ボラー連邦

登録日:2014/10/28 (火) 00:04:01
更新日:2024/12/16 Mon 01:22:05
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ボラー連邦とは『宇宙戦艦ヤマトシリーズ』の登場する星間国家。






【概要】

宇宙戦艦ヤマトTVシリーズ3作目「宇宙戦艦ヤマトⅢ」に登場する銀河系をガルマン・ガミラス帝国と二分する巨大星間連邦国家。
銀河系北部領域にある大半の恒星系を支配している。

ボラー連邦の本星は極寒の惑星で、連邦の支配階層は白灰色の肌を有する人種である。
連邦と名乗ってはいるが、実質的には独裁国家であり、厳しい統制と異民族に対する支配は過酷を極め、各地に植民地や流刑惑星を有する。
作中で登場する指導者はベムラーゼ首相であるが、首相は行政を担当する官僚の長で元首の肩書とは違うことを明記する。

とはいえ、ベムラーゼは実質的な連邦の独裁者であり、本人の気分しだいで支配下の流刑惑星をミサイルで破壊するなど、ヤマトの敵支配者の中では残忍かつ冷酷非道な最低の人物として描かれ、
古代進も「あなた方のような残酷な民族は見たことがない」と糾弾していた。


23世紀初頭、銀河系中心部でデスラー総統がガルマン・ガミラス帝国を建国、銀河を二分する両国は銀河系全体を巻き込む星間戦争を始めるも、
ガルマン・ガミラスの勢いに押され、支配領域を失いつつあった。

西暦2202年、太陽系においてベムラーゼ首相は、ヤマトを餌にデスラー総統に決戦を仕掛けるが、地球人、揚羽武の特攻によりブラックホール砲の砲口を破壊され、
ハイパーデスラー砲により機動要塞ゼスバーゼもろともその命運は尽きることになる。

その後も戦争は継続していたようで、西暦2203年にはガルマン・ガミラスの大攻勢で劣勢に立たされるがその時に起きた異次元からの銀河交差により、両国は壊滅的な被害を受け休戦した。

この銀河交差の影響がかなり大きかったのか、復活篇の時代にも連邦自体は存続しているもののすっかり往時の影響力を失い没落している模様。
休戦以降は地球との国交は開かれてるらしくガミラスと共に高官が式典に参列している。


【戦略】

基本的な戦略は「質より量」の物量作戦を基本とし、艦艇の数と恒星間弾道ミサイルで押し切る戦法であるが
ガルマン・ガミラスやヤマトの前ではその戦法もあまり通用しなかった模様。

特にスカラゲック海峡星団戦ではヤマト一隻に数百隻の艦艇を有する主力艦隊が壊滅する失態を演じてしまう。
しかし、相手がヤマトでなければ話は別であり、地球各国の探査船団がボラーの襲撃を受けて消息不明に追い込まれている。
今作では銀河系で星間戦争が起きていることは地球も承知の上で探査船団を出しており、
それぞれの船団にはかなり強力な護衛艦隊がついていたにもかかわらず、ヨーロッパやアフリカの船団、さらには北アメリカの船団も壊滅させられ、ヤマトによって戦艦アリゾナの無残な残骸が発見されている。
ボラーの戦力が銀河系全体で相当なものであることがわかる事実である。

他の科学技術も意外にも高く、恒星間をワープする弾道ミサイルや、デスラー砲の一斉射撃による直撃にも耐える堅固な装甲を有する「機動要塞ゼスバーゼ」
また同要塞に配備されたマイクロブラックホールを生み出す「ブラックホール砲」は連射が可能であり、デスラー砲艦隊を壊滅させるなど一定の戦果を見せた。


【主要兵器】


  • 機動要塞ゼスパーゼ
通称ブドウ要塞と呼ばれるほど、球体を寄せ集めて構築された、それっぽい姿をした宇宙要塞。
デスラー砲をはじくほどの装甲と、ヤマトでさえ身動きがとれなくなってしまうブラックホール砲でデスラー艦隊を壊滅に追いやった。

