秘伝防具(MHF‐G)

登録日:2015/07/10(金) 03:45:11
更新日:2024/03/07 Thu 08:15:12
所要時間:約 20 分で読めます





秘伝防具とは、現在はサービス終了したオンラインゲーム『モンスターハンターフロンティアZZ』(MHF-Z)に登場する独自の防具である。
MH4Gで登場した、似たような名前の秘伝スキルとは無関係。

以下はサービス当時の内容が中心なので注意。


概要

HR5(旧HR300)で広場のギルドマスターから秘伝書を取得した後に解禁される、特別な防具。
各武器種に「純白の秘伝防具」「真紅の秘伝防具」の2種類が存在しており、それぞれ現実の宝石の名を冠している。
各武器種ごとにデザインも異なる。

実装当初は公式でG級までの道のりにおける「武器種特化」防具に位置付けられていたが、紆余曲折を経て最終的に「秘伝スキル」という各武器種限定で発動するスキルを、G級の防具精錬システムで抜き出すための実質アイテムという立ち位置になった。
更に言うと、実はこの秘伝防具自体はただの防具に過ぎない。秘伝スキルの存在自体が唯一にして最大の特徴なのだ。

純白、真紅のどちらも無印→F→FXの順に強化が行われる。
ただし、スロットが3つ全て開放されるのはFXの限界強化であるLv7のみ。
完全に性能を発揮するのはFXLv7への強化が大前提となるので注意。
G級ではFX→G→GF→GXと強化することが可能で、FXから強化の際に純白からは「白虎」「玄武」、
真紅からは「朱雀」「青龍」の2種類に派生していく。
GXへの強化、及び精錬した装飾品の受け取り・交換にはGR500以上が条件という厳しい制限が設けられる。

色や派生先に応じて秘伝スキル以外に付属しているスキル群も違う。
共通しているのは、後述の仕様上「斬れ味レベル+1」を発動できる匠のポイントが一切無いことである。


追々解説するが実際のところ、サービス前半における運営のバランス調整の迷走、ユーザー間の分断を象徴した、かなり曰くつきの防具でもある。


秘伝スキル

共通で「(武器種名)技【○○】」と呼称されている。
【】の中身はスキル段階に応じて変わり、下から【達人】【皆伝】【○○(武器種ごとの固有の名称)】になる。
しかし、秘伝スキルとして完成されているのは全部位FXに強化して発動する(=スキルポイントが増えて到達する)最上位スキルだけであり、【達人】で回避距離UPがつくヘビィボウガンを除き【皆伝】以下で運用するメリットはほぼ無いといってもいい。


全武器種共通の効果として、【達人】では剣士は弾かれ無効、ガンナーはヘビィのように武器種に応じた個別効果が発動する。
【皆伝】では攻撃力に直接1.2倍(片手剣、ライト、ヘビィ、弓は1.3倍)の補正がかかるようになる。
これだけでも強力だが、最上位スキルは更に超高級耳栓の効果が付与されて後述の武器種固有の効果も発動するため、最上位こそが実用的となる。
そして、純白&真紅を全部位FXかつLv7まで強化すると「秘伝二重装備」が解禁され、秘伝書メニューの項目から「ON」に設定すると最上位スキルの名称が【大○○】(通称「大秘伝」)に変化。
剣士は斬れ味レベル+1の効果が、ガンナーは攻撃力1.2倍から1.4倍への強烈な上昇補正を得ることができる。


そしてGX秘伝をLv7まで強化することにより、防具自体を装飾品に精錬して秘伝スキルのポイントを抜き出すことが可能。
この装飾品は通称「秘伝珠」とも呼ばれる。以前はプレイヤー間の造語だったが広く浸透したこともあり、後に公式でも用いられた。
他の防具にも秘伝スキルを搭載することが可能になるが、大秘伝効果だけは再現されない。

更に、前述の4色派生それぞれで精錬した秘伝珠を素材に、G級スキルのポイントをサブに備えた「真秘伝珠」も生産可能。
途方もない労力がかかる割に見返りはそれほど無く、徹底したスキル構成を追い求めるやり込みハンター向けと言える。


以下は最上位スキル発動時の効果。


大剣技【剣王】

  • 攻撃をガードした時、今までは斬れ味を消耗していたのが逆にその値の半分回復する
  • 溜め時間短縮
  • 嵐ノ型において、溜め4から溜めすぎて溜め2に落ちてしまうまでの時間が遅くなる
  • ジャストタイミングで攻撃をガードするとスタミナを減少せず、回避でガードキャンセル可能に


