ライバル

登録日:2019/04/25 Thu 01:56:18
更新日:2024/02/27 Tue 11:48:59
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解説役「あっ、議論板の「立ててほしい項目を挙げるスレ」に新たな書き込みがありますね」
ヒロイン「『ライバル』の項目を立ててください、だって。やってみたらどうかしら?」
主人公「よーし、一丁項目を立ててやるか!」
???「それはどうかな!」
主人公「何ッ!?」

ライバル「『ライバル』の項目を立てるのはキサマではないッ!」

ライバル「ライバルの項目を立て、このWikiを支配するのは、このオレだ!!!」

ライバルとは、↑こういう人の事である。

ライバル(英:rival)とは、「競争相手」「好敵手」などを意味する英単語。
「○○と競争する、張り合う」という動詞としても使用できる。

同分野で実力拮抗の企業を「ライバル企業」、
実力はあんまり拮抗してない事も多いがとにかく張り合っている球技チームを「ライバル球団」、
割と一方的に敵視しているだけだったりする地域を「ライバル地域」と呼ぶなど、現在はすっかり日本語として定着している。
学生時代、ライバルとテストの点数を競い合ったり、部活のレギュラーの座を競い合ったりした人も多いだろう。え?そんな人いなかった?寂しい青春だったね…
ライバルが存在することで人は切磋琢磨し、1人で勉強したり練習したりするよりもはるかに効率的に成績を伸ばすことができる。
「ライバル」は間違いなく、人類の文明をここまで進化させた原動力の1つである。

なおライバルとはあくまで「好敵手」であり、「敵」ではない。
例えば戦争中のA国とB国は明確な対立関係にあるが、こうした命を奪い合うような関係の両者を「ライバル」と呼ぶことはない。
ライバルが相手に向けるのは「対抗心」であり「敵意」ではないのである。
でも明らかに戦争していた武田信玄上杉謙信はライバル扱いするんだから、人間勝手なものだ。

が、ここはアニヲタwikiなので、そんな事はどうでもよい。
アニメとかマンガとかにおけるライバルとは、「主人公に匹敵する実力を持ち、主人公とやたら張り合いたがる人物」の事を指すのである。


【よくあるライバルキャラクターの要素】


【主人公にライバル意識を持っている】

あまりにも当たり前ではあるが、とりあえずこれが最低条件。
登場当初は主人公が弱くライバル視されない事もあるが、遅かれ早かれライバル視しないことにはライバルにならない。

【主人公と同程度の能力を持つ】

ライバルの能力は主人公と同程度でなければならない。
ライバルが主人公より圧倒的に強ければ、ライバルは主人公をライバル視しないからである。
能力とは劇中で競われる主な能力であり、バトル漫画なら戦闘力であり、あるいはスポーツや料理や頭脳戦の上手さであり、もしくは恋愛漫画における「モテる力」だったりする。
登場当初の実力は「ライバル>>>主人公」である場合も少なくないが、その場合主人公が急成長を見せるか、あるいはライバル側に弱点が設定されるなどして、最終的に概ね主人公と同等に調整される。
逆に主人公がそれまでのライバルを大きく上回る成長を行う場合、前後してライバルも同様にパワーアップし、やはり主人公と同等に調整される。

【ただし、主人公よりは一歩劣る】

ライバルの能力がどの程度主人公と同等かは作品によって異なる。
主人公と常に切磋琢磨し互いに上を取り合う作品もあるが「ライバルも頑張って強くなるが、どうしても主人公が一枚上手」、
或いは「ライバルの方が実力で上回るが、活躍・実績では主人公に軍配が上がる」という作品もかなり多い。

考えてみよう。多くの作品では、主人公は劇中世界においてかなり強い。相当に強い。
ライバルがその主人公より強かったら、ライバルが活躍するだけで劇中で発生する問題が解決してしまう。
これでは主役である主人公が活躍する場所がなく、「これライバルの方が主人公でよくね?」と読者に言われてしまうのだ。
ライバルはあくまで主人公を引き立て作品を面白くするための存在であり、ライバルが主人公を食ってしまってはならないのである。

【プライドが高い】

ライバルと呼ばれるキャラは極めて高確率でプライドが高い。
謙虚な人物は特定の人物を終生のライバルと誓って付け狙ったりしないのである。
プライドが高い人物は、負ける度に「オ…オレは超エリートだ…!!あ…あんな下級戦士にやられるわけがない…!!!」
とか悔しがってくれるので、主人公をライバル視する理由付けが行いやすいのであろう。