  • 戦艦
AタイプとBタイプが存在する。どちらもずんぐりむっくりで紫単色で見分けにくいが、艦首が尖っているか平坦かで見分けられる。
共通して武装は全て格納式であり、左右への旋回機能を持たない。
Bタイプには舷側にも格納式砲があるがAタイプは主砲が前方にしか射界がない代わりに対空砲を備え、艦首にはボラー砲という大型砲を持つ。
その武装故に艦隊を組んで火力を集中する戦法を得意とする。というか、それしかできない。
Bタイプには惑星破壊ミサイルを搭載したものもあり、バース星を吹き飛ばしてしまった。

  • 大型空母
艦首にスリット型の艦載機発進口を備え、格納式ビーム砲を備えた実質の戦闘空母。
というか戦艦Aよりも火力が高く、砲撃戦のシーンしかない。
暗黒星団のプレアデス級に似るが、性能は大幅に劣る。

  • 戦闘空母
こちらも戦闘空母。
名前の割りに大型空母よりも武装が少ないが、こっちは艦載機を運用するシーンが描かれた。
艦底部には上陸艇の収容部があり、大型空母に比べて揚陸艦としての側面を持つ。

  • デストロイヤー艦
いわゆるミサイル艦。スペース・ロックという誘導ミサイルを搭載しており弾幕を張って攻撃する。
駆逐艦であるが防御力は意外に固く、ヤマトの攻撃にもある程度は耐え、コスモタイガーの攻撃くらいではびくともしない。

  • ラジェンドラ号
バース星艦隊旗艦で、ラム艦長の乗艦。
なぜかほかのボラー艦より格段にタフ。

  • ハーキンス艦
第8親衛打撃艦隊司令ハーキンス中将の座乗艦。
潜水艦のような艦体の下部に円盤状の構造部を持つ。
ボラー砲2門に格納式砲塔6基、ミサイル発射管30門というかなりの重武装を持つ。

  • バルコム艦
ボラー連邦の第1主力艦隊司令官バルコム提督の座乗艦。
分類は戦艦だが武装は控えめな代わりに艦載機運用能力を持ち、実質的な空母である。
旗艦型艦艇の中では唯一量産されている。

  • ゴルサコフ艦
参謀総長ゴルサコフの座乗艦。
こちらも戦艦と空母の両方の特性を持つが、バルコム艦よりも強力な武装を持つ。
しかし、劇中ではその戦力を全く発揮することなく艦隊諸共ハイパーデスラー砲で消し飛ばされた。

  • ベムラーゼ艦
ベムラーゼ首相の座乗艦。
アニメ版での出番は短く、戦闘に参加しなかったので性能などは不明だったが、漫画版ではガイデル提督の機動要塞(アニメ版でヤマトを捕らえたアレ)を撃破する強力な戦闘能力を見せた。

  • ワープミサイル
ボラー連邦内からワープを使って一気にガルマン本星を攻撃できるボラーの新兵器。
通常弾頭の多弾頭型と惑星破壊ミサイル型があり、多弾頭型で防空力を弱めた後に惑星破壊型を送り込む戦法をとる。
地味にヤマトシリーズどころか大半のSF作品を成り立たなくさせるチート兵器である。



【主要人物】


  • ベムラーゼ cv.滝口順平 《連邦首相》
ボラー連邦を実質的に支配下に置く独裁者。
小太りでガマガエル顔と典型的な悪党面で、シリーズ中トップクラスの恐怖政治を敷き、恐れられている。
しかしガルマン・ガミラスの登場までは銀河系のほとんどを支配下に置く勢力を持っており、部下からの進言や報告に耳を貸し、ハーキンスやボローズなどの失敗した部下達に挽回の機会を与えるなど意外に寛大であり、有事の際にはためらわず本国艦隊を出動させるなど無能ではない。
バース星破壊は完全に外道行為なのだが、統治者の立場で見ればヤマトやガミラスに駐留艦隊を壊滅されるばかりか、囚人の反乱まで起こされては支配は無理と判断するや躊躇なく星を破壊させ他の星への波及を未然に防ぐなど判断力や決断力も優れている。
またシャルバート信者の処刑に関して古代から非難はされているが、連邦の法に照らせば彼等は反乱分子でありヤマトやバース星政府にテロまで行っているためこれに関してはベムラーゼの方が政治家として正しいことを言ってはいる。
本来は彼らの視点だとガルマンは独立国家とは認めてはおらず分離主義勢力だが、デスラーとのホットラインを設けるなど実利主義の一面があり、この時の対話でヤマトとの関係を看破して、後に自ら機動要塞を指揮してヤマトを攻撃し、太陽系にデスラーをおびき出しており、その狡猾さとデスラーすらもけむに巻く老獪な手腕で国共々、デスラーをして侮れないと警戒される。

