は必ず「美耶子」と名付けられ、代々、御印=初潮が来ると、
呪いの主(と八尾が思い込んでいる)にして、八尾が復活させようとしているである堕辰子に、
「神の花嫁」として捧げられるという運命を背負わされることになったのである。

また、不死身となる前の八尾の属していた村は、上記の通りに八尾を残して飢饉と呪いにより滅びているのだが、
生き残った八尾が儀式のためにも自らの血族を存続させていくうちに、彼女の血族が近隣の村々の人間たちと混ざり合い、
やがて数を増やしていって新たなる共同体となったのが現在の羽生蛇村である。

このため、実は直系である神代家のみならず、この村に生まれた人間は全員が八尾の血縁者であり、
そして、八尾の血縁者ということは、彼女の身に掛けられた“呪い”の影響を少なからず受け継いでいるということである。
流石に八尾の直系である神代家のようにはっきりとした“呪い”までは受け継いでいないものの、
それでも羽生蛇村に生まれた(八尾の血縁にある)人間は勿論、村そのものも呪われている=因果率が狂ったような状態になっている。
“神”を食べる禁忌を侵して以来、羽生蛇村の立地自体が現世と異界の狭間に存在しているような状態となっており、
儀式の失敗により堕辰子が自身の血と肉で染まった村の一部を異界に持っていってしまうのもこのためである。

羽生蛇村では、独自の信仰として眞魚教が根付いている訳だが、これも上記の通り一族の祖にして、
呪いを受けた張本人である八尾の願いというか妄想に基づき生まれた信仰である。
そして、村人達がそれを疑いもせずに受け入れているのも、呪い=因果率が狂わされているせいだという。
常世に近い異界の住人である屍人や、村人の大半がずっと歳をとらない八尾に一切疑問を持たないのも、呪いによるものとされており、
一部の者を除き、ほとんどの村人は八尾がずっと若々しい姿であることにもし疑問を抱いても、頭がぼうっとし、すぐに疑問そのものを忘れてしまうという。


……そして、ゲーム本編より27年前の1976年。
当時の(ゲーム本編視点では先代の)美耶子は、女中で母親替わりの「澄子」に促される形で、
儀式を拒絶して宇理炎を持たされた上、密かに村から逃がされようとしていた。

更に、同じ頃に新たに儀式が行われるとの報せを聞いた志村晃の息子で、
生まれついて呪いの影響が弱く(=因果率が狂った影響を受けておらず)、以前より八尾の存在を疑っていた晃一*15は、
偶然にも儀式の失敗を企んでご神体である堕辰子の首を持ち出していた。
後のゲーム本編の主人公達のように、彼にも紡がれた因果の導きがあったのかもしれない。

その後、澄子の導きで神代家地下の秘密の通路を抜け出し不入谷教会へと到着した先代の美耶子は、
ここで図らずも堕辰子の首を盗み出してきた晃一と出くわすことになる。

こうして、実である美耶子と、現世に残されている自らの肉体の一部である首を欠いたことにより、
常世より呼び出された堕辰子は完全な儀式の遂行に失敗。
その替わりとして、現世から常世に還る際に羽生蛇村そのものを異界に飲み込んでしまったのである。
これは、本来は『実』である美耶子を吸収して常世に還るのが正常な儀式の手順であるのだが、その『実』が得られなかった上、
更に実体の方の首まで欠けていたことから色々と不十分だった結果、
替わりとして同じく自分の血肉を含んでいる羽生蛇村自体を持ち帰ってしまった…ということらしい。

この時の八尾は、永く生きるうちに自身の素性を忘れており、神代家の女中として働き先代の美耶子の世話をしていた。
つまり、上述の先代の美耶子の世話をしていた「澄子」として暮らしていたのだが、
儀式の失敗によるショックで、本来の自分とその目的を思い出した。
ちなみに、どうして八尾に『澄子』の人格が生まれたのかも不明。
八尾の中にも長年に渡り達成されない儀式の完遂や、自らの子孫を生贄とすることへの疑問が育っていたのかもしれない。
いずれにせよ、この結果と異界化のショックを受けて「澄子」の人格に替わって、
儀式を遂行することのみを目的とする「八尾」本来の儀式の為ならば冷酷で人を人と思わなくなる人格が表層化したという。