【エリートである】

ライバルと呼ばれる人物は高い確率でエリートである。
どのようにエリートかは作品によって様々だが、「天才」「神童」「○○の血を引く」「名門○○学園」「前年度の優勝者」「西部にその名を知られた」「○○財閥の御曹司」「弱冠1○歳にしてバル・ベルデ国立大学を卒業」「○個の惑星を滅ぼした」「知能指数何百」などのすごそうな肩書がなにかしら付いている。
こうした肩書は「ライバルは強い事のアピール」「それに勝った主人公はもっと凄いというアピール」「格上喰いによるカタルシスの提供」「ライバルが悔しがって主人公をライバル視する動機づけ」といった形で、ライバルと主人公のキャラクター形成に大いに貢献する。

【主人公と相容れない思想を持つ】

ライバルと主人公が闘う動機づけとして、主人公とライバルは思想的にも対立している事が多い。よくあるのが、
主人公が「仲間」「友情」「愛」「絆」「四民平等」「正々堂々」などの歯の浮くような言動を行うのに対し、
ライバルは「力こそ正義」「仲間など弱者の詭弁」「強者による支配」「格差社会」「勝てばよかろうなのだァ~!!」などの中二丸出し言動を行う、というもの。

【ライバルは1人とは限らない】

なお、ライバルキャラは別に1作品に1人でなければならないという法則はない。
複数の人物が主人公をライバル視している事もあるし、主人公の仲間1人1人にそれぞれライバルが設定される事もある。
明確な主人公の決まっていない作品では、何組ものライバル関係が成立する事も珍しくない。
ライバルが複数存在する場合、キャラクター性の被りを避けるために2人目以降は上記した「ライバル的な要素」が減る事が多い。
例えば1人目が「大会社の御曹司」なら、2人目は「貧しい村出身の苦労人」といった次第である。

【ライバルはボスに勝てない】

ライバルは敵のボスに戦いを挑み負けることが非常に多い。
「ライバルは強い」「ボスはもっと強い」「それを倒した主人公はとても強い」という三段論法により、ボスと主人公の強さを引き立てるためである。
ライバルはプライドが高く自分の強さに自信があるので、無謀な戦いを挑み返り討ちに遭う役回りをさせやすいのも原因と言えよう。
ライバル敗北を目の当たりにした主人公は、「あの○○がたったの一撃で…」とか「あの○○学園が1回戦で…」とか呟き、新たな敵の脅威に恐れおののくのだ。

ドラゴンボールZの劇場版作品は、この法則を極めて丁寧になぞっている。
ドラゴンボールの映画は、ピッコロやベジータがボスキャラに挑むも倒されて絶望感が漂うも、主人公・孫悟空(またはその息子)がなんだかんだでボスをやっつける」という黄金パターンを、1時間あるかないかの上映時間の中で毎回毎回繰り返していた。
概ね「ライバルはボスキャラの部下の名ありキャラ(いわゆる「中ボス」)までは圧倒し、ラスボスには手も足も出ず倒され、そのラスボスが孫悟空との対決前(ないし対決中)に更にパワーアップする」という手順を取る事が多い。
何らかの創作を行う人々が「いかにライバルを魅力的に描きつつ主人公の引き立て役にするか」を学ぶ上で、劇場版ドラゴンボールは非常に良質な教材と言える。

繰り返しになるが、ライバルは敵のボスに戦いを挑み負けることが非常に多い。
そしてそこからどう行動するかにより、作品内での立ち位置が大きく変わることになる。



【ライバルあるあるイベント】


【ライバル死亡イベント】

ライバルはたまに死ぬ。
ライバルは作品上とても重要なキャラクターであり、読者の人気も高いが、それゆえにライバルが死ぬことにより読者に与えるショック、主人公に与える影響の大きさは計り知れない。
大切な人だからこそ、ライバルは死ななければならないのだ。

主人公は死にゆくライバルからしばしばその遺志を受け継ぐ。あるいはその技や武器や能力を受け継ぐこともある。
一時はライバルの死の衝撃に膝を折り、戦いから身を引こうとするかもしれない。
だが主人公はその挫折から不死鳥のごとく蘇り、精神的に大きな成長を見せるだろう。
主人公はライバルが死ぬことで強くなるのである。