最後は自ら軌道要塞ゼスパーゼを用いてデスラーに勝負を挑むが、
「君のお葬式は何宗で出せばよいのかね?」
と、問われ激昂。ブラックホール砲でデスラー艦隊をほぼ壊滅させるおしおきだべー
だが、揚羽がブラックホール砲に特攻したことで要塞の防御が破れ、そこにハイパーデスラー砲を受けて爆死した。

ゴルザコフ  参謀総長
バルコム   本国第一主力艦隊司令官
ハーキンス  第8親衛打撃艦隊司令官
ボローズ   バース星総督
レバルス   バース星警備隊長
ラム     ラジェンドラ号艦長


【補足】

主要人物の名前やスラブ音楽からもわかるようにモチーフはソビエト連邦。
ガルマン・ガミラスとの星間戦争は、放送当時の冷戦構造を反映したものとなっている。
準備項時はベムラーゼの名前はベムーリンとなっていたことからも意識のほうがわかる。
さらにヤマト3が放送短縮にならなかった場合はアメリカがモチーフのゼニー合衆国という星間国家が登場していたそうであり、作風がかなり露骨になったことは間違いないだろう。




リメイクアニメ版

リメイクアニメシリーズでは『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』から登場。
詳しい国家の概要は不明だが、少なくとも服装などはよりロシア……というかソ連みが強いものになっている。

リメイク前と同じくガルマン星を支配してガルマン人を奴隷化していたが、今回はリモコン一つで猛毒を流せる首輪*1を付けさせて服従させる、協会の女神像の目を破壊する等、かなり悪辣な国家として描かれている。

ガミラス人の移住先を探していたデスラーとの交渉が決裂した瞬間に奇襲を受けて駐留艦隊は壊滅、ガルマン星から追い出されてしまった。

今回はあくまで顔見せ程度の登場なので、詳細な設定などは明かされておらず、デスラーかませ犬以上の存在ではなかった。
ただし超大国には変わりないため、ガミラスとの防衛協定による星間戦争を避けたい地球側にとってはかなり厄介な存在として扱われている。


また、『宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択』で描かれた地球の前史において、第一次内惑星戦争時に火星側が投入した宇宙艦隊が「大昔に火星に漂着していた異星文明の宇宙戦艦を解析して建造された」と噂で語られていたことが語られたが、その宇宙戦艦の正体こそボラー連邦の船*2であり、火星、ひいては地球の宇宙船関連技術のルーツであることが示唆されている。

ヤマトよ永遠にRebel3199にも引き続き登場。
小規模艦隊で地球に領海侵犯を繰り返すなどの威嚇行為を繰り返している。
地球側はその度にアンドロメダ級を含む艦隊が出張り退去命令を出している模様。

デザリアムのことを、銀河中心に潜み宇宙を凍てつかせる魔女の吐息『ウラリアの光』として最大限警戒している。


【主要人物】


  • ベルム・フォン・ベムラーゼ
ボラー連邦最高管理委員長。
肩書が旧作の首相から変更になり、よりソ連味が強化された。
革命によって帝政ボラーを打倒し、一代で連邦国家を樹立した。
常に険しい顔で葉巻を嗜みめったに口を開かない寡黙な人物。

  • リュドミ・ダーリヤ
ベムラーゼの補佐官を務める一等書記官。
眼帯をつけた中年女性といった風貌で、肌の色が地球人やザルツ人に近い。
政敵が多く何度も暗殺の危機に晒されたベムラーゼをその身を盾に守り続けてきた忠臣。
要はサーベラーやサーダ的ポジションのキャラクターと言えるかもしれない。
ベムラーゼが無口なため、命令は主に彼女の口を通して下される。