その後、先代の美耶子と行動していた晃一は、混乱の中での逃亡途中に傷を負ってしまったのか屍人化の兆候が表れ、
晃一は自らの身体の異常に気付くと、屍人…つまり化け物にならず、人間のままであり続けたいと願い、
先代の美耶子に頼み、自らの身体を拘束の上に杭を打ち込んで「封印」された。
自分を助けてくれたパートナーを失い、ショックを受けていた先代の美耶子も、
「澄子」を装って近付いてきた八尾の素性に気付くことが出来ずに敢え無く囚われてしまい、
目隠し・拘束の上で宮田医院の地下に幽閉される末路を迎え、ある意味でマッチポンプ的な逃亡劇は失敗に終わったのであった。

なお、先代の美耶子が何故か殺されずに幽閉されたのかについては、彼女を溺愛する「澄子」の人格の影響もあったという。
さらに言えば、この時八尾は自分や堕辰子を滅ぼしかねない“宇理炎”を幽閉した美耶子に渡しているが、
それが異界化した羽生蛇村で出会うことになる27年後の人間である宮田に、そして宮田から須田に受け継がれた結果、
最終的には彼が自分と、自身の同位体である堕辰子を滅ぼすことに繋がっている。
自分の障害になり得る先代の美耶子を、その魂は“呪い”によってずっと現世に取り残されることを知りつつ、
敢えて幽閉するに留めるどころか、自分や堕辰子を滅ぼす武器となり得る“宇理炎”を彼女に渡すという、
八尾の目的を考えれば最早支離滅裂とも取れるこの行動の背景には、「澄子」の人格の働きかけがあったとされる。

やがて、儀式が失敗し、村に大きな被害をもたらした張本人が先代の美耶子と志村晃一だと知れ渡ると、
生き残った人々は二人への憎悪から「駆け落ちに失敗した」と噂されることとなったが、真相はこういった経緯だったのである。

この時に異界化に巻き込まれた羽生蛇村=現実世界では土砂崩れが起こったことにされ、
31人が土砂に呑み込まれ、2人が死んだ大災害と伝わることとなった。
登場人物の一人、竹内多聞はこの災害に家族で巻き込まれ、両親を喪ってただ一人、現実世界に留まることとなってしまった。

後に牧野慶、宮田司郎となる双子も異界に巻き込まれつつ生還したが、父親は即死。
母親も、様子を見に来た見に来た牧野の父と宮田の母(元々は兄妹)に子供達を託して力尽きた。
双子はそれぞれ、後継者がいなかった牧野家と、後継者であった本来の『司郎』が異変で死亡してしまった宮田家に引き取られることになった。

二人があそこまで違う性格の持ち主となったのかはその家庭環境に問題があり、
牧野は儀式の失敗に関する責任感に押し潰され、やがて自殺した養父を見続けていたことで八尾に縋るへタレとなり、
宮田は本来の『司郎』を失ったことで精神の均衡が崩れた養母に歪んだ愛情を注がれ、
宮田家の後ろ暗い事情を嫌というほど知りながら育ったため、どこか感情が欠落した人間になったのである。


それから27年後。
御印が出たことで本編に登場する美耶子が「神の花嫁」にされることとなったが、
(幽閉されたままで死ぬことも出来ない先代の美弥子の働きもあり)儀式を拒絶した美耶子は、
ご神体である堕辰子の頭部を持ち出して破壊し、この時点で儀式は失敗。

こうして、またしても羽生蛇村は異界に飲み込まれてしまう。
27年前と同じく、儀式の失敗=堕辰子が異界に還る替わりに村の一部を異界に持ち去るということなので、
こうして異界に取り込まれた羽生蛇村が、27年前に取り込まれた羽生蛇村と混ざり合った異様な世界となったのが、ゲーム中の異界化した羽生蛇村である。
それぞれ異なる時代の羽生蛇村の一部一部を、レイヤーを重ねるように組み合わせているようなものとすればイメージしやすいだろうか。
そして、エンディングの通り、今回も現実世界では羽生蛇村は大規模な土砂災害に呑み込まれたとして認識されている*16