ライバルがよく死ぬ漫画としては北斗の拳ライバルがよく死ぬが特定の儀式を行うとアッサリ生き返る漫画ドラゴンボールキン肉マンライバルも敵も味方もしょっちゅう死ぬ上にとても雑な説明で死んでなかったことになる漫画魁!!男塾がある。

死亡したライバルの代表例と言えば、ボクシング漫画の金字塔・あしたのジョーのライバルキャタクター・力石徹であろう。
力石は作品序盤からライバルとして君臨し、アニメのエンディングが力石の歌になってしまった程の人気キャラであり、
死亡した際には読者のショックが大きすぎてリアルに葬式が開かれてしまったほどである。
ジョーと力石の死闘、そして力石の死は「あしたのジョー」を語る上で欠かせない名シーンであり、人気キャラクターである力石を失ってなお余りあるプラスの効果を作品に与えたと言えよう。

ただし、ライバルの死は必ずしも主人公に良い影響を及ぼすとは限らない。
自らのパンチで力石の死を招いたジョーは、一時期頭部を打てない欠陥ボクサーとなるも、トラウマを乗り越えてリングに復帰。
だが、その後のジョーは力石の亡霊に取り憑かれた幽鬼のようになり、破滅的なボクシングに身を投じる事になる…。

なお、ライバル死亡イベントが発生すると、主人公とその仲間は「あいつは誰よりも誇り高い漢だった…」などの亡きライバルを称えるような発言*1を行い、
それまでライバルがどんな悪行を重ねてきたかについてはほとんど言及されることがなくなる。
日本人には「死ぬとホトケ様」「死人に口無し」という意識が強いらしく、死者に対し非難を行うことを避ける傾向が強い。
どうやらそれは相手が実在の人物でなくとも適用されるようである。

それから、これはライバル死亡イベントに限ったことではないが、
こういう時、ライバルの死を一通り悼むまで敵が攻撃せず待っていてくれるというのもよくあるパターンである。

【ライバルツンデレイベント】

主人公が窮地に陥ったり道を誤ったりした際、ライバルが上から目線で叱咤激励したりそれとなくアドバイスを与えたりクリスマスパーティの招待状を突き返したりして主人公を立ち直らせるイベント。

ライバルは主人公を自らの手で倒す事にこだわるので、「主人公が精神的に病んでそのまま引退」とか「主人公が致命的に弱体化した状態で他のやつに倒される」とかそうした事は絶対に許せない。
しかしライバルはまたプライドがとても高いので、「がんばれ主人公!オレがついてるぜ!」とかそういう事も絶対に言えない。
するとライバルに取りうるのは、主人公と仲良くなるつもりはない事をアピールしつつ、主人公に助け舟を出すという微妙な立ち位置の言動、
つまり「ア、アンタなんか全然好きじゃないんだけど、今回だけはちょっとだけ助けてあげるんだからね!!」というツンデレそのものな行動になってしまうのである。
ヒロインの属性としての「ライバル」も、このライバルのツンデレ性に依拠した物と言えよう。

ライバルツンデレイベントの非常に古い例として、上杉謙信が武田信玄に塩を送った故事が挙げられる。
今川暗黒会議の謀略によって今川領からの塩の輸送を止められ、領内で深刻な塩不足が発生した信玄に対し、義大好きマジメ系委員長キャラの上杉謙信が越後から塩を送ってこれを助けたという故事で、「敵に塩を送る」ということわざの語源となった。
実の所後世の創作とか単なる商売の都合とも言われるこの故事だが、創作なら創作で「ライバルはツンデレなことをする」と江戸時代の人も考えていた証左と言えるだろう。

【ライバル共闘イベント】

対立していたライバルがなんらかの理由で味方となり、主人公と共闘するイベント。
「主人公とライバルにとって共通の強敵が現れたため共同戦線を貼る」というのが基本的なパターン。
ライバル側は「一時的に力を貸すだけ」「強そうな人を倒すために主人公を利用するだけ」「勘違いするなよ(略)」といった言動を行うものの、
共闘イベントを繰り返すうちにいつの間にかなし崩し的に主人公の仲間になってしまうのがお約束である。

