ザークシーズ=ブレイク

登録日:2014/03/19 (水) 17:00:00
更新日:2022/08/14 Sun 13:36:26
所要時間:約 13 分で読めます




覚えておきたまえ オズ君

最後に残るものは 決して希望とは限らない!


Pandora Hearts』の登場人物。四大公爵家の一つ、レインズワース家の使用人である。
CV:石田彰(アニメ/ドラマCD)


初登場は主人公オズの成人の儀。オズがアヴィスを脱出した現場にも立ち合い、国家組織パンドラのメンバーとして活動している。オズ、アリスを自らの部下として扱い、百年前の真実を求め続けている。
主要メンバーの一員であり、三巻の表紙も飾っているが、基本的にワンマンプレイヤーで飄々とした態度をしたり、誰も知らない情報を密かに持っていたりと、オズやギルバート、アリスとは立ち位置が少し違う。
また、かなり初期から余命が少ないことが明かされている。呼称は「ブレイク」「ザークシーズ(レイムやオスカーが主に使用)」「ザクス兄さん(シャロンのみ)」「ザッくん(シェリルのみ)」「ピエロ(アリスのみ)」「帽子屋」
契約しているチェインは「イカレ帽子屋(マッドハッター)」

外見は紅い隻眼の瞳と、白髪、そして病的に白い肌という俗に言うアルビノ。
この世界観では「禍罪の子」(といっても、百年前の差別用語のようなもので、今は使われていない)と呼ばれる人物に当たる。
男性だが、女性のような細さであり、体重も「軽すぎないか…?」と言われる程。そして手がとても綺麗。本人としてはコンプレックスらしい。
正確な描写はないが中性的な美形だと思われる(女装した際に美人と表記された)。

肩には基本的にエミリー人形を置いており、(恐らく)腹話術で漫才を繰り広げる。当のエミリーにも「オマエの肩は座り心地が悪い」と言われるほど。




以下ネタバレ














本当に 私の願いを叶えてくれる…?

本名は、50年前に「赤眼の亡霊」の名前で恐れられた連続殺人犯のケビン=レグナード。シンクレア家に仕える騎士だったが、彼と主人の娘が出かけている間に、彼ら以外の家の者が全て惨殺されてしまう。
後悔だけを繰り返す中、過去を書き換えるためチェイン白騎士(アブルス)と契約を結び、前述のように殺人を繰り返した。手口が巧妙だったのか、圧倒的な戦闘能力故か、捕まらずに100人以上の人間を殺した彼は、しかし刻印の掟には逆らえずにアヴィスの深淵に落とされ、その場で、アヴィスの意志である「アリス」と出会う、幻想的且つ狂気的、しかも躰をアヴィスの力で侵食され碌に動けなくなってしまい左目を抉られてしまう(彼がアヴィスの更に深淵に落とされたのは、彼の紅い目のため)。しかし、ヴィンセントの乱入で空間が崩れる中、彼は叫ぶ。


「アリス!!」


その叫びを聞きとどめたアリスの願いを叶える代わりに過去の改変を行ってもらい、彼は無事に(?)50年後の世界に飛ばされる。しかし、彼が聞かされたのは、彼が望んだ答えではなかった。




確かに過去は書き換えられた。しかし、生き延びたシンクレア家は更に激しい抗争に巻き込まれ、そのさなか、ブレイクと共に生き残った少女がチェインと契約し、一族はやはり滅せられてしまったのだ。
以降ブレイクは過去を変えた己を愚かさを恨みながらも、「アリス」との約束を果たすために行動を開始する。(最初は逆恨みしたらしいが、自らそれに気付き、考えを改めている)








飄々とした態度の裏には紳士的且つ父性を備えた人格者(余裕が無くなってくると生来の生真面目さが見えて来る)。基本的に心の何処かに迷いや苦しみを持ち、何かに縛られ囚われている人物が殆どな中で、物語開始当初から自らの心の鎖と決別し、自らの目的の為の人生を捧げる覚悟を決めている漢の中の漢である。大丈夫そうに見えて、実は危なっかしい主人公達の事を見抜き、気にかけており、直接答えを言うのでは無く、婉曲な言い回しで自ら気付き成長する為の助言をして、危機には駆けつけサポートしてくれる頼りになる大人である。