須田は美耶子と出会ってから彼女を村の外に連れ出すべく奔走するが、傷口から体内に入った赤い水によって屍人化が進行していく。
そんな須田を見かねた美耶子は、唯一屍人化を食い止められる神代の血、つまりは自分の血を須田に分け与えることで屍人化を食い止めるが、
これにより、須田も神代の呪いを受け継ぐことになってしまった。


しかし、須田は今回も本来の人格を取り戻した八尾に美耶子を攫われ、自分も大怪我をしてしまう。
そんな彼を救ったのが、偶然彼を見つけ、治療した宮田であった。

宮田は屍人化した恩田姉妹を撃退しつつ村中を走り回っていたが、その中で病院の地下に拘束されていた先代美耶子と邂逅。
ミイラと化しながらも神代の呪いで魂が現世に残っていた彼女から『宇理炎』と呼ばれる神の武器を受け取る*17と共に、
八尾のたくらみを阻もうとする彼女の意思に影響され、その通りに活動し始めていた。
須田(と偶然彼の近くで倒れていた安野)の救助もその一環であり、
宮田は意識が回復した須田に二つあった『宇理炎』のうち一つを渡し、「君の役目だ」と告げた後、宮田はどこかへ去っていった。

須田はその後、儀式を行おうとする八尾の元へ辿り着くが、後一歩及ばず、
美耶子は堕辰子への生贄とされ、その肉体は現世から消滅してしまう。
しかし、これ以前に須田に血を分け与えていたことで美耶子の『実』としての完全性は失われており、
彼女を捧げられた堕辰子は復活こそしたものの、八尾の予想に反して不完全な状態で復活。
その上、突如儀式を行っていた「屍人の巣」の天井部分が爆破されたことで、
苦手な直射日光を浴びた堕辰子は、焼け爛れて弱体化してしまった。

これは須田たちと別れた後、牧野と思いの丈をぶつけ合った後に彼を殺害し、
彼に成り代わる形で「求導師」となった宮田がダムを破壊したことで、「屍人の巣」の屋根が倒壊したことによるもの。

そして宮田は、水が抜けたダムの底で蠢く、半屍人となった村人たちを見つける。
彼らは自分たちが半屍人となった際、未だ健常な他の村人に自分たちが危害を加えぬよう、
自らダムの水底に身を沈め、ずっとサイレンの誘惑に抗い、そして苦しみ続けていたのだ。
永い間生き続け、苦しみ続けてきた彼らを哀れんだ宮田は、「求導師」として、自らの命を代償に『宇理炎』を使用。
『宇理炎』によって発生した煉獄の炎は、屍人をも灼き尽くすという。
直感的にそれを感じ取ったのか、次々にそこに飛び込んで死という安息を得る彼らの姿を見ながら、
『宇理炎』を使った代償で、急激に衰弱していく宮田。
朦朧とする意識の中、自分を呼ぶ恩田姉妹の幻影を見た宮田は、
生前ついぞ見せなかった安堵した微笑を浮かべながら、自らも煉獄の炎の中へ消えていった。

一方、一連の出来事で意識を失った須田は、肉体を失いながらも彼の傍に寄り添い続ける美耶子との中で話す。
そして須田は、美耶子と「あいつら(屍人や堕辰子等)を全部消す」という約束を交わした。

意識を取り戻した須田は、美耶子の導きで八尾や堕辰子が逃げ込んだ『常世』の世界の一つである『いんふぇるの』へと乗り込む。
本来自分に連なる人間や常世の存在しか入って来れない『いんふぇるの』に入ってきた須田を見た八尾は、
彼こそが『実』を盗み、復活を不完全なものにさせた元凶と理解して憎悪を向ける。

美耶子との約束を守るべく、堕辰子らに立ち向かう須田に、もう一つの『神の力』が味方する。
それは、須田以外にも春海を救おうと命を懸けた高遠らが解放した『木る伝』であった。
一方の八尾も、「もう、待つのはいや」と叫ぶや、堕辰子に自らの『実』を捧げ、彼の存在を完全復活させた。