ライバル1人と共闘するだけでもかなりアツいイベントだが、作品によってはすべてのライバルキャラが一斉に主人公と共闘するという胸熱展開になる事も。
本編に登場したすべてのライバル校が主人公と共闘したガールズ&パンツァー 劇場版のように、お祭り的な作品に向いている展開である。
ただ、すべてのライバルが味方になるという事は逆に「それまで居た魅力的な敵役をすべて失ってしまう」という事でもあり、作品の魅力が損なわれてしまう危険性も高い。
みどりのマキバオーはライバル全員を味方にしてしまった結果打ち切りに至った好例である。

【ライバル交代イベント】

ライバルがライバルではなくなってしまうイベント。
先述の通りライバルは複数居ても良いのだが、あんまりライバルが沢山居ても作劇の邪魔になってしまう。
上記の通り、ライバルキャラは「ライバルとはかくあるべき」という枷が多いのだ。

考えてみよう。主人公の前に現れた強敵を片っ端からライバルとして温存してしまった作品は、以下のような代物となる。

主人公がパワーアップするとライバル共がこぞって山籠りしたり出生の秘密を知ったり最長老様に会ったりして何ヶ月も主人公そっちのけでライバルのパワーアップイベントが続き、
主人公が街を歩くともれなく敵と味方の区別がつかない危険人物と妖怪○○むしりが徒党を組んで襲いかかり、
そこに「俺の獲物に手を出すな」「違うね僕の獲物だ」「いやいやワシの獲物じゃ」などと叫びながら何人ものツンデレ野郎が主人公を守護(まも)るために出現し大乱闘が発生、
未知なる強敵が現れるとライバル共は数十人で敵を囲んで棒で叩く集団リンチを試みるも全員一撃で倒され、
主人公は「あ、あの○○と××と△△と■■と(略)がたった一撃で…」と1ページまるごとふきだしに使って恐れおののき、
各ライバルにそれなりの見せ場を与えるべくその強敵の部下の中ボスは128人衆くらいになり、
しかもそのうち何割かは生き残って新たなライバルとなり、
主人公がピンチになるとむくつけき野郎どもが見開き2ページに収まりきらないほど現れて「「「「べっ、別にアンタの事なんか好きじゃないんだけど今回は特別に助けてあげるんだからねっ///」」」」と男塾もかくやの大音声(だいおんじょう)で集団ツンデレ大会をはじめる。

こんな漫画、わしは見とうはなかった!!

もちろんこういう事になった作品は古今東西ないので、世の作者はライバルの増えすぎを避ける何らかの工夫を行っている事になる。
ライバルが増えすぎた時、作者に取りうる選択肢は主に以下の3つである。

1:ライバルに死ぬか引退してもらう。上記の通りストーリーに劇的な効果が見込めるが、同時に人気キャラクターを手放すことになるため作品の人気が下がる危険性もある諸刃の剣。
2:主人公に遠くへ行ってもらう。主人公が新たな戦いを求めて未開の地へ行ったり、宇宙に進出したり、異世界に転移したり、マサイ族と野球で戦うために『アフリカ!』へ行ったりする
これならそれまでのライバルキャラが登場しなくなっても不自然ではないし、逆にライバルが必要になれば「主人公!キサマとの決着はついていないぞ!」とか言いながら再登場すればよいので、非常に都合が良い。

そして第3の選択肢が「ライバルをライバルでなくす」事である。

ライバルをライバルでなくすのは簡単だ。「ライバル的な要素」を減らせば良い。
つまり、主人公をライバル視しなくなり、主人公の成長についていけなくなって主人公に匹敵する実力を失い、過剰なプライドを捨てて性格が丸くなり、エリートではなくなり、主人公と思想的に和解すればよい。

別に必ずしも主人公に匹敵する実力を失う必要はなく、その場合は「頼れる仲間」キャラへのジョブチェンジを遂げる事になる。
だが、「頼れる仲間」キャラはそう沢山必要なポジションではない。数人で十分だ。
仮に主人公に匹敵する頼れる仲間キャラが山ほど居た場合、毎週赤穂浪士の討ち入りか映画プリキュアオールスターズのような戦闘を行うハメになってしまう。

