登録日:2010/01/01(金) 14:11:48
更新日:2024/05/19 Sun 17:55:43
所要時間:約 10 分で読めます
『課長バカ一代』は、野中英次のギャグ漫画作品である。
講談社の「ミスターマガジン」に連載されていた。
概要
本作は「課長という役職に対して一本気な男」の一代記ではなく、「バカな課長」の一代記である。
項目冒頭のようなバカな言動を毎回大真面目にやる話なのだ。
サラリーマンマンガの筈なのだが、回が進むごとに
ロボットに
宇宙人に天使にと色々出てくるカオスな作品となった。
ストーリーは基本的に一話完結型で、重要な設定が出てきてもいつの間にか無かった事にされるケースが多い。
そのため同じ講談社のサラリーマン物である『
課長島耕作』のような内容を期待してはいけない。
島さんもWebアニメでは巨大化したり宇宙行ったりしてるけどね。
マイナー雑誌の連載にしては人気があり、NHKで実写ドラマ化の計画も持ち上がった程だが、結局実現せず。
そして「ミスターマガジン」の休刊に伴って強制的に打ち切られた。
……が、連載終了から20年後の2020年にまさかの実写ドラマ化。BSトゥエルビで全10話+スピンオフ1話が放送された。
なお、原作の野中氏はこの実写化に際して「本当にやってしまっていいんですか?あとで後悔しませんか?」とのコメントを残している。
また、氏の代表作である『
魁!!クロマティ高校』がきっかけで本作に興味を持ったであろう低年齢層の読者をターゲットにした、漢字の読み仮名を徹底し書き下ろし新作を追加収録したベストセレクションの「子供用」も存在する。
ストーリー
世界でも有数な家電メーカーである松芝電機。
その商品開発部企画課の課長補佐代理心得である主人公「八神和彦」が、様々な思惑・野望・愛憎が蠢く会社の中で時に苦悩し、時に涙を流しながらも、熱い想いを胸に立身出世を目指す……
なんて事は全くなく、八神を中心に役に立たない商品をつくったり、ひたすらにどうでも良い話をダラダラ展開するだけのバカなお話である。
主な登場人物
演:尾上松也
主人公。白いスーツにオールバックという特徴的な出で立ちをしているが、最大の特徴はなんといってもバカ。
家電メーカー「松芝電機」の商品開発部企画課に所属しており、第一話にて「課長補佐代理心得」という「課長みたいなモン」に昇進。以後正規の課長になろうと腐心する。
村上部長からは「パーフェクトなバカ」とまで評されており、ごく一部の社員を除き社内からの信頼は極めて薄い。
八神が変なものばかり作るがために松芝電機の業績は右肩下がりらしい。なぜクビにしない。
一応、ごく稀に真っ当なアイデア商品を企画・開発したり、独自の発想で社内を盛り上げたりすることもある。
そのおかげでクビにならないのだとしたら、ある意味ただのバカよりタチが悪いと言えるかもしれない。
連載中に一度昇進を果たし、「課長補佐代理」へとランクアップ。
更にその後、新たに設立された「第二企画課」を任されることになったが、肩書は変わらず課長補佐代理のまま。以降昇進することはなかった。
双子がいたり、別居中の妻がいたりと無駄に凝った設定があったが、話には一切関係が無かった。
「子供用」のキャラクター紹介では、「すべての出来事はこいつのせい。この男の存在が作者の人生を、ひいては少年マガジンをも狂わせた」と散々な事を言われている。
好きな音楽は山崎ハコ。
他のキャラクターは大抵がクロ高に使い回されるがコイツは使い回されなかった。
実写版では淡々とボケをかます原作と異なり、演者である尾上氏の様々な顔芸が披露される。
演:木村了
八神の部下。作中でも珍しい常識人。
最初は八神の
ライバルという設定だったがいつの間にかただのツッコミ役に。
というか、初登場の第六話以降、
ライバルらしい事はほんの数回程度しかしていない。
「仕事の鬼」と呼ばれ、数多の企業戦士を震え上がらせてきたらしいが、時折八神と共にバカをやらかすためとてもそうは見えない。
社長並びに他の社員が八神の意味不明な発明に騙されている横で一人だけ冷静にツッコミを入れる姿が印象的。
好きな音楽は山崎ハコ。
母親がそっくりという設定を含めてクロ高に使い回された。
実写版では当初こそ八神の手腕に懐疑的であったが、どんどん八神のバカさに浸食されて勝手に八神を尊敬したりするなど、ある意味原作以上にバカになっている。