  • ヴィルキ・ボローズ cv.滝知史
「ボラー連邦永久管理機構」なる組織から派遣されたガルマン星総督。
ガルマン星の譲渡と友好を「申し出た」デスラーに奴隷としての服従を「命令」した結果、駐留艦隊を全滅させられた挙げ句ガルマン星を追い出された。
ついでに部下を射殺されて肩も撃たれた駐留艦隊をことごとく殲滅させられたよりかはマシだが
デスラー砲の存在を調べ上げたり、対策としてデスラー艦に対して包囲陣を敷くなど有能ではあるのだが、旗艦は囮であり、自爆後のEMP攻撃で通信障害を起こされ、ガミラスお得意の瞬間物質輸送機による艦上爆撃機の奇襲と次元潜航艇のミサイル攻撃で艦隊と地上軍を壊滅されるなどデスラーを甘く見ていたのが災いして散々な目に遭う。

3199ではガルマン失陥の責任を取らされたのか辺境領域に追いやられ、地球の領域に接近しては挑発を繰り返す日々であり勤務中に艦橋で酒に酔って愚痴るなど完全に落ちぶれていた。
地球軍と睨み合っているさなかにデザリアムが現れて艦隊が行動不能に陥り、彼は呆然とするしかなかった。
「何をした!デスラー!」「あれはウラリアの光…」など、ガミラスやデザリアムに対して狼狽し続けるボラー連邦軍人の鏡のような人物。
その後の地球圏への進軍の際も接敵前から常に悲観的な発言で狼狽え続け、デザリアム軍に一蹴された際も「勝てるわけがない」とヘタレるなど碌な目に遭っていない。

なお、彼のセリフで地味にボラー側は地球の宇宙船のルーツがボラーの漂流船であることを把握していることが分かる。

  • チェフ・レバルス cv.丸山壮史
ボローズの秘書官。
上司の威を借る典型的な小物。
3199では酔って愚痴を言うボローズを宥めていた。


【主要兵器】

2205の時点ではガミラスに一方的に撃破されるだけのチョイ役で、設定と名称が明かされたのは『REBEL3199』から。
全体的に重武装化したものの相変わらず兵装は格納式だが、ボラー砲が標準装備となり、砲の旋回は可能となった。(当たるとは言っていない)
これに関しては「星間物質が濃密な空間を移動することが多いため」と推察されている。

  • ボラー戦艦A型 / クロトガ型標準戦艦
旧シリーズにおける戦艦Aタイプ。
デザインは大きく変更され、どちらかといえば旧戦艦Bタイプに近いが、これはデザイン担当の明貴美加氏曰く「旧作のボラー戦艦の特徴をまとめて2つに分けた」という理由からで、厳密には戦艦Aのリメイクではないためだそう。

「標準」と記されることからも解るようにボラー連邦における傑作艦とされ、半世紀以上に就役した艦にもかかわらず今なお増産されて主力を務めている。
ちなみに「クロトガ」はボラー語で「英雄的な行動」という意味。

内惑星戦争以前に火星で発見されたという異星文明の宇宙船の残骸の正体こそ、このクロトガ型である。

  • ボラー戦艦B型 / アマンガ型ミサイル戦艦
旧シリーズにおける戦艦Bタイプ。
こちらも上記の理由からデザインが大きく変更され、どことなくゴルサコフ艦っぽい特徴を持つ。

こちらは標準型戦艦の支援を目的とした攻撃力重視の戦艦とされる。
「アマンガ」はボラー語で「大破壊」という意味らしい。

  • ボラー航宙母艦 / ガノンダ型航宙母艦
旧シリーズでいう大型空母。
これも大型空母・戦闘空母・バルコム艦の特徴を抽出して一纏めにしたものだが、見た目の印象は大型空母をスマートにした感じで戦闘空母やバルコム艦の要素は薄い。
艦尾にも着艦口が設けられて全通甲板となり、西暦2207年の時点では「レブート」なる艦載機を搭載しているらしい。
「ガノンダ」はボラー語で「愛国心」という意味で、クロトガ型やアマンガ型よりも新しい艦艇とされる。

ガルマン星駐留艦隊の旗艦だったのか、デスラーとボローズの会見が行われた大聖堂の上空に待機していたが、デスラー艦隊の奇襲によって駐留艦隊は壊滅。
航宙空母は破壊されずに残され、ボラー人を乗せてガルマン星から追い出された。






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最終更新:2024年12月16日 01:22

*1 作中では配給の列から脱走した民間人を一名殺害させるだけで終わったが、無論過去には相当数殺害されており、装着を断ったデスラーに対する反応から装着を断った者も殺害されている可能性が高い

*2 劇中では証拠が消されたという体で出所は明かされなかったが、パンフレットの記述で確定した。