やがて始まった最後の戦い。
須田は神代の呪いを引き受けたことで得た不老不死の命を用いて無限に使える『宇理炎』、
堕辰子の前に戦った屍人と化した神代淳から奪った刀『焔薙』とそれに宿った『木る伝』の力、
……そして、肉体が消滅して魂だけの存在となってなお、須田の傍に寄り添う美耶子の力により、ついには堕辰子を打ち破る。
全ての元凶であった八尾も、まるで白髪の老婆のような姿になった後、
切り落とされた堕辰子の首を抱えたまま、崩壊していく『いんふぇるの』に発生した奈落の底に落ちていった。

しかし、既に常世の存在となっていた須田、そして彼の血を様々な形で体内に取り込んでいた竹内、安野、牧野は、異界から現世に戻ることはできなくなっていた。
唯一赤い水などを摂取せず逃げ回っていた春海も、名越校長の屍人に追い詰められていたが、
屍人と化してなお春海を思い続けていた高遠が校長を道連れに奈落に落ちて行ったことで窮地を脱する。
そして、友達であった美耶子に導かれた須田の手によって、春海は「どうあがいても絶望」な異界から唯一、現世に帰還することが出来たのであった。


その後、須田は美耶子との約束を守るべく、羽生蛇村に残る屍人を殲滅していった。
実はこの須田の行為こそ、村に訪れる前の須田が興味を持っていた『羽生蛇村三十三人殺し』の噂の元ネタであり、
時空がねじれている常世で虐殺している須田の姿をたまたまOP時点より過去の時代の人間が見てしまい、昔の噂となっていたのだ。
(※つまり須田は、自分で自分を呼び寄せたことになる。この辺りも、この作品が『時間ループもの』であることを強く印象付ける設定といえるだろう)

なお、竹内と安野もそのまま異界に残されたとされている。
唯一宮田に殺された牧野だけは、人間としての原形を留めぬ『肉塊』として蘇るという謎めいた末路を辿った。


そして八尾は、切り落とされた堕辰子の首を抱えて奈落に落ちた影響で、その首を必要とする世界に首を届ける「運び屋」のような存在になった。
実はこの恭也に目的を阻止されて年老いた八尾こそが、美耶子にご神体である堕辰子の首を壊されて儀式が出来なくなった本編中のかつての八尾に首を届けた張本人でもあり、永久に失われた首を届ける者=虚母ろ主(ウロボロス)の輪となり、羽生蛇村の『無限ループ』の要因となってしまったのである。*18

…なお、八尾は『実』を捧げることが“呪い”を解く方法と思い込んでいるが、本当に解けるのかは不明である。
「マニアックス」によれば、堕辰子の肉を食べた者達に発動した呪いは『常世の存在を下位の存在が食べる』という禁忌を犯したことに対して、
堕辰子当人ではなく、堕辰子よりも上位の存在が八尾にかけた呪いとされており、
堕辰子がたとえ許したとしても、呪いをかけた大本の存在が八尾を許すとは限らず、そもそも呪いが解けるのかどうか自体不明確である。
八尾は、「絶対に許されない」という絶望に気付かないまま、自分の子孫を生贄に捧げ続けていた可能性もある。
あるいはそれが、本当の意味で八尾にかけられた呪いなのかも知れない…。*19


~劇中に出てくる羽生蛇蕎麦の作り方~

多めの沸騰したお湯で麺を3分間ゆでる。

麺をざるにあげ、冷水でよくそそぐ。

肉水、酢、唐辛子、砂糖で作ったスープに麺を入れ苺ジャムを乗せて完成。
お好みで季節の果物を加えても美味です。

( ゚д゚)ドウアガイテモゼツボー



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最終更新:2025年04月16日 12:44

*1 幽霊が全く出ないわけではなく、とあるキャラクターの話で心霊現象が起こったりはしている

*2 ステルスを強要されるという意味では、バイオハザードやサイレントヒルといったアクション要素のあるホラーゲームとはゲームのジャンルが違うという側面もある。

*3 ちなみに、あるステージでは彼の身に心霊現象が起きている(井戸桶から伸びる子どもの手を見ている)のだが、既にこの程度の心霊現象は慣れっこらしく、竹内はほぼ無反応であった。