作者がオズたちの(精神的な)父親役とした人物の一人であり、もう一人のオスカーが温かく彼等を導く大人だとしたら、ブレイクは厳しさを持ちながらも主人公達を見守り続ける立ち位置である。(上記の立ち位置が違うとはその事)


観察眼が異常に鋭く、その人物が抱えている問題を瞬時に見抜いたり、正体が隠匿されている人物の正体をあっさり看破したりする。
物語上、あまりに有用で、主人公の出番を喰いかねない活躍を続けた為、編集者からブレイク禁止令が出た程らしい。
実際、出ずっぱりという状況は基本的に無くなったが、それでも彼が活躍する際には主人公誰だっけ?状態になる。
影の主人公とでも言うべき存在。









人間関係


  • オズ=ベザリウス
本作の主人公。保護者として彼を陰ながら支えていく。作中何度も「似ている」と言われるが
その精神性は大きく異なる。オズの精神の歪みを即座に看破して、「君は何処にいるんだい・・・?」
という物語に於けるオズの命題を与える。



  • ギルバート=ナイトレイ
ブレイクの部下であり相棒。幼少期に彼をナイトレイの養子に送り込むきっかけを与えたのはブレイクである。
からかいがいのある相手としておちょくる事がままあるが、根底では主に盲目的に従い、依存する彼に大きな
不安を覚えている。婉曲ながら、彼に教訓に近い言葉を与える。
ギルバートからは邪見にされながらも、結局は大切な仲間として見られており、また絶対の信頼を寄せている。
最終的に自らの呪縛を破ったギルバートに、ブレイクは安堵の表情を浮かべていた。



  • アリス(黒)
彼女からは「道化師(ピエロ)」と呼ばれて毛嫌いされている。まぁアヴィス脱出直後にフルボッコにされれば
嫌いにもなる。しかし、ブレイクは意外とアリスをフォローしたり、危険から護ってたりもする。
アリスも本気で憎んでいる訳では無いらしく、彼をドヤ顔で「仲間」と認める。



  • シャロン=レインズワース
使える主君。彼女の使用人であり、彼女からは「ザクス兄さん」と慕われている。
恐らく恋愛的な感情を持たれているが、ブレイクとしては妹のような存在だったのか、それとも寿命の短さを
自覚してか、恋愛関係にはならなかった。



  • レイム=ルネット
親友であり相棒。彼が幼い時、レインズワース家に居座った時からの仲。
事務仕事に於いては絶対ともいえる信頼をしており、レイムもまたブレイクの事を信頼している。
休日は一緒に酒を飲んで甘味をほおばっているが、どちらも酒豪の為、酔う事は無いらしい。
因みに、お互いに一つだけ隠し事をしていた。



  • シェリル=レインワーズ
仕える主君。彼の本当に意味での主は彼女と思われる(シャロンは子守に近い)
ブレイクに極秘情報の調査を命じたり、●●の暗殺を命じたりする事から、彼の能力に絶対に近い信頼を持っている
ブレイクもまた、彼女に絶対に近い忠誠を誓ってる。余談だが、この二人が組むと凄まじく凶悪な強さを発揮するが
二人とも、あまり持久力が高く無い。



  • ルーファス=バルマ
親友の主にして、天敵に近い存在。
お互いに良い感情は持っていないようだが、首狩りに対する情報を共有したりと、お互いの能力を信頼してはいるらしい
彼はシャリルが大好き過ぎる「愛」の漢という事を見抜いていた。
終盤に戦闘した際、一見拮抗した勝負をしていたものの、バルマはあちこちに傷を負っていたので単純な白兵戦闘能力ではブレイクの方が上手の模様。
防戦できたバルマも相当凄いが。



  • オスカー=ベザリウス
お互いに酒を飲み合う友人関係。また、お互いに主要人物達の保護者的ポジションにいる存在。
オスカーに対して調べものを要求したりと、身分関係無く対等な関係性を持つ。
顔広すぎない?