かくしてライバルの座から陥落したキャラクターの扱いはおしなべて悲惨である。
そのままフェードアウトできればまだ幸いで、なまじ出番があると新キャラクターのかませ犬をさせられることがほとんどである。
更に、別に強くもないキャラクターがライバル時代同様のエラソーな言動をしていてもキマらないので、ギャグキャラとなってオチ要員としての扱いを受けることも多い。*2
読者や視聴者からは「あの時フェードアウトしてればキャラ的にも出番的にもよかったのに…」と言われることもあったりなかったり。
こうした元・ライバルキャラが「一応居るけど、別に重要でもなんでもないキャラクター」に陥落してしまうことを、
ドラゴンボールで同様の運命をたどったキャラクターにたとえ、俗にヤムチャと言う。

ヤムチャ化は概ね徐々に進行し、「はい君今日からヤムチャね」という極端な転落が急激に発生することはあまりない(稀にはある)のだが、
トーナメントモノにおいて、決勝で会おう!と言ったキャラクターは、概ねその時点でヤムチャ化が決定していることで有名。



【ライバルの立ち位置】


【敵対勢力型ライバル】

主人公と敵対する勢力に属するライバル。
主人公がヒーローならば平和に仇なす悪の組織、主人公が軍人なら敵対する国家や軍事組織、主人公がスポーツ選手なら他のチームやジムに属するライバルである。
このタイプのライバルは主人公と相対すると必然的に戦うことになるため、いちいち「主人公とライバルが戦う理由」を作らなくて良いという点で扱いやすい。
一方で「主人公を見ると襲ってくる」というのはいつものザコ敵となんら変わらない行動パターンであるため、何か他の個性を与えないと「ただの強い敵」になってしまい、ライバルとしての存在感を発揮できない可能性がある。

例を挙げるならば、ニンジャスレイヤーのライバルダークニンジャは、主人公の妻子と師匠の仇でありながら「悪の親玉の懐刀で実際強い」以外のパーソナリティがなかなか明かされなかったため、
連載初期に行われた人気投票に於いて36位というライバルにあるまじき順位を獲得してしまった。

このような没個性化を避ける意味もあり、敵組織に属するライバルは所属する組織を離反する可能性が高い。
フリーザ軍を抜けたベジータや、最初からジオン公国軍を裏切ろうと謀ってるシャアなどが代表的。
組織を抜けると個人として独自の動きが可能となる上、組織が主人公の手により壊滅しても生存できる可能性が跳ね上がり、ライバルキャラとして長く存在感を発揮できる。*3
下手に作品終盤まで勤め人のまま生きていると、人造人間キカイダーハカイダーのように、組織の方から粛清されてしまう事も。

【第三勢力型ライバル】

メインの敵でも味方でもないという、独自の立ち位置にいるライバル。
「敵が居る時は一緒に敵と戦い、ライバルの強さと頼もしさをアピールできる」
「敵が居ない時は主人公に戦いを挑み、ライバルの挟持をアピールできる」という
ライバルキャラとしてもっともおいしいポジションと言える。
組織に属していたライバルが組織を抜けたり組織が壊滅したりしてこのポジションに移行することも多い。

ただし敵対組織に属している場合と異なり、第三勢力型ライバルは「意味もなく主人公に襲いかかる」事ができず、
戦うには「主人公の持つ○○を奪ってパワーアップしたい」等の何らかの事情が必要となる。
この理由付けが上手くいかないと「味方になったり突然襲ってきたりする情緒不安定な危険人物」になったり、
「目を合わせると『○○をよこせ』と叫んで襲いかかる妖怪○○むしり」になったりする。平成ライダーにはどちらもよくいる
総じて、第三勢力型ライバルを初志貫徹した魅力的なキャラとして描くのはたいへん難しい。

とても宙ぶらりんなポジションなので、メイン敵組織が強大化して戦いが熾烈になるに連れて
なんとなく「主人公の味方」ポジションに移行してしまうことも多い。

【味方でありライバル】

完全に主人公の味方になったにもかかわらず、主人公をライバル視し続けているタイプ。
本人の意志はどうあれ、「ちょっと口が悪いだけのただの味方キャラ」になりかねず、このポジションで存在感を発揮し続けるのは容易ではない。
仲間入りするライバルを、これと「頼れる仲間」キャラのどちら寄りにするかはキャラクターの人気を左右する重要事項である。

現実世界では
1:同じ部活に属するライバル達と腕を競い、レギュラーの座を勝ち取る
2:大会に出場し、他校の選手とライバルとなる
という段階が必要なので、多くの人にとって最初にできるライバルは基本的に味方型ライバルなのではないかと思われるが、
どういう訳かマンガとかの中では敵だったライバルが味方になる事が圧倒的に多い。