*4 因みに、中の人は資産家(軽井沢の不動産王)のご令嬢だったらしく、次々回作の『SIREN:New Translation』では、両親が持つ土地を撮影に貸し出してくれる等、ゲーム内同様にメタ的な意味でも助けてくれたとか。「二万坪ポン☆と貸してくれたぜ」

*5 存在を危険視されて幽閉され、晃は手紙で助けを求められたが、事情が事情なだけに黙殺する他なかったと思われる。

*6 ただし、最初のステージで出てくる石田は異界の影響で発狂しているが身体的には人間のままである

*7 なお、理沙が屍人化した際の宮田の台詞から、美奈を殺したのは宮田であることが判明するが、美奈は自分を殺害した宮田に対して恨みなどは持っていないらしい。

*8 「かごめかごめ」に関する俗説に「妊婦が題材の歌」というものがあり、そこから「美奈は宮田の子を妊娠していたのではないか」という考察がなされている。

*9 屍人化した者がこのような行動を取るのは、作中では後にも先にも美奈くらいである。

*10 ちなみにリサ・ガーランドの元ネタはホラー映画「ゾンゲリア」に登場する看護婦リサ・ブロントから

*11 一応、この場所が眞魚教…というか八尾の言う“楽園”らしいのだが、屍人化したり、神代家の血を体内に取り込むなどしないと入ることが出来ない『常世』(=異界)であることや、世界そのものも黒い空や枯れた大地、柱やピラミッド以外何もない等楽園と呼ぶには程遠かったり、何よりも名称が『いんふぇるの』(=地獄)となっている辺り、色々と制作陣の意図も含めて察せるものになっている。

*12 次回作『SIREN2』にて存在が明かされた、世界の誕生前に存在していた唯一無二の存在『闇那其』の欠片より生まれた分身の一つとのことなので、常世の存在(=堕辰子)を下位の存在(=人間)が食べるという禁忌を咎め、村に呪いを掛けたという堕辰子の上位存在も、おそらくは同系統の(同じように生まれた)“神”なのだろうと予想される。

*13 志村や春海など、生来「勘」が鋭かったり、霊感が強いなどの理由で、「赤い水」に関係なく幻視能力を使える登場人物もいる。

*14 前述のように八尾=神代の血を継ぐ一族の直系の子孫は、因果率によるものなのか例外なく姉妹としてしか生まれてこない。

*15 何故か志村の一族には呪いの影響が弱く「勘」が鋭い者が度々生まれるといい、晃一の父・晃も八尾の異常性に気付いていたが、以前に従兄弟の貴文が八尾の存在に疑問を持ち、騒ぎ立てた末に宮田医院にて精神異常を理由に拘束・始末されたことから、貴文のように触れ回ることなく沈黙を貫いていた。しかし、後述の通り従兄弟に続いて息子まで村の暗部に近付いて行方不明になったことで、晃はすっかり厭世的になったという。

*16 屍人の存在を初め、ゲーム中でプレイヤーが登場人物を通して体験する世界は全て異界の出来事であり、現実世界からは認識されない。

*17 余談だが、地下のある部屋に行くと、屍人化に抗い続けている晃一らしき存在も確認できる。

*18 ウロボロスとは“永遠の象徴”として現される自らの尾を咥えて◯か∞を形作る蛇、或いは竜のこと。不老不死、永遠、死と再生の象徴として扱われる。名前の意味はギリシャ語で“自らの尾を噛む者”であり、本作に於いては自らの尾=自分の子孫を犠牲にしてきた八尾とも解釈できる呼び名となっている。

*19 さらにいえば、本編終盤に八尾自身の『実』を捧げることでも堕辰子が完全復活していたことから、罪を償って“呪い”を解くためには、八尾が自らを犠牲にする必要があったとの考察も。八尾も最終手段として誰に言われるでもなく自らの『実』を捧げている辺り、ある程度はそれに気付いていたが、自分可愛さに目を背け、自分の子孫たちを無為に犠牲にし続けていた可能性もあり、身勝手な女に彼女の子孫はおろか、彼らが住む村やそこを訪れた人間たちも振り回された末、因果律すら狂ってしまったというのが『SIREN』という救いのない物語の本質だったのかもしれない。