  • ヴィンセント=ナイトレイ
ヴィンセントを「溝鼠」と呼び、とても嫌っている。
理由は自らの過去を見ているようだからであり、つまりは自分の黒歴史を直視している感覚を覚えてしまうため。
しかし、更生して欲しいとも願っているようで、何度か気にかけているような言葉を発したりもする。
ブレイクまじ保護者。



  • エリオット=ナイトレイ
彼からはパンドラ最強の剣士と憧れられている。
実際勝負した事があるらしく、その際機嫌が悪かったという理由で開幕直後にブチのめしたらしい。大人げないです。
しかし、物語での絡みは少ない上に、結構散々だったりする。



  • エコー
ヴィンセントの魔の手からシャロンを救ってくれた相手。その為彼女が殴られそうになった際には阻止している。
彼女の正体を瞬時に看破した。とある経験から彼女からは本気で恐れられてしまっている。



  • シャルロット(ロッティ)
バスカヴィルの暗殺者。一回半殺しにした結果、「分の悪すぎる相手」として本気で恐れられている。
協力関係を結ぼうと提案する等、ブレイクも不可解な行動を取っていた。
どうやらバスカヴィルの狙いを最初から看破していたようであり、実際この行動が物語の最後に大きく関わってきた。ブレイクさん、活躍し過ぎです。



  • ファング

彼からは最強の剣士として一目置かれ、前から手合せして見たかったと言われる。
実際戦闘した際、開幕直後に致命傷を与えるが、相手に不死身に近い再生能力の影響、敵の援護、チェインの奇襲、そして半ば死にかけの自分の躰の影響もあって苦戦してしまった。
最終的にブレイクは、ギルバートの援護もあって、ファングを殺す事に成功している。
結局彼はブレイクが視力を喪っている事に気付かなかった。

















  • シェリー=レインズワース
ブレイクを癒してくれた相手。具体的にどういう関係だったかは不明だが、夢の中では膝枕している。
そして回想では自暴自棄になったブレイクに対して素敵な笑顔で辛辣(というより本心を衝く)発言をしている。
意外にドSだったのかも知れない。物語開始時には病没しているが、彼女の遺言をブレイクは大切に守っている。
余談だが、シェリーの鬼畜スマイルはブレイクの不敵なスマイルと似ている。彼女の真似をしているのかも知れない。



  • アリス(白)
ブレイクを未来に飛ばした相手、飛ばされた当初は逆恨みしていたらしいが、既にその感情は無くなっている。
自分の願いを聞いてくれたお返しとして、彼女の願いを聞き届けようとしている。
そして----






更なるネタバレ






















所属する組織「パンドラ」とは別の目的、即ちアリスとの約束「アヴィスの意思(アリス)を殺害する」為に行動している。
彼のチェイン・イカレ帽子屋(マッドハッター)の能力は、アヴィスに関連する存在を否定し、消滅させる事であり、それはアヴィスの核であるアリスであろうとも有効である。
契約するチェインとは本人の相性もさる事ながら、アヴィスの意思も関わっている筈なので、アヴィスの意思が望んでブレイクにチェインを授けたのだろう。




さて、ネタバレも済んだ所で一つ重要な事を記述するのを忘れている。
このブレイク、本編に於いて


    強い


    メッチャ強い




騎士の家系に生まれ鍛錬に勤しんだのか、剣の腕は作中でもトップクラス。更にチェイン殺しのチェイン「マッドハッター」を扱う為、ほどんどの人物に対して好相性で戦える。
尚、二回目の契約の為、躰に大きな負担がかかるらしく、基本的にマッドハッターは不死であるバスカヴィルの民やチェイン相手にしか使わない。
そもそもマッドハッターは人間に対しては無力な為使う必要は0だが。
強すぎた為か中盤から終盤にかけて、大幅な弱体化を喰らってしまっている。(それでも強かったが)
強いて弱点を挙げるなら持久力の無いことだがいざとなれば気合でなんとかする