太刀技【刀神】

  • 錬気ゲージの消費量半減
  • 錬気ゲージMAXの間だけ業物+2が発動する
  • 気刃状態(ゲージ点滅時)では攻撃力が更に1.1倍上昇する


片手剣技【剣聖】

  • 属性剣晶+3、状態異常剣晶・爆撃剣晶+2が常時発動
  • 抜刀時の移動速度上昇(納刀時のダッシュと同じぐらい)


双剣技【双龍】

  • 鬼人化、真鬼人開放中にモンスターへ攻撃を当てるとスタミナが3回複する


槌技【鈍器獣】

  • 溜め攻撃を溜まった瞬間(一番強く光ったとき)に繰り出した際、その攻撃及びコンボの攻撃力が更に1.3倍される


狩猟笛技【奏帝】

  • 演奏の効果が決まるまでの時間が早くなる


槍技【天槍】

  • ステップ最大回数+1
  • ガード時に全ての削りダメージ無効化
  • 連続突きにおいて最後の一発のダメージが増加


銃槍技【砲皇】

  • 竜撃砲、爆竜轟砲、ヒートブレード使用後の冷却時間が半分になる
  • ヒートブレードが展開するまでの時間が3秒に短縮
  • 装填数UP


穿龍棍【穿凰】

  • コンボゲージの段階が+1される(=攻撃力補正が1.3倍に引き上げ)


軽銃技【銃傑】

  • 片手剣のように武器を出したままアイテム使用が可能に
  • ジャストショット*1の強化版、パーフェクトショットが使用可能に


重銃技【銃仙】

  • 排熱、属性弾ダメージ1.2倍
  • ボウガンで直接殴った時にスタン値が付与される
  • 徹甲榴弾のスタン値増加
  • 圧縮リロード*2の強化版、パーフェクト圧縮リロードが使用可能に


弓技【弓鬼】

  • 強撃ビンの威力上昇
  • 溜め2の時点で曲射が使用可能に


剣斧技【斬将】

  • 型ごとの特定行動成功で攻撃力が一定時間上昇
  • 地…変形攻撃、天…剣攻撃、嵐…ガード
  • 振り回し時のスタミナ消費半減
  • 斧モードの攻撃ヒットでスラッシュゲージ回復量が増加*3、消費量が減少


磁斬鎚技【磁星】

  • モンスターに当てた磁界弾が時間経過で消滅しなくなる
  • 移動速度アップ
  • 磁力ゲージを使う回避行動に成功すると、一定時間のあいだ攻撃力&磁力ゲージ自然回復速度アップ


作成・強化

生産と強化にはHCクエストの確定報酬か、マイガーデンのグーク鍋でHC素材を煮込んだ時に変化して出る「武器魂」を使用する。
ただし入手効率では前者の方が遥かに良い。鍋は補助程度。
後は一部位につきHC素材を1個用いる。

武器魂にはHCクエストのランクに応じ、序(下位)・中(上位)・極(凄腕)・天(剛種)の4種類がある。
基本的に1クエ1個だが、「ギルド優先依頼」システムでその日の優先依頼対象に選ばれたモンスターは3個に増える。


そして、生産からFXへの強化に至るまで呆れるほど膨大な数の武器魂を要求されるのが秘伝防具最大の特徴である。
序~天をひっくるめた合計量は一式で3200個
更に前述の大秘伝を発動させる場合、単純に倍増しするので6400個
誰の目から見ても完全にトチ狂った数である。
G級秘伝防具では変わって「武器緩」、最高位のGX秘伝防具はGR500以降で入手可能な「武器勲」が必要となる。
いずれも序・中・極の3種類で、クエストの難易度(★の数)に応じて入手できるものが異なる。
前者は従来通りHCのG級クエストで手に入り、後者は逆に非HCのG級クエストで手に入るがG級版ギルド優先依頼の対象になっていない。
G秘伝からGX秘伝までにかかる緩・勲の合計量は2950個と幾分かマシに見えるが、実際は事あるごとにモンスターの稀少な素材をふんだんに使いまくるため
非G級以上に強化難易度がぶっちぎりで高くなっている。


ギルド優先依頼や、場合によっては課金オプションの秘伝書コース(武器魂が+2個)も活用しなければ精神衛生的にも辛い。
たったの1武器種でこれだけの必要量に達するのだから、全武器種の秘伝防具を作ろうと思ったら冗談抜きで途方もない時間と労力を費やす事になる。
13武器種分の武器魂・緩・勲×4色派生、そこに真秘伝珠の分を倍増し……想像したくもない。