腐れ縁型ライバル】

別に「ライバルの要素」を持ってなかったのに、本来だったらお互いそこまで距離が縮まる程の立場ではないはずなのに、
長い間シリーズが続くうちになんとなくライバルめいた因縁でつながっちまったヤツら。
「ご長寿シリーズにおける、お決まりの敵キャラクター」且つ「自然に『仲良くケンカしな♪』と、もはや微笑ましさすら感じられるあいつら」、つまり…


なんかがこの意味で「ライバル」と呼ばれがちである。

【自称ライバル】

ライバルとは似て非なるもので、単なるギャグキャラ。
「主人公をライバル視している」が、「主人公に匹敵する実力がない」とこうなる。
「何ィ!我が終生のライバルたる主人公が○○を倒しただと!
 ムハハハハハ!その程度この俺様にもたやすいことよ!
 なぜならこのオレはあの主人公に幼稚園の頃腕相撲で勝ったことがグワーッ!?」
などと叫んで1コマで○○に吹っ飛ばされる(ギャグキャラなので死なない)のが仕事。

【恋敵】

思い人が共通するライバル。
恋敵同士は同性が大半だがまれに異性のこともある。
同性愛がメインテーマの作品では必然的に恋敵同士とその共通の思い人は全員同性になる。
その思い人が関わらない場面だと普通に仲がいい場合もある。
思い人が恋敵同士からは選ばず他の相手と結ばれたら目も当てられない事に…。




【代表的なライバル】


【花形満:『巨人の星』(1966~1971)】

野球漫画の金字塔『巨人の星』におけるライバルにして、我が国のマンガ史において「ライバルとはなにか」を決定づけたと言っても過言ではない人物。
言うなればライバル界に燦然と輝く一番星であり、「ライバルの星」とでも呼ぶべきであろう。いや、「星のライバル」か?

  • 主人公よりエリート。主人公・星飛雄馬がボロ長屋で貧乏暮らしをしていたのに対し、花形は大手自動車メーカー「花形モータース」の御曹司である。
  • プライドが高い。幼少期にイギリスで人種差別に晒された経験から重篤な一番病に陥っている。
  • 主人公と互角。本作は「主人公が地獄の特訓の末にパワーアップする→ライバル達が地獄の特訓の末に主人公を攻略する→主人公が地獄の(略)」という流れを基本とする。
    そのため、花形および他のライバル達の打撃能力は、常に飛雄馬の投手能力と抜きつ抜かれつの拮抗状態にある。

ただし、「ライバルキャラ」の定義が固まった現在から見ると、花形はライバルキャラとしてはかなり異色の性質を持っている。
花形は登場当初こそ不良少年であったが、飛雄馬との対決を経て更生、その後は飛雄馬に心身ともに惚れ込んでおり、後のライバルによくある「思想的な対立」がまったくないのである。
甲子園での激闘の後、涙を流しながら抱き合い互いの健闘を称えるという姿は、後のライバルには見られないものであろう。

シャア・アズナブル:『機動戦士ガンダム』(1979)】

ライバル界の赤い彗星。いや別にライバル界じゃなくても赤い彗星なのだが。
主人公アムロが属する地球連邦軍と対立する、ジオン公国軍エースパイロットである。
彼の特徴的な点として、正義・悪役の単純な対立にとどまらない、思想的な対立を持つライバルという点が挙げられる。

ガンダムを遡る事5年前、1974年の宇宙戦艦ヤマトにはドメル将軍というライバルキャラがいた。
彼も「主人公の属する軍と敵対する軍の司令官」というシャアに類似した立ち位置であるが、彼が主人公達の乗るヤマトと対立したのはあくまでも「対立する軍に属しているから」である。
むしろ彼は度重なる攻勢をことごとく退けるヤマトに敬意を表する、花形タイプのライバルであった。

これに対しシャアとアムロは、単に敵対する軍に属するから、というだけでなく、明らかに思想的に対立している。
それも、主人公が地球の正義を叫び、ライバルは敵軍への忠誠を誓うという、長浜ロマンロボシリーズなど正統派ロボットアニメ的なシンプルな構図ではなく、
アムロもシャアも各国の喧伝するイデオロギーとは独立した所で、それぞれに思惑を持って対立している。
何しろシャアはジオン軍の上層部を謀殺する気マンマンの人物であり、ジオン軍への忠誠なんぞあるはずがないのである。