具体的には
  • 本来人間では敵わない筈のチェインを仕込み刀と体術だけで圧倒
  • チェインの中でもかなり上級に位置するチェシャ猫をして「近づくのが怖い」
  • ピンチに陥った味方を救出すると同時にゾンビ(?)を両断、ロッティを蹴飛ばし、ノイズを背中から剣で突き刺している。そして、その動作が終わるまで誰にも目視されていない。その後その二人を相手に手加減して殺さずに倒して、バスカヴィルにトラウマを植え付けた。
  • 物語中盤で失明しても、一部の察しの良い人物以外、彼が盲目である事に気付かない(慣れた後は、察知した人間も違和感に気付かなかった)
 曰く、気配や音で人の場所を察知して、それを元に脳内で地図を作成、人気の無い場所では、マッドハッターを僅かに飛ばして、イルカの超音波の
 ように地形やモノを確認しているらしい。「簡単でしょ?」とは本人の弁。んな訳あるか!
  • 暗殺者の背後に忍びこむまでその気配を全く察知されない。(しかも初めて訪れた場所である)
  • 目の見えない状況で剣の達人と交戦、鋭い一撃を躱し即座に致命傷を負わせ一言「まだ遅い!」
  • 不死であるバスカヴィルの民の幹部二人とそのチェイン二体の戦闘で敵を圧倒。激情した隙をつかれ窮地に陥るも(能力使用による反動による)相討ち覚悟なら勝てる確信があるらしい。
  • 死にかけ寸前の躰(立っているだけで体中が激痛に襲われる)で、バスカヴィルの民とチェインの軍団相手に単独で無双を開始する。これそういう漫画じゃねぇから!敵が下した判断は『(敵はもう死にかけの躰だから)死ぬ気で間合いを取って時間稼ぎをする』
  • シェリルの援護(敵味方関係無く五感を封じる)を勿論ブレイクも喰らった状態で、人事不詳状態のバスカヴィルの民の軍勢を半壊状態にする。
  • 超巨大なチェインを一太刀で両断(かなり躰が限界に近かったようで、振った後剣がすっぽ抜けてしまっていた)
  • 本作最強級の敵であるグレンと銃の名手ヴィンセント、そして二人が操る圧倒的な能力を持つ二体のチェイン相手に『単独』で戦闘。繰り返すがこの時のブレイクは失明して一切の光を感知できない上、全身が死の一歩手前まで追い詰められている。流石に苦戦し、刀を折られ、吹き飛ばされるが(これはヴィンセントを庇ったという事もある)、最終的には敵の隙を衝き、グレンの片腕を斬り飛ばす事に成功している。この際、視覚が効かず、初めて立ち入った地形の中飛来してくる銃弾を交わすという神がかった回避も見せた(敵もブレイクの状態を知っていたので驚愕していた)




この凄まじい強さはかなり有名らしく、自他共に認める「パンドラ最強」。その勇名に憧れる存在も居り、敵の中には「貴方があの・・・」などと言い出す奴もいた。
基本的に戦闘能力が高くない自陣営の中でも卓越した能力を持ち、敵陣営に対して最期の最期まで強大な脅威であり続けた。



















彼の最期は、禍罪の子としての特権を行使し、オズたちが立ち入れない空間にオズたちを招き、見送った後に訪れる。
姿が見えなくなるまで立ちつづけるも、とっくに超えていた肉体の限界により力尽きて斃れる。納得して息を引き取る寸前、彼の元にレイムとシャロンが駆けつける。

ブレイクは二人にしがみつき、まだ生きていたいという自らも気付かなかった生への渇望を涙しながら口にする。

「私   は・・・死にたくない」
「まだ、ここにいたいです・・・」

自らの言葉に驚き、内心自嘲する。蓋を開けてみれば 所詮私の中身など・・・と

「ひどいなぁ・・・二人共」
「折角、一人で格好つけて終わろうと思ってた・・・のに」

そんな彼の脳裏には死んだシャロンの母、シェリーの事が反芻する。彼女の遺言を守った彼は安心して返事を返す。

「はい・・・シェリー様」





最期に彼が思い浮かべたのは未来を生きるオズ達に希望がある事を願う事。
こうして、パンドラ最強の剣士であり、主人公達の導き手として有り続けたブレイクは安らかな顔で息を引き取った。

単行本ではこの次に最終巻の予告の代わりに、歩いていくオズたちを振り返らずに見送り去っていくブレイクが描かれている。
きっと彼は十全にその人生の役割を果たしたのだろう。












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最終更新:2022年08月14日 13:36