ゲーム内での扱い

既にお察しかと思うが、最終的には作れるようになった時期から作成するメリットも、防具として使うメリットも完全に無い。
何故ならわざわざ作らなくても、ハンターライフコースの加入特典で秘伝珠がすぐ貰えるようになったからというのが大きな理由。
具体的には、30日分につき5枚の調合屋交換券が総合受付で貰うことができ、
G級秘伝防具の解禁されるGR500時点から、調合屋で1枚につき任意の秘伝珠を1個交換できる。
このハンターライフコースはMHFを遊ぶ上での基本料金であり、実質タダで手に入るも同然なのだ。

防具自体も、秘伝スキルの効果はともかく付随するスキル群もサービスが進むにつれて陳腐化しきった上、武器魂の要求総数から来る気の遠くなるような作業工程が全てを台無しにしてしまっている。
3200個ないし6400個もちまちま収集する時間があれば、その時間を他にしたいことに余裕で回せるからだ。
G級では更に肩身が狭くなり、GX段階であってもG級防具中もっとも防御力が低くなる。
これなら素直に他の防具を使った方が楽だし、GR200時点で登場する辿異種の防具は、生産直後の時点から秘伝防具より遥かに実用的であり、秘伝スキルという唯一の強み以外は全てにおいて完敗。
こんな有様なので防具として使う利点がどこにもない。仮に作るにしても、精錬一択と言われる理由の大部分はこれが大きい。


要するに「防具として使う必要なし」という評価に落ち着いたのである。
単に秘伝スキルを発動したいだけなら、G10.1以降に実装された「祈歌武器」が条件限定で秘伝スキルを自動発動スキルとして備えているため、そちらを使うのがよい。
何より多数の新スキル、武具が登場し、簡単に秘伝並かそれ以上の火力を出せるようになったサービス後期~末期になると、秘伝スキル自体も昔ほどの希少性・唯一性は無く、スキル共々単に「発動難度が高いが、高みを目指すうえで選択肢に入る火力スキルの一つ」という認識が浸透していた。


…さて。

ここまで読んでもらって、この特殊性や扱いに疑問を持つかも知れない。
特に、防具なのにどうして防具らしからぬ用途なのか、と。

これは概要でも述べたが、元を辿ると、過去に秘伝防具がMHFにシャレにならない大問題を引き起こしたことに発端があり、
MHFそのものを揺るがしかねない混乱を引き起こした挙句、上記の「防具として使わない防具」の扱いに落ち着いたのである。


秘伝防具の歴史と変化

全体的にかなり長いのでそれぞれ折り畳む。
上から順に読んだ方が分かりやすい。

シーズン9.0~


フォワード.3~


フォワード.4 ~秘伝絶対主義時代~


フォワード.5


G級~




追記・修正技【大電脳】
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最終更新:2024年03月07日 08:15

*1 Fのライトボウガンは射撃後にゲージが現れ、白い部分にバーが重なった瞬間に再び撃つとダメージが増加するシステムが存在する。しかも弾切れを起こすまで連続で発動可能なのでただ撃つよりもダメージ効率が良い

*2 Fのヘビィボウガンはリロード済みの弾を1発に圧縮して高ダメージの弾を撃つ事ができる

*3 G10.1以前はこのスキルでのみ斧モードの攻撃でゲージ回復が可能な仕様だった

*4 ちなみにアップデートの名称は現在に至るまで「シーズン○」→「フォワード○」→「G○」(Zではナンバリングがされていない)の順に変化しており、シーズン時代はMHF全体において最も古い黎明期のことである

*5 しかも当時はポイント交換等の救済措置が無いため余計に難易度が高い

*6 後に1枚へ緩和され、数年後のG9.1で完全廃止された。しかし緩和当時は秘伝防具が直接の原因ではなく、マクロを悪用してチケ稼ぎをしていた悪質ユーザーへの対策という形でこうなっただけである。

*7 メインモンスターとして売り込まれたはずのタイクンザムザが武具共にパッとせず、クアルセプスは延命丸出しで面倒臭いだけのトリプル証システムで大不評を買い、しかも慣れると大して強くなかったということで早々にユーザーから見放されてしまった、など……。

*8 これは秘伝二重装備のための2着目作成が目当て

*9 更に穿龍棍の秘伝防具に関しても、まず穿龍棍自体が必要とするスキルがあまりにも多すぎるため秘伝防具では賄いきれず、こちらも重要性を落としていた