シャアが思想対立型ライバルの始祖ということはおそらく無いだろうが、少なくとも「ライバルは思想的に対立するもの」という方向性を決定づける一因になった事は間違いないだろう。

まぁ、シャアがアムロと対立するのは恋人殺された恨みもデカいけど

ベジータ:『ドラゴンボール』(1984~1995)】

ライバル界の典型的かつ模範的な存在。
ドラゴンボール自体は1984年連載開始でさほど現代の作品ではないのだが、その圧倒的かつ世界的な知名度、作品人気の息の長さ、そしてベジータ自体の人気の高さにより、ライバル界の第一人者の地位にすでに数十年立ち続けているライバルの中のライバル。
ライバルらしくないところが見当たらないレベルでライバル性の塊であり、「ライバルキャラってどんなの?」と聞かれたらベジータを出しておけば大体説明がつく様な人物。
ピッコロが最初は悟空の「宿命のライバル」とまで言われてた事も時々は思い出してください。

  • 主人公よりエリート。主人公・孫悟空は辺境の惑星に送り込まれたサイヤ人の下級戦士、ベジータはサイヤ人の王子である。
    「オレはエリートだ!」と自分でも頻繁に言う。王朝はとっくの昔に滅んだのにまだ言う。
  • プライドが高い。とても高い。とにかく高い。プライドの塊に手足とシッポが生えたような人物である。劇中でもピッコロがそのように称していたほど。
  • 主人公と思想的に対立している。ベジータは「戦いと殺戮を好む戦闘民族の王子」だが、孫悟空は「戦いが好きだが心優しい地球育ちの戦士」である。
    ベジータは悟空の性格的な甘さが気に入らないし、しかもその悟空が自分より強いのがなお気に入らない。
    ベジータは初対決の後はほぼ仲間と言って差し支えないポジションなのだが、この猛烈なプライドに基づく思想的対立によってライバルらしさを保ち続けた。
  • 主人公に匹敵する実力を持つが、主人公には一歩劣る。本作は「新たな敵が出現→ライバルや主人公が戦うも敗北→主人公が修行などでパワーアップする→最終的に主人公が敵を倒す」という流れを基本とする。
    このプロットの性質上、ベジータはどうしても劇中最強キャラになれない
    頑張って修行して主人公に追いつくのだが、そのたびに主人公が更にパワーアップして抜かれてしまう。それがベジータの悲しみであり、下記に記すライバルの構造的欠陥である。



【最後に】

上記具体例にもある通り、「態度が大きい」、「結局のところ主人公に決定的勝利をした事が少ない」、「ボスクラスの敵に対する勝ち星が少ない」
「『仲間になる訳ではない』と強調しつつも何だかんだ協力・共闘してくれる事もある、ないし遂には正式or実質的に仲間化する」……
といった要素や役回りを与えられる事は、ライバル属性キャラの常である。

それ自体は事実なので仕方ない面もあるのだが、それだけをやたら強調してネタキャラ扱いする事やカリカチュア化する事、
つまり「ツンデレww」「(主人公orライバル以外が倒した強敵キャラ)に全然勝ててない奴が調子に乗ってるww」「格下相手の時だけイキるザコww」……
などとネタにする事に難色を示す者も少なくはない。
「ネタにする・ネタにされる」事も間違いなく一つの愛の形ではあるが、
そのキャラの品性を貶める様なネタは本来人を選ぶ類のものであり、特に『ネタキャラ』扱いを嫌う者にとっては到底受け入れ難いものである。
公式からネタキャラ扱いを受けている者についてはこの限りではないが、それ以外をネタキャラとする時はTPOはしっかり弁えるのが望ましい。








ライバル「ほう、この項目を追記するだと?
 フ…それでこそ我が修正のライバルにふさわしい…!」

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最終更新:2024年02月27日 11:48

*1 ライバルはプライドばかり高くて他人の迷惑を顧みない人物である事が多く、評価点は誇り高い云々だけになりがちである

*2 ギャグキャラ化自体は必ずしも悪いことではない。仮面ライダーエグゼイドの檀黎斗/仮面ライダーゲンムのように、ギャグキャラ化した事で人気が跳ね上がった人物も居る

*3 上記のダークニンジャもその後組織を2つ鞍替えした結果現在はちゃんと人気がある

*4 主に第5シリーズでそういう関係性が強く出ている。