演:板橋駿谷
八神の部下でありバカ。
最初は
焼き肉の焼き方にいちいちうるさい迷惑な奴というだけのキャラクターだったが、いつの間にかレギュラー化し、とんでもないバカへと進化(というより退化)を遂げていく。
瞬間的バカさなら八神をも凌駕し八神すら完全にツッコミに回ってしまうことも。
八神という火に油を注ぐバカで、コイツと八神がいるだけで会話のレベルはひたすら低下していく逸材。作者唯一のお気に入りキャラでもある。
好きな音楽は山崎ハコ。
前田と同じくクロ高でも使い回されている。
まがりなりにも敬語を使えるサラリーマンであった本作とは違い、モヒカンヘアーの不良で口調も乱暴なのでバカさに更に磨きがかかった。
実写版では体育会系の熱血馬鹿になり、会社を倒産させかねない八神のバカな行動には本気で怒るなど、原作に比べると幾分マシにはなっている。
八神の部下。まじめで知識もあるメガネ君。
八神や林田の無茶な話を肯定し、よりエスカレートするように話を持って行き、八神や林田を暴走させ前田を悩ませるという地味ながら重要な役目を担っている。
後半は上記3人で話を回してるように見えるが実際は上岡を入れて4人で回してる事が多い。
しかし上記3人と比べて地味なため存在を忘れられがちで実写ドラマにも登場しない。
好きな音楽は山崎ハコ。つまりメインキャラ全員が彼女のファンである。
演:永尾まりや
実写版で登場する
オリジナルキャラクター。
原作でわずか2話にだけ登場した鶯谷由紀恵に近いポジション。
原作以上にバカになってしまった前田に代わり、潤いとツッコミを視聴者に与えてくれる。
手帳にポエムを書くことを密かな趣味としているが、その内容はかなり痛々しい。
演:市川左團次
松芝電機の社長。
大学卒業後に数名の有志と共に会社を立ち上げ、一代で世界的な大企業へと発展させた。
が、その経歴に反し、人生において劇的な出来事はさほど起こらなかったらしく、自伝を出版しようとしても書く事が何もなく、協力していた八神らは頭を抱える羽目になった。
大人物のはずなのだが、作中では専らゴキゲンなバカ社長。八神のバカな発明品に感銘を受けたりと、本当に優秀な社長なのか疑問が残る。というより八神や林田を採用したコイツがある意味最もバカ。
よほどヒマなのか、わざわざ部下の所へツッコミを入れに行ったり、「仕事をしている所を誰も見た事がない」と評判の八神の机に監視カメラを仕掛けて観察したりしている。お前が仕事しろよ。
演:武野功雄
八神の上司。
直属の上司なのに何故か村上よりも圧倒的に出番が少なく、そのためか八神に名前を忘れられていた。というか、村上と違って早くに出番自体が無くなってしまった。
社内に企業
スパイが存在して情報をリークしていると勘ぐり、結果的に他社に自分から情報をバラすなど流石八神の上司とも言えるバカ。
実写版では後述の村上のキャラクター像を足したような人物となっており、むしろ村上が八神の上司になったと考えた方が理解しやすい。
演:坂東彦三郎
販売促進部の部長。
登場当初は派閥の拡大を目論む野心家で、対立する井上の部下の八神を「多少バカなほうが扱いやすい」と考え自分の派閥に引き込もうとするが、一度会話しただけで「ありゃパーフェクト(なバカ)じゃないか」と判断し諦める。
その後、度重なるキャバクラ通いによる大量の領収書の処理に困ったり、単なる
ロボット好きになり果てたりと初登場のイメージが綺麗に消え失せ、以後は脇役的キャラとして様々な場面で登場する。
実写版では社長の補佐というポジションのため、原作と最もキャラクターが異なる。
声:山本夢
松芝電機が開発した人工知能を搭載した
ロボット。愛称ボビー。
ドラム缶にジャバラの手足を付けただけのような
作者のやる気の無さが100%反映されたデザイン。
元々は「
焼き肉ロボット」として開発されるも様々な
ロボットに使い回される。
焼き肉ロボットと言っても自動で肉を焼いてくれるわけではなく、「
焼き肉の場に必ず一人はいる焼き方にいちいちうるさい奴を論破する」というものすごくどうでもいいことしかできない。
自我を持っているようで、人と話せたり人生相談ができたりと冷静に考えれば相当凄いロボット。
なおそれが会社に貢献したことは一度も無い。
実は中に人が入っていただけという今までの話を全否定するようなとんでもないオチ。
中の人は時給800円で雇われたバイトの青年だった。
冷静に考えれば松芝電機が自我を持つロボットなど作れるハズもないと納得できてしまうが…
さすがにあんまりな展開だったためか、後に少年マガジンに突如掲載された新作「放置」ではこの設定はうやむやにされ、実写版でもちゃんとしたロボットになった。
若干デザインを変更されてクロ高にメカ沢として使い回され、そちらでは
スピンオフの主役になるほどの人気キャラとなった。
こっちは全然人気が無かったが。
その他の登場人物
ライバル会社「NCE電機」の役員と思われる男。産業スパイを使って松芝から機密情報を盗もうとするものの、八神のバカさに振り回されて結局毎回失敗する。そもそも松芝電気に盗むような機密情報なんてないだろ
NCE電機の下で活動する産業スパイ。産業スパイとして複数人おり、特に盗聴を得意とするサングラスをかけた
田中(仮名)と中近東帰りの眼帯を付けている
佐藤(仮名)は何度も松芝電機から機密情報を盗もうとするが、当然の如く八神のバカの前に勝手に自滅して終わる。
尚、
スパイと言う割にはものすごく目立つ格好をしているが田中はその出で立ちから作者から「陽水」と呼ばれており、それもあってかクロ高で「井野上揚水」「芳田琢朗」として使いまわされた。
サラリーマン漫画に
宇宙人?とツッコみたくなるが、れっきとした
宇宙人。
何度か地球侵略に来るものの、その度に地球人のサンプルとして八神を選んだことが運の尽き。毎回八神の
地球人でも理解不能なバカな行動の前に頭を抱えて地球から去っていく。見ようによっては
八神のおかげで地球の危機を何度も救われたことになる…のか?
これに懲りたのかクロ高に
使いまわし同種族と思われる宇宙人が登場するが、特に地球侵略を考えている様子はなく、打って変わって非常にフレンドリーな態度で接する。
演:若槻千夏
サラリーマン漫画にてん(ry
スキンヘッドにでぶっちょというビジュアルで、突然八神の前に現れては願いを叶えてくれるという完全に出オチキャラ。
あくまで天使にできる範疇の話であり「
どんな願いも叶えてくれる」わけではない。
「八神を正式な課長にする」という願いは「
課長の器にない人物を無理に課長にすると会社が潰れかねない」という理由でできず、かなり微妙な願いしか叶えられれない。
ビジュアルは作者が描く怖い顔をした人物としてよく使われ、後の作品で
車酔いが酷い番長として登場し、アニメ版のクロ高でも山口ノボルが想像する「笑いの神様」のイメージとして使われた。
実写版では松芝電機のイメージキャラクターとして登場。本作のファンでもある若槻氏が演じた。さすがに原作そのままは無理だった模様。
追記・修正は正式な課長になってからお願いします。
- 個人的には「クロ高」より好き。「御社の社風に胸がキュンとしました」はどこかで使いたいと思っているが機会は一生ない気がする -- 名無しさん (2014-01-14 00:53:30)
- 「例えば鼓笛隊、とか」はじわじわ来る -- 名無しさん (2014-01-14 07:08:08)
- 池上遼一風の絵でギャグマンガをやるというだけで腹筋を破壊するしギャグのセンスもエッジが効いてて更に笑いを誘う -- 名無しさん (2016-05-19 20:55:15)
- 「私はね多少のバカと言ったんだ ありゃパーフェクトじゃないか」的確かつ腹筋崩壊するワードですわw -- 名無しさん (2019-02-01 13:31:00)
- まさかの実写ドラマ化決定 -- 名無しさん (2019-11-11 18:09:21)
- マジかよ!? -- 名無しさん (2019-11-11 19:43:58)
- 原作は顔色ひとつ変えず淡々とボケまくる的な面白さがあるけど、それをそのまんま実写化すると盛り上がらないと思われたのか、実写ドラマ版は顔芸や絶叫などで積極的にボケにいくスタイルに改変されてた。でも、大筋は確かに原作と同じだし、「あのネタってこういう風に解釈することもできるのか」と新鮮な気持ちになれて結構面白かった。原作との差違は、実写映画版の銀魂と同じくらいのレベルを想像してもらえば分かりやすいかも。 -- 名無しさん (2024-05-06 15:57:32)
最終更新:2024年05月19日 17:55